2
Oct

ピノ・ノワールの名人が故郷ボジョレのテロワールとガメ品種に向き合う!!

Philippe Pacalet * フィリップ・パカレは50歳を迎えた。 マルセル・ラピエール・ファミリーと幼少時代を過ごしたフィリップは自分の源泉と向き合おうとしている。 数年前より、ムーラン・ナ・ヴァンのテロワールを醸してきた。 自分が予想してた以上のテロワール・ワインができた。 ボジョレ・テロワールの可能性を追究してみたくなった。 ボジョレの村名クリュの土壌のバリエーションを知れば知るほど面白くなって来た。 花崗岩だけではない。色んなテロワールが混在している。 それぞれのテロワールで育つガメ品種の特徴も全く違う。 ブルゴーニュ・テロワールを20年間も追求していたフィリップ・パカレ。 自分の故郷、ボジョレのテロワールを再発見した。 フィリップ・パカレの今後のボジョレ・ワインの展開が面白い。 勿論、ボジョレ・ヌーヴォーも含めて。 一歩、歩くごとに土壌が少しづつ変化していく。 砂状からややリモン、そして若干の粘土質、川から流れてきた丸石、石英石、そして勿論、花崗岩。多くのバリエーションがあって面白い。 できる葡萄も違ってくる。 フィリップ・パカレの研究心に火がついた。 ドンドン、ボジョレにのめり込んでいくフィリップ。 今日はボジョレ・ヌーボーの収穫だ。 2016年は、モルゴン、フルーリ、シルーブルなどの標高の高い山の斜面の区画畑が雹でやられた。 平らな区画では全く問題なかった。 ベト病が例年よりチョットだけ多かっただけだ。 葡萄の品質も熟度と酸のバランスが凄く良い。 6,7月の曇りがちの天候、8月中旬よりの35度を超す猛暑と両極端の天候の中 無事に乗り切った葡萄を9月20日に収穫。 2016年はフィリップが得意とする軽めのアルコール度数の葡萄となった。 昨年はアルコールが強いスタイルだった。ミネラル感が果実にオブラートされてしまう感じだった。今年のようなアルコールが軽めのスタイルの方が、ミネラル感を表現できて透明感のあるスカットしたヌーボーができる。 フィリップは云う 『ブルゴーニュ・グランクリュと同じ手間暇をかけたボジョレ・ヌーボーを造る』 今、仕込みが始まったヌーヴォー、今年はフィリップ・パカレ得意のスタイルとなるだろう。スカットした透明感のあるミネラル感に爽やかな果実味がのったスタイルになりそうだ。好ご期待!! Philippe PACALET コート・ド・ニュ地区の高品質のピノ・ノワール収穫 今年は北フランス、特にロワールとブルゴーニュは難しい年だった。 ブルゴーニュは一概には悪いとは言えない。 チャンスよく、必要な時にドンピシャリとやるべきことができた栽培家は被害を最小に抑えることができている。 栽培家がいつ何時でも畑に出れる状況でない限り不可能なこと。ほぼ運と云っても良い。 それほど、今年の天候は千変万化の急変化を呈していた。 冷害と雹には人には、どうにもならない出来事だった。 ベト病の被害の被害も大きかったけど、並外れた努力で運よく逃れた栽培家もある。 ヴォーヌ・ロマネなどコート・ド・ニュイのクリュは葡萄量が少ないけどかなりレベルの高い品質の葡萄が収穫できた。 9月初旬に必要だった雨が降って、天候が続いたのでポリフェノールの熟成を最大限に待って、9月26日に収穫を開始。 ギリギリまで待ったお蔭で茎の根本が 茶色に変色するまでギリギリ待った。 糖度は低めで、ポリフェノールがキッチリ熟したフィリップが狙っている 熟度の葡萄収穫に成功。 2016年産のパカレのピノ・ノワールのニュイのクリュは凄いことになるだろう。ただ、量が少ないのがやや残念。でも、天には文句は言えない。 ブルゴーニュ銘醸クリュが次々と発酵槽に入る!気合が入るフィリップ・パカレ。 ヴォーヌ・ロマネ、ルショト・シャンベルタン、次々と運び込まれてくるピノ・ノワールをチェックする。 一見静かに見えるこの蔵の中には何億もの酵母菌が躍動している。 360億年の天のエネルギーと46億年の地のエネルギーを内蔵にした葡萄を、何億もの自然酵母が動いている。 天と地のエネルギーを液体に転写していく。 我々を楽しませてくれる液体、ワインを造りあげてくれている。 まるで酵母菌達と会話をしているかの様に見えるフィリップ・パカレ。 […]

1
Oct

自然派ワイン発祥のMORGON モルゴン村の番人デコンブ、収穫開始

ボジョレ自然派醸造家の中で、いつも最も遅く収穫を始めるデコンブがほぼ他の自然派醸造家より10日遅れで収穫開始。 理由は三つある。 第1にデコンブは常に最大限に葡萄が熟すことでガメの旨味を引き出すことを狙っている。 第2に、デコンブ自身が確りしたワイン質が好きなこと。 第3に、デコンブの畑は殆ど300m~450mと標高が高いので 葡萄が熟すのが遅い。 2016年はデコンブにとって困難な年だった。6月、7月、8月と3回に渡って雹が降った。 ボジョレの中でも標高の高いところが集中してやられた。デコンブの畑は標高が高い。つまり3回とも雹の道筋に畑が出会ってしまった。しかし、残った畑の葡萄をウドンコ病から守るために、息子のケビンと夏休みも返上して戦った。 8月中旬からの好天候がすべてを救ってくれた。 8月の晴天続きが葡萄を乾燥させてくれた。ウドンコ病がミルミルうちに消えていった。 今度は30度から35度まで達する程の晴天が続き過ぎて8月の後半は光合成がストップするほど乾燥してきた。 極度の乾燥の為に葡萄自身が、自身が生存する為に水分を使うようになって、果実を熟成させる為に水分を回さなくなってしまった。 ところが、デコンブの葡萄木は60歳から100歳までの古木が多いので、根っ子が深く伸びていて水分を地中深くから吸収できる。ただ時間がかかる。 ゆっくりとゆっくりと葡萄が熟成していった。9月初旬に最高のタイミングで雨が降った。葡萄の乾燥ストレスは解消できた。でも、デコンブは収穫を開始しなかった。 周りの醸造家がドンドン収穫を初めても、ジッと動かず待った。 9月18日にやっと収穫を開始した。 デコンブにとって心から納得のいく理想の熟度に達して収穫をすることができた。 収穫した葡萄を検品しながら、あまり感情を表現に出さないデコンブの顔に、満足の笑顔が出ていた。 待った甲斐があった。自分が狙った通りの熟度と酸を備えたデコンブ・スタイルのワインができそうだ。 今年はスペインのフラメンコの世界、セルビアの グループを迎えての収穫となった。 リーダーの髭のガブリエルがフラメンコ歌手、 そして、フラメンコのダンサーも何人か来ていた。 きっと最後の収穫祭はフラメンコの一色のお祭りとなるだろう。 今年のデコンブ・ヌーヴォーのスタイルは? 収穫を遅らせた分だけ、果実味が濃縮していながらも、酸がキッチリ乗っていて、透明感のある、酒質+酸でメリハリのある、まさにデコンブ・スタイルのヌーヴォとなるだろう。 SOUVENIR DE Marcl et Nounoun 私とマルセルとヌヌーンと思い出 ジョルジュ・デコンブは、ボジョレでは“ヌヌーン”の愛称で愛されている。モルゴンの熊のような存在。 体も精神もドッシリしていて迫力がある。まさに、モルゴンの番人という感じ。 故マルセル・ラピエールがこよなく愛した人物でもある。 マルセル生存中、私は高速道路で南下する時は、Bellevilleベルビル出口で下りてモルゴンに寄った。 2008年の夏、マルセルと昼食を済ませて、デコンブに会いに行った。 デコンブ醸造所には、隠れ小屋のようなプライベートBARがある。 14時にBARに入ってデコンブを出たのが夜の11時。 ずっと3人で飲み続けた時があった。 マルセルは酔っぱらってくると、歌を歌い始める。デコンブは本当にマルセルの事が好きで、帰らせないように 次々ボトルを開ける。マルセルも私もベロベロ状態だった。 でも本当に楽しかった思い出。 デコンブにとってマルセルは師でもあってお父さんのような家族だった。 マルセルも同様に接していた。

17
Sep

アラン・カステックスに会ってきた!

Grosse semaine en partant de Banyuls sur mer jusqu’au Beaujolais avec 4 grands restaurateurs et spécialistes japonais de vins naturels, des grosses pointures fous furieux! On passe chez 10 vignerons légendaires et c’est absolument magnifique.. 5 jours de vins mythiques, de vins rares, de repas énormes et de grande gastronomie. Merci à tous pour cette […]

9
Sep

Dominique DERAIN – VENDANGES 2016

Dominique DERAIN s’est termine ses vendanges hier. C’etais parcel Le Puis en Sait Aubin . L’Equipe de vendangeurs etais trois. Et 10% de recolte . Mais, LeCoeur Dominique etais enorme ,chaud. ドミニック ドゥランの2016年の収穫が昨日終了。 ル・プイの区画が最後だった。 内輪の人間だけ3名と少なかった、そして、収穫量も普通の年の10%しかなかった。 でも、ドゥランの心は大きく,熱かった。 2016 est 17eme vendanges pour Dominique. C’est la premier fois d’expeience de Gel de la fin Avril. Et beaucoup de […]

7
Sep

ボジョレ期待の新人、シルヴェール・トリシャール

2013年が初リリースというのにパリのワインビストロでは既に大人気。 自然派ワインに巡り合ったのは2003年、ジャンクロード・ラパリュのワインを飲んで驚愕。 シルヴェールは伯父さんのところで10年間、ビオ栽培の研修を兼ねて働いていた。それまでは自然派ワインを全く知らなかった。 シルヴェール 『ジャンクロード・ラパリュのところに若手醸造家の友人達と行った時、タンタンションを飲んで驚いた。こ、これがボジョレー?伯父さんが造っているボジョレとは全く別の飲み物だった。素直に美味しかった。』 『自分が造りたいワインはこれだ!!』 自然派ワインを知ってしまったシルヴェールは、もう人生が変わった。 自分のやりたいことが明確になった。 伯父さんのところで働きながらも、時間さえあれば、ジャンクロードのところに行って手伝って勉強していた。 5年前に伯父さんの畑を引き継いだ。自分のラベルで瓶詰したのは13年が最初。土壌、畑仕事に関しては、もう15年以上の実施研修でプロ。 醸造はジャンクロードの見様見真似で試作を繰り返して13年が過ぎた。 センスがいいシルヴェールは初リリースから物凄いワインを造った。 2016年は、一時はどうなるか!?と心配だったけど結果的には 近年稀にみる素晴らしい葡萄が収穫できた。 何事も終わってみなければ分からないものだ。 6月、7月は雨と湿気で病気が蔓延、その上に今年は3回も雹が降った。 もうダメだ、と思っていると8月は連日の記録を超す程の晴天が続いた。 まさに、逆転ホームランという感じだった。乾燥で病気は一挙に乾いて 終わってしまった。今度は逆に天候が良すぎて35度という太陽が照り続けて水不足ぎみだった。そんなところに9月に雨が降ってまたまたまた、逆転スリーベースヒットというか感じ。最後には酸を残しながら葡萄が熟して非常にバランスの良い葡萄を収穫。 収穫は仲間達が集まって行われている。ほぼ同年齢のワイン好きが集まった。 暖かいホワッとした雰囲気が流れている。 葡萄の状態もいいし、収穫する立場から見ても良い葡萄を取るのは気持ちがいいものだ。 極力、ストレスなくいい雰囲気に収穫が進んだ方が良い。 収穫で大切なのは、第一に良い葡萄だけをとること。 だから、若干のトリアージ(悪い部分を切り取る作業)は厳しくやらなければならない。 第2あまりストレスのない状態で収穫すること。 ベテラン醸造家ほどストレスが多いことがある。 やはり色々なプレッシャーがかかったり、背中に背負うものが多くなってくるのだろう。その点、若手はまだ真っ直ぐにできるからいい。だからお美味しいものが多い。 シルヴェールの土壌は花崗岩だけではない。南ボジョレと北ボジョレの中間に位置したBALACEブラッセ村にある。砂状の中に細かな石英石が沢山混じっている。大変水捌けの良い土壌である。雨が降っても水がすぐに浸透していく。繊細なワインが期待できる。 6月、7月の湿気の中でも、他の土壌よりも病気が少なかったに違いない。 8月の晴天で一挙に畑が乾燥してベト病も終焉したのはこの土壌のお蔭だ。 健全な葡萄が多いのに驚いた。 シルヴェールの造りは基本的にラパリュから学んだ。だから自然派のジュル・ショーヴェ方法を継承している。醸造中の雑菌の繁殖による失敗を避ける為に、収穫後に普通は葡萄を冷却する。その為の冷蔵コンテナを備えている。 しかし、今年は朝の気温が7度と低いので、朝収穫したものはそのまま発酵槽に入れている。午後、収穫したものは一晩冷やしてから翌朝に発酵槽に入れる。 発酵槽に葡萄を入れる作業は、ポンプを使うと葡萄が傷んで雑菌が繁殖しやすくなるのでポンプは使わない。 ベルトコンベアーで発酵槽の上部まで上げて重力で発酵槽内に落とし込む。 時間と手間はかかるけど、このような作業のお蔭で、発酵槽に酸化防止剤をいれなくても、雑菌が繁殖しない。 SO2(酸化防止剤)を多用すると自生酵母も死んでしまう。 SO2(酸化防止剤)を混入しないお蔭で自然酵母も元気で、自然酵母のみでの発酵することが可能となる。 畑で育った自生酵母のお蔭で、その地の特有の香り、風味がワインに表現できる。 自然派ワイン以外の普通のワイン造りは、収穫後、発酵槽にドサリとSO2を混入して雑菌を殺すと同時に自然酵母も死んでしまう。そこに人工酵母を混入する。 畑、そこの土壌とは全く関係のないとろ、研究室で培養された人工酵母を入れてワイン造りが行われる。ワイン造りの基本は酵母菌だ。 その酵母菌を他から人工的に造られたものを使用しては、工業製品と同じだ。まるでコカコーラだ。 そこの土壌の本来持っている風味は表現されない。スポーツの世界でいえばドーピンと同じこと。 6000年のワイン造りの歴史でこんな風に造られるようになったのは、60年前からだ。 大量生産で、そこそこ毎年同じようなワインを造る為にはいいだろう。 今朝、収穫した葡萄のジュースを飲んでみる。 果実味も豊富で酸もあり、潜在アルコール度数は12度前後。 2016年は、まさにボジョレらしい果実がタップリでアルコールが軽くて、酸も丁度よく爽やかでグイグイ体に入っていくスタイルになるだろう。 4日前に収穫した発酵槽を覗いてみる。本当に健全な葡萄のみしか入っていない。 葡萄房を取ってみる。ナマ温かい粒を食べてみると、粒内で発酵が始まっている。香りがたちこもっている。 何十億とも天文学的数の酵母が活発に働いている最中。 発酵の初期に働く自然酵母がワインの香りに大きく影響を与える。 この時期が大切な瞬間。 自然派ワインは手間暇が倍かかって、リスクも高い。でもシルヴェールはこれに人生を賭けた。 […]

6
Sep

2015年のNOUVEAU が完成!!

パカレ家の毎年恒例の新酒の合同試飲+アッサンブラージ ここ数年、パカレ家のNOUVEAUが完成するこの時期にお互いのワインを持ち寄って共同試飲を実施実行している。 フィリップ・パカレ、クリストフ・パカレ、二人とも今やブルゴーニュ、ボジョレを代表する醸造家である。 更に、お互いの研究の為に、お互いのワインを持ち寄って、今年の天候、状況の違う区画別の葡萄、それぞれ発酵を終えたワインを検証しながら研究を深める二人。 更に、それぞれの蔵のアッサンブラージをお互いの意見を聞きながら実行している。マルセル・ラピエールの教えを受けながら育った二人。年齢的にも経験も積み重ねて、尚一層の品質の高いワインを目指して研究を重ねる。 2015年の天候、葡萄、収穫状況 2015年 こんなに健全な葡萄を収穫できた年は過去にないだろう。 5月の開花から6月、7月、8月の中旬まで異例の晴天が続いた。しかも、2003年を思わせる40度を超える猛暑も数日間続いた。8月初旬までは誰もが水不足で悩んでいた。 8月の中旬から恵みの雨が降り出した。畑区画によっては極度の乾燥から葡萄が熟すことを止めてしまった状態もあった程である。この恵みの雨で一挙に葡萄が生き生きとしてきて、熟成が進んだ。8月の後半から収穫を開始する蔵もあった。畑の標高、斜面の方向によって熟度が違う年となった。 2つの一般的な共通点 共通して云えることは二つ。 腐った葡萄が殆ど無かったこと 葡萄皮が厚く、粒が小さいこと。つまりジュースが少なかったこと 7月―8月の猛暑で皮のタンニンが濃縮しており、その上に果肉・ジュースが少ない為に、濃縮感のある果汁が素材となった。造り手によってその素材をより濃縮させるカモシをするか否かは、それぞれの好むスタイルによって違う。 15年産は猛暑の太陽を十分に表現させた濃縮スタイルと、猛暑を感じさせない繊細なスタイルと2つに分けることができる。造り手の好み、深味がよく分かるミレジムとなるだろう。 2015年は必要以上に濃縮してしてしまったスタイル 2015年は、普通に収穫して、普通に醸造すれば、まるで南のグルナッシュ品種のようなワインになってしまう。 一般的には、2015年のボジョレ・ヌーヴォーは濃縮して南仏ヌーヴォーのようになってしまうだろう。 濃いヌーヴォー!と自慢している醸造元も多い。 しかし、この二人は違う!そんな普通の当たり前のヌーヴォーは醸さない。選択した畑の斜面、標高、樹齢を計算して熟度が違う段階で収穫した。15年といえども南仏ヌーヴォーの様には濃くしない努力をできうる限りを尽くした。 2015年は普通なら14度、15度のアルコール度数のヌーヴォーが多い。 二人は13度台に抑える栽培、収穫を実施した年になった。10種類程のサンプルの中には12.5度という15年産としては異例の上品な軽やかさでジュシーなヌーヴォーがあったのには驚きだ。流石にパカレ家のヌーヴォーは違う!! ボジョレの土壌、ミクロ・クリマを研究し尽くしたこの二人なら、15年産と云えどもボジョレヌーヴォーらしい、ビュバビリテーを備えた上品なスタイルに仕上げることができる。

1
Juil

今、スペイン自然派が面白い!!

今、スペイン自然派が面白い!!-NO1 6月末にスペインのタラゴナの美しいMONTBLANCモンブラン村にて大自然派ワイン見本市 H2Oが開催されました。場所はスペインの自然派の中心人物、ホアン・ラモ・エスコダさんの醸造所で行われた。 スペイン、フランス、イタリア、スイス、などから約70社ほどの醸造元が結集した スペインの自然派ワインの品質のレベルの高さには驚愕した。物凄い勢いでスペイン自然派ワインが進化している。 Degustation vin nature H2O chez Joan Ramod Taragona. 今回はClub Passion du Vin のスタッフKishoと参加。Kishoはスロバキアからバルセロナ、私は南フランスのモンペリエからバルセロナ、バルセで待ち合わせ。レンタカー会社のコンピューターシステムが故障というスペインらしいトラブルで約1時間半もかかってやっとレンタカーを借りられた。 いざTARAGONAを目指した。 高速道路をKISHOの運転で飛ばして1時間チョットで会場のあるMONTBALANCモンブラン村に到着。 モンブラン村に到着すれども全く試飲会場の表示がなく迷う事30分。やっと山の方角である事がわかり山を目指して走った。これまた迷う事30分、試飲会場の貼り表示が全くない。感 だけが頼りで探しまわっていると、山の麓の一角に車が多く駐車している建物を発見、昼過ぎに何とか会場にたどり着いた。 会場に入ると自然派ワイン好き達が目を輝かして楽しんでいる。陽の熱気でカリアンテ!カリアンテ !! 私は第一回目のH2O VEGETALにも参加した。 それと比較すると、参加している蔵元数も、来場者の数も一段と増えている。 来場者も海外のバイヤーも多かった。いつもこの種の試飲会場で顔を合わせるベルギー、オランダ、北欧のバイヤーの面々も来ていた。 会場は二つに分かれていた。一つはスペイン自然派、もうひとつはフランス醸造家とその他の国、と分かれていた。 何はともあれ、会場の雰囲気、空間が実に心地よいエネルギーに溢れていた。 PARTIDA CREUS パルティダ・クルーズ –NO1 スペイン自然派の品質向上には目を見張るものがはる。フランス自然派の中堅をはるかに超えるレベル到達しているワインが既に多く存在しているのには驚愕した。 フランスのトップクラと肩を並べる蔵元が幾つか存在していた。 その中でも、最も光輝いていたのは、PARTIDA CREUS パルティダ・クルーズ醸造だ。すでに世界中から引っ張りだこになっている。なかなかブースにも近づけない状態だった。 フランスのトップ・クラスと比較しても勝るとも劣らない高品質な液体を醸している。Club Passion du Vinスタッフの中でも、フランス産も入れて15年産の最も愛すべきワインの蔵元である。 ワインだけではない、マシモの人柄、やっている事、考え方、生き方すべてに感動の内容。 奥さんのアントネルのチャーミングで明るい人柄、屈託のない笑顔、人と接する時の自然な温かさ、こんな夫婦が世に存在していることに喜びを感じる程である。 今、私に最も愛すべき蔵は?と聞かれれば、私は躊躇なくこのPARTIDA CREUS パルティダ・クルーズの名を挙げる。 KISHOも会場に入ると真っ直ぐに、このブースに直進。 なんて、美味しいんだろう! スーと体に沁み込んでいく。 素晴らしい液体だ。 ホエ醸造 ここスペインでも多くの新人が全く別の職業から自然派ワインを造りだす人が増えている。地理と歴史の先生をやっているロージェさんも14年よりこの世界に参入。 オレンジの産地、ヴァランシア市の山間部の標高の高いところに3hの葡萄園を手に入れて自然派ワインを造り始めた。 子供の頃は山間部の段々畑一体が葡萄園だった。ここ10年間に殆どの葡萄園が引き抜かれて故郷の景色が全く変わってしまった。 ロジェは故郷で葡萄のある景色を再現したかった。自然派ワインの大ファンだったロジェは、迷わず自然派ワインを造り出した。彼はフランスの自然派が大好きであり、フィリップ・パカレ、ラングロールなどをスーッと入ってしまうワインが好み。柔道家でもあるロジェは日本が大好きだ。 ロス・コムン醸造 […]

23
Mai

酒販店グループESPOAの精鋭部隊がやって来た!!(ボルドー)

酒販店グループESPOAの精鋭部隊がやって来た!!(ボルドー) 日本の酒販店グループのESPOAが恒例の5月買付ツアーにやって来た。日本全国に約100店、独立を保ちながら良い商品、食品、酒、ワインなどグレードの高い本物商品を販売する酒販店集団である。 限りなく体と地球に良い商品を、無名だろと有名だろうと関係なく熱意と努力で販路を広げているグループだ。 ワインは90年代前半より23年前より直輸入している。毎年、精鋭部隊がミレジムの検証と新規ワインの開発の為にやって来る。(写真はボルドーのガロンヌ河の畔、ここから世界に向けて船で出荷された。今は世界遺産に指定されている。) Le groupe de Cavistes japonais est arrive a BORDEAUX. Il y a100taine caves sur Japon entier. Il essaye de presenter des vins et alimentations haute qualite et authentique ,mieux pour sente et la Terre . Ils ont beaucoup de passion et pacience, cars c’est pas facile de vendre produits un connu. […]

4
Nov

エノコネクション新人2人の珍道中 収穫後のボジョレー&ブルゴーニュ (後編)

4)マルセル・ラピエール*Marcel Lapierre 故マルセルさんの息子である、Mathieu*マチューさんが私たちを迎えてくれました。 実は前日にも少し寄ったのですが、お昼をご馳走してもらい、この日もまずはお昼から・・。 私たち働いていないのに、申し訳ない~と思いつつも、美味しすぎる昼食に舌鼓をうちながらニコニコして しまいました。 なんでも、マチューさんはもともと料理人のため、収穫中にお願いしているシェフもなんとパリの三つ星☆☆☆レストランでもともと働いていた方にお願いしているそう。テット・ド・ヴォーという、 牛の頭のお肉でかなりビクビクしながら一口・・・・・・・・おっ美味しい!! ラピエール家をマチューさんと共に支える家族 マルセル亡き後のラピエール家は残った家族全員で醸造所を支えています。とくに頼もしいのは、故マルセルの奥さんでもあり、マチュのお母さんでもあるマリーさん。 マルセルと二人で自然派ワイン界を育ててきました。 今も現役でラピエール家の原点を支えています。 2015年は長女のカミュさんが醸造全般を管理。 マチューの良き右腕的存在です。 末っ子のアンヌはラピエール家の太陽。 明るく、周りの雰囲気を盛り上げ、 必要な個所に現れて援助しています。 9月11日に収穫がすべて終わり、今はマセラシオン・カーボニックと圧搾作業。 伝統的な直下型圧搾機を2台持っているため、50個のワイン大桶にたっぷりはいているブドウを交互に圧搾できるそう。 「収穫は終わったけど、まだまだ気は抜けないよ。むしろこれからだ。」とマチューさん。 ブドウ収穫は終わったものの、酵母菌が天候や気圧に影響されることがあるため、酵母と発酵の状態の管理を綿密にし続けなければいけないとのことでした。 なんとマチューさん、醸造所近くに自前の研究室を作っており、自生酵母やブドウジュース内の成分を常時管理されているそう。顕微鏡まで持っているのはすごい! 普通のヴィニュロンと同じく、ワイン成分分析自体は近所の研究所に頼んでいるそうですが、「この機材があればより細かく、すぐに自分の目でワインの状態を確かめられるからいいんだ」とマチューさん。 こだわりがうかがえますね! 2015年産は? 少し時間をいただいて、マチューさんから日本の皆さんへのメッセージビデオをとらせていただきました。 「今年のブドウはとても早熟で、収穫も早く終わったけれど、ブドウの質が目を見張るほど良くて、ここまでレベルの高い年は久しぶりだよ。 ここにある全てのタンクはブドウで一杯になっていて、醸しがはじまっているけれど、例えばこのブドウの房も、食べてみると味わい・アロマもしっかりとしていて、素晴らしい年であることがはっきりとわかる。セミ・マセラシォン・カーボニックも例年に比べて長く、このままいけばとても美味しいワインが出来上がるはずだよ。 モルゴン2015年のパラディ(圧搾直後のブドウジュース)も味わい深くて、とても「(マチューさんの誇らしげな日本語で)おいしい!^^」。 骨格がしっかりしていて力強く、果実味があふれているね。 皆さんには、もし1月に来てもらうことができれば、2015年の美味しいワインをぜひ味わって頂きたいです!」 5)ジャン・クロード・ラパリュ*Jean Claude Lapalu 今回キショウが特に楽しみにしていたのがラパリュ!伊藤さんと一緒に飲んで、その美味しさに感動したそう、当主のジャン・クロードさんに会うのもとっても楽しみにしていました。 通常より5週間早めの8月25日頃に収穫が始まったというラパリュですが、場所がとっても美しい景観のなかで、こんな場所に生まれたというのが羨ましくなってしまいます。 広い醸造所に入ると、コンクリートタンクやステンレスタンク以外に、アンフォラを発見! なんでも友達のヴィニュロン同士でアンフォラのグループを造っているらしく、自分で注文したアンフォラ以外にも他のヴィニュロン から譲り受けたものも多いそう。(アルマ・マターのキュヴェはアンフォラにて醸造。その年のブドウの質によってアッサンブラージュの比率等を調整しているようです。) ちょうど行ったときは、直下型圧搾機で1回目のプレスが終わり、ちょうど2回目のプレスに備えてブドウをかき混ぜるところでした。 マールの切り崩し作業 圧搾した後のブドウをマールと呼ぶのですが、ケーキのようにぺちゃんこに固まったマールを切り取り、崩して、スコップでかき混ぜ、台形状にして2回目の圧搾を行います。 とっても重労働ですが、私も少しやらせてもらいました! お邪魔かと思いつつ、「ちょっとだけやってみたい」と恐る恐る聞いてみたところ、ラパリュの従業員の方々はとても優しく、快くやらせてくれました!コツを教えてもらいながら、少しずつマールを切り進めていきます・・・。 ジャン・クロードさんいわく、当初はプニュマティック圧搾機でやっていたものの、なんと伊藤さんのアドバイスを受けて、直下型の圧搾機に変えたそう。味の繊細さがぐっと増して味わいがとっても良くなったとご本人も大満足。従業員の人も、大変だけど最高の結果がだせればねとニコニコしていました。なんでも、ブドウの茎や皮がフィルターとなり、自然に濾過した状態になるとのこと。出てきたブドウジュースもとってもクリアできれいです。 畑の管理も、1960年代の小さなトラクターを引っ張り出して使っているそう。ボジョレーのガメイはゴブレ型剪定のため、通常は大きな機械を通すことができないのですが、ラパリュでは馬と同じ重さのこのトラクターを使って、ブドウ樹への負担を最小限に抑えながら耕しているそうです。 確かに、除草剤を使っている他の畑と比べると、ブドウ樹のいきいきとしたオーラが違います! ちなみに、ブドウが太陽の光を最大限吸収できるよう、ブドウ樹はゴブレなものの、成長した後はブドウ樹の蔓を上でまとめるそう。 トラクターにも蔓がひっかからないよう、最大限の注意を払っています。 ちなみに土壌はグラニット・ローズ(ピンク色の花崗岩)。 ジャン・クロードさんとお仕事がひと段落した従業員の方々と、わいわい歓談した後は、ジャン・クロードさんのおうちのお庭でテイスティング。 美しいブドウ畑が目の前に広がるテラスは素敵の一言。 こんなお庭のある家にいつか住んでみたい!と夢がふくらむ景色です。 試飲 オー・フォート […]

22
Oct

エノコネクション新人2人の珍道中 収穫後のボジョレー&ブルゴーニュ (前編)

まだ暖かい陽が差し込む9月の中旬、収穫の熱冷めやらぬボジョレーとブルゴーニュに、ウノコネクションの新人2人(キショウ、ユリ)が潜入してきました! マコン駅からボジョレー→ボーヌ周辺→ボジョレーの2日間で、エノコネクションの看板でもあるスターヴィニュロンへはじめましてのご挨拶と、もしもできれば収穫に参加してしまおう!という計画です。  Yuri  Kisho 気になる訪問先は・・・ クリストフ・パカレ Christophe Pacalet フィリップ・パカレ Philippe Pacalet サルナン・ベリュ Sarnin Berrux マルセル・ラピエール Marcel Lapierre ラパリュ Lapalu ローランス・レミ・デュフェートル Laurence et Rémi Dufaitre クリストフ・パカレ*Christophe Pacalet 日曜にもかかわらず笑顔で奥様と迎えてくださったクリストフさんのところでは、9月9日、猛暑による凝縮したブドウが取れ、晴れて収穫終了。今年は8月24日から開始、例年に比べかなり早く終ったそう。特に丘の上のブドウ畑(サンタムール、コート・ドブルィ)は強い太陽の光でブドウが乾燥し、凝縮した小さいブドウがとれました。 コート・ド・ブルィの土壌の特徴について ボジョレーは花崗岩土壌であることが有名ですが、特に火山質が混じるコート・ド・ブルィからは、色調も濃く力強さがあるワインが出来ていました。なんでも、火山質の土壌は酸性度が高めで栄養分が少ないため、樹勢が強い品種であるガメイもたくさん実をつけることがなく、その分凝縮感のあるブドウがとれるとのこと。さらに天候に恵まれない年であっても比較的均一な量のブドウが取れるのがコート・ド・ブルィの特徴とのことでした。 一部の発酵槽はグラスファイバー製タンク 今年に関しては、ブルィ以外のキュヴェの量がかなり減ってしまい、例年の半分しかとれなかった畑もあるそうです。 ここでは一部の発酵槽はグラスファイバー製を使用しており、マセラシォン・セミ・カーボニック醸造中の葡萄丸ごとの房が見えます。タンクをたたくと、薄透明のタンク越しになんと泡がふわ~っと浮かび上がってくるのが見えます!ここからボジョレー特有のアロマや優しい色合いが抽出されているのかと思うと、感動しました。 マルセル・ラピエールより譲り受けた古式圧搾機 また、ここでは赤はプニュマティック圧搾機を使わず、伝統的な直下型の圧搾機を使っている。 重力を利用したこの圧搾機からはゆっくりとした優しいプレスで、ブドウの種からの渋みや、皮からの粗いタンニンが出ないようになるとのこと。 マセラッション・カルボ醸造のプレスは直下型の圧搾機が最高。 時間をかけてゆっくりプレスすると、まるで葡萄の皮から汗のようにブドウジュースが滲みでてくるので繊細なワインになるとのことでした。 ブドウを圧搾機いっぱいに詰め込んで、24時間ゆっくりとプレスします。 試飲 ボジョレー・ブラン とてもクリアでレモンのような色合い。ゆっくりと立ち上る白い花の香り、 柑橘系のきりっとした酸味が心地よく舌の上に広がります。 コート・ド・ブルィ とても濃く、若いローヌワインを彷彿とさせるような紫色の色調。 赤・黒系果実の香りが主張し、凝縮感があり飲みごたえがあるワイン。 クリストフ2015年11月ヌーヴォー解禁時に日本行き決定! 日本食が大好きとのこと、クリストフさんは今年のヌーヴォー解禁の時は日本に行くことになっています。美味しい日本食をとても楽しみにしていました! クリストフ・パカレとヌーヴォー解禁カウントダウンを楽しみたい方 11月18日 00時に東京新橋でヌーヴォー解禁 カウントダウンパーティーをクリストフと 楽しんでください!! 2)フィリップ・パカレ*Philippe Pacalet フィリップ・パカレ2015年 収穫終了パーティーに参加 新人二人はここからフィリップ・パカレの収穫に参加をするために北に移動。 フィリップさんに今から着きますの電話を入れたところ、「今さっき摘み終わったところだよ」!! なんと・・・・が~ん。 ここ最近の猛暑のせいで、予定よりも収穫が早まったらしく、それならと収穫終了のお祭りであるポレ(ブルゴーニュでは「ポレ」、ボジョレーでは「ラフボール」というそう)に、どさくさに紛れて参加させていただき、美味しいクスクスのご相伴にあずかってしまいました。 収穫自体は終わったものの、まだ白の圧搾作業が残っているとのこと、パカレさんはとっても忙しそうでしたが、今年の素晴らしいブドウがとれた話などを手短にしてくれ、笑顔の素敵な奥様も、ブルゴーニュ・アリゴテ2014、ジュヴレ・シャンルタン2008、ポマール2008など飲ませてくれました! […]

11
Oct

マルセル・ラピエール 追悼

マルセル・ラピエールが亡くなって、もう5年の歳月が過ぎた。自然派のパップが昇天しても、自然派ワインは大きく成長を続けている。フランス最大のワイン雑誌、ラ・レヴュ・ド・ヴァン・フランスがマルセル追悼記念の記事を掲載した。 自然派にとってあまりにも偉大な存在だったマルセルがいなくなってから、自然派の中心、土台、柱が無くなった感がある。その代わりに、各地方に小粒のリーダーが多くできている。自然派の勢いは益々盛んで、増えている。マルセルが示した道は偉大だ。 偉大なるマルセルの命日が10月11日である。世界中の自然派ワインファンが、まるでマルセルの復活祭のように、マルセルに敬意を祝して自然派ワインを飲む日だ。勿論、マルセル・ラピエールを持っている人はCUVE MARCELを飲むだろう。 歴史にもしはありえない。しかし、もしマルセルの存在が無かったら自然派ワインが今のように発達しなかっただろう。より遅く、違う形になっていただろう。今、我々がこうして自然派ワインを楽しめるのはマルセルによるところ大きい。有難う、MERCI MARCEL ! Marcel LAPIERREは日本が大好きだった。マルセルと富士山に行ったことがある。雄大な日本の象徴である富士山をみて大変喜んでいたことを思い出す。マルセルは自然派ワインの世界の富士山だった。雄大で、深く、多くの人に安らぎと勇気を与えてくれた。乾杯!!マルセル!

8
Nov

ブルゴーニュ自然派の中心、理論と感性で進化を続けるPHILIPPE PACALET

ブルゴーニュを代表する醸造家に 今や、フィリップ・パカレは醸造家としてブルゴーニュを代表する人物の一人となった。これは自然派、コンバンション(化学物質使用ワイン)を問わず、ブルゴーニュのワインとして名実ともにブルゴーニュの中心的存在になりつつある。自然派という範疇を超えたところで評価されている。 ブルゴーニュの内部でも醸造家同士の中でも 評価されているところに価値がある。   フィリップがジュル・ショヴェ博士と共同研究した成果 フィリップ・パカレはジュル・ショヴェ博士と自然酵母の共同研究をして自然なワイン造りにおける自生酵母の重要性を科学的検証をもって発表した人物である。フィリップは自然派ワイン造りをミステリー的にとらえることなく、あくまでも物理学、生物学的に説明できる唯一の醸造家でもある。 自生酵母の研究レポートの中でも最も強調しているのは次の点である。 畑に住む自生酵母は約30種類である。それぞれがアルコール発酵をバトンタッチの如くに引継ぎながら1度~13度程までのアルコールを生成する。特に大切なのは、発酵の初期に働く自生酵母群であるクロケラ酵母属のクロケラアプキュラタ酵母が最も優れた芳香性をもたらしてくれる。これらの酵母は低アルコール時のみ働ける酵母である。 フィリップの象徴的な果実風味はこの辺が大切なポイントなのだろう。   自生酵母とブルゴーニュ・テロワールの関連性を探究するフィリップ・パカレ 自生酵母の役割・発酵の5段階 フィリップはジュル・ショーヴェ博士との共同研究で学んだことを10年間のプリューレ・ロック醸造所の醸造長として実践してきた。 ブルゴーニュのテロワールの違いを、自生酵母群と関連づけながら実証してきた。更に独立してからの10年間、ブルゴーニュの各クリュの区画に生息する自生酵母と、各クリュの特徴的な風味への関連性をさらに深く探究してきた。 フィリップは醸造段階を下記の5段階に分けている。 それぞれの段階で働く自生酵母が違う。約30種類の自生酵母が、各発酵段階で働きアルコールを生成しながら、 テロワールの持つ独特な芳香をワインに醸しだしているのである。 自生酵母は、『テロワール』の表現においてカギとなる役目を果しているのである。 1.潜伏期 = アルコール醗酵開始のタンク入れ段階  (1mℓ中100万の自生酵母) 2. 加速期 = アルコール5%までのピジャージュ開始段階 3. 指数増加期 = アルコール4~6% 4. 減速・停滞時期 = アルコール6~9% 5. 末期・終了期 = 糖値ゼロまで、アルコール13% ニュイ・サン・ジョルジュとポマールの土壌に住む自生酵母の種類構成が当然違う。その畑のミクロ・クリマ、つまり太陽のあたり具合、風の強弱、降雨量、土壌構成(粘土質と石灰岩盤構成率など)の影響を受けて、そこの畑に住む自生酵母群の種類構成が違う。 その違いがポマールとニュイ・サン・ジョルジュの風味の違いとなる。5段階のそれぞれのスタードで働く自生酵母がカギだから自生酵母を弱体化させるSO2酸化防止剤を使用しない。 フィリップにとっては収穫・醸造は、一年に一度しかできない大切な 実験・検証の時期なのである。静かな醸造所の発酵槽の中では、何千億という天文学的数の自生酵母が、物凄い勢いで動いて発酵を続けている。それぞれの段階にある酵母菌が元気に働きやすいように見守っている。微生物たちとブルゴーニュ・テロワールの関連性探究に25年、どんな年でもあのパカレ独特のピノ風味を楽しませてくれる。パカレにブレはない。 土地代の高騰が表面化するブルゴーニュのアンニュイ ブルゴーニュ醸造家の悩み そんなフィリップ・パカレにも悩みがある。ブルゴーニュの土地代の高騰である。3年前に中国人がブルゴーニュの畑を法外な高値で買い取った。その影響で一挙に土地代が高騰した。土地代が上がれば、葡萄の価格も当然あがる。2012,2013年と天候不良による生産量の激少も手伝って、ここ3年の高騰は異常な上がり具合となっている。 畑を借りて栽培・収穫した葡萄を買い取るパカレにとっては大問題である。ボジョレ出身のパカレにとっては、ワインはあまり高くしたくない心情を持っている。価格をあまり上げたくないけど、土地代は上がり続けている。ここがフィリップの最大の悩みだ。 ワイン造りとは直接に関係ない方面からの問題が発生している。 他の地方にはないブルゴーニュ病ともいえる現象だ。ボルドー、シャンパーニュ地方の大手企業が金権経営するようなところでは同じような問題が存在する。しかし、ブルゴーニュのように小さな農家・醸造家が多いところでは生活に直接ひびく大問題になる。例え畑を所有していても土地代が高騰すれば、相続税が莫大になる。利益を確保していないと畑を売らないと相続税が払えなくなってしまう。真面目に美味しいワインを造ろうと努力している農家的醸造家ほど厳しい状況となってしまう。これがブルゴーニュ病なのである。 他の地方の土壌・葡萄でフィリップ・パカレが醸すワイン そこで、フィリップは数年前より、他の地方の葡萄でワイン造りも開始している。 ブルゴーニュから離れた地で、昔から興味を持っていた土壌の葡萄を自分のやり方でワインを造りたかった。Cotes de Provenceに昔からビオ栽培を指導している葡萄園がある。 13年よりその葡萄でワイン造りを開始した。ブルゴーニュから離れた土壌で土地代の問題とは離れたところで、しかも興味深い土壌で、今まで蓄積した醸造理論でワイン造りをしてみたかった。ブルゴーニュをより理解する為にも必要だと考えた。   フィリップ・パカレ・ボジョレ・ヌーヴォ2014 ピノ・ノワールのように醸すパカレ・ヌーヴォ 2014年はフィリップにとっては理想に近い天候だった。  5、6、7月は天気が良すぎた。ピノもガメも北の品種である。あまり天気が良すぎても“らしさ”が消えてしまう。8月の曇り空、冷夏がフィリップにとっては最高の条件だった。何故なら、8月が暑いとポリフェノールが熟しすぎてガメイ“らしさ”の繊細な果実味が消えて強くなりすぎる。今年の冷夏はフィリップにとっては救いの神だった。 春から初夏の晴天続きで葡萄が早熟ぎみだった。8月の冷夏、淡い太陽でゆっくりポリフェノールが熟した。良質な タンニンが得られたのである。 バランス感覚の素晴らしいヌーヴォーのスタイル 2014年が瓶詰された。 今年はアルコール発酵が順調で例年より早めのスピードで進んだ。自生酵母が元気だった。キューヴェゾン(カモシ)期間は10日間だった。 冷夏だったわりには色が混い目に抽出された。美しいルビー色。軽めのアルコール度。 酸の爽やかさが中心となって、その周りをガメのマセラッション・カルボ醸造独特の果実味でオブラートされている。単に軽めのワインではなく、花崗岩のミネラルが芯を支えている。 『今年の自生酵母達が一所懸命に働いてくれました。酸のフレッシュさが特徴、  本当に心地よいバランスに仕上がりました。楽しんでください。』パカレ

22
Oct

PUR NOUVEAU 天才肌のシリルと重戦車フロリアンの合体・ピュアー・ヌーヴォー

PUR NOUVEAU 天才肌のシリルと重戦車フロリアンの合体!ピュアー・ヌーヴォー   シリルの泉の如く溢れ出るアイデア、それを着実に実践・実行に組み立てていくフロリアン。最強の二人が合体した。 シリルが目指すのは、自然派ワインの祖、ジュル・ショーヴェ博士が実践してきたことを再現すること。 ジュル・ショーヴェ氏の実家はボジョレーのシャペル・ド・ゲーシャ村でワイン商を営んでいた。科学者としての研究の仕事と実家のワイン商としてのワイン造りも実践していた。 フランスの英雄大統領シャルル・ド・ゴールが自宅で飲むワインはジュル・ショーヴェ氏の造ったワインだった。 シリルのお父さんはジュル・ショーヴェ氏の隣村でレストランを営んでいた。マルセル・ラピエールを中心に自然派醸造家が集まる溜まり屋的な存在の店だった。 シリルは小さい頃から自然派の人達に触れていた。ある時、大人達の会話の中でジュル・ショーヴェ先生の話を聞いた。化学剤を使わず昔ながらの本物ワインを安全に造る方法を研究・開発して実践している話だった。   マルセル・ラピエールやジャンフォワヤールなどの醸造家たち皆がジュル・ショーヴェを師と仰いで尊敬していた。 シリルはジュル・ショーヴェのようになりたかった。 つまり、栽培家から葡萄を買って独自の方法で醸造していたワイン商としてのジュル・ショーヴェ氏の仕事に興味をもっていた。 PURの会社を設立する時、住所をジュル・ショーヴェ氏がいたシャペル・ド・ゲーシャ村にした程である。 限りなくピュアーにワインを造りたかった。だから、社名をPURピュアーとした。   屈強なポーランド人ファミリーによるPUR NOUVEAU収穫     二つのスタイルのヌーヴォー PURピュールでは今年14年は白ラベルと黒ラベルの二つのボジョレー・ヌーヴォーを醸すことにした。 シリルがここ数年蓄積してきた経験とガメイ品種の二つの側面をこのヌーヴォーで表現したかった。 普通の醸造家はヌーヴォーに関しては一種類しか造らない。ここがシリルの普通ではないところである。   1) 軽快で繊細な果実味・エレガントなヌーヴォー 一つ目はザ・ヌーヴォーのスタイル。つまり軽快で水のようにグイグイ飲めてしまうヌーヴォー。 爽やかで軽快と云ってもシッカリ果実味が乗ったスタイルにすること。単に薄いワインではないことが重要だ。 その為に、普通より収穫を遅らせて、より熟した葡萄を収穫したのである。単なる薄目の軽いワインにしたくなかったのである。 つまり、葡萄のポリフェノールをより熟させて収穫したのである。エレガントな薄めのタッチでも果実味をシッカリ表現したかったのである。   薄さと濃さの臨界点を知るシリルの芸術的センス 普通、葡萄が熟せば濃いワインになってしまう。 しかし、シリルの芸術的醸造センスの手法では濃くならない。 心地よい繊細な果実味だけをワインに表現できる。 収穫した葡萄を除梗なしで丸ごと発酵槽に入れて、一切  触らない。セミ・マセラッション・カルボ(MC)発酵でも普通と違うところは、ピジャージュを一切しないこと。   ピジャージュによる必要以上のタンニンや色素が抽出されることを避ける為だ。 大切なことはマセラッション(カモシ)の期間である。今までのシリルの経験が生きる。醸造家としての腕の見せ所。 シリルはこの時期は発酵槽に張りついて、テイスティングを一日に何回も繰り返す。このカモシをやめるタイミングが数時間遅れるだけでも、一挙にワインが濃縮してしまうポイントがある。そのピンポイントを見極めるテイスティング能力とセンスが天才的と云える。 ピジャージュを一切しないので、結果的にカモシ期間は普通よりもやや長くなる。今年は8日間だった。それでも、色は淡く、繊細な果実味が乗ったエレガントなスタイルになる。 決して濃厚なスタイルにはならない。その臨界点を知るシリルのセンスが光る。抜群に美味しいヌーヴォーだ。 2) 濃縮感があってミネラル感もある筋肉質なヌーヴォー 二つ目は黒ラベルの男性的なスタイル。ボジョレ土壌の花崗岩のミネラル感がキッチリのっているスタイル。花崗岩独特のスパイシーさがある。男性的と云っても決して粗々さがないフィネス・上品さを残したワインがシリルとフロリアンの狙いだ。 ここで特筆すべきは、除梗したことである。 セミ・マセラッション・カルボ醸造からくる果実味が強調し過ぎることを避ける為だ。 花崗岩質土壌で育ったガメイ品種の深いところで眠っているミネラル感をより表現したかった。 除梗してもフラージ(潰す作業)をしてない。一粒一粒の葡萄の実がそのまま入っている。まるでキャビアのようだった。空気とは触れない密閉状態のまま発酵、当初は,一粒一粒の実の内部でMC発酵と同じことが行われている。 つまり、皮の色素やタンニンなどが果肉の方に移動している。 これで控えめで過ぎることがない果実味を得られることになる。 そして、アロザージを3回ほど実施した。タンクの下部から抜き取ったジュースをタンクの上から、まるで花に水を撒くように優しく、どこまでも優しく撒くことである。 […]

21
Oct

BEAUJOLAIS の若きスター・活力溢れるDAMIEN COQUELET ダミアン・コクレ

2014は27歳ダミアン・コクレの完全独立の年 今、ダミアン・コクレのワインは世界中から引っ張りだこである。 特に、アメリカでは大人気である。 ダミアンは、モルゴン村の自然派の重鎮デコンブの長男である。 お父さんについて子供の頃から葡萄園に行って遊んでいた。 葡萄園が遊び場であった。 葡萄には子供の頃から親しんでいる。葡萄が友達のような感じである。 ワイン学校に行って、ブルゴーニュ自然派の名醸造家フレデリック・コサールのところで修業を積んだ。 フレデリックとは今でも、時々行き来して公私ともに醸造・人生の先生でもある。 そして、もう一人、ローヌ地方のBEAUMES DE VENISEのFERME ST-MARTINギー・ジュリアンのところでも修業した。 ダミアンにはお父さんのデコンブとフレデリック、そしてギー・ジュリアンの3人の先生がいる。どれも自然派の一流の醸造家である。 今、ダミアンは27歳、2007年が初リリースである。 今までは、お父さんの蔵の片隅で醸造していた。 今年から 独自の醸造所を借り自前の醸造蔵を設立した。完全独立を果たした。 2014年が本当の意味でコクレ醸造の出発となる。   (尊敬するお父さんのジョルジュと) モルゴン村の重鎮達より愛されているダミアン 子供の頃より醸造家になる事を決めていたダミアン。 16歳頃には自らすすんでお父さんの農作業を手伝っていた。そんな一生懸命な若きダミアンを見て村の重鎮たちはダミアンのことを親戚の子供のように可愛がった。 2007年にシルーブルの小さな畑を譲ってもらって造ったのが初リリ-スとなった。2009年には何とモルゴン村の誰もが欲しがっているコート・ド・ピィ(旧火山だった丘)の最高の区画、ジャン・フォワヤールとマルセル・ラピエールの隣の畑を4ヘ  クタールも任された。これでダミアンは独立を決意した。   ダミアン・コクレ2014年収穫   幾多に危機を乗り越えて最良の葡萄を収穫 2014年はダミアンにとっては色んなことがあった。 5月から6月までは完璧な気候だった。このままいけばボジョレーで 世紀の年と云われた2003年の再来か、と思われた。 しかし7月に入ると水不足状態になってきたところに、なんと36度という猛暑が3日間も続いた。 特にモルゴン村の猛暑が厳しかった。ガメイ品種はフランスの北の品種である。36度という熱に耐えられる品種ではない。 葡萄の皮が焼けてしまった。しかし、幸いにも乾燥していた為に 焼けた分部から腐敗することが全くなかった。乾し葡萄のように乾燥していった。 そして、モルゴン村には2度の雹が降った。特に標高が高い区画に降った。ダミアンも僅かにやられたが被害は最小限に抑えられた。 8月の冷夏では葡萄の熟成スピードが驚嘆的に遅くなった。 特に標高が高いところにあるダミアンの畑は、熟成が遅かった。 収穫時期の決定には、特に迷った。モルゴンでは例年最も収穫開始が遅いのはお父さんのデコンブと通例になっている。 今年はお父さんより2日遅い18日よりのスタートとなった。もう周りの蔵は殆ど収穫を終えていた。待ったお蔭で葡萄が良く熟して完璧な状態で収穫できた。       ダミアン・コクレ・ヌーヴォーは最高のバランスに!! 最初に収穫したのは勿論ヌーヴォー用の葡萄である。 待ったお蔭で果実味豊かで酸も残った。 自然派ヌーヴォーらしい透明感のあるスーと入る飲み心地になるだろう。   収穫・葡萄園写真    

8
Oct

DESCOMBES NOUVEAU デコンブ・ヌーヴォー、パワフルに収穫

モルゴン村の熊、ヌヌーンがパワフルに収穫を終えた! 今、ボジョレで最も勢いのあるファミリーは?と問えば? デコンブ・ファミリーである。 長男のダミアンは今年から完璧に独立。次男ケビンも今年から独自のワインを造りだした。二人の息子がモルゴン村を中心に畑を借り集めている。飛ぶ鳥を落とす勢いのデコンブファミリーである。 勿論、中心はゴットファーッザー的存在のお父さんジョルジュである。ダミアンもケビンもお父さんを尊敬レスペクトしている。 今でも、畑仕事は必要な時はお互いに協力し合ってやっている。この辺がデコンブ醸造の力強いところである。 今年は大変な年だった。7月の36度という猛暑で葡萄が焼けてしまった。モルゴン村には強烈な雹が降った。傷んだ葡萄がある中 8月の冷夏、雨と曇り空と湿気で葡萄が腐りかけそうだった。デコンブ家の3人は8月のバカンスを返上して葡萄園に張り付いて畑仕事に徹していた。 標高の高いところに葡萄園があるデコンブ デコンブの収穫はいつも他の自然派蔵より遅い。標高の高いことも遅熟になる。パワフルさを狙うデコンブは完熟を待つ。今年は皆よりほぼ一週間遅く始めた。真夏の畑仕事、収穫を待ったお蔭で本当に良く熟した葡萄を収穫できた。 標高が高いのでいつも酸が残る。 パワフルさとピシっとしまった酸が共存するデコンブならではのスタイルのワインだ! デコンブ・ヌーヴォは絶対に見逃せない!!   ワインは人だ、造り手に似てくる ジョルジュ・デコンブのワインはこの体格のように力強い。 外観のわりに繊細な神経を持ち合わせている。 ピリっと締まった酸はジョルジュの繊細な性格を現わしている。デコンブのワインはパリのビストロで大好評である。 多くの自然派醸造家が外国への輸出に頼っている中、デコンブのワインはフランス国内、パリで大人気なのである。ジョルジュはヌヌーンの愛称でパリ・ワインビストロで愛されている。ここの20年間に渡って毎週一回、パリまで配達にやって来る。パリのビストロの顧客までヌヌーンの名が知れ渡っている。ヌヌーンが店に入ると大歓声が上がる。 決めた事は何があっても貫徹する性格、 だからデコンブの味覚にブレはない!! ⇚8月15日の葡萄。標高の高いデコンブの葡萄はかなり熟成が遅れていた。この時に収穫は9月の中旬以降と決めていた。 ⇚9月15日に再訪問。他の自然派醸造家は皆、収穫を初めていた。もう収穫を終わった醸造家もいた。しかし、デコンブは動かなかった。 ⇒ 9月18日 やっとデコンブが動いた。自分の狙った熟度に達した。収穫を開始。どんなに周りが動いてもデコンブは動揺しない。ジット忍耐で狙ったもの待つ。 だからデコンブの味覚にブレない。 収穫風景 次々と運び込まれてくる葡萄を、再チェックして、傷んだ葡萄を排除するのはベテランの仕事。 この段階で徹底的に選別作業をやる。SO2無添加で自然醸造ができるのは 健全な葡萄のみが 発酵槽に入るから。 ほぼ10日間の収穫人のエネルギーを支えるのは奥さんのジスレンヌの料理だ。30名近い収穫人のち20名はデコンブ醸造に寝泊まりの合宿生活となる。体力的にかなり厳しい仕事を 終えた後は、ジスレンヌの美味しい料理と笑顔で収穫人の心が和んでいく。 そして、時々、醸造所に設置されているビストロで デコンブのワインで英気をやしなう。   収穫風景 2   全収穫中、快晴に恵まれ収穫を終わることができた。14年 デコンブ・ヌーヴォは典型的なデコンブ・スタイルになるだろう。 軽めのヌーヴォーが多い中、確りした体格を備えたデコンブ・スタイルを飲まずして 14年ヌーヴォーを語れない!!  

7
Oct

クリストフ・パカレ2014収穫が晴天の日に完了

2014年も色々ありましたが最後の結果良しに終わりました。 9月の初旬からの晴天続きがすべてを逆転する痛烈なヒットで終わりました。 8月の中旬ではまだ青い葡萄がチラホラとあり、熟すには相当な時間がかかり そうな状態だった。それが9月に入って天候がガラリとかわりミルミルうちに 葡萄がまっ黒に日焼けする如くに熟成していった。 強烈暑さの気温ではなく26度前後の優しい太陽でゆっくり熟したので、ポリフェノールが上品に熟していった。優しいタンニン、果実味と程々の酸を残しながらの理想的なバランスの葡萄が収穫された。 アルコール度数は11.5度から12度の優しいボリューム感でグイグイ飲めてしまうスタイルとなるでしょう。  『いやー今年も色々心配したけど、こんなに素晴らしい葡萄が収穫できたよ。 自分にとっては狙っていた最高のスタイルのワインになりそうだ。』とクリストフ 2014年も完璧な葡萄を収穫! もうバンザイ!としか云いようがない!!   マルセル・ラピエールと親しかったドゥニ氏が応援に! 今年も去年に引き続き強力な助っ人がクリストフ・パカレにやってきた。そうあのムスカデのマーク・ペノの兄弟でもあるドゥニ・ペノ氏である。 若き頃、フランス・ソムリエコンクールで第二位となり、三ツ星の ロブションのシェフに認められソムリエとして働いていた。ロブションがロンドン出店時は立ち上げから安定期までシェフソムリエとして活躍した。 今はプロ画家として活躍中、マルセル・ラピエール醸造所の天井の絵はこのドゥニー氏が描いた。 ドゥニー氏のテースティング能力は定評がある。その彼がクリストフを選んだ。クリストフは多くのプロ中のプロに選ぶボジョレの典型になりつつある。ドゥニーの助言で更にレベルアップするだろう。   14年クリストフ・ヌーヴォは凄い!! 9月の快晴続きで本当にまっ黒になった。まさにガメ・ノワールと云われるにふさわしい、まっ黒で完璧に熟した葡萄が多かった。 クリストフ・パカレは常に収穫に自ら立ち合い 葡萄の状態をチェックしている。 ここまで完璧に熟したガメは珍しい。 まさに歓喜のバンザイ!!だ。 今年のクリストフ・ヌーヴォを飲み逃すな!! 収穫風景                         2014年ボジョレ・ヌーヴォー・発酵中を利く  収穫後5日目の蔵ではグツグツと何万億という天文学的数の自生酵母が働いている。今年の自生酵母は元気が良い 発酵スピードが例年より早い。 ヌーヴォーの場合は出荷日が決定しているので早い方が助かる。特に日本行は飛行機まで決定しているので遅滞する事が許されない。 予想どうりの果実味がタップリでいて、酸もあってフレッシュ感抜群のスタイルだ。それにアルコール数も11度後半になるだろう。 アッ!!と云う間に一本が空いてしまう。グイグイいける飲みやすさと心地良さ抜群のヌーヴォーだ! 自然派ど真ん中クリストフ・パカレ・ヌーヴォ2014年を飲み逃すな!!

22
Sep

NICOLAS TESTARDニコラ・テスタール プリューレ・ロック醸造から独立10年

ボジョレのテロワールを真っ直ぐに醸す! 守・破・離の境地・努力の人ニコラ・テスタール ニコラ・テスタールの経歴は物凄いものがある。 超一流のブルゴーニュ醸造家・ジル・ジャイイェ、ロマネ・コンチのオーナー・アンリー・フレデリック・ロック、 天才醸造家フィリップ・パカレ、鬼才醸造家・フレデリック・コサールなどブルゴーニュを代表する醸造家と共に働き、教えを享けた。  その教えを忠実に守りながら熟練を積み、卓越したそれぞれの教えを統合して、それらのエッセンスを更に10年間の歳月をかけて実践を重ねて練磨して、それらを超えた、離れたところにニコラ・テスタール流という新たなる領域・調和を編み出した。最近のニコラのワインにはガメを超えた何かを感じる。 ボジョレの他の醸造家と明らかに違うのは、ブルゴーニュの銘醸土壌とピノ・ノワールを知り尽くしていること。そして何よりもピノ・ノワールとガメを愛している。ガメ品種とピノ・ノワール品種は兄弟品種である。まだ誰も挑戦してない事をニコラはやりたかった。ボジョレの土壌には花崗岩、石灰土壌とあり、明らかにブルゴーニュに匹敵するほどの銘醸土壌があり、ボジョレは世間から過少化評価されている、といつも思っていた。 5年間のプリューレ・ロック時代に醸造長としてヴォーヌ・ロマネ、クロ・ド・ヴージョ、シャンベルタン・クロ・ド・ベーズなど超一流ブルゴーニュ土壌でワイン造りをしてきた。  同じやり方でボジョレのテロワールの神髄を表現する仕事をライフワークにしたかった。ニコラは昔からガメ品種も好きで愛飲していた。特にマルセル・ラピエールを尊敬していた。プリューレ・ロック時代にちょくちょく顔をだして指導してくれた。 何故なら、アンリー・フレデリック・ロックのワイン造りの師はマルセル・ラピエールだったからである。ニコラ・テスタールのワイン造りの基盤は自然派の父マルセル・ラピエールからの直伝で成り立っている。 だからマルセルが一生をかけて表現してきたガメ品種にも特別の思いがあった。 ブルゴーニュ・ピノ・ノワールとボジョレ・ガメ、ニコラには共通の調和がある。ニコラが醸すボジョレ・ガメには、どことなくブルゴーニュ・ピノを感じさせる“調和”がある。偉大なる師達とは離れたところに、ニコラ独特の流派を確立した。   ニコラ・テスタール・2014年情報 ≪8月20日撮影、髪を切って14年収穫を待つニコラ≫ 楽しみなのは、そんな境地に達したニコラが醸す2014年のニコラ・テスタール・ヌーヴォである。 4,5,6月と理想的な天候が続き、開花まではすべてが順調だった。 葡萄木の成長具合も例年より10日間ほど早くすすんでいた。 7月に入ると更に晴天が続き、逆にチョット乾燥状態で葡萄成長に必要な水が不足する程だった。 7月中旬にはなんと36度を超す日が数日間もあった。 ガメ品種はピノと同じく北の葡萄なので、36度という猛暑には慣れていない。葡萄皮が焼けてしまった葡萄がでる程だった。 その上、雨が数か月も降らなかったので、完璧な水不足状態になった。皆が雨を欲しがっていた。 8月に入ると、今度は逆に雨と曇り空の日々が続く極端に涼しい天候に劇変した。北ヨーロッパからくる低気圧がボジョレ、ブルゴーニュ、ジュラ、アルザスなど北フランスに定着してしまった。 8月中は異例な冷夏が続いた。しかし、5,6,7月の晴天続きで葡萄成長が例年より10日ほど例年よりすすんでいた。それが例年並みに戻っただけでそれほどの悪影響は出ていなかった。 写真は8月12日の葡萄の色着き状況。この時期の葡萄は7色に輝き大変美しい。 1日太陽がでると色は劇変する。同じ葡萄園でも気の早いセッカチな葡萄はもう右のようにまっ黒になっているものもあった。 これだけ、色付き状態がかけ離れていると収穫日の決定が難しくなる。ニコラはこの時点で収穫は9月の中旬になるだろうと想定した。   ニコラ・テスタール・幾多の困難を乗り越えて歓喜の2014年の収穫!!   独立して10年間、腕を磨き続けてきたニコラ。 しかし、この4年間は雹など天候被害に連続してやられた。 2010、2011,2012年の3年間連続で雹被害にやられて収穫量が半減した。 昨年も冷害被害でやはり収穫量が少なかった。 その影響で、14年は経済的にも、精神的にも極限状態の日々が続いていた。従業員も雇えない状況、思うような農機具も新規購入できない。 お金の切り目が縁の切れ目と云わんばかりに、今まで付き合ってきた人達が次々と離れていった。 ニコラにとって14年は天より課せられた課題に直面にしながらも、一人で黙々と働いた一年だった。 心労から体調も崩して入院もしたこともあった。 8月の冷夏で今年もダメかと思っていたところに、9月の初旬より好天気が続いた。葡萄がミルミルうちに熟していった。 明るいカロールが本当に支えた2014年   ニコラがワイン造りに専念できるように他の問題はカロールが全面にわたって奔走して支えていた。 そして、今日の日がやって来た。 10年間、磨き続けてきた技を発揮することができる原料としての葡萄を収穫することができる。 収穫量も満足のいけるものになりそうだ。 今年のニコラのワインには色んな思いが込められている。 人間ニコラとカロールのエモーションが込められている。   14人の自然派ワイン好きが葡萄を狩る 9月15日より収穫を開始した。多くのボジョレの他の自然派蔵は一週間前より初めている。 ニコラの畑はやや標高が高いのと北風の通り道になっており、涼しいミクロ・クリマを備えている。葡萄が熟すのがチョット遅い。 St-Etienne-la-Varenneサンテ・チェーヌ・ラ・ヴァレン村の丘の反対側のラパリュ醸造の畑は暖かいミクロ・クリマを備えている。全く反対の性格クリマである。 草ボウボウの中に葡萄木があり、収穫は草を分けながら葡萄を探して採るという感じ。 8月の雨の多い天候で、草の伸びも早かったこともある。 また、水分を草が吸い取ってくれるので、葡萄果汁が薄くなる悪影響を防いでくれた。 […]