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フィリップ・パカレ訪問記
2007年産ワインの利き酒 野村ユニソン社の竹沢氏と土曜日午後のTGVにてパリを出て、ディジョン経由にて17時にボーヌの駅に着いた。駅までパカレ氏が迎えにきてくれた。 駅から徒歩で3分のところにパカレ氏の醸造所がある。2年前にここに引っ越してきた。それまでは、醸造をニュイ・サンジョルジュのネゴシアンに間借りして、樽熟成をボーヌの山の麓にある洞窟に間借りをしていた。その2か所を行ったり来たりで、無用な時間を費やして大変な作業をしていた。 ここに越してきてからは、醸造も熟成もすべて一か所にてできる。 彼にとっては長年の夢が叶って、ますますワイン造りに集中できるようになった。 元ネゴシアンの建物をそのまま買い取った。地下に理想的な樽熟成所があり1階 に醸造所がある。 2階は事務所と従業員の宿舎になっている。 パカレ『先週は2006年産の瓶詰作業をやっていたんだ。今年の樽熟成は自然な清澄作用が上手くいったよ、オリがワインの中に自然によく溶け込んでいた。捨てるオリの量が少なくて済んだよ。例年は1樽につき5kgのオリを捨てるけど今年は3kgですんだ。(自然派の熟成はオリ引き作業をやらないので、熟成最終段階でもオリが残ることが多い) 2007年産ワインの方はマロも終わってやっと落ち着いてきたところだよ、試飲するには良い時期になった。早速試飲を開始しよう。』 ピペットと呼ばれるガラス製の器具(樽からワインを吸い上げる器具)もって地下に降りた。 いつもより熟成中の樽の数が少ないのに驚いた。 パカレ『2007はトリアージ“選別”の年だった。(良い健全な葡萄のみを収穫すること、つまり少しでも痛んでいた葡萄を切り捨ててしまうこと)だらか収穫量が少ないいんだ。』 トリア−ジの年の収穫に筆者も手伝ったことがあるが、収穫が終わった葡萄園を振り返ると、切り捨てた葡萄の房が多くて、まるで絨毯のようで土が見えないほどであった。 ここまで徹底して健全な葡萄だけを発酵槽にいれるからSO2を入れないで醸造ができるのだ、と感激したことがある。 当然のこと生産量が極端に少なくなる。だからと言って価格を急激に上げられないので経営上厳しい年となる。それでも品質を重視する造りを優先するところに、自然派ワイン造りの“人物”を最重要にあげる理由の一つである。 この醸造元の“選択”の精神力に触れるたびに、私は感動してしまう。自然派ワイン造りは、日本に居ては想像も出来ないほどのリスクを冒して挑戦しているのである。 さて、2007年産をアペラションの樽ごとに試飲を始めた。今日は赤のみの試飲だ。 シャンボ−ル・ミュ−ジニから始まってシャルム・シャンベルタンまで12種類を一機に樽から直接試飲した。マロラクティック発酵が終わって冬に入りやっと普通の試飲ができるようになって初めての試飲だ。 パカレ『3週間前はまだ試飲できる状態ではなかったよ、やっと落ち着いてきた。』 2007年は、予想していたよりもグット男性的な仕上がりとなっていて驚いた。 パカレ『ピノノワ−ルは実際のところそんなに太陽を必要としていないんだ。2007年の7月、 8月の天候は酷いもんだった。でも8月の後半から太陽に恵まれたんだ。ピノを熟すにはそれで 充分なんだ。ジャーナリストが天候の一面だけをみて、色々評価を出してしまうのは困ったもんだ。 ピノは緩やかな温度でゆっくり熟して、後半に太陽が出てくれれば本当にピノらしい風味に出来上がるんだ。』 ここでチョット時間をとって。 パカレ『2007年は皆さんにチョット新キュ−ヴェがあるんだ』 伊藤 『新商品て何ですか』 パカレ『単純なAOCブルゴ−ニュ・ル−ジュだよ』 『え!』竹沢氏も声を失うほど驚いた。 最後にブルゴ−ニュ・ル−ジュを樽から試飲した。 ピノ独特の果実味が豊かで、程ほどのボリュ−ム感で軽やかさがあって何と素晴らしいグイグイ飲めてしまうパカレ・ピノだ。 ご期待ください。 夜は、ボ−ヌで自然派ワインを飲める美味しいレストラン『トントン,tontons』で 共に夕食を楽しんだ。 そこで、パカレ氏が持参したワインをブラインドで楽しんだ。 2001産、瓶詰め時に樽の底にオリの部分だけを集めて個人消費用に瓶詰めしておいたものだ。 竹沢氏『エッシェゾでは』 パカレそう思いますか?私も近いと思います。』 トントンのおやじ『ほんとだ!』 美味しい料理に美味しいワインで幸せなひと時を過ごした素晴らしい夜だった。 3人で4本を飲んだ。 コルトン・シャルルマ−ニュを4次元カラフで楽しむ 翌朝は、一番の電車でパリへ帰った 美味しい自然派ワインが飲める店 LE COMTOIR DES TONTONS ル・コントワ−ル・デ・トントン PEPITAさん & Richardさん 住所 22.Fbg […]