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カタルーニャのナチュラル・ワインの伝道師オリオル・アルティガス
スペインで、ナチュラル・ワインの発展のために人生を、打ち込んでいるオリオル。 その姿に感動するスペインの若手の醸造家仲間達がオリオルを中心に集まってきている。 最近まで、バルセロナで醸造家向けの学校の先生をしていたので、多くの若手醸造家にとっても頼りになる存在となっている。 オリオルの明るく笑顔を絶やさない性格は、特別だ。多くの人達が集まり、寄って来る。 毎年、オリオルは、地元カタルーニャで4月頃にNATRUSナトリュスというナチュラルワインの大試飲会を開催している。 この年に一回の大試飲会は、スペインの醸造家のみではなく、フランス、イタリア、カリフォルニアなど世界中から集まってくる。 単なる試飲会ではなく、夜の懇親会には世界中のナチュレルワインに働くメンバーが集まり、大変に有意義な交流の場となっている。 まるでフランスのマルセル・ラピエールが7月14日に毎年やっていたナチュール・ワイン祭りのような行事になっている。 兎も角、オリオルの行動範囲とそのスピードは物凄いものがある。 自分が大切だと判断した醸造家には、速やかに行って、畑を見て、醸造を学んでしっかりと人間関係を造っている。 だから、フランスのナチュレルワインの重要な醸造家のところへは、ほぼすべて行っている。 私がラングロールのエリックを訪問した時も、偶然にもオリオルが来ていて一緒に試飲したことがある。 また、フランスのレジェンドであるフラール・ルージュ醸造のジャン・フランソワ・ニックやヨヨ達とも親交が深い。 オリオルのナチュレル・ワインに対する情熱の深さは半端ではなく、確固たる信念を持っている。 そんなオリオルが24本のワインをもって、PARISのオフィスにやって来た。 これだけのワインを手荷物で持参してくれた。。 オリオルの特徴・個性あるボトルラベルが、これだけ並ぶとチョット壮観である。 この試飲は、次の出荷予定のミレジム23年をテースティングをするためだった。 近年、2020年よりカタルーニャ地方の天候不良が激しくて、ワインの状態が不安定だった。20年はベト病で、21年は、20年の影響で畑のエネルギー不足となり、22年は極度の暑さと乾燥で、収穫できた葡萄のバランスがよろしくなく、大変に不安定な状態のワインがあった。 約2時間にわたる真剣なテースティングを行った。 オリオルからの説明を聴きながらのテースティングとなった。 23年は、栽培管理は難しかったけど、21,22年に比較すれば、まずまずの状態の葡萄が収穫されたとのこと。 収穫された葡萄の状態をみて、その葡萄を最大限に佳い部分を表現できるワインにもっていく為の醸造方法の選択、 そして、オリオルが狙ったどのレベルまで思いどうりのスタイルになったか、などを想像しながらのテースティングだった。 また、大切なのは、日本までの輸送、そして、日本に着くころの変化の予想。 そして、お客さんの反応の予想などを考慮。 個性あるオリオルのような造り手が、採れた葡萄を最大限に生かす造りをして出来上がったスタイル。 その出来上がったスタイルが、日本のお客さんの望むところのスタイルとの差がでることがある。 自然状況や醸造上の進行状況の具合で、やや思わぬ方向のスタイルになることがある。 工業的な造りをしている造り手なら、いろんな化学物質を加えて思うようなスタイルのワインにもっていくことが可能となるけど。オリオルのワイン造りはそんなに単純なことではない。 この辺のことは、造り手も購買者もお互いの立場上のことを考慮しあって、お互いの状況の意見交換をしながら、お互いが納得する方向性を歩みだすことは大切なことであり。また可能なことである。 23年ワインは、オリオルらしい酸がしっかりした爽やかスタイルに仕上がっていた。 兎も角、毎夏に猛暑が必ずやって来るバルセロナ近辺では、やはり酸がしっかりしたワインのスタイルが好まれているのだろう。 テースティングの後は、ゆっくり昼食を楽しんだ。