2
Jan

LA GRANDE MOTTEにて

昨日、日本よりフランス、パリに帰国。今朝のフランス新幹線TGVにて南仏モンペリエに移動。明日から自然派大試飲会が開かれる。神奈川県藤沢にある自然派ワインの名店、ロックスオフの若林夫妻と合流。 若林夫妻は一週間前より南フランスの自然派蔵を訪問 明日、見本市に参加して日本に帰る予定。若林さんは本当に美味しい自然派ワインを飲み頃まで保管して、飲み頃になって販売する貴重なワイン屋さんです。 ラングドック地方の首都、モンペリエから車で30分のヨット港LA GRANDE MOTTEにて合流した。フランス中の小金持ち(大金持ちはニース、カンヌ)のバカンス地。港のど真ん中のレストランにやって来た。 地中海と云えば魚介類。まずは、隣町のブジーグの牡蠣から始めた。季節的にも最高に美味しい時期だ。まずはトーマ・ピコのシャブリ・プルミエクリュをやった。抜群の相性だった。 その後は、地元ラングドックのワインで牡蠣に最も相性が良いマキシム・マニョンのLA BEGOUラ・ベグのマグナムを開けた。コルビエールのグネス、シスト土壌からくるミネラル感が地元の牡蠣にピッタシカンカン! シャブリよりラ・ベグのミネラル感の方が地中海の牡蠣には相性がよい。大西洋の牡蠣より塩っぽさにはピシっと締まる シスト、グネス土壌の方がピッタリ。 その後は、地中海で捕りたてのシタベラミ、鯛など魚を網焼きした料理。ここ地中海料理の文化は魚にソースはつけない。魚の新鮮な味をそのまま食べる。我々日本人には最高。これに醤油があれば日本食になってしまう。 地中海の新鮮な魚焼きに何とブルノ・ドシェンの ラノディン09赤のマグナムを合わせた。ウーン!シスト土壌からくるミネラル感が素晴らしい。まるでシストジュースといってよいミネラル感だ。その酸を思わせるミネラルが魚に驚くほど相性が良い。 今夜はマグナムが必要だった。そうヴァンクールの村木さん、ラヴニールの大園さんなど総勢7人で楽しいひと時を過ごした。やっぱりこの人数にはマグナムが必要だ。マグナムは気分的にも味覚的にも私は大好きだ。ヨットハーバーでの最高の一期一会だった。 さあ、明日から長期の自然派ワイン見本市が始まる。 元気付けにはピッタリのソワレだった。イヤー!楽しかったです。有難う。あ!忘れていました。最後に 敬意を評してマルセル・ラピエールのモルゴンで閉めました。乾杯!マルセル。有難う自然派!!

22
Déc

若手自然派 EN JOUE CONNECTION アンジュ・コネクション試飲会

年末恒例の試飲会。アンジュ・コネクションが12月12,13日の週末に開催された。ANGERSアンジェの街を中心に点在する若手自然派醸造家、約20社で形成されている自然派グループである。年に数回試飲会を開く。 また、若手は金銭的に余裕がなく農機具も思うように購入できないのが現状。そこで、このグループでは農機具を共同で購入して数社で共同使用したり、農繁期にはお互いに農作業を協力し合いながら行うという若手アソシエーションである。 ロワール地方のアンジェ地区は自然派醸造家同志の横の関係が素晴らしく結束してる。こんなに理想的にまとまっている地方は少ない。 若手の次世代型の自然派醸造元が多く育つアンジェ EN JOUE CONNETION、このグループはオリビエ・クザンの息子バティスト・クザンが中心となって形成された。バティストは20歳の時に一年間日本に滞在したことがある。銀座のヴァンピックルに半年、大阪のパッション・エ・ナチュールで半年修業した。自然派の初期段階の時、日本が自然派を支えたこともよく知っている。日本通である。 アンジェ地区の自然派と云えばオリヴィエ・クザン、マーク・アンジェリ、ルネ・モスという古参の醸造家達が今の自然派を築いてきた。 彼らと云えども、当初は自然ワインを造る為の、自然栽培や自生酵母だけで、SO2無添加での醸造を手探り状態でやっていた時期があった。 揮発酸の異常な上昇やお酢になってしまったり、多くの失敗を重ねてきた。 昔はビオ香と云われたり、やたらと臭いワインが多くあった時代だった。 そんな痛い失敗を繰り返してきた。そのお蔭でやっと現在は、クリアでスーット体にしみわたっていく自然派ワインを確信をもってできるようになった。 自然派の造りが安全にできるのが当たり前の世代の出現 最近の新人は、古参のところで研修をしたり、失敗をしないで造る方法を継承して、最初から当たり前の如くに自然派ワインを造ることを知っている世代である。 最初から、自然派ワイン造りで、やってはいけない事、気をつけなければいけない事を熟知している。これは凄いことなのである。 コート・ド・レイヨン近辺、朝の恒例風景の霧 前日の12月11日にアンジェの街に着いていた。この種の自然派試飲会は午前中が勝負だ。特にアンジュは自然派ファンが多い。午後になると会場が人で溢れて、ブースの前までたどり着くだけでも時間がかかる。だから10時の開場前には入ることにしている。ホテルを駅前にとった。昨夜は自然派ワインビストロでチョット飲み過ぎた。まだアルコールが若干体内に残っている。自然派ワインばかり飲んだから二日酔いはない。心身ともに快調である。残留アルコールで勢いがついている。 アンジュの街から南に車で移動した。コート・ド・レイヨン地区に近づくと霧が濃厚になってきた。秋冬、この辺では毎朝の如くに霧が発生する。この霧のお蔭で貴腐菌が発生する。コード・ド・レイヨンと云えばキリっとした酸を備えた貴腐ワインが存在する。レイヨン川の湿気のお蔭だ。SO2添加の少ない甘口の自然派貴腐ワインは最高に美味しい。すべてはこの霧のお蔭である。 今回はパッション・ド・ヴァンの若手キショとやって来た。アンジェ駅でレンタカーを借りてキショの運転でやって来た。アンジェの中心から約20分程で小さな村RABLAY SUR LAYONラブレイ・シュール・レイヨン村に着いた。コート・ド・レイヨン地区のど真ん中の村である。会場は村の公民館だ。 さあ、戦闘開始だ。入場料10ユーロを払って会場に入った。 10時キッチリに着いた。まだ、すべての醸造家が来ていない。時間に真面目な醸造家だけが準備をしていた。これを見ただけで醸造家の性格がよく分かる。 几帳面な醸造家は時間にキッチリと来て、もう試飲準備が完了している。 これだけでも、ある程度のワインのスタイルは理解できる。 気の早い入場者が何人か来ていた。 自然派の宝庫・アンジュに新しい風! STEPHANIE ET VINCENT DEBOUTBERTIN*ステファニー・エ・ヴァンサン・デブベルタン ノルマンディー出身の二人、ヴァンサンとステファニーはパリの大学時代に出会って以来ずっと一緒。ヴァンサンはエネルギー関連の研究をして風力エネルギーの仕事をやっていた。二人とも自然が大好きで自然の中で働く仕事をしたかった。自然派ワインが好きだった。特にスーット入ってしまうスタイルのアンジュのワインが好きだった。マーク・アンジェリーやオリビエ・クザンの元で研修した。そして2012年にワイン造りを決意して醸造元を設立。 3ヘクタールの小さな畑を庭園の如くに丁寧に世話をしている。 最初からビオ栽培。多くの若者のように、自然環境を壊したり、飲む人達の健康を害するようなワイン造りをしたくなかった。自然栽培・醸造が最初から当たり前の世代である。マーク・アンジェリーやオリヴィエ・クザンなどの諸先輩が切り開いた自然派の造りを継承して、普通のワイン造りとして当たり前の如くに自然派ワインを造る世代の自然派が多く誕生している。その優等生がこのデブベルタンである。初リリースか素晴らしい品質のワインを造っている。 1-L’AUNIS ETOILE オーニ・エトワール ★★★ スーット体に入ってしまう果実味と軽やかなワイン。今、ピノ・ドニス品種が自然派ワインファンの中で静かなブームとなっている。マサル方式の55歳の大きめの葡萄房からは果実味タップリの軽やかなジュースが絞れる。盆栽のように世話をして12ヘクリットル/Hに収穫量を抑えるとシスト土壌のミネラル感がスカッとした透明感を演出してくれる。自然酵母でセミ・マセラッション発酵。3~5年の古樽で12か月のシュール・リ状態で熟成。オリの旨味がワインに溶け込んでいる。 2-ACHILLEE アシレ 25歳のシュナン品種。リオリットと呼ばれる堅い石の土壌。シストのような真っ直ぐなミネラル感を演出してくれる。キリっとした酸の中にソフトな果実味。古式の垂直プレスでゆっくり搾ると優しいタッチに仕上がる。自生酵母発酵。そして、古樽で1年のシュール・リ熟成。オリの旨味がワインに溶け込んでいる。フィルターなし、SO2添加なしの超自然なソフトな優しいタッチの白。 3-LE SALTIMBANQUE 14  ル・サル・タンバンク 14 樹齢60歳のソーヴィニョン品種100%。14年は7,8月と天候が曇りがちで湿気が多かった。しかし、9から10月にかけて晴天が続き一挙に葡萄が熟した。5~8年の古樽の中で自生酵母発酵、そのままシュール・リで樽熟一年間。熟したモモ風味の甘味もあり、シストのスッキリ感が抜群。 自然派ワイン造りに無我夢中の女性CHARLOTTE BATTAIS *シャルロット・バテ ブルターニュ地方出身のシャルロットは、偶然にアンジェの葡萄園にたどり着き自然派ワインに巡り合って、この世界にのめり込んでいった。アンジェの自然派醸造家達の人間的な繋がり、助け合う姿に感動。自分もワイン造りに人生を賭けたかった。 2008年にマーク・アンジェリーの援助で100歳の古木シュナンの畑を借りてスタートした。今はその畑も返し、セレクション・マサルの100歳のグロロ品種0.5ヘクタールにすべてを賭けているシャルロット。0.5ヘクタールだけでは生活が成り立たない。勉強も兼ねてオリビエ・クザンのところで働いている。自分の造るワインに対しては一切妥協はしない。自分の納得しない内は絶対に出荷しない。 1- LE PONTAIL […]

13
Nov

Amis Buvons *アミ・ビュヴォン*友よ、飲もうよ

先日の記事に続き、パリでは最近毎週月曜日に試飲会が行われています。 今回は,毎年Kévin*ケヴィンのレストラン、Autour d’un Verre*オトゥール・ダン・ヴェールで行われている « Amis Buvons *アミ・ビュヴォン*友よ、飲もうよ» の試飲会に顔を出してきました! 久しぶりに飲んだGérard Oustric*ジェラール・ウストリックさん、Le Mazel*ル・マゼルの2013年は、前に比べてより飲みやすくさわやか。 これは醸造法を全てマセラシオン・カルボニック(ブドウを破砕・徐梗せずに房をまるごと醗酵タンクの中に入れること)に変えたからだそうです! Planet*プラネット2013(カベルネ・フラン)や Briand*ブリアン2013(グルナッシュ)はフルーティでグイグイ飲めてしまい、 Raoul*ラウル2013(カリニャン)はとても繊細でエレガント。このキュベは一押しです! ≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈ 次は、全キュベをマセラシオン・カルボニックで行っているLe Temps des Cerises*ル・タン・デ・スリーズ、Axel Pruffer*アクセル・プリュファーのワイン。 La Peur du Rouge*ラ・プール・ドゥ・ルージュ2014(赤が怖い)はマセラシオンをしたシャルドネを使用。 『今回は収穫を2回に分けたんだ。最初の収穫には、まだ完全に熟されていないブドウを、2回目の収穫は、キレイに熟されたブドウを。そうすることによって、フレッシュ感を得て、しかも香りもしっかりと出ていて、より爽やかでフルーツも感じられるワインになるんだ。』 確かに柑橘類の香りも漂い、口に含むとミネラル感と丸みが広がりさっぱりなワインに仕上がっています! 唯一残っている赤は、グルナッシュ100%でできあがったUn Pas de Côté*アン・パ・ドゥ・コテ2014。赤フルーツや花畑が匂い、香りはまさにナテュール!とにかくブドウジュースみたい!女の子でも一本簡単に飲めてしないそうな、危ない赤ワインです!! ≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈ となりでニコニコと待っていたのは、Domaine Le Bout du Monde*ドメーヌ・ル・ブ・デュ・モンドの Edouard Laffitte*エドゥワール・ラフィット。久しぶりに合うのでお互いにテンションが上がりまくり!彼のワインも、マセラシオン・カルボニックでフルーツを最大に引き出しています。 Tam Tam*タムタム2013(シラー100%)はとてもジューシーでシラーの華やかさが分かりやすく表現されています! Hop La*ホップ・ラ2013(グルナッシュ40%、シラー40%、カリニャン20%)は黒味のフルーツを齧っているかのように濃厚!でもフレッシュ感が大いに感じられるので、全然疲れない! Avec Le Temps*アベック・ル・タン2013(カリニャン100%)は今回一番上品で丸みがあり、とてもエレガントに感じました。 そして個人的に大好きなLa Luce*ラ・リュース2014(グルナッシュ100%)は相変わらず花の香りが漂い、長く続く繊細な後味が印象的! ≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈ 初めて出会うOlivier*オリビエ。彼は、Sylvain Respaut*シルヴァン・レスポーとコンビを組み、一緒にワイン造り及びハチミツを造っています!ここでは樽は タブー!しかもブドウ木は標高300mに植えてあるので、とてもフレッシュ! 白のTangerine*タンジュリン2014は粘土石灰質のテロワールから収穫されたシャルドネ80%とソービニョン20%のワイン。飲みやすくて明るい口当たりで、いつの間にか無くなってそうなアペタイザーワイン! Pink […]

8
Nov

エノ・コネクションでは試飲ラッシュ!!

2015年の収穫も終わり、ブドウたちはタンク内でやっと落ち着いて来たこの時期。11月は、生産者達が次々とパリへ!!2015年のプリムールも含め、ビン詰めされて寝かされていたワインをわんさか持って試飲ラッシュ!! そんなんで、先週の木曜日は3件テスティングをしてきました!! 朝10時、事務所のベルが鳴り、ドアの前に立っていたのは、モンペルー(南仏)からリュックを背負ってパリまでやってきたLe Petit Domaine*ル・プチ・ドメーヌのAurélien Petit*オレリアン・プチさん。彼も彼女も大きいのに、名前が « プチ =小さい»・・・そこから面白半分で、ドメーヌの名は、ドメーヌ・プチになったんだそうです! 私は初めて試飲する蔵元。 モンペルーといえば、Domaine de l’Aiguelière*ドメーヌ・ド・レグリエール の元気いっぱいのChristine*クリスティーンを思い出します! オレリアンもクリスティーン にはお世話になっているとのこと。彼は2012年にワイン造りを始めたばかりなので、自分のカーブには場所がなく、ワインは全部クリスティーンの倉庫に置いて貰っているのだそう。 オレリアンと彼女のジュリーは、システム・インジェニアの学校で知り合いました。その後、ワインを造りたいという思いが強くなり、二人でワイン学校へ進学。そしてオーストラリアやニュージーランドで醸造法を学び、2012年にモンペルーでブドウ畑を2 Ha借りてドメーヌをスタート。 2013年には、放置されていた畑も借りて、今では4,5 Haの畑をビオ方針で栽培しています。 そんなオレリアンとジュリーのワインの名の由来は、全て≪大きいと小さい≫に関わっている名前ばかり。 La Démesure *ラ・デムジュール2014 ≪ラ・デムジュール≫とは、≪法外な≫という意味。なぜ?と聞いたら、『小さな区画から(25ares)偉大な白ワインが出来上がるから!』 シュナン100% ‐ 樹齢30年 ‐ 粘土石灰質 3日のマセラシオンのあと、10ヶ月間の樽熟成 柑橘類とハチミツの香りがほんわり。口当たりはサッパリとキリっと、しかし丸みもありミネラルで、後味が長く続く不思議な白ワイン。エノ・コネ・メンバー絶賛! Myrmidon *ミルミドン2014 ≪ミルミドン≫といえば、ギリシア神話で登場する神話的民族のこと。その戦士部族のように、このワインは『まだ若いのにもう凄いんだ!僕たちブドウも頑張ったんだ!』と表現しているかのようで、この名前に決定。 シラー100%だけれども、    ‐ マセラシオン・カルボニック(ブドウを房ごと樽に入れて出来たブドウ・ジュース)    ‐ 5日間マセラシオンしたシラー    ‐ 2・3週間マセラシオンしたシラー のブレンドなのです。全てを樽内でアセンブラ―ジュして、3ヶ月間熟して出来上がったものが、このスパイシーでコショウと赤フルーツの香りが漂る、フレッシュな赤。このワインは、今後が楽しみ。今より絶対美味しくなる!私も3本即購入しました!! Cyclope *シクロップ2014 ≪シクロープス≫は、ギリシア神話に登場する≪巨人≫。カリニャンはラングドックの代表的な品種。 その二つをひっかけて、『シクロープスのように偉大なカリニャン』を表現したワイン。 4つの区画に植えてある、樹齢50歳の木から収穫されたカリニャンをエグラパージュ、そして6ヶ月間の樽熟成。 ガリッグや森の中にいるような香りに、濃厚なのにジューシーで爽やかな味わい。赤みのお肉を食べながら飲みたい! Rhapsody *ラプソディー2013 ラプソディーのように、形にとらわれなく、とにかくフリーなワイン。それぞれが好きなようにこのキュベを感じて貰いたい気持ちから、≪ラプソディー≫の名前を選びました。 カリニャン・ヴィエイユ・ヴィーニュ80% + シラー20% マセラシオン・カルボニックの後、1年間の樽熟成。 とてもエレガントでフレッシュなワイン。フランボワーズや明るい赤フルーツの香りと、蕩けたタンニンが滑らかで飲みやすい!私の今回の一目惚れワインです!! なんだかんだで2時間色々と話を聞いた後、先日紹介したClown Barへエノ・コネ・メンバー直行。そこで一緒にご飯を食べたのは、Clos des Grillons*クロ・デ・グリヨンのNicolas Renaud*ニコラ・ルノーさん!相変わらずシャイで優しい瞳をしたニコラ。彼の南のアクセント及び方言がとても魅力的・・・・・!もちろんワインもですよ!! […]

4
Nov

エノコネクション新人2人の珍道中 収穫後のボジョレー&ブルゴーニュ (後編)

4)マルセル・ラピエール*Marcel Lapierre 故マルセルさんの息子である、Mathieu*マチューさんが私たちを迎えてくれました。 実は前日にも少し寄ったのですが、お昼をご馳走してもらい、この日もまずはお昼から・・。 私たち働いていないのに、申し訳ない~と思いつつも、美味しすぎる昼食に舌鼓をうちながらニコニコして しまいました。 なんでも、マチューさんはもともと料理人のため、収穫中にお願いしているシェフもなんとパリの三つ星☆☆☆レストランでもともと働いていた方にお願いしているそう。テット・ド・ヴォーという、 牛の頭のお肉でかなりビクビクしながら一口・・・・・・・・おっ美味しい!! ラピエール家をマチューさんと共に支える家族 マルセル亡き後のラピエール家は残った家族全員で醸造所を支えています。とくに頼もしいのは、故マルセルの奥さんでもあり、マチュのお母さんでもあるマリーさん。 マルセルと二人で自然派ワイン界を育ててきました。 今も現役でラピエール家の原点を支えています。 2015年は長女のカミュさんが醸造全般を管理。 マチューの良き右腕的存在です。 末っ子のアンヌはラピエール家の太陽。 明るく、周りの雰囲気を盛り上げ、 必要な個所に現れて援助しています。 9月11日に収穫がすべて終わり、今はマセラシオン・カーボニックと圧搾作業。 伝統的な直下型圧搾機を2台持っているため、50個のワイン大桶にたっぷりはいているブドウを交互に圧搾できるそう。 「収穫は終わったけど、まだまだ気は抜けないよ。むしろこれからだ。」とマチューさん。 ブドウ収穫は終わったものの、酵母菌が天候や気圧に影響されることがあるため、酵母と発酵の状態の管理を綿密にし続けなければいけないとのことでした。 なんとマチューさん、醸造所近くに自前の研究室を作っており、自生酵母やブドウジュース内の成分を常時管理されているそう。顕微鏡まで持っているのはすごい! 普通のヴィニュロンと同じく、ワイン成分分析自体は近所の研究所に頼んでいるそうですが、「この機材があればより細かく、すぐに自分の目でワインの状態を確かめられるからいいんだ」とマチューさん。 こだわりがうかがえますね! 2015年産は? 少し時間をいただいて、マチューさんから日本の皆さんへのメッセージビデオをとらせていただきました。 「今年のブドウはとても早熟で、収穫も早く終わったけれど、ブドウの質が目を見張るほど良くて、ここまでレベルの高い年は久しぶりだよ。 ここにある全てのタンクはブドウで一杯になっていて、醸しがはじまっているけれど、例えばこのブドウの房も、食べてみると味わい・アロマもしっかりとしていて、素晴らしい年であることがはっきりとわかる。セミ・マセラシォン・カーボニックも例年に比べて長く、このままいけばとても美味しいワインが出来上がるはずだよ。 モルゴン2015年のパラディ(圧搾直後のブドウジュース)も味わい深くて、とても「(マチューさんの誇らしげな日本語で)おいしい!^^」。 骨格がしっかりしていて力強く、果実味があふれているね。 皆さんには、もし1月に来てもらうことができれば、2015年の美味しいワインをぜひ味わって頂きたいです!」 5)ジャン・クロード・ラパリュ*Jean Claude Lapalu 今回キショウが特に楽しみにしていたのがラパリュ!伊藤さんと一緒に飲んで、その美味しさに感動したそう、当主のジャン・クロードさんに会うのもとっても楽しみにしていました。 通常より5週間早めの8月25日頃に収穫が始まったというラパリュですが、場所がとっても美しい景観のなかで、こんな場所に生まれたというのが羨ましくなってしまいます。 広い醸造所に入ると、コンクリートタンクやステンレスタンク以外に、アンフォラを発見! なんでも友達のヴィニュロン同士でアンフォラのグループを造っているらしく、自分で注文したアンフォラ以外にも他のヴィニュロン から譲り受けたものも多いそう。(アルマ・マターのキュヴェはアンフォラにて醸造。その年のブドウの質によってアッサンブラージュの比率等を調整しているようです。) ちょうど行ったときは、直下型圧搾機で1回目のプレスが終わり、ちょうど2回目のプレスに備えてブドウをかき混ぜるところでした。 マールの切り崩し作業 圧搾した後のブドウをマールと呼ぶのですが、ケーキのようにぺちゃんこに固まったマールを切り取り、崩して、スコップでかき混ぜ、台形状にして2回目の圧搾を行います。 とっても重労働ですが、私も少しやらせてもらいました! お邪魔かと思いつつ、「ちょっとだけやってみたい」と恐る恐る聞いてみたところ、ラパリュの従業員の方々はとても優しく、快くやらせてくれました!コツを教えてもらいながら、少しずつマールを切り進めていきます・・・。 ジャン・クロードさんいわく、当初はプニュマティック圧搾機でやっていたものの、なんと伊藤さんのアドバイスを受けて、直下型の圧搾機に変えたそう。味の繊細さがぐっと増して味わいがとっても良くなったとご本人も大満足。従業員の人も、大変だけど最高の結果がだせればねとニコニコしていました。なんでも、ブドウの茎や皮がフィルターとなり、自然に濾過した状態になるとのこと。出てきたブドウジュースもとってもクリアできれいです。 畑の管理も、1960年代の小さなトラクターを引っ張り出して使っているそう。ボジョレーのガメイはゴブレ型剪定のため、通常は大きな機械を通すことができないのですが、ラパリュでは馬と同じ重さのこのトラクターを使って、ブドウ樹への負担を最小限に抑えながら耕しているそうです。 確かに、除草剤を使っている他の畑と比べると、ブドウ樹のいきいきとしたオーラが違います! ちなみに、ブドウが太陽の光を最大限吸収できるよう、ブドウ樹はゴブレなものの、成長した後はブドウ樹の蔓を上でまとめるそう。 トラクターにも蔓がひっかからないよう、最大限の注意を払っています。 ちなみに土壌はグラニット・ローズ(ピンク色の花崗岩)。 ジャン・クロードさんとお仕事がひと段落した従業員の方々と、わいわい歓談した後は、ジャン・クロードさんのおうちのお庭でテイスティング。 美しいブドウ畑が目の前に広がるテラスは素敵の一言。 こんなお庭のある家にいつか住んでみたい!と夢がふくらむ景色です。 試飲 オー・フォート […]

22
Oct

エノコネクション新人2人の珍道中 収穫後のボジョレー&ブルゴーニュ (前編)

まだ暖かい陽が差し込む9月の中旬、収穫の熱冷めやらぬボジョレーとブルゴーニュに、ウノコネクションの新人2人(キショウ、ユリ)が潜入してきました! マコン駅からボジョレー→ボーヌ周辺→ボジョレーの2日間で、エノコネクションの看板でもあるスターヴィニュロンへはじめましてのご挨拶と、もしもできれば収穫に参加してしまおう!という計画です。  Yuri  Kisho 気になる訪問先は・・・ クリストフ・パカレ Christophe Pacalet フィリップ・パカレ Philippe Pacalet サルナン・ベリュ Sarnin Berrux マルセル・ラピエール Marcel Lapierre ラパリュ Lapalu ローランス・レミ・デュフェートル Laurence et Rémi Dufaitre クリストフ・パカレ*Christophe Pacalet 日曜にもかかわらず笑顔で奥様と迎えてくださったクリストフさんのところでは、9月9日、猛暑による凝縮したブドウが取れ、晴れて収穫終了。今年は8月24日から開始、例年に比べかなり早く終ったそう。特に丘の上のブドウ畑(サンタムール、コート・ドブルィ)は強い太陽の光でブドウが乾燥し、凝縮した小さいブドウがとれました。 コート・ド・ブルィの土壌の特徴について ボジョレーは花崗岩土壌であることが有名ですが、特に火山質が混じるコート・ド・ブルィからは、色調も濃く力強さがあるワインが出来ていました。なんでも、火山質の土壌は酸性度が高めで栄養分が少ないため、樹勢が強い品種であるガメイもたくさん実をつけることがなく、その分凝縮感のあるブドウがとれるとのこと。さらに天候に恵まれない年であっても比較的均一な量のブドウが取れるのがコート・ド・ブルィの特徴とのことでした。 一部の発酵槽はグラスファイバー製タンク 今年に関しては、ブルィ以外のキュヴェの量がかなり減ってしまい、例年の半分しかとれなかった畑もあるそうです。 ここでは一部の発酵槽はグラスファイバー製を使用しており、マセラシォン・セミ・カーボニック醸造中の葡萄丸ごとの房が見えます。タンクをたたくと、薄透明のタンク越しになんと泡がふわ~っと浮かび上がってくるのが見えます!ここからボジョレー特有のアロマや優しい色合いが抽出されているのかと思うと、感動しました。 マルセル・ラピエールより譲り受けた古式圧搾機 また、ここでは赤はプニュマティック圧搾機を使わず、伝統的な直下型の圧搾機を使っている。 重力を利用したこの圧搾機からはゆっくりとした優しいプレスで、ブドウの種からの渋みや、皮からの粗いタンニンが出ないようになるとのこと。 マセラッション・カルボ醸造のプレスは直下型の圧搾機が最高。 時間をかけてゆっくりプレスすると、まるで葡萄の皮から汗のようにブドウジュースが滲みでてくるので繊細なワインになるとのことでした。 ブドウを圧搾機いっぱいに詰め込んで、24時間ゆっくりとプレスします。 試飲 ボジョレー・ブラン とてもクリアでレモンのような色合い。ゆっくりと立ち上る白い花の香り、 柑橘系のきりっとした酸味が心地よく舌の上に広がります。 コート・ド・ブルィ とても濃く、若いローヌワインを彷彿とさせるような紫色の色調。 赤・黒系果実の香りが主張し、凝縮感があり飲みごたえがあるワイン。 クリストフ2015年11月ヌーヴォー解禁時に日本行き決定! 日本食が大好きとのこと、クリストフさんは今年のヌーヴォー解禁の時は日本に行くことになっています。美味しい日本食をとても楽しみにしていました! クリストフ・パカレとヌーヴォー解禁カウントダウンを楽しみたい方 11月18日 00時に東京新橋でヌーヴォー解禁 カウントダウンパーティーをクリストフと 楽しんでください!! 2)フィリップ・パカレ*Philippe Pacalet フィリップ・パカレ2015年 収穫終了パーティーに参加 新人二人はここからフィリップ・パカレの収穫に参加をするために北に移動。 フィリップさんに今から着きますの電話を入れたところ、「今さっき摘み終わったところだよ」!! なんと・・・・が~ん。 ここ最近の猛暑のせいで、予定よりも収穫が早まったらしく、それならと収穫終了のお祭りであるポレ(ブルゴーニュでは「ポレ」、ボジョレーでは「ラフボール」というそう)に、どさくさに紛れて参加させていただき、美味しいクスクスのご相伴にあずかってしまいました。 収穫自体は終わったものの、まだ白の圧搾作業が残っているとのこと、パカレさんはとっても忙しそうでしたが、今年の素晴らしいブドウがとれた話などを手短にしてくれ、笑顔の素敵な奥様も、ブルゴーニュ・アリゴテ2014、ジュヴレ・シャンルタン2008、ポマール2008など飲ませてくれました! […]

14
Oct

La Dégustation « Les Toqués » * « レ・トケ »試飲会

今日は久しぶりに試飲会のレポートです。 2年間のブランクがあるので、ゆるーいコメントから始めますが、どうぞお許し下さい! Les Toquésの試飲会では、ローヌ地方の生産者が勢ぞろい。 今回の会場は、魚料理で有名な、 Macéo Restautant*マセオ・レストランの二階で行われました。 古くから建っているこのレストランは、オスマニアン・スタイルが魅力。 ゴージャスなインテリアで一度優雅な夕食を味わってみたいです! Macéo Restaurant 15, Rue des Petits-Champs, 75001 Paris Tel : 01 42 97 53 85 Métro : Pyramide / Palais Royal / Bourse / Les Halles La Ferme St Martin * ラ・フェルム・サン・マルタン 最初に試飲したのは、スゼットの村でワイン造りを受け継いだ、La Ferme St Martin* ラ・フェルム・サン・マルタンのThomas Jullien*トマ・ジュリアン。 お父さんのGuy*ギーさんもいたけれど、相変わらずのシャイ・ガイ。 今年の出来具合は? 『2012年・13年が暑いビンテージ。 2014年は爽やかなビンテージ。 2015年はバランスが良いビンテージだよ!』 Blanc 2014*白2014 (Clairette, […]

12
Oct

Le Clown Bar *ル・クルーン・バー(ピエロ・バー)

お久しぶりです、アサミです。 今日は、何年かぶりのレストラン・レポートです! 今回訪れたのは、Cirque d’Hiver*シルク・ディヴェール(サーカス)の手前にある、一年前にオープンしたビストロです! その名もLe Clown Bar *ル・クルーン・バー*ピエロ・バー!!ここは、サーカスのメンバーやお客さんが昔入り浸りしていた隠れバー。 Restaurant Clown Bar 114, rue Amelot 75011 Paris  TEL : 01 43 55 87 35 Métro : Filles du Calvaire, Oberkampf, Saint-Sébastien-Froissart 一年前、サチュルヌ(Saturne)で働いているEwenさんとSven さんがここを買い取り、ヴィヴァン・ターブル(Vivant Table)で働いていたアツミ・シェフと組み、今では、自然派ワインがジャンジャン出てくる最高なビストロにリニューアル! インテリアも、ほぼそのままで、あちらこちらにピエロの顔が! 天井もおしゃれ! 今日は土曜日! しかも天気のいい土曜日! パリでは、 *週末+ポカポカ=テラスでお食事*が一般的! それにしても、お客さんがノン・ストップで入ってくる! サービスのCaroline*カロリンヌが、アペタイザーに出してくれたのは、Domaine La Bohème*ドメーヌ・ラ・ボエム, Patrick Boujou*パトリック・ブジュー のシャルドネ・ペティヤン! 爽やかで、フルーティーで、まるでロワールのシュナンと間違えてしまうサッパリ感! 真冬でも、ちょっとポカポカしている日には口にしたい一本! ここで稲増さんがチョイスしたワインは、Philippe Jambon*フィリップ・ジャンボン の Les Batailles sur la Roche […]

11
Oct

マルセル・ラピエール 追悼

マルセル・ラピエールが亡くなって、もう5年の歳月が過ぎた。自然派のパップが昇天しても、自然派ワインは大きく成長を続けている。フランス最大のワイン雑誌、ラ・レヴュ・ド・ヴァン・フランスがマルセル追悼記念の記事を掲載した。 自然派にとってあまりにも偉大な存在だったマルセルがいなくなってから、自然派の中心、土台、柱が無くなった感がある。その代わりに、各地方に小粒のリーダーが多くできている。自然派の勢いは益々盛んで、増えている。マルセルが示した道は偉大だ。 偉大なるマルセルの命日が10月11日である。世界中の自然派ワインファンが、まるでマルセルの復活祭のように、マルセルに敬意を祝して自然派ワインを飲む日だ。勿論、マルセル・ラピエールを持っている人はCUVE MARCELを飲むだろう。 歴史にもしはありえない。しかし、もしマルセルの存在が無かったら自然派ワインが今のように発達しなかっただろう。より遅く、違う形になっていただろう。今、我々がこうして自然派ワインを楽しめるのはマルセルによるところ大きい。有難う、MERCI MARCEL ! Marcel LAPIERREは日本が大好きだった。マルセルと富士山に行ったことがある。雄大な日本の象徴である富士山をみて大変喜んでいたことを思い出す。マルセルは自然派ワインの世界の富士山だった。雄大で、深く、多くの人に安らぎと勇気を与えてくれた。乾杯!!マルセル!

10
Oct

Aux Amis des Vins オザミ・デ・ヴァン本店

オザミグループの1号店。ワインの品揃えはピカイチ。自然派からグランヴァンまでなんでもござれ。 また、美味しい料理に釣られ、ついついもう1本となってしまう。 1F〜3Fまで違った空間を楽しめて、何度行っても飽きない。 石井店長の優しい対応が、また虜になってしまう名店。

28
Août

2015年収穫開始 ・ JOLLY FERRIOL – ジョリー・フェリオル

15年は史上最高に美味しい微発泡酒、PET ‘NATができるだろう!! 毎年、フランスで最も早く収穫を開始するのが、ここジョリー・フェリオル醸造である。8月中旬に収穫を開始。世界中から取り合いの超人気ワイン、ジョリー・フェリオルの微発泡酒、PET ‘NAT用のムスカ品種を収穫。 キリっとした酸を残す為に、完熟の手前で収穫する。 今年はフランス中で大騒ぎの40度に達する高温だった。しかし、ここルシオン地方は毎年の猛暑で、ここの葡萄木達なもう慣れている。 2015年の猛暑はここでは、別に驚くことでもない。 昨年の方が1週間早く収穫を開始したほどである。 シスト土壌で育つムスカは、キリっと締まった酸を残してくれる。 シスト土壌独特の冷たいミネラル感がこの微発泡酒の人気の理由だ。 何て美味しいんだろう! 今年は、晴天日が多く乾燥度が強かったのと、タラモンターヌと呼ばれる風も強くて、更に乾燥度が激しかった。 お蔭で、病気の発生が皆無だった。腐った葡萄が一粒もない健全な葡萄を収穫完了した。しかも、強風のお蔭で酸まで濃縮して発泡酒のペット ‘ナットには最高の条件が備わっての収穫だった。 史上最高に美味しいスカットしたPET ‘NATになる! 二人の愛情と夢と喜びを泡に閉じ込めたPET ‘NAT ペット ‘ナット イザベルとジャンリュックは2005年に パリから移住してきた。イザベルの家族の故郷でもあった。 イザベルはダンスとヨガの先生をやっていた。 ジャンリュックは情報処理管理の会社を経営していた。 コンピューターのエンジニア出身。 好きな事を見つけるとトコトン突き進んでいく二人。完全な自然、完全手作りの 発泡ワインを造りあげた。 スペインの国境に近いルシオン地方にまるでマカロニ・ウエスタン西部劇に出てきそうな風景の街 Espira de l’Agly エスピラ・ド・ラグリ という村がある。そこに、数百年前にはナポレオン3世やイギリス王室に納めていたほど有名なドメーヌが、ほぼ廃墟化していた。好奇心旺盛な二人は、ここを再生させることに後半の人生を賭けることに決めた。畑、土壌を調査すると途轍もない可能性を秘めた銘醸の土壌であることを発見。シスト土壌と石灰土壌の境に位置して畑によってはその二つが入り混じっている特殊な土壌をそなえていた。 口にした誰もが »笑顔 »になるワイン 自分達のこの夢、喜びを表現できるワインを造りたかった。ドメーヌの横にシスト土壌に果実味の豊かなムスカ品種が植えられていた。誰もがホッとする果実味だった。これで発泡ワインを造って、その泡の中に自分達の夢とかこの喜びを閉じ込められたら・・想像しただけでもワクワクしてきた。勿論、栽培は最初からビオ栽培。醸造もジュル・ショヴェ、マルセル・ラピエール系の自然派醸造を継承。 ジャンリュックはこの地に来た時、ペルピニャンのワイン学校に通った。その時の同級生が、あのYOYOさん、ドメーヌ・ポッシブルのロイックなど自然派の醸造家の卵が多数いた。そして、ジャンフランソワ・ニックに出会、自然派の造りを学んだ。 栽培、醸造、ビン内二次発酵、デゴルジュマン、便詰めすべて手作りを実現。   ここまでの手作業、愛情を込めたワインは存在しない。貴重な一本!! 友人や近所の知り合いが集まって収穫、ほぼ毎年同じ人や醸造家に成りたい人達がやって来る。収穫した葡萄は傷つかないように底の浅い籠に入れて丁寧に醸造所に運ぶ。葡萄の温度が高いまま発酵槽に入れると雑菌が繁殖するので、一晩クーラー室に入れて冷やす。 翌日に、そのままプレス機にかけてジュースを絞る。 ビン内二次発酵の時、糖や酵母菌を入れない本当に自然なアンセストラルの発泡ワインを実現。 ジュースをタンクに入れてゆっくり発酵する。 ここからがジャンルックの計算が始まる。 まず最初のジュースの糖度を図り、毎日の発酵の進み具合、糖度をチェック。 残糖が18gになった時に、タンクからビン内に詰めてビン内二次発酵をして、その発酵で生じた泡を閉じ込める。この糖度の具合が超大切なのである。すべて手作業でやる。 すべての人が笑顔になるワインを丹精に造りげた! ビン内発酵、デゴルジュマン、注ぎ足し作業、キャップシール付け、すべてが 手作業という贅沢な造り、本当に、ここまでの手作りは存在しない。 まさに、採算など考えず、愛情、夢、喜びを、すべての泡に閉じ込めた一本。 今、世界中からこの貴重なワインの引き合いが殺到している。 幸いにも日本への出荷量が一番多い

19
Août

自然派ワインの真夏の祭典 (南ローヌ河右岸・アルデッシュ地方)  

8月3日、驚異的な猛暑が続く南フランスで、暑い,熱い自然派ワイン見本が行われた。 日蔭で39から40度という猛暑の中、フランスきってのチームワークの良い自然派醸造元が集中しているアルデッシュ地方で行われた。 今年で3回目となる。 真夏の祭典と云えばボジョレのモルゴン村で毎年7月14日に行われるラピエール家の自然派ワイン祭りがある。30年間も続いたこの夏祭りも今年はお休みだった。マルセル生存中に始められたこの祭りである。 世界中の自然派ファン、醸造元、販売者が集まる恒例行事だった。 今年は、ここアルデッシュ地方のこの祭典のみが行われた。ちょっと寂しい感がある。 モルゴンの祭典に毎年参加しているチェリー・プゼラとあった。 『今年はラピエール家の祭がなくて寂しいね!』 チェリーも同感だった。これも時の流れだろう。 アルデッシュと云えば二人の大御所自然派がいる。ジェラルド・マゼルとジル・アゾニーだ。この二人のお蔭でここアルデッシュには多くの若手自然派が誕生して育っていった。 今はこの二人を追い越す品質を備えた醸造家が多く存在するようになった。 彼らも始めたばかりの頃は、この二人に師事して自然派ワイン造りを学んだ。皆に尊敬されている二人である。 今では、ジェローム・ジュレやアンドレア・カレック、など繊細で、上品さを備えた中堅醸造家が育っている。世界中の自然派ワインファンを魅了している。若手の指導も積極的に継承している。 ジェローム・ジュレの人柄、誠実で、着実に一歩一歩進んでいく彼の人間としての生き様がワインの中に表現されている。透明感あるワイン、酸、上品さ、ワインに品格がある。 39度の猛暑の中、まるで我慢大会のような試飲会となった。   パラソルやヨットの帆を日除け代わりに木に縛り付けて日蔭を造ってしのいだ。 幸いにもこの日はミストラルの強風がなく飛ばされることもなかった。 でも、暑い、暑い、頭がクラクラしてくる。水をガボガボと時々飲みながら試飲しないと倒れそうになる。 今回、CLUB PASSION DU VINの新人メンバーとなったYURIが初参加した。 あまりの暑さに熱中症の一歩手前えまでの症状。倒れそうになって、休み休みのテースティングとなった。 試飲している最中に太陽の位置が変化して体に日差しがあたる。木陰を探しながら体を移動する。太陽の日差しと隠れんぼしながらの試飲だった。 そんな中、会場の受付をやってくれたのは、ジェローム・ジュレの娘さん達。 可愛い笑顔で迎えてくれた。 つい最近まで赤ちゃんだと思っていたら、もうこんなに大きくなっていた。 子供の成長は凄いものだ。真ん丸く大きく涼しげな8つの瞳に見つめられると暑さも和らぐ気がした。 ≪ここからは、新人スタッフのYURIのレポートになります≫ ≪チョット書き加えあり、伊藤≫ 8月3日、晴天の中開催された、アルデッシュ地方の試飲会に行ってきました! ↓ ご存じの方も多いかと思いますが、念のためアルデッシュの位置はこちらです ↓ アルデッシュ地方はローヌ川西側(右岸)に広がっており、北部と南部に分かれています。 北部はサン・ジョセフからローヌ川をはさんで右岸側、南部はコート・デュ・ヴィヴァレまで広がっています。 パリからは、試飲会会場近くのモンテリマーまでTGV新幹線で行き、レンタカーでローヌ川を越えてアルデッシュの会場、ジル・アゾニ醸造までGo! 伊藤社長の運転です。 会場の様子 飲会場に急ぐ 伊藤の背中 カメラを肩にかけての試飲開始。 試飲中の伊藤。 今、フランスで最も面白い自然派醸造家が多数誕生しているアルデッシュ。 今が旬のとてもアツい、たくさんの若手醸造家や熟練の域に達している世界から注目されている中堅の醸造家に会うことができました! 試飲キュヴェとともに、レポートさせていただきます。 ジェローム・ジュレ*JEROME JOURET 自然派ワインの中堅的存在。新人の醸造家の兄貴分としての存在感はさながら、とても親切で丁寧な人柄がワインに表れているようです。 暑い中ワインの温度が上がりがちな試飲会のなかでも、一番適温で出してくれ、細やかなところも 外さない、好印象でした!   在庫状況を聞くと、カバンから大きな一枚の在庫表を取り出した。 『これが私のコンピューターなんだ。』 ジェロームはパソコン、携帯電話は使わない。 すべてアナログで処理している。 ジェロームの人なりを理解できる。 […]

29
Déc

自然派ワイン見本市10 VINS COCHONS ディ・ヴァン・コション

12月6日にフランスのど真ん中の小さな町“CHATELDON”シャテルドンで大きな自然派ワイン見本市が開催された。シャテルドンとい云えば、微発泡ミネラル水で有名な町、いや町というより村と言った方がよい小粒の村。 どういう訳かそんな小さな村で、今の自然派ワインの主流の蔵元が殆ど集まる大きな見本市が開催された。もう10年も続いている。フラール・ルージュのジャン・フラソワ・ニック『10年前はほんの小さな見本市だったんだ。これがこんなに大きくなるなんて信じられない』と云っていた。 私は昨夜からオヴェルニュ地方に入った。昨夜はオヴェルニュの首都といえるクレルモン・フェランに泊まった。クレルモン・フェランと云えば、車のタイヤの生産会社のミッシェランの本社がある街である。また、日本でもお馴染みの軟水のミネラル水ヴォルヴィックのある街でもある。 昨夜はクレルモン・フェランの街で美しいクリスマス電飾を見た。街の教会広場にクリスマス用品を販売するクリスマス市場が設置されている。そこの電飾が他にはない大変豪華で綺麗な飾りだった。皆さんに写真を送ります。 明日はヴォルヴィックから40分ほどヴィッシ方面に行った村、シャテルドン村にて、12月恒例の自然派ワイン見本市が開催される。明朝は一番で見本市に入る為に今夜の内にヴォルヴィックのクレルモン・フェランに入った。こんなに美しい電飾を見れたのはラッキーだった。   10VINS COCHONS 見本市は朝の10時からだ。この種の見本市は朝の空いている時期に一挙に主だった蔵を周らないと進まない。午後からは身動きが取れない程混んでくる。ブースに近づくだけでも大変になる。 10:30に到着。まだ空いている。まだ到着してない醸造家も多い。この見本市は一般愛好家もクリスマス用のワインを購入にやって来る。 また、フランス中のワインビストロのも14産や瓶詰されたものを試飲購入する為に集まって来る。 パリからもヴェール・ヴォーレのシリル、コワンスト・ヴィーノのギオム、ガード・ローブのバッべトも来ていました。フランス中の主だったワイン屋、ビストロのいつものメンバーが揃っていました。   LE TEMPS DES CERISES ル・タン・ド・スリ-ズ LE TEMPS DE CERISESル・タン・ド・スリズのアクセル・プリッファを一番で訪問。超人気で中々ブースに近づけない。アクセルはもうラングドックの自然派では中心的存在になった。独立して11年が過ぎ。最近やっと自分の土壌が分かってきた。 アクセルは1998年にドイツから奥さんとキャンピングカーでやって来た。フラール・ルージュのジャン・フランソワ・ニックやラングロールのエリックについてワイン造りを修業した。2003年の独立して11年の歳月が流れた。経験が蓄積されてきた。 LA PEUR DU ROUGEラ・プール・ドゥ・ルージェという白ワイン。シャルドネ100%,やや濁酒の色合い、ビン内微発泡で心地よい泡があり。アブリコット系の果実味と酸が爽やかで心地よい。一仕事が終わった後にグイっとやりたいワインだ。 Les Lendemains qui chantent ル・ランドマン・キ・シャントという赤ワイン。多くの石英石を含んだ花崗岩質土壌のグルナッシュ100%を仕込んだ。450mという高い標高の北向き斜面。葡萄がゆっくり熟す。だからタンニンが上品。自生酵母でMC発酵、ピジャージなし PICATIER ピカティエ ピカティエのクリストフにとって、ここシャテルドンは地元のような感覚。一山超えればコート・ロアネーズになる。COTE ROANNAISE はオヴェルニュとボジョレの中間に位置している。 クリストフは独立する前は10年間もブルゴーニュでワイン造りの修業をしていた。ブルゴーニュのビオ・ディナミの先駆者ドミニック・ドゥランで農法を習得した。2007年に自分の出身地に近いロアネーズに葡萄園を手に入れてピカチエ醸造を設立。 マドレーヌ山の麓にあり、400mという標高の高さ、葡萄栽培の限界に近い。葡萄がゆっくり熟すのピカティエのワインの特徴を創り上げている。柔らかいタンニンと淡い果実味、そしてスカッとした酸が特徴のエレガントなタイプのバランスとなる。  ピカティエ醸造のcuvee 100%。 ガメ品種100%、気軽なワイン度100%,満足度100%の意。土壌は花崗岩が風化した砂状、リモンや粘土質が混ざっている。土の部分が深い。15~30歳のガメ。セミ・MC発酵、タンク熟成、SO2は添加ゼロ。スーと入る軽くてフレッシュ。 ピカティエ醸造のGamenits13ガメニッツ。45歳の古木、花崗岩の砂状。水捌けがよいからエレガントなワイン質、地下に花崗岩版あり、根っ子が岩盤に入り込んでいるからミネラル感が強い。自生酵母でセミMC発酵。 10日後にジュースだけを抜きとってCUVEE100%の発酵槽にいれた。その後MC状態で、何んと一か月間という長期のマセラッション、SO2無添加。熟成はシュール・リ・フィンでDEMI-MUIDS ドミ・ミュイの600Lの中樽使用。 1カ月間の長期マセラッションなのにエレガントなのはこの地の涼しいミクロ・クリマとクリストフがこの畑を知り尽くして、その葡萄に合う醸造上の対応をドンピシャリに合わせる事ができるようになったからだ。 1904年に植えた110歳のガメ品種。しかも10種類のガメ品種が混植されている畑。量が少ないので1タルを立てて発酵。除梗なしで6カ月のマセラッション。プレスもしないで流れ出たワインを直接に瓶詰。ロゼのように明るく旨味ものっていてエレガント。30本のマグナムのみ。   JULIEN ALTABER ジュリアン・アルタべール JULIEN ALTABER ジュリアン・アルタべールはブルゴーニュの数少ない期待の新人。ブルゴーニュのビオ・ディナミの盟主ドミニック・ドランの元で10年間も働いる。ビオ・ディナミ農法に関してはもう師匠のドミニックに劣らない実力者。 ジュリアン・アルタべールは醸造に関して、色んなアイデアを持っていた。2007年に自分のワインを造りたい旨を師匠のドミニック相談。ドミニックはまず自分の畑をジュリアンに提供して、SEXTANTの名前の名で独立。アットいう間に多くのファンを勝ち取っている。 […]

8
Nov

ブルゴーニュ自然派の中心、理論と感性で進化を続けるPHILIPPE PACALET

ブルゴーニュを代表する醸造家に 今や、フィリップ・パカレは醸造家としてブルゴーニュを代表する人物の一人となった。これは自然派、コンバンション(化学物質使用ワイン)を問わず、ブルゴーニュのワインとして名実ともにブルゴーニュの中心的存在になりつつある。自然派という範疇を超えたところで評価されている。 ブルゴーニュの内部でも醸造家同士の中でも 評価されているところに価値がある。   フィリップがジュル・ショヴェ博士と共同研究した成果 フィリップ・パカレはジュル・ショヴェ博士と自然酵母の共同研究をして自然なワイン造りにおける自生酵母の重要性を科学的検証をもって発表した人物である。フィリップは自然派ワイン造りをミステリー的にとらえることなく、あくまでも物理学、生物学的に説明できる唯一の醸造家でもある。 自生酵母の研究レポートの中でも最も強調しているのは次の点である。 畑に住む自生酵母は約30種類である。それぞれがアルコール発酵をバトンタッチの如くに引継ぎながら1度~13度程までのアルコールを生成する。特に大切なのは、発酵の初期に働く自生酵母群であるクロケラ酵母属のクロケラアプキュラタ酵母が最も優れた芳香性をもたらしてくれる。これらの酵母は低アルコール時のみ働ける酵母である。 フィリップの象徴的な果実風味はこの辺が大切なポイントなのだろう。   自生酵母とブルゴーニュ・テロワールの関連性を探究するフィリップ・パカレ 自生酵母の役割・発酵の5段階 フィリップはジュル・ショーヴェ博士との共同研究で学んだことを10年間のプリューレ・ロック醸造所の醸造長として実践してきた。 ブルゴーニュのテロワールの違いを、自生酵母群と関連づけながら実証してきた。更に独立してからの10年間、ブルゴーニュの各クリュの区画に生息する自生酵母と、各クリュの特徴的な風味への関連性をさらに深く探究してきた。 フィリップは醸造段階を下記の5段階に分けている。 それぞれの段階で働く自生酵母が違う。約30種類の自生酵母が、各発酵段階で働きアルコールを生成しながら、 テロワールの持つ独特な芳香をワインに醸しだしているのである。 自生酵母は、『テロワール』の表現においてカギとなる役目を果しているのである。 1.潜伏期 = アルコール醗酵開始のタンク入れ段階  (1mℓ中100万の自生酵母) 2. 加速期 = アルコール5%までのピジャージュ開始段階 3. 指数増加期 = アルコール4~6% 4. 減速・停滞時期 = アルコール6~9% 5. 末期・終了期 = 糖値ゼロまで、アルコール13% ニュイ・サン・ジョルジュとポマールの土壌に住む自生酵母の種類構成が当然違う。その畑のミクロ・クリマ、つまり太陽のあたり具合、風の強弱、降雨量、土壌構成(粘土質と石灰岩盤構成率など)の影響を受けて、そこの畑に住む自生酵母群の種類構成が違う。 その違いがポマールとニュイ・サン・ジョルジュの風味の違いとなる。5段階のそれぞれのスタードで働く自生酵母がカギだから自生酵母を弱体化させるSO2酸化防止剤を使用しない。 フィリップにとっては収穫・醸造は、一年に一度しかできない大切な 実験・検証の時期なのである。静かな醸造所の発酵槽の中では、何千億という天文学的数の自生酵母が、物凄い勢いで動いて発酵を続けている。それぞれの段階にある酵母菌が元気に働きやすいように見守っている。微生物たちとブルゴーニュ・テロワールの関連性探究に25年、どんな年でもあのパカレ独特のピノ風味を楽しませてくれる。パカレにブレはない。 土地代の高騰が表面化するブルゴーニュのアンニュイ ブルゴーニュ醸造家の悩み そんなフィリップ・パカレにも悩みがある。ブルゴーニュの土地代の高騰である。3年前に中国人がブルゴーニュの畑を法外な高値で買い取った。その影響で一挙に土地代が高騰した。土地代が上がれば、葡萄の価格も当然あがる。2012,2013年と天候不良による生産量の激少も手伝って、ここ3年の高騰は異常な上がり具合となっている。 畑を借りて栽培・収穫した葡萄を買い取るパカレにとっては大問題である。ボジョレ出身のパカレにとっては、ワインはあまり高くしたくない心情を持っている。価格をあまり上げたくないけど、土地代は上がり続けている。ここがフィリップの最大の悩みだ。 ワイン造りとは直接に関係ない方面からの問題が発生している。 他の地方にはないブルゴーニュ病ともいえる現象だ。ボルドー、シャンパーニュ地方の大手企業が金権経営するようなところでは同じような問題が存在する。しかし、ブルゴーニュのように小さな農家・醸造家が多いところでは生活に直接ひびく大問題になる。例え畑を所有していても土地代が高騰すれば、相続税が莫大になる。利益を確保していないと畑を売らないと相続税が払えなくなってしまう。真面目に美味しいワインを造ろうと努力している農家的醸造家ほど厳しい状況となってしまう。これがブルゴーニュ病なのである。 他の地方の土壌・葡萄でフィリップ・パカレが醸すワイン そこで、フィリップは数年前より、他の地方の葡萄でワイン造りも開始している。 ブルゴーニュから離れた地で、昔から興味を持っていた土壌の葡萄を自分のやり方でワインを造りたかった。Cotes de Provenceに昔からビオ栽培を指導している葡萄園がある。 13年よりその葡萄でワイン造りを開始した。ブルゴーニュから離れた土壌で土地代の問題とは離れたところで、しかも興味深い土壌で、今まで蓄積した醸造理論でワイン造りをしてみたかった。ブルゴーニュをより理解する為にも必要だと考えた。   フィリップ・パカレ・ボジョレ・ヌーヴォ2014 ピノ・ノワールのように醸すパカレ・ヌーヴォ 2014年はフィリップにとっては理想に近い天候だった。  5、6、7月は天気が良すぎた。ピノもガメも北の品種である。あまり天気が良すぎても“らしさ”が消えてしまう。8月の曇り空、冷夏がフィリップにとっては最高の条件だった。何故なら、8月が暑いとポリフェノールが熟しすぎてガメイ“らしさ”の繊細な果実味が消えて強くなりすぎる。今年の冷夏はフィリップにとっては救いの神だった。 春から初夏の晴天続きで葡萄が早熟ぎみだった。8月の冷夏、淡い太陽でゆっくりポリフェノールが熟した。良質な タンニンが得られたのである。 バランス感覚の素晴らしいヌーヴォーのスタイル 2014年が瓶詰された。 今年はアルコール発酵が順調で例年より早めのスピードで進んだ。自生酵母が元気だった。キューヴェゾン(カモシ)期間は10日間だった。 冷夏だったわりには色が混い目に抽出された。美しいルビー色。軽めのアルコール度。 酸の爽やかさが中心となって、その周りをガメのマセラッション・カルボ醸造独特の果実味でオブラートされている。単に軽めのワインではなく、花崗岩のミネラルが芯を支えている。 『今年の自生酵母達が一所懸命に働いてくれました。酸のフレッシュさが特徴、  本当に心地よいバランスに仕上がりました。楽しんでください。』パカレ

25
Oct

元祖自然派ラピエール家2014歓喜の収穫が完了

完璧な葡萄のみを発酵槽に!大成功! VIN NATURE ヴァン・ナチュル自然ワインの宗家といってもよいラピエール家の収穫が無事に終えた。9月4日に始めて9月25日に終えた。収穫人67人で22日間かかった。 67人を5グループに分けて別々の区画を収穫した。ベテラン組、超プロ集団組、ノーマル組3組,計5チームに分けた。 超プロ集団は10人で30人分のスピードで進んでいく。ベテラン組は選別作業が必要で難しい区画を担当した。 残りは例年の如くのノーマルな4つのグループとなった。これはマチュのアイデアだった。 これには理由がある。 マチュの秘策で災難を無事クリアー  今年は雹が3度、モルゴン村を襲った。ラピエール家の葡萄も逃れことはできなかった。その後にSUZUKIと呼ばれている虫も発生した。この虫は葡萄の皮に穴をあけて、そこから腐敗が始まっていく。 収穫直前の8月後半に入っ  て、マチュは葡萄園を観察しながらこの被害に気付いた。区画によっては、あまり待てない状況だった。 やや早めの9月4日に収穫を開始した。モルゴンの畑から始めた。腐敗から守る為だ。超プロ集団とベテラン組のスピードが必要だった。これが成功した。 幸いにも、14年は葡萄房の数は多めの方だった。選別作業(いい葡萄と悪い葡萄を区別したり、一つの葡萄房でも悪い分部だけを切り落とす作業)をかなり厳しくやっても、ある程度の収穫量を確保できた。問題は収穫に時間がかかることだった。22日間という時間がかかったけど結果的に本当に健全な葡萄だけを選んで発酵槽に入れることができた。災難を完璧にクリアーできた。   2014年のラピエール家の事実上の醸造長は長女のカミーユだ! 総監督にマチュ、収穫管理長にマリー マルセルが世を去って4年が過ぎた。自然派ワイン宗家として家族一丸となって前に進んでいる。長男のマチュが醸造責任者になってからの方が繊細さや上品さなどは一段とレベルアップしたと世界のファンよりの評価を得ている。 そのマチュも今年は醸造だけに打ち込む時間が取れなかった。  67人の収穫人の移動と時間プログラムの組み立てと管理も同時に担当しなければならなかった。 毎日、収穫が終わった夕刻に醸造元内にあるテーブルでは、その日の進み具合と次の日のプログラムの組み立ての作戦会議をやった。一年間の仕事の総決算の収穫を無事終わらせる為にファミリー、ベテランが一つになって事に当たっている。 今年の大きな変化と戦力となったのが長女カミーユの成長だ。 カミーユはソムリエの資格もとってロンドンやフランス国内のレストランで修業した。その後2年間ブルゴーニュのワイン学校で勉強。ワイン造りはマルセル生存中から一緒に経験してきた。 マルセル亡き後、マチュと二人で醸造を経験してきた。マチュも カミーユのテースティング能力と醸造センスには正直驚いていた。 マチュも今年のような特殊事情の機会にカミーユにやらせようと 決断。カミーユも責任をもってやってみたかった。 勿論、後ろにマチュの監督・援助があるのは当たり前だ。 そして、次女のアンヌがいる。根っからの明るい天然娘である。 そこに居るだけで周りが明るくなる雰囲気を持った女性だ。 時には収穫を、時には醸造を手伝って周りを盛り上げた。   マルセルが愛したコート・ド・ピィの丘を背に収穫するラピエール軍団 収穫は朝7時に始まって10時に休憩が入る。 醸造所に近い時は、醸造チームもやって来て一緒にカスクルット(間食)を食べる。 結構、朝から働いていると、お腹が空くので 皆チーズにパンにワイン。デザートにチョコレートそしてコーヒーもある。 全体を観ながら、収穫プログラムを組み立てているマチュも進み具合をチェックにやって来る。それによってプログラム修正を を考える。思うように収穫ピードが進んでいないようだ。 マチュは、恐らくあまり寝てないのだろ。2週間目ぐらいで顔が少しむくんできたような気がする。 中腰で葡萄を切って、立ち上がって移動する。スクワット運動で足腰がグロッキーになる。   ラピエール家の収穫は常にプラス・エネルギーと笑顔、そして厳格さ! 厳格な選別作業、葡萄の悪い分部を切り落とすことを徹底している。 葡萄房をとってから 悪い部分(傷んでいたり、腐りかけている部分)を切り落とす作業。 だから時間がかかる。 偶然に、繊細で美味しいワインはできない。 ここまで徹底して実行している例を、私は見たことがない。 何百社という醸造所の収穫を見てきたけど、ここまでの厳格さは存在しない。多分、世界一だと思う。さすがラピエール家だ。 葡萄園に設置された運搬用のケースに運び込まれてくる収穫葡萄を更に、ここでもベテランが監視の目を光らせて厳しく 選別している。 この選別作業は、マルセル生存時より厳しくなっている。ホントにワインが繊細に美味しくなっていると評価、その理由の一つはこの選別作業にある。   収穫・醸造・写真 […]

22
Oct

PUR NOUVEAU 天才肌のシリルと重戦車フロリアンの合体・ピュアー・ヌーヴォー

PUR NOUVEAU 天才肌のシリルと重戦車フロリアンの合体!ピュアー・ヌーヴォー   シリルの泉の如く溢れ出るアイデア、それを着実に実践・実行に組み立てていくフロリアン。最強の二人が合体した。 シリルが目指すのは、自然派ワインの祖、ジュル・ショーヴェ博士が実践してきたことを再現すること。 ジュル・ショーヴェ氏の実家はボジョレーのシャペル・ド・ゲーシャ村でワイン商を営んでいた。科学者としての研究の仕事と実家のワイン商としてのワイン造りも実践していた。 フランスの英雄大統領シャルル・ド・ゴールが自宅で飲むワインはジュル・ショーヴェ氏の造ったワインだった。 シリルのお父さんはジュル・ショーヴェ氏の隣村でレストランを営んでいた。マルセル・ラピエールを中心に自然派醸造家が集まる溜まり屋的な存在の店だった。 シリルは小さい頃から自然派の人達に触れていた。ある時、大人達の会話の中でジュル・ショーヴェ先生の話を聞いた。化学剤を使わず昔ながらの本物ワインを安全に造る方法を研究・開発して実践している話だった。   マルセル・ラピエールやジャンフォワヤールなどの醸造家たち皆がジュル・ショーヴェを師と仰いで尊敬していた。 シリルはジュル・ショーヴェのようになりたかった。 つまり、栽培家から葡萄を買って独自の方法で醸造していたワイン商としてのジュル・ショーヴェ氏の仕事に興味をもっていた。 PURの会社を設立する時、住所をジュル・ショーヴェ氏がいたシャペル・ド・ゲーシャ村にした程である。 限りなくピュアーにワインを造りたかった。だから、社名をPURピュアーとした。   屈強なポーランド人ファミリーによるPUR NOUVEAU収穫     二つのスタイルのヌーヴォー PURピュールでは今年14年は白ラベルと黒ラベルの二つのボジョレー・ヌーヴォーを醸すことにした。 シリルがここ数年蓄積してきた経験とガメイ品種の二つの側面をこのヌーヴォーで表現したかった。 普通の醸造家はヌーヴォーに関しては一種類しか造らない。ここがシリルの普通ではないところである。   1) 軽快で繊細な果実味・エレガントなヌーヴォー 一つ目はザ・ヌーヴォーのスタイル。つまり軽快で水のようにグイグイ飲めてしまうヌーヴォー。 爽やかで軽快と云ってもシッカリ果実味が乗ったスタイルにすること。単に薄いワインではないことが重要だ。 その為に、普通より収穫を遅らせて、より熟した葡萄を収穫したのである。単なる薄目の軽いワインにしたくなかったのである。 つまり、葡萄のポリフェノールをより熟させて収穫したのである。エレガントな薄めのタッチでも果実味をシッカリ表現したかったのである。   薄さと濃さの臨界点を知るシリルの芸術的センス 普通、葡萄が熟せば濃いワインになってしまう。 しかし、シリルの芸術的醸造センスの手法では濃くならない。 心地よい繊細な果実味だけをワインに表現できる。 収穫した葡萄を除梗なしで丸ごと発酵槽に入れて、一切  触らない。セミ・マセラッション・カルボ(MC)発酵でも普通と違うところは、ピジャージュを一切しないこと。   ピジャージュによる必要以上のタンニンや色素が抽出されることを避ける為だ。 大切なことはマセラッション(カモシ)の期間である。今までのシリルの経験が生きる。醸造家としての腕の見せ所。 シリルはこの時期は発酵槽に張りついて、テイスティングを一日に何回も繰り返す。このカモシをやめるタイミングが数時間遅れるだけでも、一挙にワインが濃縮してしまうポイントがある。そのピンポイントを見極めるテイスティング能力とセンスが天才的と云える。 ピジャージュを一切しないので、結果的にカモシ期間は普通よりもやや長くなる。今年は8日間だった。それでも、色は淡く、繊細な果実味が乗ったエレガントなスタイルになる。 決して濃厚なスタイルにはならない。その臨界点を知るシリルのセンスが光る。抜群に美味しいヌーヴォーだ。 2) 濃縮感があってミネラル感もある筋肉質なヌーヴォー 二つ目は黒ラベルの男性的なスタイル。ボジョレ土壌の花崗岩のミネラル感がキッチリのっているスタイル。花崗岩独特のスパイシーさがある。男性的と云っても決して粗々さがないフィネス・上品さを残したワインがシリルとフロリアンの狙いだ。 ここで特筆すべきは、除梗したことである。 セミ・マセラッション・カルボ醸造からくる果実味が強調し過ぎることを避ける為だ。 花崗岩質土壌で育ったガメイ品種の深いところで眠っているミネラル感をより表現したかった。 除梗してもフラージ(潰す作業)をしてない。一粒一粒の葡萄の実がそのまま入っている。まるでキャビアのようだった。空気とは触れない密閉状態のまま発酵、当初は,一粒一粒の実の内部でMC発酵と同じことが行われている。 つまり、皮の色素やタンニンなどが果肉の方に移動している。 これで控えめで過ぎることがない果実味を得られることになる。 そして、アロザージを3回ほど実施した。タンクの下部から抜き取ったジュースをタンクの上から、まるで花に水を撒くように優しく、どこまでも優しく撒くことである。 […]

21
Oct

BEAUJOLAIS の若きスター・活力溢れるDAMIEN COQUELET ダミアン・コクレ

2014は27歳ダミアン・コクレの完全独立の年 今、ダミアン・コクレのワインは世界中から引っ張りだこである。 特に、アメリカでは大人気である。 ダミアンは、モルゴン村の自然派の重鎮デコンブの長男である。 お父さんについて子供の頃から葡萄園に行って遊んでいた。 葡萄園が遊び場であった。 葡萄には子供の頃から親しんでいる。葡萄が友達のような感じである。 ワイン学校に行って、ブルゴーニュ自然派の名醸造家フレデリック・コサールのところで修業を積んだ。 フレデリックとは今でも、時々行き来して公私ともに醸造・人生の先生でもある。 そして、もう一人、ローヌ地方のBEAUMES DE VENISEのFERME ST-MARTINギー・ジュリアンのところでも修業した。 ダミアンにはお父さんのデコンブとフレデリック、そしてギー・ジュリアンの3人の先生がいる。どれも自然派の一流の醸造家である。 今、ダミアンは27歳、2007年が初リリースである。 今までは、お父さんの蔵の片隅で醸造していた。 今年から 独自の醸造所を借り自前の醸造蔵を設立した。完全独立を果たした。 2014年が本当の意味でコクレ醸造の出発となる。   (尊敬するお父さんのジョルジュと) モルゴン村の重鎮達より愛されているダミアン 子供の頃より醸造家になる事を決めていたダミアン。 16歳頃には自らすすんでお父さんの農作業を手伝っていた。そんな一生懸命な若きダミアンを見て村の重鎮たちはダミアンのことを親戚の子供のように可愛がった。 2007年にシルーブルの小さな畑を譲ってもらって造ったのが初リリ-スとなった。2009年には何とモルゴン村の誰もが欲しがっているコート・ド・ピィ(旧火山だった丘)の最高の区画、ジャン・フォワヤールとマルセル・ラピエールの隣の畑を4ヘ  クタールも任された。これでダミアンは独立を決意した。   ダミアン・コクレ2014年収穫   幾多に危機を乗り越えて最良の葡萄を収穫 2014年はダミアンにとっては色んなことがあった。 5月から6月までは完璧な気候だった。このままいけばボジョレーで 世紀の年と云われた2003年の再来か、と思われた。 しかし7月に入ると水不足状態になってきたところに、なんと36度という猛暑が3日間も続いた。 特にモルゴン村の猛暑が厳しかった。ガメイ品種はフランスの北の品種である。36度という熱に耐えられる品種ではない。 葡萄の皮が焼けてしまった。しかし、幸いにも乾燥していた為に 焼けた分部から腐敗することが全くなかった。乾し葡萄のように乾燥していった。 そして、モルゴン村には2度の雹が降った。特に標高が高い区画に降った。ダミアンも僅かにやられたが被害は最小限に抑えられた。 8月の冷夏では葡萄の熟成スピードが驚嘆的に遅くなった。 特に標高が高いところにあるダミアンの畑は、熟成が遅かった。 収穫時期の決定には、特に迷った。モルゴンでは例年最も収穫開始が遅いのはお父さんのデコンブと通例になっている。 今年はお父さんより2日遅い18日よりのスタートとなった。もう周りの蔵は殆ど収穫を終えていた。待ったお蔭で葡萄が良く熟して完璧な状態で収穫できた。       ダミアン・コクレ・ヌーヴォーは最高のバランスに!! 最初に収穫したのは勿論ヌーヴォー用の葡萄である。 待ったお蔭で果実味豊かで酸も残った。 自然派ヌーヴォーらしい透明感のあるスーと入る飲み心地になるだろう。   収穫・葡萄園写真