10
Juin

ESPOAナカモト・ツアーが-ミレーヌ・ブリュ訪問

東京・世田谷区弦巻の酒販店“ナカモト”が愛好家と共にフランス醸造元巡り 東京・世田谷区弦巻の酒販店“ナカモト”がワイン愛好家と共にフランス醸造元巡り。ナカモトでは店内でワイン・スクールをやっている。そのお客さんと2年に一回フランスツアーを行っている。飲み手と造り手が顔を合わせるという夢のツアーだ。 ESPOAナカモト酒販店では,自然派ワインを積極的に販売している。食品などでも有機栽培や極力自然なやり方で、美味しくて、健康にもよく、地球環境にも貢献している商品を提供している。単にお金儲けだけではない商売をしている。 そんなナカモト店には、ナカモト・ポリシーに共感するカルチャー・クリエーティヴ層のお客さんが多い。 中本さん『いつもお客さんが飲んでいるワインを造っている蔵元を見てもらいたかった。自分が感動して、購入した理由を知ってもらいたかった。』 12人ものお客さんがやって来た。  『規模が小さくても、畑作業が何倍も大変な自然栽培をして地球を汚すことなく葡萄を育てているMYLENE BRUミレーヌ・ブリュの葡萄園をお客さんに見てもらいたかった。人生のすべてをかけて、本当に楽しそうにワイン造りに没頭しているミレーヌさんを見てもらいたかった。』中本さん  一見は百件に如かず。葡萄園を歩いて、乾燥した空気、風、野生香草の香り、馬で耕したフカフカの土壌、土壌にはミミズも微生物イキイキしている。 ワインの本当に大切な部分は、すべて“畑”にあることが理解できる。 日本でどれだけの酒販店がこんな夢のようなツアーを実行できるだろうか?中本さんの日頃からの誠実な商売のやり方がお客さんからの信頼を得ているのだろう。造り手も売り手も飲み手も同じような佳き人達が集まった。   葡萄園にテーブルを囲み造り手、売り手、飲み手が楽しくひと時を過ごす 夢の一期一会   お客さんの中には、ジャズ・シンガー、パイロット、元スチュアーデス、デザイナー、コンピューター技師など普段は全く別の分野で活躍するカルチャー・クリエーティヴな人達がワインを中心に集まってフランスの葡萄園で、楽しく素晴らしいひと時を過ごした。 ミレーヌの親友の料理研究家のイザベルさんがシンプルで美味しい手料理を作ってくれた。サンソー品種の葡萄の枝を焼いた炭でソーセージをグリエした。特別な燻製化があって最高に美味しかった。 ミレーヌさんの手料理は南フランス典型的な夏料理のラタトゥイユをソーセージに合わせた。シンプルな料理だけど愛情のこもった味わいに一同感激。どんな星付きレストランでも、葡萄園でこんな風に出される料理にはかなわないだろう。絶対に出せない旨味がここにはある。  デザートはイザベルが手造りのミラベル・タルト。ワインはミレーヌさんの初リリースの2008年のBORD GUEボーグを開けてくれた。857本しか造れなかった貴重な一本だ。 造り手のミレーヌから直接に話を聞きながら飲むワインは格別だ。葡萄園の風を感じながら、飲んでいるワインが生まれた現地で、葡萄が育った環境の中でのワインは特別に葡萄の気持ちが伝わってくるような感じがする。 忘れられない一期一会だった。 人生一度だけ!夢、やりたいことを実現中の進行形! ワイン造りが楽しくて!今が最高! ミレーヌさんはコルビエールの葡萄栽培家の家に生まれて育った。小さい頃からお祖父さんと葡萄園に一緒に行き、いつも葡萄園で遊んでいた。その頃からワインの造り手になりたかった。しかし、両親から反対されて夢が実現できなかった。 ワインの勉強は確りやって、パリでワインの先生をしたり、ソぺクサで働きながらチャンスを狙っていた。離婚を契機に故郷のラングドック地方に戻ってきた。 葡萄園を探しに車で走っていた時、この畑に巡り合った。ラングドック地方の大都市モンペリエからたった20キロ程の所に、信じられないほど野性的な風景と環境を備えた畑だった。小さい頃、お祖父さんに連れていってもらった故郷のコルビエールの景色に似ていた。しかも、小さな畑区画を手作りで丹念に畑仕事をしているのが分かる。手間暇のかかるゴブレット株仕立てである。ちょっと歩いたところにシャスラ品種の区画があった。ミレーヌ『その畑に立った時、“ここだ!”』と体中に電流のようなものを感じた。景色がコルビエールそのものだった。 その足で村の役場に行って台帳を調べて所有者を確認した。 オーナーのクリスチャンさんは14歳の頃からこの山の木を抜いてコツコツ開拓して、葡萄木を植えて育ててきた。丁度その時 クリスチャンは大病にかかって入院していた。ミレーヌさんは病院まで行って、この畑を購入したい旨を伝えた。体力が弱っていたクリスチャンは承諾した。その後、元気になって今でも畑仕事を手伝ってくれている。色々アドバイスもくれる。   小さい頃から日本大好き人間だったミレーヌさんは、 1年前に日本にやって来た。 小さい頃からの2つの夢、一つはワイン造り、二つ目は日本へ行くこと、もっと日本を知ることだった。  ミレーヌ『日本人は繊細で本当に佳いのもを理解する能力をもっている国民である。』 『芸術の世界でも、職人の世界でも日本が最初に認めて、その後に世界中が認めるようになるケース多い』 福岡市のフレンチレストラン、コキーンヌにて 『日本の酒販店や愛好家の人達に自然派ワインの造りを分かってもらいたかった。美味しいワインを造る為に敢えて困難なリスクの高い栽培や造りをやっていることを説明したかった。私達のやっていることは、単に美味 しいだけではなく、飲む人の健康にも、地球 のことも考えて継続可能な世界造りをやっている事  も知ってもらいたかった。』ミレーヌ 大阪の自然派ワイン・ブラッセリーブーにて ⇚ 東京神田の居酒屋・天狗にて   日本食と自分のワインの合性も色々発見できた。 ワイン造りのヒントにもなった。 自分が想像していた以上に日本という国が素晴らしい国だということも理解できた。 ⇓ 東京・有楽町のブラッスリ・オザミにて 特に日本人の国民性には驚いたとのこと、まず人間性が根本的に優しいこと。違う文化のものでも、いいものを認めて理解しようとする心があることに本当に驚いたとのこと。 いいものが分かる繊細な心があることを再確認した。   2014年LADY CHASSELAS レディー・シャスラ用のシャスラ品種の花が満開 2014年、葡萄の花の開花が始まった。昨年はフランス中の葡萄園の開花時期の天候が悪く収穫量が激小だった。 […]

27
Mai

GREGORY・GUILLAUME * 地質学・鍾乳洞研究家からの転身、静かに燃えるグレゴリー・ギオム

新しい自然派醸造家が生まれやすい南アルデッシュ地方 南ローヌ河右岸のアルデッシュ地方が今面白い。ここには自然派の原点的存在のドメーヌ・マゼルのジェラールド・ウストリックがいる。若手への援助・アドバイスを含めて親身になって面倒を見てくれる。そしてもう一人、中堅的存在のレクラパスのジェローム・ジュレもいる。ジェロームは皆の兄貴的存在でより細かなアドバイスをしてくれる。この二人のお蔭でここアルデッシュ地方には新人醸造家か多く誕生している。  年に一度 “自然派ワインの真夏の祭典”アルデッシュ自然派ワインの大見本市と夕べを開催する。日中は試飲会、夕べは豚の丸焼きを分かち合い、朝まで、食べて飲んで歌って踊ってのお祭りを開催している。この祭典のお蔭でパリのワイン屋、ビストロ、世界中の自然派ワインバイヤーもやって来る。若手ワインの買い手も直ぐに見つかるシステムができている。 マルセル・ラピエール系の自然派ワイン造りを継承 そんな若手の中でも群を抜いて高品質なワインを造るのがこのグレゴリー・ギヨムである。研究者としての追及心や物事の分析能力がワイン造りに生かされている。グレゴリが初めて自然派ワインを飲んで感激したのは、自然ワインの軽快な果実味だった。まるでブドウジュースのようにグイグイ飲めてしまうワインに感動したのだった。グレゴリーは、マルセル・ラピエール系の自然派の造り、除梗をしない葡萄房(グラップアンチエール)をそのまま発酵槽に入れる、セミ・マセラッション・カルボ醸造の典型的な自然派のスタイルをそのまま継承したのである。グレゴリーは自分なりの工夫をして灼熱の南の太陽を上手に調整してより果実味があって、より軽快で葡萄ジュースのようにグイグイ入ってしまうビュバビリテー最高のワインを醸すことに情熱を燃やしている。   ジェローム・ジュレとの人生を変えた出会い シャンパーニュ地方出身のグレゴリーがここアルデッシュ地方にやって来たのは、この地方の古い石灰岩盤の下に鍾乳洞系の洞窟が多く存在しているからで、洞窟研究者として調査・研究にやって来たのである。ある時、鍾乳洞の中で醸造家ジェローム・ジュレに出会う。人間的にも素晴らしいグレゴリーとは即家族同様の付き合いを始めた。この地方の人達の飾らない純粋な人間的な付き合い方にシャンパーニュ地方のギヨムは感動した。そして、ジェローム・ジュレの造ったワインの美味しさに驚愕した。自分が今まで飲んでいたワインとは全く違う美味しさに驚いた。それと同時に興味がわいてきた。ジェロームにお願いして醸造元で働くことにした。もともと研究者だったグレゴリーは自然派のワイン造りにのめり込んでいった。 山奥に標高の高い畑を手に入れた。 11年にアルデッシュ地方の山奥にビオ栽培の畑をやらないかと提案があった。標高が300mと高い。軽快な酸を狙うグレゴリーには絶好の条件だった、即断した。ジェローム・ジュレのところで学んだことを自分なりに改良したいところが既に沢山あった。 グレゴリは、より果実味を強調させながら、同時に酸を落とすことなく、そこにピュアーなミネラル感、さらに軽めのアルコール度数でバランスをとることを追及したかった。標高が高いことは最高の条件だった。 入手した畑の更に標高の高いところには、120年前フィロキセラの害以前は葡萄園だった段々畑が放置されて野生化している。グレゴリーはその段々畑も将来的には復活させたい。数百年前はローヌでも銘醸地として知られていたアルデッシュ地方の幻の畑である。 馬による農作業を開始 ピュアーさをより表現するには、徹底した自然栽培をする必要がある。スカッとしたミネラル感と酸をワインにもたらしてくれる。自然派独特の透明感がワインに表現される。その為には根っ子が地中深く伸ばして石灰岩盤のミネラルと水分を葡萄にもたらしてくれる必要がある。グレゴリは土壌を最大限にイキイキさせるには、馬での農作業が不可欠と判断。トラクターの重量で畑の土が潰されることなくより活性化する。 先人達の仕事を受け継ぎ土壌の“力”をワインに グレゴリー『自分の直接の先祖ではないけど、村の先人達が、栽培が困難な山を開拓してテラスと呼ばれる段々畑を造ってくれた。農機具がない時代には大変な作業だった。一生をかけて開拓した畑に違いない。それを引き継げる私達は本当に幸せなことだと思う。』 段々畑の作業は手間暇がかかって引き継ぐ人がいなかった。グレゴリーは先人達の仕事に敬意を持って復活させている。   日本の酒販店グループ・ESPOAのメンバーがグレゴリー・ギヨムにやって来た! エスポア・グループは全国に約100店ほどの酒販店がある。ワインを中心に自然で美味しい食品など『人にも優しく、地球にも優しい商品を提供する』 熱心な酒販店の集まりだ。 無名でも本当に佳い商品、美味しい商品を売ることに努力する酒販店グループである。当然、無名の商品を売るには数倍の労力が必要だ。 しかし、無名の商品を売る為に、お客さんとの接点を大切にして、“信頼”を得るためにあらゆる方面から最大限の努力をしているグループである。 ⇚ グレゴリの醸造所。村の空き倉庫を改良して醸造している。規模の大小   有名・無名では判断しない。ワインの中身、本物度で取引を決める。 自分の目でチェックしてない醸造元は販売しない。 ワインに関しては、自分達で訪問して畑が生きているか? 造り手の人間としての人柄は?  醸造方法も妙なものを使っていないか? どこまで自然で、何故美味しいのか? ただ美味しくするために地球を汚していなか?などを確認して販売している。毎年、仲間の誰かがフランスにやって来る。もう20年間も買付ツアーが続きている。レポートを全仲間に配布している。 新ミレジムをチェックするエスポア・メンバー 自然派は毎年ワインのスタイルが変わる。 毎年、新ミレジムが完成する5月に訪問して今年のスタイルをチェックして仲間に伝える。 造る人と売る人が共に生きる 醸造元にとっても、自分のワインを実際に販売している人達の意見を聞けるし、 自分のワインがどんな風に評価・販売されているか?を知ることができて、 安心すると同時に“共に歩んでいる”という勇気・やる気が出てくる。   まだ、ビン詰前の樽熟成中のワインが試飲できる。まだマロ・ラクティック発酵が終わっていないワインがどんなものか?も経験できる。 数か月後にはこのワインが自店に入荷される。 プロのワインバイヤー達がするような体験を、ESPOAメンバーはやってしまっている。こんな酒販店グループが日本に存在していることに誇りを感じる。 パリのワイン屋でも、星付店のソムリエでも実際に訪問に来る人は少ない。 電話で注文すれば、翌日には店に配達される。わざわざ遠いフランスまで来る必要はない。でも本当に大切な“商売”の神髄を忘れてしまっているのではないだろうか? 自分の売っている商品の中身を熟知して、信頼できる商品を自信を持って販売している小売店が、どれだけいるだろうか? 安いもの、売れやすいもの、有名なものばかりに手を出して価格競争に追われた商売に巻き込まれることなく、自信を持って売れる商品を提供して、お客さんの“信頼”を得ることができ、仲間とも情報を提供しあえるESPOAは凄い。 右から、東京のみどり屋さん、福岡の ナカムラさん、山口のやまだ屋さん、小松のもりたかさん、皆、自分の街では、ワイン愛好家から絶対の信頼を得ている一番店の人達だ。 皆、忙しい時間を割いてこのツアーに参加している。それぞれの店の得意分野が違う。商圏も違う。 このグレゴリーの13年産のワインを飲んで意見や感想が全くちがう。 このツアーでは本音で話し合える。この点がこのツアーの最も価値のある部分だろう。 例えば、小松の森高さんは、グラップ・アンティエール(除梗なし)のセミ・マセラッション・カルボニック醸造の自然派がやや苦手だった。でも福岡の中村さんは得意中の得意な分野。   L’EPICURIENエピキュリアンはグルナッシュ品種をセミ・マセラッション・カルボニック醸造で仕込んだ。 フレッシュで、果実味が全面に出ていて、葡萄ジュースのようなワイン。繊細なグレゴリーが工夫を重ねて、南でありながら軽快でグイグイ入ってしまう自然派の典型的なワインを造りあげた。 […]

21
Mai

名古屋の新店舗丸の内「RougeQueus」をご紹介!

名古屋に新店舗オープン!地産地消のお料理と自然派ワインが楽しめるフレンチレストラン! 丸の内「RougeQueues」 今月初めに名古屋の中心地、丸の内に新しいお店がオープンしました。 その名はROUGE QUEUES ルージュ・クー。 なんと!ブルゴーニュの自然派ドメーヌDOMAINE DES ROUGES QUEUESと同じ「赤い尾の鳥」という名前のフレンチレストランです。   ドメーヌの名の由来は、オーナーが以前購入した家を建て替えたとき、古い家にあった小鳥(ロシニョール・ミライユ)の巣を気付かずに家と一緒に壊してしまい それでも、赤くて長い尾を持ったこの渡り鳥がまた帰ってきてくれることを願い、つけられたと聞いています。 小鳥たちは数年前から春になると本当に戻ってきてくれるようになったという温かい話もあるようですが、 同じ名前のレストラン「ROUGE QUEUES」にも、この温かい話を思い起こすような、なんとも包み込むような雰囲気があります。   オーナーの松岡充宏さんは古典的なフレンチをベースに斬新な料理を生み出す実力派シェフであり、ソムリエの資格を取得する程のワイン好きでもあります。 安心感のある揺るぎないお料理とお店の雰囲気にも合った優しい味わいの自然派ワインを心ゆくまで堪能できる、そんなレストランです。 その日に仕入れた地元の有機野菜やお肉をそれぞれの食材にあった日替わりのメニューで楽しめます。   リーズナブルで良質なワインを楽しませてくれるブルゴーニュでは貴重なドメーヌ! Domaine des Rouges Queues   ここでレストラン「ルージュ・クー」でも、もちろん味わえる!そして、このレストランの名前にもなっているDOMAINE DES ROUGES QUEUESの紹介をしたいと思います。 オーナーはジャン・イヴ・ヴァンテイ。ブルゴーニュ地方シャサーニュモンラッシェ地区の南部のサントネー丘に位置するマランジュ(AOC Maranges)地区に所在。 ジャン・イヴは小さい頃に祖父母がぶどう畑を所有していたため、ぶどう畑にいつも親しみ、自然が大好きな少年でした。 ボーヌの農業学校を卒業してからはコート・ド・ボーヌのワイナリーで経験を積み、その後、自分のワイナリーを持ちたいと思っていた彼に マランジュの見事な立地条件の畑を取得するチャンスが訪れます。 理想のワイン造りを実現出来そうなぶどう畑(1ha)と一軒の家を購入し、ワイン造りを始めたのは1998年。 初年度はネゴシアンへの販売料が多かったのですが、ワインの品質が認められ3年目にして全てを自社でビン詰めをするようになります。 秀逸なワイン造りに重要な点は、栽培や醸造に対する厳格さと情熱、そして”優れた畑”であり ワインとは、ぶどう畑を尊重した栽培をすることだと信じ、自然を大事にした栽培、すなわち除草剤や化学肥料など化学合成物質は一切使用しない ビオディナミを取り入れています。 現在は複数のアペラシオンで合計4haの畑から高品質なワインを造り上げ人気のワイナリーとなっています。 畑仕事は常に奥様のイザベルと一緒。仲睦まじいご夫妻が生み出すこのワインは高価なブルゴーニュにありながら親しみ溢れる味わいを醸し出しています。   是非、このドメーヌと同じ名前のレストランでルージュ・クーのワインを味わってもらいたいものです。 この他にもレストラン・ルージュ・クーでは美味しい自然派ワインが沢山楽しめます! ←<AOC Bourgogne> ブルゴーニュ・ルージュ ←<Rouge, AOC Hautes Cotes de Beaune> オート・コート・ド・ボーヌ […]

20
Mai

Cave Augé * カーブ・オジェでローヌの試飲会

パリに春が来た!  お日様がポカポカ照らす中、Cave Augé * カーブ・オジェにフラッと遊びに行きました。そしたらラッキー!ローヌ地方の試飲会が行われていました!  久しぶりに会う醸造家たち!うれしい! 皆も良い天気なののでニコニコ! そして妊娠中の私に、<自然派はちょっと飲んでも大丈夫だよ!逆に赤ちゃんも喜んでるよ!>とのこと・・・ 本当ですか?!でも美味しいからちょこっと飲んでしまう私・・・         Hervé Souhaut, Domaine Romaneaux Destezet*エルベ・スオー、ドメーヌ・ロマノ・デストゼのヴィオニエで造られた白はピュアで一番美味しかった!そして大好きなSt Epine*サント・エピヌは上品でウッカリと飲んでしまう 、繊細でセクシーなワイン!久しぶりに奥さんのベアトリスにも会えて、なんと気づいたら2人で30分も話し込んでしまった・・・娘さんたちの出産話や、エルべと結婚してよかった事とか、色々と教えてくれました!        Alain Allier, Domaine Mouressipe *アラン・アリエ、ドメーヌ・ムレシップのワインは相変わらずフルーティーで夏にはぴったり!特にサンソーが含まれたPitchounet*ピッチュネは冷やして飲んだ一本なんてあっという間に無くなってしまいそう!それに比べてより濃厚な、グルナッシュとシラーで出来たCacou*カクーも飲みやすい!今年は冬もそれほど寒くなく、春も早めでしたので、8月の半ばには収穫開始するかもしれないらしいです!      Nicolas Renaud, Clos des Grillons*ニコラ・ルノー、クロ・デ・グリヨンは私が大好きな生産者!優しくて、シャイで、きれいな目で・・・しかも2008年が初ビンテージ、まだワイン造りを始めて10年も経っていないのに、とても綺麗で真っ直ぐなワインを生み出す、ラングロールも一押しな作り手!特にキュベ・1901(コンクリートの卵形タンクで出来上がったウニィ・ブラン)は繊細で、香ばしく、今回一番ウットリしたワインです。夏にピッタリなLes Grillons *レグリヨン2013もスッキリとしてレモンスカッシュのように、サッパリ!そしてムルべードルの赤も、酸味がありフレッシュでスイスイといけそう!       そしてL’Anglore*ラングロールのTavel*タベル2013は、まだビン詰め前なのに、もう完璧に仕上がっています!赤フルーツいっぱいな香りに、ちょっぴり残るスパイシーさ。香りを嗅いだだけで、すぐタベルだと分かる絶対・確実さ、やっぱりエリックはすごい! ほかにも・・・ La Vieille Julienne, Chateauneuf du Pape *ラ・ヴィエイユ・ジュリエンヌ、シャトーヌフ・デュ・パップ09を試し、<オオオーこれは赤いジューシーなお肉と飲みたい>と思い、 Gilles Azzoni, Le Raisin et l’Ange*ジル・アッゾニ、ル・レザン・エ・ランジュと今後のことを話し合い、 ラングロールの奥さん、マリー・ジョと、レストラン、ジュール・ド・フェットのオーナー、ビュッシュ […]

14
Mai

YANN DURIEUX 伝統で化石になりそうなブルゴーニュに新風を吹き込むヤン・ドリュー

ヤンは10年間、プリューレ・ロックで栽培責任者として働いている。今も続いている。伝統で押し潰されそうなブルーゴニュで果敢に新たなブルゴーニュ・スタイルの革新に挑戦しているヤン・ドュリュー。 いい意味でも悪い意味でも膠着して動きようのない伝統のブルゴーニュで、“オヤ、こんなブルゴーニュが?”と多くの人が待っていた新しいスタイルの醸造家が誕生した。 ヤンは33歳、お父さんも醸造家である。しかし、除草剤、殺虫剤、化学肥料を使う普通の造り手。ヤンはそんなワイン造りをしたくなかった。まず、ブルゴーニュの一流畑がどんなものなのか、を知りたかった。人を介してプリューレ・ロックで働くことができた。 当時のロックはフィリップ・パカレが去って3年が過ぎていた。 ロマネ・コンチのオーナーでもあるアンリー・フレデリック・ロックが自ら陣頭指揮を執りながら、フィリップ・パカレの後継者としてのニコラ・テスタ-ルを醸造責任者として育てながら頑張っていた時代だ。 フィリップ・パカレは栽培も醸造も責任者としてやれる才能を持ち合わせていた。若手には二つの任務は重すぎる。アンリーは栽培責任者としてこのヤン・ドリューに目を付けた。真面目な性格、コツコツ黙々と働く姿、研究熱心な姿勢、そして何より強靭な体力が備わっている若者である。  そして10年の歳月が流れた。ヤン・ドリューは10年間もブルゴーニュの一流中の一流畑の栽培に集中できた。ヴォーヌ・ロマネのクロ・ゴワイヨット、シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ、クロ・ド・ヴージョなどの一流畑を自分の手で10年間も栽培して学んだ蓄積がある。ある意味、ブルゴーニュのテロワールの栽培に関してはフィリップ・パカレ以上に経験を積んで、細部まで熟知したといってもよい。   ブルゴーニュ伝統を蓄積して、次元を超えたブルゴーニュへ!アッセンションへと導くヤン   ヤンはただ闇雲もニュースタイルを狙っているわけではない。 ブルゴ-ニュの神髄を熟知した上で、この伝統の中でまだ誰も挑戦した事がない死角・分野があることがヤンには見えている。  これは自分のような立場の人間しかできないことも解っている。途轍もない挑戦であることも解っている。 でも“自分がやらずして誰がやる?”  10年間、そうそうたる特級畑の栽培を実際に手がけてきて、特級畑の何たるかをわかった人間しかできない発想がある。 ヤンのお祖父さんも栽培家だった。数年前よりお祖父さんのオー・コート・ド・ニュイ地区の畑を引き継いで栽培・醸造をやって来た。もちろん、ロック氏の了解を得てプリューレ・ロックの醸造所内を借りてワイン造りも手掛けた。 ロックの葡萄とオー・コート・ド・ニュイ地区の葡萄を比較しながら醸造できた。 ヤンの目指すワインは“限りなくピュアなワイン” ピュアである為には、綺麗な酸、ミネラル、果実味、この3つのバランスが必要だ。ヤンが栽培を手がけているロックの特級畑が正にこの三者のバランスが傑出しているクリマを備えている。その何たるかを熟知している。   限りなくピュアーなワインへの探究!     ヤンはプリューレ・ロックでの10年間のミレジムの栽培に適応してきた。 強烈な太陽の年、強烈な湿気の年、結実が長期間に渡った年、生育が極端に早かった年、色んなミレジムでも栽培の対応次第で十分にバランスの取れた 葡萄を収穫して、酸、ミネラル、果実味の三者のバランスのあるワインを造りあげてきた。 ヤンは挑戦した。オー・コート・ドニュイの畑で栽培の工夫でどこまでのレベルのバランスが造りあげられるか? オー・コート・ドニュイは標高が400mと高い。酸は確保できる。土壌は基本的に粘土石灰質土壌、粘土質の土の部分の深さが違う。元海底であったロッシュ・メール(海の岩)と呼ばれる石灰岩盤がどの深さに位置するかでミネラル感の表現が微妙に違ってくる。  この三年間は特級畑の栽培とオー・コート・ドニュイの畑の栽培を同時にこなしてきた。そしてそこから収穫した葡萄をプリューレ・ロック醸造所の一角を借りて醸造した。偉大なる“気づき”がそこにあった。 ブルゴーニュの等級畑はワイン法で決められた絶対的なものだ。ヤンはそれに異論を挟むつもりは全くない。  しかし、特級畑に見合う栽培をされたことがない未知の畑がまだブルゴーニュの至る所に存在している。 ヤンは経験上でほぼ確信している。   早朝から夜まで心身ともにブルゴーニュの畑仕事に明け暮れるヤン     この3年間、特に昨年は早朝から深夜まで畑仕事に明け暮れた。寸暇を惜しんで働いた。 家に帰って寝て、早朝に起きて自分の畑を耕して、日中はプリューレ・ロックの畑を耕し、また夜は自分の畑を耕した。フランスは春から夏は夜10時まで明るい。日の出入りと共に働いた。いや今も続いている。ここまでブルゴーニュの土壌に心身が解けるまで浸かった人間しか見えない事がある。 ここ3年間でヤンがオー・コート・ド・ニュイの畑で栽培し醸したワイン達が世界中のブルゴーニュ・ファンを震撼・感動させた。真っ直ぐで、ピュアーで、エレガントの評価が多かった。まさに酸、ミネラル、果実味の微妙なポイントのバランス感覚だ。ロックとも違う、パカレとも違うポイントのバランスだ。もうヤン流のスタイルが出来上がっている。 ヤンは決意した。正式に醸造元を立ち上げた。 その名前はRECRUE DES SENSルクリュ・デ・サンス。 13年は醸造所付きの家を買い入れて大きな投資をした。今は醸造、熟成、瓶詰まですべて自前の醸造所でできるようになった。 そして13年はMOREY ST DENIS モーレイ・サンドニとGEVREY CHAMBERTAIN ジブリー・シャンベルタン村の90歳級の古木の畑を借りることができた。これはヤンにとっては清水の舞台から飛び降りるような賭けだった。ブルゴーニュのこの種の畑の賃借は膨大なお金が必要だった。ゼロから始めたヤンにとってはリスクが大きかった。   ブルゴーニュの等級格付けでは語り尽くせないワインが次々登場するだろう!     13年は12HL/Hしか収穫できなかった。狙った半分の収穫量だった。 […]

7
Mai

LA CANTINETTA マルセイユの街に自然派ワインが飲めるイタリアン“ラ・カンティネッタ”

マルセイユはフランスの第二の都市、街自体の面積はパリより広がっている。 地中海に面している街、海の向こうはアフリカ大陸。アラブの国々がありイスラム文化が広がっている。マルセイユの街にはアラブ人も多い。アフリカ系の色んな国の人達も多く色んな人種が入り混じった街だ。イスラム文化が浸透しているフランス第一の街でもある。イタリアも近いこともあってイタリア人も多い。 マルセイユのイタリアン・レストランは旨い。その上に自然派ワインを飲めるイタリアンがあると聞いてやって来た。 LA CANTINETTAラ・カンティネッタ、ワインは自然派ワインしか置いてない。気軽に食べられるイタリアン、気軽に飲める自然派ワイン、最高のコンビワークだ。 私はフランスに30年以上住みながらフレンチ料理は苦手。どちらかと云えば美味しいイタリアンの方が好きだ。本当はパスタが大好きですが、美味しいパスタはフランスでは難しい。フランス人はパスタを茹ですぎる。全く芯がない程茹でてしまうのが普通。胃の調子の悪い時は逆に助かることもある。でも、やっぱりパスタはアルデンテが美味しい。 今夜は自然派ビストロ、レ・ビュバールのオーナーのフレッドとその仲間達とやってきた。フランクフルトに住む澤田さん、ヴァンクールの村木さんとも合流した。店内に入るともう予約席で一杯だった。フレッドのお蔭で何とか席を確保できた。生ハムや簡単な摘みを食べながら自然派をひっかけた。この食事前に簡単な摘みにスイスイやるひと時が私は大好きだ。フレンチではこの簡単な摘みがない。イタリアンが好きな理由の一つでもある。   澤田さんはフランクフルトの街で、自然派ワインの輸入販売をしている人。自然派ワインをあぶない程好きな澤田さんは収穫までやりにフランスにくる程。 村木さんは皆さんもご存じのとおりヴァンクールのフランス駐在の社員さん。まず3人で一杯を始めた。 今年のルミーズについて色んな意見交換をやった。13年は皆、大変な苦労しながら生産量も少なかったけど品質はどれも素晴らしかった。というような話をした。  ルシオン地方のポトロン・ミネ・プリムールをアペリティフで! ヤアー美味しい。 ちょっと熟成してよりソフトで柔らかなタッチになって、食前にアペリティフがわりにグイグイやるには本当に最高のワインだ。   ウーン、アルデンテで最高のボンゴレ・パスタ! フランスでは、美味しい自然派ワインを見つけるより難しいアルデンテなパスタが、・・カンティネッタにあった。 個人的に本当に感激している。  しかも、ヴァンゴレをメニューにあるイタリアンがフランスでは本当に少ない。 たまに見つけても冷凍のアサリを使っていたりで,生のアサリを使ったヴォンゴレパスタは超貴重なイタリアンである。 しかも、こんな美人が取り分けサービスをしてくれた。 自然派ワインは料理を選ばない。 ワインはルミーズ会場から流れてきた醸造家達が色んなワインを注ぎにきてくれて結構色んなワインを飲めた。  自然派ワインは料理を選ばない。旨味が乗った素材は、ワインの土壌からくる旨味に共通しているからだ。 魚介類に赤ワインもピッタリ合う。 元海底だった岩盤ロッシュメールまで根っ子が達している葡萄木のものは、イオデ潮っぽいミネラル感を含んだ旨味が共通している。 ルシオン地方のイザベル・フレールのNINAニーナ、軽快な赤をヴォンゴレに合わせた。 ニーナの軽やかで透明感のあるミネラルがヴォンゴレの旨味にピタリと合いました。 ヤー良く食べ、よく飲みました。 フレッドの楽しい友人達とひと時を過ごさせて頂き最高でした。また一緒に食べたい。  素晴らしい一期一会でした。 住所:24,Cour Julien 13006 MARSEILLE   TEL:04-9148-1048 マルセイユにお越しの節はお勧めです。 楽しく美味しく自然派とヴォンゴレを楽しめますよ! シェフのヴォンゴレ・パスタは最高でした。 マルセイユの夜もふけてきた。ルミーズ試飲会の主催者の 一人として頑張ったドメーヌ・デュ・ポッシブルのルイックさんは気持ち良さそうに酔って自分で南米の唄を歌いながらゆっくり踊っていたのが印象的造だった。ボサノバが好きなのだろう。お疲れさんでした。 ポッシブルのワインもボサノバの如くホワッとして優しいワインをるルイックさん。人間もホワッとして優しい人だ。やっぱりワインは人だ!皆さんもボサノバを聞きながら試してみよう。  <—– DOMAINE DU POSSIBLEドメーヌ・デュ・ポッシブル ヴァンクールの村木さんとも久しぶりにゆっくり話せました。 また。PARISでゆっくりやろうと約束してホテルに向かった。

3
Mai

« MONT DE MARIE モン・ド・マリー » 美味しくて、アル度も軽くて、自然で、安いと4拍子揃った夢のワイン

夢のワインを造るティエリー・フォレスティエール 今フランスでも話題になっている醸造元 MONT DE MARIE – モンド・マリー訪問。畑仕事の邪魔にならないように夕方に訪問をした。もう日焼けした顔、畑仕事で鍛えた逞しい体、満面の笑顔で畑から戻ってきた。 ティエリーは自然派ワインの大愛好家だった。しかし近年、価格が高くなってきていることに危惧していた。『やはりワインは誰でも買える価格であってほしい。』 ティエリーは高等ビジネス学校を出てインタナショナル・ビジネスをコンピューター・システム使って管理・アドバイスする仕事をパリの一流企業で働いていた。 『自分でワインを造ろう!』 ティエリーはグイグイ飲めてしまうスタイルのワインが好きだった。目指すワインもそんなワインだ。 100年程前、フランス人が年間80L以上飲んでいた時があった。その頃のワインはアルコール度数が10~11度ぐらいしかなかった。ワインが13度というのが慣例になったのはつい最近のことだ。昔、ラングドック地方はアルコール度数が10~11度というワインを大量に造っていたのである。こんなワインを北フランス、北ヨーロッパにドンドン出荷していたのである。   アラモン品種の100歳級の古木 昔はまだ機械もなく、勿論コンピューターもない時代の人々の労働はすべて体を使って働く肉体労働の時代だった。労働者達が仕事をしながら、また終わってからゴクンゴクンと水代わりに飲めるワインが必要だった。 当時のワイン造りは、まだ農薬も化学肥料もない時代の話である。勿論、人工酵母もない時代の話である。つまり今風に云えば自然派ワインだったのである。   アルコール度も11度前後と低く軽くて飲みやすいビュバビリテー最高のワインが多かった。酸が残っているし果実味の乗った実にバランスのよいワインだったようである。その頃のラングドックの品種はアラモン、サンソー、カリニャンそしてアリカントなどが主力品種だった。シラー、グルナッシュ品種などは少なかったのである。  歴史は繰り返す。 そして今、軽くて、グイグイ飲める飲みやすいワイン、つまりビュバビリテーの高いワインの需要が増大している。昔は肉体労働で疲れた体を癒す為にグイグイ飲んだ。今もそれに似ている。ティエリーはコンピュター技師でもあり頭脳を使う仕事をしている人だった。でも昔の肉体労働に匹敵するほどハードな労働であった。そんな体を癒してくれるのは、グランヴァンのように濃淳豊満なワインのスタイルではなかった。 軽めでグイグイ飲めてしまう美味しいワインだった。だから自然派ワインの大ファンだったのである。 自分でワインを造ろうと決意したのは、“自分のようにパリのオフィスで頭脳を使って働く人達も、現在のスピードの速い時代はまさにハードな肉体労働そのものだった。軽快でグイグイ飲めて優しく体に沁み渡っていくようなワインが必要だった。しかも価格も比較的安いワインを必要としている。”といつも感じていたからである。 ワインは誰でもが手に入るような価格でなければと思っていた。 ティエリーは調べた。まず安く造るには土地代の安いラングドックだろう。探していた時にニームの近くのソヴィニャルグ村にたどり着いた。アラモン、サンソー、カリニャンの古木が沢山残っている地域だった。ソヴィニャルグ村はローヌ地方とラングドック地方の中間に位置していて、忘れらている葡萄栽培地区でもあった。AOCも存在しないまるでブラックホールのような場所だった。栽培されている品種もその昔、ラングドックが全盛期だったアラモン、サンソー、カリニャンなどの古木が今でも栽培されていた。流行から取り残されていた地区だったのである。 ティエリーはこのアラモン、サンソー、カリニャンなどの古木に注目した。   まだ、誰も追求しなかった境地への“気づき”と“挑戦” アラモン、サンソー、カリニャン品種 まさにこの三つの品種が昔のラングドックワインを支えていた品種だった。アラモンもサンソーも大粒で果肉に水分を多く含んでいる葡萄品種だ。どんなに熟しても濃縮するまでにはいかない。アルコール度数も上がることがない。 それでいて果実味はしっかりある。食用として食べても水分があるのでバランスのよい味わいのある品種だ。   濃いワインが高級ワインだという近年の価値観では受け入れられない品種だった。フランス中の醸造家が濃いワインを目標に造り出した近年は、ラングドックからも姿をけした品種だった。グルナッシュ、シラーなどに植え代えられていった。さらに近年ではカベルネ系、メルローなどのボルドー品種に植え代えられてほぼ完璧に姿を消した。 完璧に姿を消したかに思われていたが、ラングドックでもマイナーな地区ではそのまま慣習的に栽培されていたのである。これがフランス文化の奥深いところである。すべてが一色に染まってしまう事がない文化である。 ラングドックでも表舞台の地区が存在している。つまり濃いワインが全盛期だった90年代に広大なラングドックの中心である、コトー・ド・ラングドック、ミネルヴォワ、コルビエールなど表舞台からこれらの品種は姿を消した。 しかし、ラングドックでも北風をもろに受けて、葡萄が熟さない涼しいマイナーな地区がいくつか存在している。何故マイナーかと云うと、濃いワインを造るのに適さないからである。最初から濃いワインを造る事を諦めているのである。だからアペラッションも何もない。そんな地区にこの“お宝”の品種アラモン、サンソー、カリニャンが残っ ているのである。   ティエリーとスヴィニャルグ村と絶滅しかけた品種(アラモン・サンソー)が新たな仕掛け ティエリーが見つけたSOUVIGNARGUEスヴィニャルグ村にはアラモン、サンソー、カリニャンの世界遺産級の古木が残っていた。 村の中心から高台に緩やかな斜面を登っていくと北斜面にアラモン、サンソーの古木が元気に生息している。 『俺たちの時代が再びやって来た!』と云わんばかりだ。 ティエリーは最初にこの畑を見て一目惚れした。『すべてはここだ!この畑が俺を待っていてくれた。』 ティエリーは偶然に安く美味しい自然なワインができることは思っていなかった。今は畑、品種、土壌、ミクロクリマ、不動の分部は手に入った。しかし、安く するには仕事の効率化を徹底的にやらなければ“安い”ワインはできない。自然栽培、ビオをやることは必要不可欠だった。農薬や化学肥料での効率化は頭から考えていない。 自分の労働時間を最大限に畑の農作業に集中することしかなかった。ティエリーは徹底調査して決意した。 普通の醸造家は訪問者などお客の接待にかなりの時間を費やしている。意外と知られてない事実だ。有名になればなるほど畑にいけない程の訪問客がやって来る。もう一つは、試飲会やサロンなどへの参加の為にもかなりの時間を費やしている。 テイエリーはこの二つを徹底的に省くことにした。 顧客も大口の取引しかしない方向をめざした。小口の顧客対応をやっていると時間ばかりとられることなる。 シールクスのみの一回だけに参加。後の残り時間はすべて畑に集中することにした。   畑を購入して10年の歳月が流れた。土壌がイキイキしている 2004年から始めて10年の歳月が過ぎようとしている。ティエリーと志を同じくする仲間も同じ村に集まってきた。 畑もやっと自分でも納得のいく剪定や畑仕事ができるようになった。自分の畑のこと,各区画の土壌の能力の事が数倍も良く理解できるようになった。土壌もイキイキして生きているのを感じる。 砂質マルヌ土壌の特殊ミネラル感 マルヌと呼ばれる泥灰岩質土壌の偉大なエネルギーとワインに与えるミネラル感の特著もよく分かってきた。 […]

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Avr

マルセイユの人気ワインビストロ!”LES BUVARDS”

マルセイユの夜は自然派ワインビストロ ”LES BUVARDS”  レ・ビュヴァールで! REMISEルミーズ試飲会は2日間に渡って行われた。初日の夜はマルセイユの港にやって来た。   マルセイユの街は港に直に面している。地中海沿いには多くの街が存在する。マルセイユ程の大規模の街は少ない。しかも港に直接面しているのはバルセロナぐらいなものだ。イメージは実に明るい街。でもフレンチ・コネクションの映画にもなったようにチョット危ないところもある。 その危ないイメージを変えるべく街の整備を行ったり必至のイメチェンを街全体で行っている。 私も久しぶりのマルセイユの夜を楽しむことした。   マルセイユ港の横に自然派ワイン・ビストロ“LES BUVARDS”レ・ビュヴァールがある。 今日はリヨンの名シェフ石田ファミリーと繰り出した。 ここのオーナーはなんとパリからやって来たフレッドだ。 完璧にマルセイユの街に溶け込んでいる。港で自然派ワインが飲めるとは嬉しい限りだ。   まずアペリティフにジュリアン・ギィヨをやった。ザ・ミネラルなワインだ。 酸とミネラルのバランスが素晴らしい。 ワイン自体のエネルギーが溢れている。 マルセイユでこれが飲めるとは幸せだ。     ウーン、待つこと30分、お腹ペコペコのテルちゃん(石田さんの娘)。 美味しそうな 煮込み料理がやって来た。マルセイユの港で肉料理というのも何ですが 石田シェフのお勧め料理だ。 やー、美味しかったです。     その後は、そこに居合わせた若者達とワインをグイグイ一緒に楽しみました。 彼女はニースのワイン・ビストロで働いているとのこと。 彼はラングドックに畑を買ったばかり、ニースからモンペリエ方面へ引っ越してワイン造りをやるとのこと。 期待できそうな元気な若者でした。 数年後にはきっと美味しいラングドックワインを造っていることでしょう。   マルセイユの夜も更けていった。やー、今夜も結構、やってしまった。 <LES BUVARDS> レ・ビュヴァール  34 GRAND-RUE ,MARSEILLE 13002 TEL:04-0190-6998 マルセイユにお越しの節はお寄りください。楽しめますよ。   マルセイユの人気ワインビストロ"LES BUVARDS" レ・ビュヴァール・ワインセレクション   オーナーのフレッドのテースティング能力は凄いものがある。 そのフレッドが選んだもの。 ブルゴーニュは<SERNIN BERRUX>セルナン・ベリュと <DOMINIQUE DURIN>ドミニク・デュラン。 […]

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Avr

自然派大試飲会 REMISE 地中海のマルセイユで開催!No2~後編~

MYRENE BRU ミレーヌ・ブリュ 地中海最大の漁港セットから内陸に20Kほど入ったところ石灰岩盤の山がある。標高180mの山の北斜面に葡萄園が広がっている。08年により4hの畑を手に入れ最初からビオ栽培。馬を使って耕している。女性ながら子供の頃からワイン造りが夢だった。理想の畑を手に入れて5年の歳月が過ぎた。やっと自分が狙ったワインができるようになってきた。葡萄を熟しながらフレッシュ感を残すことも可能になってきた。    <LADY CHASSERAS レディー・シャスラ 白> 真っ白な石灰質土壌に元海底だった頃の魚介類の骨などが堆積してできた岩盤ロッシュ・メールが地表にあり、その岩盤にシャスラ品種の根が入り込んでいる。だからヨード系の潮っぽいミネラル風味がワインをしめている。13年はシャープな酸もあり、これも和食にピッタリの相性だ。   <FAR-OUEST ファー・ウエスト> グルナッシュ、カリニャン、シラー、サンソー品種。畑の周りには野生のローズマリーやタイムなどの香草が一面に広がっている。その香草の香りがワインの中に表現されている。グラップ・アンティエール(除梗なし)と除梗した葡萄を交互に発酵槽にいれてセミ・マセラッション・カルボ醸造。甘ささえ感じる熟度の果実味。ミネラル感がしめている。       <LES MOULIN DE MON COEUR レ・ムーラン・ド・モン・クール13> 13年からの新キュヴェ。シラー、カリニャン、サンソー品種。 13年は酸が綺麗に残っている。中庸の濃縮度で爽やかな旨味が乗ったグイグイいける赤ワイン。   ESCARPOLETTE エスカルポレット 新人の中でも飛びぬけた才能と探究心と実行力を持った人、イヴォ・フェレイラ。本当に美味しいワインを造るには繊細な感性を必要とする。小さな現象から多くの事を理解しようとする感性はもって生まれたのもが必要だ。このイヴォにはそれがある。ラングドック地方のワインのイメージを根幹から変えてしまうようなワインを造り出した若者だ。 パリでソムリエをやっていた。ワイン造りに興味があってジュラ地方のジャンマルク・ブリニョのところに手伝いに行ったのがきっかけとなった。ワイン造りの面白さに魅了されてしまった。本格的にワイン学校で勉強を開始、ボルドーのシャトー・デュ・プイで3年間も修業した。2009年にラングドックで独立。現在4Hの畑をまるで試験台のように工夫を重ねて栽培、勿論ビオ。工夫に工夫を重ね醸造を丹念に造り上げている。将来、イヴォはきっとラングドックを代表する醸造家になるだろう。   <LA PETITE PEPIE 13 ラ・プティット・ペピエ 白> グルナッシュ・ノワール品種を収穫後にすぐプレスしてジュースを絞ったブラン・ド・ノワール。黒ブドウから造った白ワイン。ラングドックのモンペイルー村でここまで爽やかな白ができるとは驚きだ。11度とアルコールも低くヴィヴァシテーと呼ばれる超フレッシュな酸を感じさせてくれる。         <PETITE CRAPULE 13 プティット・クラピュール 赤> カリニャン、グルナッシュ品種、50%をセミ・マセラッション・カルボニック醸造、50%を除梗したトラディション。ピジャージュもルモンタージュもしない超自然な醸造。色合いは薄いけど果実味と旨味はしっかりのっている。シャープな酸は北フランスのピノのバランス感覚。     <LES VIELLES 12 レ・ヴィエイユ 赤> ラングドック地方のモンペイルー村といえばカリニャン品種で著名なワインがある。このイヴォが醸すカリニャンには興味がある。この石灰度の強い真っ白な岩盤土壌に育つ40歳から70歳の古木のぶどうからミネラル感タップリでタンニンのしっかり乗ったバランス良い赤に仕上げる。そこには驚きの涼しさが存在している。   SACARABE スカラベ(イザベル・フレール) スペインの国境に隣接、地中海に落ちそうなくらい海に近いARGELE SUR MERアルジェレス・シュール・メール村にある。イザベルは学校の先生をやっていたが、お祖父さんの畑を家族が失いそうになった時、2007年、後を継承することを決意。まずルシオン地方の自然派の伝道師フラール・ルージュのジャン・フランソワ・ニックのところで修業。最初から除草剤や殺虫剤で地球を汚すような農業はしたくなかった。ビオ栽培、仲間と共同で馬による耕作をしている。平均収量が15hl/hと極小。女性ながら手で農作業をやっている頑張り屋。花崗岩土壌と砂質、シスト土壌も混ざったワイン造りには興味深い土壌を持っている。 […]

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Avr

自然派大試飲会 REMISE 地中海のマルセイユで開催!No1~続編へつづく~

自然派大試飲会 REMISE A MARSEILLE!!! 3月末は自然派大試飲会のREMISEがフランス第二の都市マルセイユで開催。昨年よりこのマルセイユで行われるようになった。マルセイユの駅は高台にあってマルセイユ全体が見渡せる。 地中海に面した大都市として活気のある街だ。ギリシャ、ローマ時代より地中海のラテン文化がフランスに入ってきた玄関のような存在の街。映画ではフレンチ・コネクションの舞台になった美しい街角と熱しやすい人情の民風。ワイン文化もここを起点にフランス中に広がっていった。その意味ではこの地で自然派大試飲会のREMISEが開催されるのは意義がある。     日本からフランスに戻った翌日にマルセイユまで移動。パリからマルセイユ駅までは3時間半。駅から歩いて10分ほどの所でREMISEが開催された。会場に着くともう熱気で溢れていた。 ルミーズ試飲会は発足当初はラングロールなどが主体として初めたグループだ。今はラングロールが卒業して中堅、若手が会を盛り上げている。 ディーヴ・ブテイユの次に巨大な試飲会まで に発展している。ローヌ、ラングドック、ルーション、オーヴェルニュ地方の生産者などが主体となっている試飲会である。   JOLLY FERRIOL ジョリー・フェリオル JOLLY FERRIOLは数百年前、ナポレオン3世やイギリス王室に納めていたほど有名なドメーヌだった。 ジャン・リュックとイザベルはパリジャン。ジャン・リュックは、コンピューター情報処理システムのプロだった。一時はフランス国会、フランス裁判所の殆どは彼の開発したシステムを使用していた。2005年にルーションに放置されていたドメーヌを訪問して、“俺の人生はここだ!”と持ち前の追及心は半端でない。畑と設備を改良して8年を経て、もう自然派ワイン界の中でも話題の人。誰も造れないスタイルのワインを次々と造りだしている。   <Blablablanc> ブラブラブランもシスト土壌で育つグルナッシュ・グリ品種、ミネラル感タップリで潮っぽく、和食にもピッタリだ。25l/haと極小の収量。SO2添加ゼロ、ポンプも使わない、自然派極の造り。       <Pet’Nat> シスト土壌で育ったムスカ品種を発泡酒に仕込んだ。青リンゴやパンプルムスを思わせる爽やかさ、 20l/haの収量、年間4000本しか生産しない。世界中から引っ張りだこの超人気ワイン。 その外にも、グラップ・アンティエール(除梗なし)セミMCで醸す葡萄ジュースのような赤も素晴らしい。   POTRON MINET ポトロン・ミネ 近年、ルーションで最も輝いている醸造元の一人。ポトロン・ミネのジャン・セバスチャンは数年前まではパリで会社経営をしていた。しかしワイン造りへの夢が大きすぎてすべてを投げ打ちルーションにやって来た情熱の塊のような人。 でも、静かに燃える人、恥ずかしがり屋で謙虚な性格。目立たないけど内に秘めた情熱はメラメラ燃えている。 5年の歳月を経てコツコツ畑仕事に打ち込んできた結果がやっとワインに出てきた。南の太陽の元でロワールのようなフレッシュさ!     <PARI TROUILLAS パリ・トルイヤス13> フランス最南端のルーション地方にも関わらずフレッシュで透明感がありグイグイ飲めてしまう絶品だ。カリニャン、グルナシュ・グリ、シラーという品種構成。ブラインドで飲んだらとてもルーション地方とは答えられない軽やかさを備えている。 典型的なセミ・MC醸造の果実味が心地よい。   MOURESSIPE ムーレシップ アラン・アリエはニーム近辺の葡萄栽培家の息子。お兄さんが後を継いだ。アランはワイン造りをしたかった。 長年、ガレージスト(自動車修理技師)の仕事をしながら資金を蓄えて畑を少しずつ買い準備していた。そして、アラン自身も大好きなワインであるラングロールのエリック・プフェーリングの所でワイン造りを修業した。     <Galejade roseガレジャード・ロゼ13> ラングロールのエリックに学んだワイン造りを生かしたワイン。サンソーとグルナッシュ品種を三日間マセラッションをして、三日後にプレスをかけて絞ったジュースを仕込んだロゼ。ややオレンジがかった桜色。果実味がタップリ、ミネラル感でしめている。なんて心地よいヤツなんだろう。     […]

10
Mar

Vinpicoeur Ginza ヴァンピックル銀座

「フランス人が炭火焼き屋をつくったら?」そんな発想から生まれた炭火焼の店です。 オザミだけの為に大切に育てられた『吉田豚』やジビエなどの素材をシンプルに豪快に提供する料理が魅力。 旬の食材を焼き上げ、ブドウの枝で香りづけをしたオリジナル串焼きフレンチを気軽にお愉しみいただけます。

27
Fév

Pascal Simonutti Night @Libertin

前から一度行ってみたかったお店「リベルタン」 フランス語でlibertinとは自由思想家という意味。 気軽に自由な気持ちでかしこまらずに来てほしいという思いで名前を決めたそうです。 う~ん、確かにお店に入った瞬間から温かく開放感に包まれる雰囲気があります。 オーナーシェフの紫藤さんは代々木の「ル・キャバレー」のシェフなども経験した素敵な経歴の持ち主。 ホールを仕切る柴山さんとは今は無き青山の「レジドア」で一緒に働いていたそう。 そんな仲間同士によって自由で温かい雰囲気をつくりだす。ずっと行ってみたかったのは、でもそんな温かい雰囲気を味わいたいからではなかった。   そうではなくて。。。なんともイカしたかんじがプンプンしていたから。とでもいうのか。。。 美味しい食事と気の利いたワインと、あと、特別な時間が過ごせそうな、そんな期待を裏切らない感じがしたから。   柴山さんとお会いしてみて、ます第一印象はザ・自由人!でした。 まさにリベルタン!そして新人類かな?と思いました。 でも、お話をするとニュートラル。どこにも偏らず媚びずにまっすぐ、そして、とても親切。 この姿勢でワインを選んでサービスをする。 美味しい食事を提供する。 素晴らしく居心地が良くなるはずだなと納得しました。 そんなリベルタンで先日とびきり魅力的なイベントが開催されました。 我らが兄貴「エスポアしんかわ」の竹之内さんが企画オーガナイズした Pascal Simonutti Nighit!!! 楽しみ過ぎーーー!るその夜は、やはり楽し過ぎました。   ロワールの地でテロワールの可能性を信じ素晴らしいワインを造り出すPascal Simonutti まずお店に入ってすぐに注がれたのはロゼ発泡 これで今宵に乾杯です。 <On s’en bat les coquilles Rose Petillant >オン・サン・バ・レ・クイユ・ロゼ・ペティヤン。    セックス・ピストルズのアルバムジャケットをモチーフにしたイカしたエチケットは なんともこのお店リベルタンに映える! ファッショナブルー!! しかし味わいはスっと身体にしみ込むみずみずしさ。ピュアなのに程よいコクがある。 このギャップ!男性ならいちころですー。はい。 これから空くだろうマグナムや他のキュヴェへの期待が高まるのも仕方ありませんね。 自然と皆さんのテンションも高くなっているような。。。        そんな店内、熱気を帯びてきたこのタイミングをシェフは見逃しません!    どーん!    生ハムとサラミの豪快な盛り合わせ。    これ嫌いな人っているんですかね?   […]

8
Jan

2014年 自然派ワインの展望

自然派ワインがいよいよワイン界の主流になる! 昨年、夏に自然派ワインのトップを走るフィリップ・パカレの事をLE MONDE ル・モンド紙(フランスで最も権威ある新聞)が掲載した。 « L’HOMME QUI VEUT SAUVER LA VIGNOBLE FRANCAIS » « フランスのブドウ園を救う男 » というタイトルで何と一紙面・全ページを使って取り上げた。 世界の政治経済を語る権威と信頼のあるル・モンド紙がである。パカレ氏について1ページを割いたのである。 何故、無名のフィリップ・パカレなのか? フィリップ・パカレはワイン造りにおける葡萄木の概念を今までと全く違う発想と捉え方でもっている。彼の葡萄木に対する考え方は、今、普通に行われているワイン造りを根幹から覆すのではないだろうか?と投げかけているのである。ひょっとしたらワイン造りの最も重要なことであり、多くのことを変えられるのではないだろうか? ル・モンド紙が今のフランス葡萄園や葡萄木の現状・実態についてのパカレ氏の持論をここに紹介している。ここで何故?フィリップ・パカレなのか?何故、シャトー・ムートン・ロッチルドやペトリュスやロマネ・コンティでもなく、 フィリップ・パカレなのか? 非常に大切なところである。今の現実に起きている葡萄園の状況を変えるのは全く違ったアプローチが必要だと判断したからなのだろう。今の一般的な企業経営システムを取り入れている葡萄園経営では何も変わらないだろう。 多くの有名ブランドワイナリーは企業として利益至上主義に化し過ぎた姿になってしまっている。 利益を上げることは決して悪いことではない。むしろ健全といってよい。しかし利益至上主義が過ぎるとワイン造りには問題が出てくる。 第一にワイン造りは地球の一部である畑を使うということ。 企業化し過ぎた体質のワイナリーにとって、畑は利益を作り出す工場である。経費削減と効率化を追及した結果が、農薬や化学物質の多用を招き、地球の一部である葡萄園を痛めてしまう状況を造り上げてしまった。 第二にワインはまず人間の体内に入るものであること。 企業経営として、外面的な美味しさを毎年安定して造り続けなければならないことが至上命令となる。天候不順な年も絶対に失敗は許されない。栽培上も必要とあれば許される範囲で最大限に化学農薬を使うことを辞さない体質。そして栽培上の欠点を補う為に、ワイン醸造中に葡萄以外の化学物質を添加して味覚を整えてしまう体質も含んでいる。 勿論、農薬も添加物もワイン法で許されている範囲内ではあるが、本来やらなくても済む自然破壊に繋がっている。また人体への悪影響も出てきている現状がある。たかが一企業の利益追求の為に地球の自然や人間に悪影響を与えるようなことは避けた方が良いに決まっている。これはワインの世界に限らずすべての分野で云えることである。本来のあるべき健全な姿に戻すように指摘すべきことである。 しかし、ワイン業界のオピニョン・リーダー達にはその自助清浄能力はない。 何故なら、業界紙も業界人もどちらかといえば、業界の利益追求企業と何等かのかたちで繋がっているからである。 今回、ワイン造りの葡萄園・葡萄木について一般高級紙の権威であるLE MONDEル・モンドが取り上げたことに大きな意義がある。 LE MONDEル・モンド紙は自然派ワインの象徴とも云えるフィリップ・パカレを取り上げて、教養ある一般人にワイン造りの原点である葡萄の根幹の内容について記事にしたことは非常に貴重なことである。この根幹な部分から自然派ワインのすべての理論が構築されているからである。そして、何よりLE MONDE ル・モンド紙の一流記者達が自然派ワインを認知しているということが凄いことである。ワイン専門記者、ソムリエなどのワイン業界のプロももっと現実をしっかり見つめてほしいものである。有名好きのアメリカでは、このル・モンドの記事を大々的に取り上げて既にフィリップ・パカレがヒートしている。 2014年も自然派ワインの躍進傾向が続くだろう! 昨年13年を境に次元の違う世界に突入した自然派ワインの世界。この一年の自然派ワインの広がりは凄まじいものがあった。益々自然派ワインの醸造元が増え続けている。世界中に自然派ワインのファンが増え続けている。 今まで自然派を支えてきたのは外国だった。しかし、近年特に13年はフランス国内での浸透が着実に進展した。 自然派ワインという区切りが無くなるほど一般ワインの中に溶け込んできた。一般の人達が単に美味しいワインとして評価し、日常的に自然派ワインを楽しんでいるといった状況になりつつある。 この自然派ワインの躍進の傾向は2014年も更に拍車がかかっていくことになるだろう。 この傾向の理由の一つに、自然派醸造家達が各地方で実施している自然派ワイン見本市、祭典の影響が大きい。小規模の見本市を数えればほぼ毎月のごとく、フランスのどこかで行われている。 この祭典は業界人向けのみでなく、地元の一般消費者の人達も対象になっており、多くの一般人が自然派の美味しさに目覚めたと、云うことになる。プロの世界でも、ワイン屋で自然派を一本も品揃えしていないところは,殆どないと云ってよい。また、ソムリエの世界でももう自然派ワインを無視して通り過ぎることができなくなった。自分達よりお客さんの方が現実のワイン事情に詳しいことが多くなってきた。現場の近くに住む一般人は、どちらが本物で、何故美味しいか、がわかりやすい。 この自然派ワイン躍進の原動力になったフランス各地に点在する地方組織の草の根啓蒙活動は本当に素晴らしかった。 それぞれの地方の醸造家間の人間的繋がりも実にまとまっている。 それではこの機にフランス各地で開催されている自然派ワインの祭典、試飲会、見本市のいくつかをレポートしよう。 FESTIVAL VIN NATURE フェスティバル・ヴァン・ナチュール ラングドック、ルシオン地方 夏一番の初夏、6月に行われる。毎年、主催者が選出され、その醸造家の近所で行われる。ラングドック、ルシオン地方の自然派醸造家30社程が集まってくる。朝から晩までテースティングと昼食を共にしながら、音楽バンドも入って一緒に踊ったり、語り合いながらひと時を自然派ワインとともに楽しむスタイルの祭だ。南フランス地元の自然派ワイン愛好家が家族や友人たちと一日中楽しむフェスティバルだ。 この南フランスの自然派ワイングループを積極的にまとめているのはこの人、ル・トン・ド・スリーズLE TEMPS DE CERISE醸造のアクセル・プリファーだ。 途轍もなく美味しい南仏自然派ワインを醸すアクセルは、穏やかな性格と柔らかな人当たりの人物。人が彼の元に集まってくる。南仏自然派の中心的人物の一人だ。 13年は、レーモン・ルコック氏が幹事となって南仏で最も美しい村の一つ、ロック・ブランで行われた。 レーモンは地元醸造家・ジャン・ジャックと組んで美味しい南仏自然派ワインLOU CARIGNANル・カリニャンを造っている。 […]

25
Déc

自然派ワイン界のレジェンドRENE JEAN DARDがもうすぐ来日!

パリ在住のダール・エ・リボ・ファンが ガールド・ローブに大集合!     自然派ワインの業界で今、飛ぶ鳥を落とす勢いのパリのワインビストロ“ル・ガールド・ローブ”で自然派ワインのレジェンドとも云えるダール・エ・リボのルネ・ジャンを招いて試飲・ディナーを開催した。 ルネ・ジャンはちょん髷姿で登場、江戸時代の町医者“赤ひげ”を思わせる風貌だ。ここパリでもルネ・ジャンの人気は根強く深い。本当に1980年代から自然派ワインを造っているダール・エ・リボはまさにレジャンドと云ってよい。多くのファンに支持されている。 超人気のガールド・ローブはもう夕刻の6:30にはほぼ満員状態になる。100%自然派ワインのワインバーである。普段は簡単なつまみ、生ハムセット、チーズセット、ビオ野菜セット、田舎パン、クロック・ムッシュなどをつまみながらワインを飲むスタイル。   生ハムもチーズも当たり前のものではなく、それぞれが工夫されていて、どれも大変おいしい。ルーブル・リボリに位置していて、芸術家が多いマレ地区にも近い。夕方は仕事を終えたビジネスマンや女性同士でも気軽に一杯ひっかけにやって来る。 隣の人とも気軽に話せる和やかな雰囲気が店内に流れていて、実に心地よい。陽の気が充満している感じ。   今夜は店の奥に小さなテーブルを設けて7時から8時までの一時間だけ、すべてのお客さんへのフリーテースティングの時間を設けた。パリ中のダール・エ・リボのファンが集まって来た。ここでは今、売り出し中の3つのワインを試飲、説明。 最初にクローズ・エルミタージュの白、“K”カリエールを試飲。クローズ・エルミタージュ地区では白ワインといえばマルサンヌ品種90%以上が普通。でもルネ・ジャンはマルサンヌ品種はほとんど使わない。つまりルーサンヌ品種100%の白。 11年は遅熟の年だった。ゆっくり熟した分、色んな成分もよく熟すことができた。そしてきれいな酸が残った。ダール・エ・リボのワインの特徴である超軽い微発泡が酸と調和してより爽やかさを強調している。ウーン・・美味い。洗練度が高い。 赤はクローズ・エルミタージュのDES BATIES デ・バティ11年を試飲。ルネ・ジャンのお父さんが植えた60歳のシラー品種100%。花崗岩土壌からくるミネラル感がタップリ。やはり軽い微発泡があって酸を伴った果実味と合わさりフレッシュで心地よい。 サン・ジョゼフ赤11年。11年は遅熟の年で普段より軽め目のバランスで仕上がっている。透明感があって、果実味がフレッシュで気持ちよい。一般女性客がこのサン・ジョゼフを試飲して一言『軽いワインね』と評価するほどスーット入ってしまう。 ルネ・ジャンはちょっとショック。。。『13度近くアルコールはあるのに軽いとは?サン・ジョゼフだぜ!』とちょっと不満そう。   店頭試飲が終わり第二弾は、地下の特別サロンに降りて、コアなダール・エ・リボ ファンを16名だけ集めて食事と古いヴィンテージワインを楽しむコースだ。この会への参加申し込みは、出した瞬間に満員となったそうです。パリでもダール・エ・リボのファンは多い。 流石にフランスの自然派ワイン愛好家、質問も鋭いことを聞いてくる。 客『SO2の使用はどのくらい?』 ルネジャン『年よって違うよ。入れなくてもよい状況の時はゼロの年もある。普通は瓶詰時にちょっとだけ入れる。SO2を入れない事を目的にしている訳ではないんだ。目的は美味しいワインを造ることだよ。よく自然派の醸造家でSO2を入れない事を強調し過ぎる人達がいるけど、ちょっとおかしいと思っている。決して目的ではない。』 客 『あなたのワインはいつもガス(超微発泡)を感じると思うけど、これでいいですか?』 ルネジャン『それは普通です。これは先程の質問とも関係して いるんですど、私は醸造中一切SO2(酸化防止剤)を使わない。その代りにアルコール発酵で自然に生じたガス(CO2)を残すことにしているんです。何故ならガスは酸化防止剤の役割をしてくれるからです。』   このソワレの企画はガールド・ローブの店長ASAMI(メキシコ生まれのパリ育ち)だ。この9月から店長になって張り切っている。連日の超満員状態の繁盛ぶり。ルネ・ジャンが持参してくれたミレジム・ワインを次々と開けてくれた。 まずは黄金色の液体がグラスに注がれた。ウーン、色だけ見るとかなり年代が古そうだ。しかし香りはまだ若々しさを感じる。口の中にいれるとまだガスが僅かに残っている、それに綺麗な酸がプラスされて超爽やかな風味に覆われた。でもこの深みはただものではない。 。 。。。なっなんと!サン・ジョゼフ・白2000年だった。なんて爽やかさがこんな形で残っているんだろう。もう13年も過ぎているのにこの若々しさ!一同感激と驚き。ルネジャン『エルミタージュやサン・ジョゼフは本当は白ワインの方がポタンシエルがあるんだ。』 今夜は、当ガールド・ローブのオーナーが自らワインに合わせて料理を作ってくれた。このサン・ジョゼフには鯛のカルパッチョ、鯛の刺身風のもの。よくこんなに新鮮な鯛を見つけたものだ。まだ爽やかさタップリのサン・ジョゼフ白は鯛の白身の旨味に、熟成によって洗練されたミネラルの旨味に驚くほどピッタリだった。(赤いのは根野菜のベットラブの絞り汁)   次はエルミタージュ白05のマグナムが開けられた。ルーサンヌ品種。ルネ・ジャン『エルミタージュもよく赤ワインの事ばかり話題になるけど、本当は白の方が偉大なワインなんだ。特にルーサンヌが良く熟した年、まさにこの05なんかは世界に誇れる偉大な白なんだ。』 ホタテのカルパッチョ、軽く表面を焼いてある。力強さと爽やかさが共存するミネラリーなエルミタージュ05に料理の方が合わせてくれた感じ。   クローズ・エルミタージュ赤、04,06が出された。なんてクリアで透明感のあるミネラリーなワインなんだろう。濁りワイン・臭い自然派ワインの象徴だったダール・エ・リボの進化は自然派ワイン全体の進化と共有している。 前を歩いている人がいない世界、地平線をゼロの段階から切り開いてきたルネ・ジャンとフランソワ・リボの職人芸の含蓄した技、味わいには、何とも言えない深みを感じる。   ASAMIの完璧な温度管理とサービスでダール・エ・リボのワインの真価を楽しませてもらいました。 自然派ワインこそ提供するタイミングや温度で何十倍も美味しさを発揮する。ダール・エ・リボのパリ在住ファンも大喜び。   パリ在住の熱狂的ダール・エ・リボのファン     皆、大喜びでした。中にはどうしても現地に行きたくてダール・エ・リボ醸造まで訪問しているファンも何人かいました。造り手を前に古いヴィンテージを飲みながら楽しめるのはファンにとって最高の喜び。ルネ・ジャンも嬉しそうでした。 一番嬉しそうだったのは、企画者のASAMIだった。いつも店に来てくれるお客さんと大好きなルネ・ジャンを招いてのソワレは格別なひと時だった。この大成功のソワレの最後にポロっと嬉し涙を流したASAMIは幸せそうでした。 ルネ・ジャンはあまりこの様なソワレには参加することはない。大好きなASAMIの頼みとあっては断れなく今夜の会が成立。この会のお蔭で私も知らなかったダール・エ・リボを再発見した部分も多かった。素晴らしい一期一会でした。この二人に感謝!       自然派ワインは長期熟成にも問題なし!   […]

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Déc

自然派ワインが楽しめるレストラン紹介!ブラッスリーオザミ スカイツリーソラマチ店 編

スカイツリー越しの眺望は圧巻!ブラッスリーオザミ ソラマチ店 先日、東京スカイツリーに隣接する商業施設「ソラマチ」へ行ってきました。 週末だったこともあり、レストラン階のある30Fまで上がるエレベーターは順番を待つ人で大賑わい! なんと!行列に並び、高層階まで上がるのに15分以上も並ぶ羽目に。。。 しかし流石ソラマチですね~まだまだスカイツリー人気は続きそうです。   さて、今回の目的はブラッスリーオザミ ソラマチ店へお邪魔することでした。 兼ねてより行きたがっていた超グルメなOLまさえちゃん(彼女は週のうち5日は食べ飲み歩きをしている)の希望で土曜日のランチを予約しました。 エレベーター待ちの時間を考慮していなかった私たちは13時の予約を20分程過ぎた頃やっとお店の前に到着。 そんな私たちを遅刻したにもかかわらず温かく迎え入れてくれたのは笑顔の爽やかな女性スタッフ! 彼女の笑顔に、エレベーター待ちの疲れと遅刻の罪悪感はどこえやら。。。   店内へ入ると、そこはまるで天空のレストラン。 素晴らしい眺望が広がるフロアに所狭しとお客様が溢れかえっているではありませんか!     予想以上の活気に呆気にとられていると、元気な声で「いらっしゃいませ~!お待ちしておりました。」 気づいて、こちらに笑顔を向けてくれたのは、そうです、こちらの店長さん、今日一番のお目当て!小松さんです。 彼はオザミが本店しか無かった頃からオザミを引っ張ってきたスタッフのひとり。 ワインとサービスに惜しみない情熱をそそぐ若き勇者!であり、オザミいち!優しい心の持ち主と評判です。 そんな小松店長はスタッフからの信頼も厚く、お客様からとても愛されていて、幸せな雰囲気をつくりだす名人! やはり、その笑顔に期待せずにはいられない。 そんな気持ちで席に着くと。。。   この素晴らしい眺望。 かつてこんな景色を前に食事をしたことがあっただろうか。。。 そして!きました!間髪いれずのアペリティフ! キリリと冷えた辛口のシャンパーニュが 乾いたのどにしみわたります。 うぅ~もうすでに幸せ~。 メニューは2,800円(税込)のコースから、9,800のスペシャルコースまであります。 プリフィクスなので、全てのコースが、お好きな前菜とメイン、そしてデザート、コーヒーまで選べます。   オーダーを終え、私たちが一番最初に食したのは、玉ねぎのムースとコンソメジュレ。いくらと雲丹と共にいただくもの。 これが素晴らしく爽やかで、食感や舌触り、濃厚なこくも楽しめる至極の一品。 そして、このお料理に合わせて出てきたのは<Les Foulards Rouges>フラール・ルージュの<La Soif du Mal’11>ソワフ・デュ・マル。 香りはカラメルやフランボワーズのような甘さがあるのに口に含むとそのミネラル感に驚きます。 いくらや雲丹の塩味とワインの旨みがバッチリ!軽さはあるのに赤ワインのようなポテンシャルを持つこのロゼワイン。旨み感が半端ないのにきっちりドライですっきり飲める! 最初から最高のマリアージュをぶつけてくるあたり、やはり只者じゃない小松店長。ワインへの深い愛情を感じます。   オザミ系列のレストランでは、時に、このようにグラスでワインをおまかせ出来ることも楽しみのひとつです。 お料理に合わせてグラスでワインを提供してくれる。 一本のボトルをじっくり味わうのもひとつの楽しみ方ですが、お料理ごとに出てくるワインにワクワクする、そんな楽しみ方も新たな発見があり面白いものです。 そして次の前菜はなんと!まるごとひと瓶キャヴィアのひと皿!にフロマージュブランとパルメザン、そして焼きあげとうもろこしのブリニを添えたもの。 これにはやっぱりシャンパーニュ再び! 贅沢にも出てきたものは<Champagne Jacques Lassaigne>ジャック・ラセーニュ<Les Vignes […]

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Déc

自然派ワインがピッタリの一皿料理と鮮魚の美味しい割烹!名古屋の華丸吉日をご紹介!

今、名古屋が面白い。和の世界、割烹 “華丸吉日”にて自然派ワインが提供されている。一つ一つの料理が新鮮で洗練されている。ウーンと唸ってしまう程、バランスが取れていて本当に美味しい。当然、海の幸が多い。自然派ワインにピッタリだ。   特に和食には自然派の優しいロゼがピッタリだ。流石シェフの郷津さんのセレクション。ロワールの女性醸造家マリー・チボーが丁寧に愛情込めて醸したZEZE ROSEゼゼ・ロゼを合わせた。2gの残糖のほのかな甘味が和の世界の味付けにピッタリだ。 “名古屋の華丸吉日”イクラにZEZE が驚くほどの合性だ。常識ではイクラとロゼは生臭さが強調されてしまう。ゼゼの畑の地下層は元海底だった岩盤、表面は浜辺のような砂質に火打石がゴロゴロ転がっている。ミネラルからくる旨味とイクラの旨味が同質だ。兄弟のように似ている。   エビのお吸い物、これまた驚きの合性だ。潮っぽいミネラルの旨味とダシの旨味がまったく同質だ。ZEZE ロゼはグロロ品種100%、収穫後即ジュースを絞って古樽にて醸造。洞窟の中で低温にてじっくり醸す。だから優しいホワっとした旨味に仕上がる。 お吸い物をすすりながらマリーさんの顔が浮かんだ。醸造家の出身でもないのにワインが好きで大学で醸造学を学び、色んなところで修業しながらとうとう自分の醸造蔵を立ち上げた情熱あふれるマリーさん。女性独特の優しいタッチに仕上がっている。   ワイン造りへの夢の為に長い年月をかけて実現したマリーさん ここでチョットMARIE THIBAULTマリー・チボーさんを紹介したい。アンジェ大学で生物学、モンペリエ大学で醸造学、南アフリカ、スイスで醸造修業。02にブーブレのMRシデンヌさんのところで働きながら修業。09に現在の醸造元を設立。 自分の夢を決して諦めることなく実現したマリーさんの情熱はすごいものがある。その間に結婚、二児を出産という女性としての人生も貫徹。ワインの事を話しだすと止まらない。自分が造りたいのは“優しく・ピュ アーな透明感のある”スタイル。   ZEZEロゼは白ワインのごとくに醸造。収穫後、直ぐ圧搾してジュースを絞り、10年樽という古ダルで発酵させた。樽香もつけたくないし、自然派に多い還元臭や濁りもマリーさんは好きじゃない。どこまでもクリアに透明感のあるワインにしたかった。   ZEZEロゼの畑は地下層の深いいところはロワール独特の魚介類の骨が石化した石灰質の岩盤。地表上は砂質で浜辺のようだ。その中に火打石がゴロゴロ転がっている。この火打石からくるミネラル感がさらにスカットした透明感をもたらしている。 畑を手に入れて直ぐからビオ栽培を実行しているマリーさん。もう既に次の段階のビオディナミ農法も始めている。フカフカの土壌の中には多くのミミズや微生物が元気に育っている。勿論、元気な自生酵母も育っている。自生酵母のみで醸造している。   MARIE THIBEAULTマリー・チボーはシュナン・ブラン品種からの微発泡のペティアンも醸している。爽やかで実に心地よい。ガメイ品種の爽やかな果実味繊細なタンニンと女性的な柔らかさを備えたワイン。シュナンの優しい辛口ワインもあり、どれも 和食にはピッタリだ。 この畑を手に入れて4年目、栽培を自然なやり方で土壌改良をやって来た。やっと何種類もの草花が咲くようになった。根っ子が地中に向かってぐんぐん伸びだした。よりミネラリーなワインになるだろう。これからが楽しみなマリー・チボーさんだ。   華丸吉日のワインリストは説明付 華丸吉日のワインリストについて 普段ワインを飲まないお客さんが多い和食店ではやはり、説明入りリストはお客さんにとっては助かる。ワインについても、造り手の顔も見えて選びやすい。自然派ワインが和食店に浸透するには必要なことだと思う。    ALEXANDRE BAIN アレクサンドル・バンと和食との相性も驚きだ。1億3千5百万年前のポルトランディアン石灰質の土壌からくる独特のミネラル感と徹底した自然栽培からくる果実味和食系野菜料理にピッタリだ。今までのプイイ・フュメのソーヴィニョンのイメージを一新する味覚だ。   日本野菜に含まれている旨味とアレクサンドルのソーヴィニョンのダシの利いた旨味は共通している。なんて幸せなことだろう。日本野菜とソーヴィニョンがこんなに美味しいハーモニーを作り出すなんて。 最高の驚きはラピエール家のガメイ、RASINS GAULOISレーザン・ゴロワーズとウニとの相性だ。花崗岩質の土壌からのミネラルタップリの軽快なガメイとウニは同じ旨味が共鳴していた。自然派の赤ワインの懐の広さは偉大だ。全く生臭さが発生しないタンニンである。   前々から願っていた事、自然派ワインと本物の和食とのマリアージの実現。日本中でこんな素晴しい体験ができればどんなに人生が楽しくなるか!想像しただけでもワクワクしてくる。最後は美味しいうどんでしめました。美味しかった!  郷津シェフ、果敢な挑戦ありがとうございました。多くのシェフは、飲み物の事を全く考えない人が多い。本当に残念なことだといつも思っていた。しかしこんなに美味しい料理により料理が引き立つワイン達を使っていただけて感謝いたします。きっとお客さんにも喜ばれていると思います。   全国の自然派ワインのファンの皆さん!名古屋にお寄りの節は是非、華丸吉日にお寄りください。美味しい鮮魚の料理と自然派ワインで元気一杯になりますよ。それにこんな美人が気持ちよくサービスしてくれます!  < 華丸吉日 > 名古屋市中区錦3丁目-10-28 第一錦エステートビルB1A 電話052-962-1870  

26
Nov

AUX AMIS 丸山チーム来仏レポート第二弾! VALETTE編

“ミネラル”のチャンピオン・PHILIPPE VALETTEへAUXAMISが訪問 プイィ・フィッセの急斜面の畑にて   オザミメンバー憧れのフィリップ・ヴァレット・プイィ・フィッセの畑 昨夜、ボジョレのフルーリー村に泊まった。ロマネッシュ・トラン村を通って国道6号線をマコン方面に北上した。9人乗りの小型バスを運転しているHIROTOと途中で離れてしまった。アッと思っているとしっかりヴァレットの蔵までたどり着いていた。収穫を終わったばかりのヴァレットは気持ちよく我々を迎えてくれた。 各オザミ店で大評判のヴァレットだ。各メンバーもヴァレットの高品質と価格のバランスには驚いていた。何としてもこのヴァレットを訪問したかったメンバーだった。   10年ぶりの再会 HIROTO とPHILIPPE 10年前、ラングドック地方のカルカッソンヌ城の町で会って以来だ。その時はスローフード協会主催の試飲会がワイン屋で開催されていた時だった。フィリップもブルゴーニュ代表として参加していた。HIROTOはフィリップと腕相撲をして遊んでいたのを覚えている。意外にもHIROTOが全勝していた。   白ワイン専門のスペシャリスト 92年より自然栽培をしている。ビオ機関にも登録している。 フィリップはワイン造りの大切なことの95%はブドウ園での仕事だと考えている。土壌中の微生物を生かすことが最も大切なことだと言い切る。ヴァレットのワインは実にパワフルでミネラル感にあふれている。すべてはこのフカフカに耕された畑で作られる。 特にここ3年ほど前から酸とミネラルのバランス具合が上品になってきた。ヴァレットのシャルドネはピューリニー・モンラッシェとミュルソの中間的なバランスだ。本当にミネラリで潮っぽく、パワフルで美味しい白ワインだ。白ワインに一点集中している。   フィリップとバティストの兄弟効果が全面に! <白ワイン醸造に集中するヴァレットにとって大切な樽。 すべてのワインは樽発酵・樽熟成する。1年間の樽熟成のあと一年間のコンクリート漕熟成、この2年間の熟成の後、瓶詰される。 パワフルから上品に進化しつつあるヴァレット! 数年前より弟のバティストがドメーヌに加わりさらに畑仕事が充実してきた。パワフルなイメージのヴァレットの白ワインに酸と上品さが加わってきた。ビオ栽培も20年の歳月が過ぎて、やるべきタイミングでやるべき作業をキッチリやることで根っこがしっかりと石灰岩盤に入り込んで来たのだろう。   ヴァレットのワインを大好きなオザミチーム、フィリップの 一言一句をノートにとって記録している。 このワインに対する姿勢がオザミのあの雰囲気を作り上げている。つまりオザミ店に入ったら自然とワインを飲む雰囲気が流れている。   いろんな質問を畳みかけるHIROTO。 質問に真剣に答えるフィリップ。   畑と醸造所見学のあとはテイスティングだ。 ちょっと寒いけど、プイィ・フィッセの畑が見える庭にて試飲開始。一挙にヴァレットのワインを試飲できる機会は貴重な体験になる。特にまだ日本に輸入されていないワインも多い。   テイスティングの一部 MACON-VILLAGE マコン・ヴィラージ2011 この価格にして、この品質は凄い。潮っぽいミネラル感がすばらしい。 シャルドネの果実の旨味がミネラルと酸のバランスでひきたっている。 ヴァレット独特の真っ直ぐなシャルドネ。   MACON –CHAINTRE VV マコン・シャントレ・ヴィエイユ・ヴィニュ 2010 この醸造元がある村シャントレの急斜面にある畑。標高300M,石灰質岩版の土壌。 10年という一年多く熟成しているので、すべてが柔らかく感じられる。芯はミネラル感が ピシっとしめていてくれる。この柔らかさを備えた潮っぽさはお寿司や刺身に合うだろう。   VIRE-CLESSE 2010 ヴィレ・クレッセ このシャントレ村から約30キロ離れたところに畑がある。やく12年前に買い取った。 50歳のシャルドネ、粘土石灰質土壌、地下の深いところは石灰岩盤だが、地表には柔らかい […]

18
Nov

AUX AMIS 代表 丸山さん率いるオザミグループがラパリュを訪問!

日常フランスを日本で再現するオザミ・グループがフランスに!   ボジョレーのブルイィ地区にあるLAPALUラパリュ醸造にて   天性の乗りでフランスを飲み・食べ歩くオザミ! 年2回、6月と10月にHIROTO(オザミ・丸山宏人) は、オザミグループの料理人やソムリエを引き連れてフランスにやって来る。 一週間かけてフランスでスタッフに食べ飲ませるツアーやっている。半端でなく良く食べ飲む人達である。 日本で今の日常フランスのレストラン文化を限りなく近いタッチで再現しているのがオザミグループだろう。 その裏にはフランスをこよなく愛しているHIROTOの感性がある。この男、食と飲むことに対する動物的感性は他の追随を許さない天性を持っている。その半面、しっかり計算づくのセンスも無意識のうちに備えている。 11店のレストランを東京でやっている。   オザミのレストランには、フランスを感じる空気が流れている。 明らかに“フランス”を好きでフランスの“食”をよく熟知していないとできない事が普通に自然にオペレーションの中に流れている。 これが妙に自然なのが余計にフランスを感じさせる。 スタッフがフランスを好きで、食を好きなのが感じられる。 HIROTOはフランスに来ると醸造元仲間の中で“HIROTO”の呼び名で愛されている。半端でなく愛されている。HIROTOが醸し出す飲食への野獣的感性をワインに携わるフランス人は大好きなのである。 HIROTOは自ら9人乗りのレンタカーを運転して一週間、フランスを 食べ・飲みつくす旅をやっている。フランスが初めてのスタッフもフランスの“食”の真髄に触れることができる。三ツ星も行くし、街のビストロへも行くし、醸造元でも一緒に食べる。惜しまずお金を使う。   この今しか飲めない“パラディ・天国”をやるオザミ・メンバー   オザミ一行がラパリュ醸造に着くと、ボジョレー・ヌーヴォーのプレスをやっていた。何でも興味を持つ人達だ。最初は近くによって眺めていたけど、 どんな仕組みで?・・・・我慢できなくなってプレス機に上り出した。   ジュースのようなまだ甘さのある液体に驚く面々。ラパリュは2年前に念願の垂直式プレスを手に入れた。しかも100年前のもの、土台が一枚の石でできている貴重なものである。上部の木材は木工屋さんに特注で造ってもらった。 このプレスに変えてから明らかにより上品なワインになったという。 こんな話を聞きながら13年のヌーヴォー醸造中のものを試飲するメンバー。   プレス機に(MC済葡萄)を詰める。最初の内はフリーランジュースでまだ圧力が掛かっていない。しばらくするとジャン・クロードがゆっくり圧力をかけだした。この時期から流れ出した液体を“PARADI”パラディ(天国)と呼ぶ。 このパラディはこの圧搾時の瞬間しか飲めない貴重な飲み物だ。まだ糖分が残っているので運搬することはできない。 醸造所へ行って圧搾時にしか飲めない品物だ。 だから、近所の人達や知り合いも、この時期は醸造所に遊びに来るほど美味しい貴重品。この美味しいパラディを飲むHIROTO!!   醸造中のラパリュ蔵の中で、今“錬金術”で“宝”が造られつつある     醸造中のタイプの違うワインを次々とテイスティングしてみる 興味津々のオザミメンバーは何でも一度自分の目で見て、自分の鼻で嗅いで見ないと気が済まない人達ばかりだ。 醗酵中のタンクを覗いてCO2が充満している香りを全員が試した。CO2を嗅ぐ時ツーンとくる感覚に驚き、“ワー!”と全員が声をあげていた。こんな事も日本にいたら経験できない。ジャン・クロード・ラパリュは次々と色んなワインをテイスティングさせてくれる。   現場に来ないと分からない体験を次々と! ラパリュでは今年はロゼ・ペティアンを造っている。ガメイ品種でまだ醗酵中のもの。もうじきビン詰めしてこのガスを瓶内に閉じ込める。1600本分しかない貴重なものだ。 樽醗酵中のボジョレー・ブランも試飲した。     研修テイスティングの後はアペリティフ! ラパリュ・ブラン’12で乾杯! ボジョレ地区のシャルドネをラパリュが醸したやさしいボジョレー・ブラン。 ツマミは豚の脂身を固めたブルゴーニュのアペリティフ用ツマミの名物・グラトンだ。     オザミスタッフはこんなフランスの醸造中の習慣や雰囲気を自然に体験して知っている。単に本や雑誌で読んだだけではない。フランスの現場を知っているから自然にフランスの心地よい雰囲気がオザミには存在している。フランスの食の日常を熟知しているHIROTOが、自分で運転してスタッフに体験してもらっている努力には心より拍手を送りたい。奥さんのブリジュットが前菜のサラダをもってやって来た。   醸造中のこの時期しか食べられない特別な料理!マール蒸し […]