25
Déc

自然派ワイン界のレジェンドRENE JEAN DARDがもうすぐ来日!

パリ在住のダール・エ・リボ・ファンが ガールド・ローブに大集合!     自然派ワインの業界で今、飛ぶ鳥を落とす勢いのパリのワインビストロ“ル・ガールド・ローブ”で自然派ワインのレジェンドとも云えるダール・エ・リボのルネ・ジャンを招いて試飲・ディナーを開催した。 ルネ・ジャンはちょん髷姿で登場、江戸時代の町医者“赤ひげ”を思わせる風貌だ。ここパリでもルネ・ジャンの人気は根強く深い。本当に1980年代から自然派ワインを造っているダール・エ・リボはまさにレジャンドと云ってよい。多くのファンに支持されている。 超人気のガールド・ローブはもう夕刻の6:30にはほぼ満員状態になる。100%自然派ワインのワインバーである。普段は簡単なつまみ、生ハムセット、チーズセット、ビオ野菜セット、田舎パン、クロック・ムッシュなどをつまみながらワインを飲むスタイル。   生ハムもチーズも当たり前のものではなく、それぞれが工夫されていて、どれも大変おいしい。ルーブル・リボリに位置していて、芸術家が多いマレ地区にも近い。夕方は仕事を終えたビジネスマンや女性同士でも気軽に一杯ひっかけにやって来る。 隣の人とも気軽に話せる和やかな雰囲気が店内に流れていて、実に心地よい。陽の気が充満している感じ。   今夜は店の奥に小さなテーブルを設けて7時から8時までの一時間だけ、すべてのお客さんへのフリーテースティングの時間を設けた。パリ中のダール・エ・リボのファンが集まって来た。ここでは今、売り出し中の3つのワインを試飲、説明。 最初にクローズ・エルミタージュの白、“K”カリエールを試飲。クローズ・エルミタージュ地区では白ワインといえばマルサンヌ品種90%以上が普通。でもルネ・ジャンはマルサンヌ品種はほとんど使わない。つまりルーサンヌ品種100%の白。 11年は遅熟の年だった。ゆっくり熟した分、色んな成分もよく熟すことができた。そしてきれいな酸が残った。ダール・エ・リボのワインの特徴である超軽い微発泡が酸と調和してより爽やかさを強調している。ウーン・・美味い。洗練度が高い。 赤はクローズ・エルミタージュのDES BATIES デ・バティ11年を試飲。ルネ・ジャンのお父さんが植えた60歳のシラー品種100%。花崗岩土壌からくるミネラル感がタップリ。やはり軽い微発泡があって酸を伴った果実味と合わさりフレッシュで心地よい。 サン・ジョゼフ赤11年。11年は遅熟の年で普段より軽め目のバランスで仕上がっている。透明感があって、果実味がフレッシュで気持ちよい。一般女性客がこのサン・ジョゼフを試飲して一言『軽いワインね』と評価するほどスーット入ってしまう。 ルネ・ジャンはちょっとショック。。。『13度近くアルコールはあるのに軽いとは?サン・ジョゼフだぜ!』とちょっと不満そう。   店頭試飲が終わり第二弾は、地下の特別サロンに降りて、コアなダール・エ・リボ ファンを16名だけ集めて食事と古いヴィンテージワインを楽しむコースだ。この会への参加申し込みは、出した瞬間に満員となったそうです。パリでもダール・エ・リボのファンは多い。 流石にフランスの自然派ワイン愛好家、質問も鋭いことを聞いてくる。 客『SO2の使用はどのくらい?』 ルネジャン『年よって違うよ。入れなくてもよい状況の時はゼロの年もある。普通は瓶詰時にちょっとだけ入れる。SO2を入れない事を目的にしている訳ではないんだ。目的は美味しいワインを造ることだよ。よく自然派の醸造家でSO2を入れない事を強調し過ぎる人達がいるけど、ちょっとおかしいと思っている。決して目的ではない。』 客 『あなたのワインはいつもガス(超微発泡)を感じると思うけど、これでいいですか?』 ルネジャン『それは普通です。これは先程の質問とも関係して いるんですど、私は醸造中一切SO2(酸化防止剤)を使わない。その代りにアルコール発酵で自然に生じたガス(CO2)を残すことにしているんです。何故ならガスは酸化防止剤の役割をしてくれるからです。』   このソワレの企画はガールド・ローブの店長ASAMI(メキシコ生まれのパリ育ち)だ。この9月から店長になって張り切っている。連日の超満員状態の繁盛ぶり。ルネ・ジャンが持参してくれたミレジム・ワインを次々と開けてくれた。 まずは黄金色の液体がグラスに注がれた。ウーン、色だけ見るとかなり年代が古そうだ。しかし香りはまだ若々しさを感じる。口の中にいれるとまだガスが僅かに残っている、それに綺麗な酸がプラスされて超爽やかな風味に覆われた。でもこの深みはただものではない。 。 。。。なっなんと!サン・ジョゼフ・白2000年だった。なんて爽やかさがこんな形で残っているんだろう。もう13年も過ぎているのにこの若々しさ!一同感激と驚き。ルネジャン『エルミタージュやサン・ジョゼフは本当は白ワインの方がポタンシエルがあるんだ。』 今夜は、当ガールド・ローブのオーナーが自らワインに合わせて料理を作ってくれた。このサン・ジョゼフには鯛のカルパッチョ、鯛の刺身風のもの。よくこんなに新鮮な鯛を見つけたものだ。まだ爽やかさタップリのサン・ジョゼフ白は鯛の白身の旨味に、熟成によって洗練されたミネラルの旨味に驚くほどピッタリだった。(赤いのは根野菜のベットラブの絞り汁)   次はエルミタージュ白05のマグナムが開けられた。ルーサンヌ品種。ルネ・ジャン『エルミタージュもよく赤ワインの事ばかり話題になるけど、本当は白の方が偉大なワインなんだ。特にルーサンヌが良く熟した年、まさにこの05なんかは世界に誇れる偉大な白なんだ。』 ホタテのカルパッチョ、軽く表面を焼いてある。力強さと爽やかさが共存するミネラリーなエルミタージュ05に料理の方が合わせてくれた感じ。   クローズ・エルミタージュ赤、04,06が出された。なんてクリアで透明感のあるミネラリーなワインなんだろう。濁りワイン・臭い自然派ワインの象徴だったダール・エ・リボの進化は自然派ワイン全体の進化と共有している。 前を歩いている人がいない世界、地平線をゼロの段階から切り開いてきたルネ・ジャンとフランソワ・リボの職人芸の含蓄した技、味わいには、何とも言えない深みを感じる。   ASAMIの完璧な温度管理とサービスでダール・エ・リボのワインの真価を楽しませてもらいました。 自然派ワインこそ提供するタイミングや温度で何十倍も美味しさを発揮する。ダール・エ・リボのパリ在住ファンも大喜び。   パリ在住の熱狂的ダール・エ・リボのファン     皆、大喜びでした。中にはどうしても現地に行きたくてダール・エ・リボ醸造まで訪問しているファンも何人かいました。造り手を前に古いヴィンテージを飲みながら楽しめるのはファンにとって最高の喜び。ルネ・ジャンも嬉しそうでした。 一番嬉しそうだったのは、企画者のASAMIだった。いつも店に来てくれるお客さんと大好きなルネ・ジャンを招いてのソワレは格別なひと時だった。この大成功のソワレの最後にポロっと嬉し涙を流したASAMIは幸せそうでした。 ルネ・ジャンはあまりこの様なソワレには参加することはない。大好きなASAMIの頼みとあっては断れなく今夜の会が成立。この会のお蔭で私も知らなかったダール・エ・リボを再発見した部分も多かった。素晴らしい一期一会でした。この二人に感謝!       自然派ワインは長期熟成にも問題なし!   […]

12
Déc

自然派ワインが楽しめるレストラン紹介!ブラッスリーオザミ スカイツリーソラマチ店 編

スカイツリー越しの眺望は圧巻!ブラッスリーオザミ ソラマチ店 先日、東京スカイツリーに隣接する商業施設「ソラマチ」へ行ってきました。 週末だったこともあり、レストラン階のある30Fまで上がるエレベーターは順番を待つ人で大賑わい! なんと!行列に並び、高層階まで上がるのに15分以上も並ぶ羽目に。。。 しかし流石ソラマチですね~まだまだスカイツリー人気は続きそうです。   さて、今回の目的はブラッスリーオザミ ソラマチ店へお邪魔することでした。 兼ねてより行きたがっていた超グルメなOLまさえちゃん(彼女は週のうち5日は食べ飲み歩きをしている)の希望で土曜日のランチを予約しました。 エレベーター待ちの時間を考慮していなかった私たちは13時の予約を20分程過ぎた頃やっとお店の前に到着。 そんな私たちを遅刻したにもかかわらず温かく迎え入れてくれたのは笑顔の爽やかな女性スタッフ! 彼女の笑顔に、エレベーター待ちの疲れと遅刻の罪悪感はどこえやら。。。   店内へ入ると、そこはまるで天空のレストラン。 素晴らしい眺望が広がるフロアに所狭しとお客様が溢れかえっているではありませんか!     予想以上の活気に呆気にとられていると、元気な声で「いらっしゃいませ~!お待ちしておりました。」 気づいて、こちらに笑顔を向けてくれたのは、そうです、こちらの店長さん、今日一番のお目当て!小松さんです。 彼はオザミが本店しか無かった頃からオザミを引っ張ってきたスタッフのひとり。 ワインとサービスに惜しみない情熱をそそぐ若き勇者!であり、オザミいち!優しい心の持ち主と評判です。 そんな小松店長はスタッフからの信頼も厚く、お客様からとても愛されていて、幸せな雰囲気をつくりだす名人! やはり、その笑顔に期待せずにはいられない。 そんな気持ちで席に着くと。。。   この素晴らしい眺望。 かつてこんな景色を前に食事をしたことがあっただろうか。。。 そして!きました!間髪いれずのアペリティフ! キリリと冷えた辛口のシャンパーニュが 乾いたのどにしみわたります。 うぅ~もうすでに幸せ~。 メニューは2,800円(税込)のコースから、9,800のスペシャルコースまであります。 プリフィクスなので、全てのコースが、お好きな前菜とメイン、そしてデザート、コーヒーまで選べます。   オーダーを終え、私たちが一番最初に食したのは、玉ねぎのムースとコンソメジュレ。いくらと雲丹と共にいただくもの。 これが素晴らしく爽やかで、食感や舌触り、濃厚なこくも楽しめる至極の一品。 そして、このお料理に合わせて出てきたのは<Les Foulards Rouges>フラール・ルージュの<La Soif du Mal’11>ソワフ・デュ・マル。 香りはカラメルやフランボワーズのような甘さがあるのに口に含むとそのミネラル感に驚きます。 いくらや雲丹の塩味とワインの旨みがバッチリ!軽さはあるのに赤ワインのようなポテンシャルを持つこのロゼワイン。旨み感が半端ないのにきっちりドライですっきり飲める! 最初から最高のマリアージュをぶつけてくるあたり、やはり只者じゃない小松店長。ワインへの深い愛情を感じます。   オザミ系列のレストランでは、時に、このようにグラスでワインをおまかせ出来ることも楽しみのひとつです。 お料理に合わせてグラスでワインを提供してくれる。 一本のボトルをじっくり味わうのもひとつの楽しみ方ですが、お料理ごとに出てくるワインにワクワクする、そんな楽しみ方も新たな発見があり面白いものです。 そして次の前菜はなんと!まるごとひと瓶キャヴィアのひと皿!にフロマージュブランとパルメザン、そして焼きあげとうもろこしのブリニを添えたもの。 これにはやっぱりシャンパーニュ再び! 贅沢にも出てきたものは<Champagne Jacques Lassaigne>ジャック・ラセーニュ<Les Vignes […]

12
Déc

自然派ワインがピッタリの一皿料理と鮮魚の美味しい割烹!名古屋の華丸吉日をご紹介!

今、名古屋が面白い。和の世界、割烹 “華丸吉日”にて自然派ワインが提供されている。一つ一つの料理が新鮮で洗練されている。ウーンと唸ってしまう程、バランスが取れていて本当に美味しい。当然、海の幸が多い。自然派ワインにピッタリだ。   特に和食には自然派の優しいロゼがピッタリだ。流石シェフの郷津さんのセレクション。ロワールの女性醸造家マリー・チボーが丁寧に愛情込めて醸したZEZE ROSEゼゼ・ロゼを合わせた。2gの残糖のほのかな甘味が和の世界の味付けにピッタリだ。 “名古屋の華丸吉日”イクラにZEZE が驚くほどの合性だ。常識ではイクラとロゼは生臭さが強調されてしまう。ゼゼの畑の地下層は元海底だった岩盤、表面は浜辺のような砂質に火打石がゴロゴロ転がっている。ミネラルからくる旨味とイクラの旨味が同質だ。兄弟のように似ている。   エビのお吸い物、これまた驚きの合性だ。潮っぽいミネラルの旨味とダシの旨味がまったく同質だ。ZEZE ロゼはグロロ品種100%、収穫後即ジュースを絞って古樽にて醸造。洞窟の中で低温にてじっくり醸す。だから優しいホワっとした旨味に仕上がる。 お吸い物をすすりながらマリーさんの顔が浮かんだ。醸造家の出身でもないのにワインが好きで大学で醸造学を学び、色んなところで修業しながらとうとう自分の醸造蔵を立ち上げた情熱あふれるマリーさん。女性独特の優しいタッチに仕上がっている。   ワイン造りへの夢の為に長い年月をかけて実現したマリーさん ここでチョットMARIE THIBAULTマリー・チボーさんを紹介したい。アンジェ大学で生物学、モンペリエ大学で醸造学、南アフリカ、スイスで醸造修業。02にブーブレのMRシデンヌさんのところで働きながら修業。09に現在の醸造元を設立。 自分の夢を決して諦めることなく実現したマリーさんの情熱はすごいものがある。その間に結婚、二児を出産という女性としての人生も貫徹。ワインの事を話しだすと止まらない。自分が造りたいのは“優しく・ピュ アーな透明感のある”スタイル。   ZEZEロゼは白ワインのごとくに醸造。収穫後、直ぐ圧搾してジュースを絞り、10年樽という古ダルで発酵させた。樽香もつけたくないし、自然派に多い還元臭や濁りもマリーさんは好きじゃない。どこまでもクリアに透明感のあるワインにしたかった。   ZEZEロゼの畑は地下層の深いいところはロワール独特の魚介類の骨が石化した石灰質の岩盤。地表上は砂質で浜辺のようだ。その中に火打石がゴロゴロ転がっている。この火打石からくるミネラル感がさらにスカットした透明感をもたらしている。 畑を手に入れて直ぐからビオ栽培を実行しているマリーさん。もう既に次の段階のビオディナミ農法も始めている。フカフカの土壌の中には多くのミミズや微生物が元気に育っている。勿論、元気な自生酵母も育っている。自生酵母のみで醸造している。   MARIE THIBEAULTマリー・チボーはシュナン・ブラン品種からの微発泡のペティアンも醸している。爽やかで実に心地よい。ガメイ品種の爽やかな果実味繊細なタンニンと女性的な柔らかさを備えたワイン。シュナンの優しい辛口ワインもあり、どれも 和食にはピッタリだ。 この畑を手に入れて4年目、栽培を自然なやり方で土壌改良をやって来た。やっと何種類もの草花が咲くようになった。根っ子が地中に向かってぐんぐん伸びだした。よりミネラリーなワインになるだろう。これからが楽しみなマリー・チボーさんだ。   華丸吉日のワインリストは説明付 華丸吉日のワインリストについて 普段ワインを飲まないお客さんが多い和食店ではやはり、説明入りリストはお客さんにとっては助かる。ワインについても、造り手の顔も見えて選びやすい。自然派ワインが和食店に浸透するには必要なことだと思う。    ALEXANDRE BAIN アレクサンドル・バンと和食との相性も驚きだ。1億3千5百万年前のポルトランディアン石灰質の土壌からくる独特のミネラル感と徹底した自然栽培からくる果実味和食系野菜料理にピッタリだ。今までのプイイ・フュメのソーヴィニョンのイメージを一新する味覚だ。   日本野菜に含まれている旨味とアレクサンドルのソーヴィニョンのダシの利いた旨味は共通している。なんて幸せなことだろう。日本野菜とソーヴィニョンがこんなに美味しいハーモニーを作り出すなんて。 最高の驚きはラピエール家のガメイ、RASINS GAULOISレーザン・ゴロワーズとウニとの相性だ。花崗岩質の土壌からのミネラルタップリの軽快なガメイとウニは同じ旨味が共鳴していた。自然派の赤ワインの懐の広さは偉大だ。全く生臭さが発生しないタンニンである。   前々から願っていた事、自然派ワインと本物の和食とのマリアージの実現。日本中でこんな素晴しい体験ができればどんなに人生が楽しくなるか!想像しただけでもワクワクしてくる。最後は美味しいうどんでしめました。美味しかった!  郷津シェフ、果敢な挑戦ありがとうございました。多くのシェフは、飲み物の事を全く考えない人が多い。本当に残念なことだといつも思っていた。しかしこんなに美味しい料理により料理が引き立つワイン達を使っていただけて感謝いたします。きっとお客さんにも喜ばれていると思います。   全国の自然派ワインのファンの皆さん!名古屋にお寄りの節は是非、華丸吉日にお寄りください。美味しい鮮魚の料理と自然派ワインで元気一杯になりますよ。それにこんな美人が気持ちよくサービスしてくれます!  < 華丸吉日 > 名古屋市中区錦3丁目-10-28 第一錦エステートビルB1A 電話052-962-1870  

26
Nov

AUX AMIS 丸山チーム来仏レポート第二弾! VALETTE編

“ミネラル”のチャンピオン・PHILIPPE VALETTEへAUXAMISが訪問 プイィ・フィッセの急斜面の畑にて   オザミメンバー憧れのフィリップ・ヴァレット・プイィ・フィッセの畑 昨夜、ボジョレのフルーリー村に泊まった。ロマネッシュ・トラン村を通って国道6号線をマコン方面に北上した。9人乗りの小型バスを運転しているHIROTOと途中で離れてしまった。アッと思っているとしっかりヴァレットの蔵までたどり着いていた。収穫を終わったばかりのヴァレットは気持ちよく我々を迎えてくれた。 各オザミ店で大評判のヴァレットだ。各メンバーもヴァレットの高品質と価格のバランスには驚いていた。何としてもこのヴァレットを訪問したかったメンバーだった。   10年ぶりの再会 HIROTO とPHILIPPE 10年前、ラングドック地方のカルカッソンヌ城の町で会って以来だ。その時はスローフード協会主催の試飲会がワイン屋で開催されていた時だった。フィリップもブルゴーニュ代表として参加していた。HIROTOはフィリップと腕相撲をして遊んでいたのを覚えている。意外にもHIROTOが全勝していた。   白ワイン専門のスペシャリスト 92年より自然栽培をしている。ビオ機関にも登録している。 フィリップはワイン造りの大切なことの95%はブドウ園での仕事だと考えている。土壌中の微生物を生かすことが最も大切なことだと言い切る。ヴァレットのワインは実にパワフルでミネラル感にあふれている。すべてはこのフカフカに耕された畑で作られる。 特にここ3年ほど前から酸とミネラルのバランス具合が上品になってきた。ヴァレットのシャルドネはピューリニー・モンラッシェとミュルソの中間的なバランスだ。本当にミネラリで潮っぽく、パワフルで美味しい白ワインだ。白ワインに一点集中している。   フィリップとバティストの兄弟効果が全面に! <白ワイン醸造に集中するヴァレットにとって大切な樽。 すべてのワインは樽発酵・樽熟成する。1年間の樽熟成のあと一年間のコンクリート漕熟成、この2年間の熟成の後、瓶詰される。 パワフルから上品に進化しつつあるヴァレット! 数年前より弟のバティストがドメーヌに加わりさらに畑仕事が充実してきた。パワフルなイメージのヴァレットの白ワインに酸と上品さが加わってきた。ビオ栽培も20年の歳月が過ぎて、やるべきタイミングでやるべき作業をキッチリやることで根っこがしっかりと石灰岩盤に入り込んで来たのだろう。   ヴァレットのワインを大好きなオザミチーム、フィリップの 一言一句をノートにとって記録している。 このワインに対する姿勢がオザミのあの雰囲気を作り上げている。つまりオザミ店に入ったら自然とワインを飲む雰囲気が流れている。   いろんな質問を畳みかけるHIROTO。 質問に真剣に答えるフィリップ。   畑と醸造所見学のあとはテイスティングだ。 ちょっと寒いけど、プイィ・フィッセの畑が見える庭にて試飲開始。一挙にヴァレットのワインを試飲できる機会は貴重な体験になる。特にまだ日本に輸入されていないワインも多い。   テイスティングの一部 MACON-VILLAGE マコン・ヴィラージ2011 この価格にして、この品質は凄い。潮っぽいミネラル感がすばらしい。 シャルドネの果実の旨味がミネラルと酸のバランスでひきたっている。 ヴァレット独特の真っ直ぐなシャルドネ。   MACON –CHAINTRE VV マコン・シャントレ・ヴィエイユ・ヴィニュ 2010 この醸造元がある村シャントレの急斜面にある畑。標高300M,石灰質岩版の土壌。 10年という一年多く熟成しているので、すべてが柔らかく感じられる。芯はミネラル感が ピシっとしめていてくれる。この柔らかさを備えた潮っぽさはお寿司や刺身に合うだろう。   VIRE-CLESSE 2010 ヴィレ・クレッセ このシャントレ村から約30キロ離れたところに畑がある。やく12年前に買い取った。 50歳のシャルドネ、粘土石灰質土壌、地下の深いところは石灰岩盤だが、地表には柔らかい […]

18
Nov

AUX AMIS 代表 丸山さん率いるオザミグループがラパリュを訪問!

日常フランスを日本で再現するオザミ・グループがフランスに!   ボジョレーのブルイィ地区にあるLAPALUラパリュ醸造にて   天性の乗りでフランスを飲み・食べ歩くオザミ! 年2回、6月と10月にHIROTO(オザミ・丸山宏人) は、オザミグループの料理人やソムリエを引き連れてフランスにやって来る。 一週間かけてフランスでスタッフに食べ飲ませるツアーやっている。半端でなく良く食べ飲む人達である。 日本で今の日常フランスのレストラン文化を限りなく近いタッチで再現しているのがオザミグループだろう。 その裏にはフランスをこよなく愛しているHIROTOの感性がある。この男、食と飲むことに対する動物的感性は他の追随を許さない天性を持っている。その半面、しっかり計算づくのセンスも無意識のうちに備えている。 11店のレストランを東京でやっている。   オザミのレストランには、フランスを感じる空気が流れている。 明らかに“フランス”を好きでフランスの“食”をよく熟知していないとできない事が普通に自然にオペレーションの中に流れている。 これが妙に自然なのが余計にフランスを感じさせる。 スタッフがフランスを好きで、食を好きなのが感じられる。 HIROTOはフランスに来ると醸造元仲間の中で“HIROTO”の呼び名で愛されている。半端でなく愛されている。HIROTOが醸し出す飲食への野獣的感性をワインに携わるフランス人は大好きなのである。 HIROTOは自ら9人乗りのレンタカーを運転して一週間、フランスを 食べ・飲みつくす旅をやっている。フランスが初めてのスタッフもフランスの“食”の真髄に触れることができる。三ツ星も行くし、街のビストロへも行くし、醸造元でも一緒に食べる。惜しまずお金を使う。   この今しか飲めない“パラディ・天国”をやるオザミ・メンバー   オザミ一行がラパリュ醸造に着くと、ボジョレー・ヌーヴォーのプレスをやっていた。何でも興味を持つ人達だ。最初は近くによって眺めていたけど、 どんな仕組みで?・・・・我慢できなくなってプレス機に上り出した。   ジュースのようなまだ甘さのある液体に驚く面々。ラパリュは2年前に念願の垂直式プレスを手に入れた。しかも100年前のもの、土台が一枚の石でできている貴重なものである。上部の木材は木工屋さんに特注で造ってもらった。 このプレスに変えてから明らかにより上品なワインになったという。 こんな話を聞きながら13年のヌーヴォー醸造中のものを試飲するメンバー。   プレス機に(MC済葡萄)を詰める。最初の内はフリーランジュースでまだ圧力が掛かっていない。しばらくするとジャン・クロードがゆっくり圧力をかけだした。この時期から流れ出した液体を“PARADI”パラディ(天国)と呼ぶ。 このパラディはこの圧搾時の瞬間しか飲めない貴重な飲み物だ。まだ糖分が残っているので運搬することはできない。 醸造所へ行って圧搾時にしか飲めない品物だ。 だから、近所の人達や知り合いも、この時期は醸造所に遊びに来るほど美味しい貴重品。この美味しいパラディを飲むHIROTO!!   醸造中のラパリュ蔵の中で、今“錬金術”で“宝”が造られつつある     醸造中のタイプの違うワインを次々とテイスティングしてみる 興味津々のオザミメンバーは何でも一度自分の目で見て、自分の鼻で嗅いで見ないと気が済まない人達ばかりだ。 醗酵中のタンクを覗いてCO2が充満している香りを全員が試した。CO2を嗅ぐ時ツーンとくる感覚に驚き、“ワー!”と全員が声をあげていた。こんな事も日本にいたら経験できない。ジャン・クロード・ラパリュは次々と色んなワインをテイスティングさせてくれる。   現場に来ないと分からない体験を次々と! ラパリュでは今年はロゼ・ペティアンを造っている。ガメイ品種でまだ醗酵中のもの。もうじきビン詰めしてこのガスを瓶内に閉じ込める。1600本分しかない貴重なものだ。 樽醗酵中のボジョレー・ブランも試飲した。     研修テイスティングの後はアペリティフ! ラパリュ・ブラン’12で乾杯! ボジョレ地区のシャルドネをラパリュが醸したやさしいボジョレー・ブラン。 ツマミは豚の脂身を固めたブルゴーニュのアペリティフ用ツマミの名物・グラトンだ。     オザミスタッフはこんなフランスの醸造中の習慣や雰囲気を自然に体験して知っている。単に本や雑誌で読んだだけではない。フランスの現場を知っているから自然にフランスの心地よい雰囲気がオザミには存在している。フランスの食の日常を熟知しているHIROTOが、自分で運転してスタッフに体験してもらっている努力には心より拍手を送りたい。奥さんのブリジュットが前菜のサラダをもってやって来た。   醸造中のこの時期しか食べられない特別な料理!マール蒸し […]

1
Nov

2013年ヌーヴォー情報第七弾! -DAMIEN COQUELET-

ボジョレー自然派・新世代を担うダミアン・コクレ2013年収穫     新世代のトップグループを走るダミアン・コクレ ボジョレーの自然派・新世代ダミアン・コクレは、今や自然派の重鎮的存在になりつつあるジョルジュ・デコンブの長男である。 ワイン学校を出た後、ブルゴーニュの醸造元で研修、その後はずっとお父さんのヌヌーン(ジョルジュのあだ名)の下で自然派醸造の修行をし、2007年に独立して、DOMAINE DAMIEN COQUELETドメーヌ・ダミアン・コクレ醸造を立ち上げた。   元火山だったコート・ド・ピィの丘に畑を確保 いきなりモルゴンの醸造家の誰もが欲しがる区画“COTE DE PYコート・ド・ピィ”の丘に4ヘクタールもの畑を確保できた。しかも、ジャン・フォワラールやラピエール家の畑の隣に位置している好立地だ。 太古の昔火山だった山が、永い年月を経て風化してなだらかな丘になっている。小山のコート・ド・ピィ区画はボジョレーの中でも特殊な土壌、ミクロクリマを備えている。他の地区と同じように花崗岩が風化して砂状になった砂が基本土壌。その中に青シストが含まれている。このシストが他ではない独特のミネラル感をもたらしてくれる。   自分の理想のスタイルを追い求めるダミアン・コクレ     リスクを最大限にとる決意をしたダミアン   ダミアンのガメイのバランスの取り方はお父さんのデコンブのスタイルに似ている。しっかりした骨格と豊富な果実味、それと同時にシャープな酸を残す実にオウトツのある透明感抜群のスタイルである。 ここも4,5,6月の寒い春の影響で葡萄の育成が遅れていた。8月になってもヴェレーゾン(色づき)が遅れて進まなかった(Aの状態)。9月に入った段階で通常なら真っ黒(Dの状態)になるのが普通、ところが今年は9月中旬になってもまだ色が薄い(B、C)状態だった。   ダミアンは自分のスタイルであるしっかりした骨格のある果実味にできるだけ近づけたかった。例年のようにはいかないのは分かっていた。近所の醸造家たちはCとDの中間レベルの状態で皆収穫を始めていた。しかしダミアンは待った。お父さんのデコンブは10月3日に始めた。ダミアンはそれでも動かなかった。お父さんより2日遅い10月5日に収穫を開始した。もう多くの醸造家は収穫を終わっていた。   Vサインを出したダミアン 収穫開始よりずっと見守っていた。収穫されてくる葡萄の状態を自分なりに分析していた。2時間ほど経って収穫葡萄が良い状態であることを確信した。限りなく例年に近い状態で収穫できた。   ダミアンの収穫風景     二人の強力な助っ人 ダミアンの収穫は親友のリシャール(右)が毎年応援にやってくる。 幼馴染みであり、オートバイ仲間でもある。ダミアンの趣味はオートバイのツーリングとモトクロスである。いつもこのリッシャールと一緒だ。   そして、トルコ人のマリオ(あだ名)は自分のトルコ人仲間をグループで引き連れてこの収穫にやってくる。マリオ・グループは収穫だけでなく、剪定の時期や耕作の時期もダミアンを手伝っている。だから、ダミアンの畑を知り尽くしている。 このマリオは、お父さんのデコンブ醸造の仕事をもう20年前から手伝っている。だからダミアンがまだ子供の時から知っている。もう家族のような存在だ。ダミアンも安心して畑仕事を任される。畑仕事の超プロ職人だ。   愛犬のカボットもいつもダミアンについて畑にやってくる。 ダミアン 『2013年のヌーヴォーの為に最高のリスクをおいながらも、ほぼ狙ったとおりの葡萄を収穫できました。これで日本の皆さんにとびっきり美味しいヌーヴォーを造ります。』        

30
Oct

2013年ヌーヴォー情報第六弾! -NICOLAS TESTARD-

ピノを知り尽くしたNICOLAS TESTARDニコラ・テスタールがガメイを収穫   一時期のプリューレ・ロックを支えた実力派 ニコラはあのプリューレ・ロックで2005年まで醸造責任者としてアンリ・フレデリク・ロックのもとで5年間も活躍していた。あのフィリプ・パカレとも僅かな時間ながら共に働いていた。 2005年にロックを卒業後、ボジョレーにやって来た。 2008年に独自の醸造ドメーヌを立ち上げた。 ガメイ品種をまるでブルゴーニュ特急畑のピノのように育てあげ、ヴォーヌ・ロマネのように世話して造り上げたニコラ独特のガメイ・ボジョレーだ。どこかにピノを感じる。 ☟ ロック時代のニコラ2005   仲の良いおしどり夫婦     ニコラには強力な助っ人がいる。そう妻のカロルである。 カロルはパリの名門ワイン屋カーヴ・オジェで、店長のマークの片腕的存在で長年活躍していた。カーヴ・オジェ時代にプリューレ・ロックにテイスティングにやって来た時に、この二人の運命の出会いがあった。 カロルのワインと料理に関する知識と実力は凄いものがある。特に試飲能力は抜群の感覚を持っている。 彼女は、ボジョレーに引っ越してきた時、フルーリー村に自然派ワインビストロを開店した。料理シェフ兼経営者として勤め、それは大人気のビストロだった。子供ができ時間がなくなってレストランを、惜しまれて閉めた。   日本初登場!ニコラ・テスタール・ヌーヴォー 我々が気合を入れて収穫しました!     今年から自分の醸造蔵の名前のヌーヴォーを造ることを決意した。その為ブルイィ地区にあるサンテチェン・ウイヤード村に畑を準備しブルゴーニュ特級畑のごとく世話をしていた。 4.5.6月の不天候と寒さの影響で遅れていた成長。特にこの畑は予想以上に葡萄の生育が遅れていた。 8月中旬に私が訪問した時にはまだヴェレーゾン(色づき)が始まったばかりだった。ヌーヴォーに間に合うか、やや心配していた。 他の自然派仲間より1週間遅れて収穫を行った。結果的にはその後の好天に恵まれ、こんなによく熟して健全な葡萄が確保できた。   かなりレベルの高い品質のガメイを確保 ニコラにとって最高のバランスの葡萄が収穫できた。思わず笑みがでる。 初めての畑だったので、葡萄の熟すスピードを読み切れていなかった。8月の後半の晴天と猛暑が手伝ってグングン熟成が進んだ。熟成が進んだだけでは満足しないニコラ、色だけはコクなったけど酸が残り過ぎていたので、1週間遅らせたのが幸いした。ニコラが狙ったとおりのバランス、強すぎないアルコール、ミルランデール化した葡萄から果実味の濃縮感、心地よい酸、上質のピノ・ノワールを思わせるバランス感覚。まさにニコラの得意とする領域だ。  日本初上陸のテスタール・ヌーヴォーは2013年今までのヌーヴォーの概念を覆すだろう!   幾多の難関を乗り越えて10月2日、収穫開始     ニコラの収穫人は平均年齢が若い。収穫しながら冗談を飛ばし、大変賑やかで明るい収穫雰囲気だ。 醸造所で皆は、あのカロルの料理が食べられる。勿論、ニコラのワインとともに。収穫人にとって忘れられない一週間となるだろう。 ニコラにとって2013年は多くの出来事が起きた  今年はニコラにとってあまりにも多くのことが起きた。まず、ニコラのメインの畑が雹の被害に遭い、ほぼ壊滅状態となる。そんな中、醸造所と自宅を引っ越さなければならない状況に。しかし収穫直前の夏に、幸いにも醸造所付の新居を見つけることができた。そこは標高600mのHAUT BEAUJOLAISオー・ボジョレー地区、最高の畑も見つけた。収穫直前の夏に無事引っ越しを終了。しかし新醸造所の準備が間に合わず、今年までは以前のところを使用せざるをえなかった。   2013年は諸々の困難を乗り越えての収穫だった 収穫中も色んなことが連続で起きたが、すべて起きることをプラス発想で乗り越えて前に進むニコラ・テスタールを応援したい。   醸造所に到着   プリューレ・ロック時代と同じ方法 細心の注意意を払って葡萄を醸造所に運ぶ。 醗酵槽へ入れるのはベルトコンベアーで上まで上げて、重力で落とし込む。 ニコラは葡萄園の収穫から葡萄が醗酵槽に入るまですべての段階の現場に自分が立ち合わなければ気がすまない性格。 SO2(酸化防止剤)を入れない自然派醸造の基本 自然派醸造の基本中の基本は、健全な葡萄しか醗酵槽にいれない。プリューレ・ロック時代に徹底して教え込まれたことを忠実に実行している。 まさに、ブルゴーニュ・グランクリュのごとくに ガメイを醸すニコラ・テスタールがここにいる。   清潔な醸造所 […]

29
Oct

2013年ヌーヴォー情報第五弾! -JEAN-CLAUDE LAPALU-

ボジョレーの新リーダー J-C LAPALU ジャン・クロード・ラパリュ13年収穫 ワインは“人”が第一! 今、フランス醸造家で人物を一人挙げろと云えば即、この人ジャン・クロード・ラパリュを指名する。 *仕事に対する追及心 *トコトン実行する行動力 *人間としての信義を大切にしている *やることをやった後の人間的温かさ *許容力の広さと深さ 多くの若手醸造家がラパリュを慕って集まってくる。   ラパリュの2013年 毎年、自然派醸造元の中では最も早い収穫をするラパリュ。 今年は9月27日、ほぼ自然派の仲間と同時期に始めた。 ラパリュの畑はブルイィ山に守られて普通は早く熟す。今年は1980年以来の遅い収穫となった。やはり4,5,6月の寒い春が原因で3週間、葡萄の成長が遅れた。開花時の不天候で結実が不安定となって、ミルランデール化した葡萄が多い。そして、8月に畑の一部に雹が降った。しかしその後、乾燥が続いたことで幸い雹が当たった部分も乾燥して腐ることがなかった。 今年は結果として大変に健全な葡萄を収穫することができた。ミルランデール化した葡萄はラパリュにとっては大歓迎だ。ミルランデール葡萄は濃縮したジュースが搾れるからだ。 『今日収穫した葡萄はヌーヴォーにする予定です。アルコール度数は低めですが果実味は深みがあるタイプになるでしょう。何より傷んだ葡萄が少なく大変健全な葡萄が収穫できた。この葡萄で日本の皆さんを驚かせたい!グイグイいけるタイプでありながらラパリュ独特の深みを楽しめるヌヴォーを狙いたい。楽しみにしていてください。』ラパリュ   元気100倍のラパリュ大好き人間ばかりが集まった収穫チーム     乗りのよい知性派グループ ラパリュの収穫は若手が多い。 毎年、ワイン好きの大学生が来るのに 今年は収穫時期が遅れた為、大学の授業が始まってしまった為に参加できなくなったメンバーが多い。 ラパリュの収穫期間は1週間と短いので近所のリヨン大学の学生や醸造家の卵や、ラパリュのワインをこよなく愛している若者達が集まった。 ラパリュ大好き人間ばかりが集まった。 仲間同士という感じの温かい雰囲気が漂っている。       食用葡萄の収穫のようなカジェット(箱 収穫された葡萄は底の浅い籠、ロマネコンティより浅い箱で醸造所まで運ばれる。収穫してから醗酵槽に入るまで葡萄が重量で潰れるような危険はゼロ。ここまで気を配っている醸造家は見たことがない。こんな小さいことの積み重ねがラパリュ・ワイン独特のきめの細かい上品さをかたち造っている。             2013年 ラパリュ醸造の初収穫の葡萄が蔵に到着   ラパリュ醸造はブルイィ山の麓、AC BRUILLYの区域にある。北ボジョレーのクリュの中でも最も葡萄が熟すのが早い区域にある。すべては元火山だったブルイィ山のエネルギー・パワーのお陰だ。北からの寒い風を遮ってくれる。 13年、初葡萄到着に感動しているラパリュ 『2013年の初収穫葡萄がラパリュ醸造所に到着した。 何年もやっていることだが、この最初に収穫した葡萄が醸造所に着いた時は感動するものです。一年の農作業の過程が頭をよぎる。そして、最初の醗酵が始まるまでは ドキドキするものです。』   たかが葡萄の運搬、されど運搬! ラパリュの凄いところは、葡萄栽培から瓶詰めまでのすべての工程を細かく細分して、ここまでやるか?という手間暇をかけて細心の注意を払ってやってしまっていることだ。ロマネ・コンティでもここまではやっていない。   食用葡萄ケースに入った葡萄を丁寧に醸造所内に素早く入れる。早朝の温度が低い時に収穫した葡萄は直接、醗酵槽に入れる。午後の温度が上がった時の収穫葡萄は冷蔵庫にいれて一晩冷やす。ベルトコンベアーで醗酵槽の上から重力で落とし込む。   普通はポンプを使用して醗酵槽に荒らしくいれる。この時に折角の葡萄が傷ついてしまう。ポンプを使えば時間も人手も掛からない。しかし偶然に上品なワインはできない。 […]

28
Oct

2013年ヌーヴォー情報第四弾! -GEORGE DESCOMBES-

デコンブは最後まで収穫を待ってボジョレー中で最も遅く収穫   10月2日、デコンブのヌヌーンは重い腰をやっと上げた。 自然派の仲間達が次々と収穫を始めた先週もデコンブはジット動かなかった。自然派でない普通の醸造家はもう2週間前より収穫を始めている。彼らは熟度が足りなくともドサット砂糖を入れて補糖(シャプタリザッション)をするから危険を冒して待つ必要がない。自然派は最大限まで葡萄が熟すまで待つ。決して精神的に楽なことではない。 先週は晴天が続き待った甲斐があって葡萄の熟度が上がった。 しかし、今日を境に天気が崩れそうな雲行きになってきた。 もう待てない。デコンブは昨夜、収穫人に明日早朝に収穫開始の合図をだした。   まだ、太陽が昇らない7:10には葡萄園に到着。 深い霧がかかっていることも手伝ってうす暗い葡萄園だ。 霧の中で収穫のゴーサインが落とされた。まるで戦場のような朝靄だ。デコンブが見守る中、収穫人は一斉にハサミの音を鳴らし始めた。 多くを語らないデコンブは、自分のこの遅い決断が果たして正解だったのかまだ確信をしていない。じっと収穫されてくる葡萄を確かめている。何度も何度も食べて葡萄の熟度状態を確認しているデコンブのヌヌーン。 着々と葡萄が収穫されて集まってくる。   デコンブのワインは常に濃縮感を感じられる。だからデコンブは自分のこのスタイルを貫きたかった。この時期に一週間待つというのは一種の賭けのようなところがあった。待ったからと云って天候が良くなるという保証は全くない。この間に災害に遭うこともありうる。厳しい顔のヌヌーンの表情は理解できる。   望んでいた良質の葡萄を確認 自分が望んでいた葡萄の状態を確認できるのには少し時間がかかった。次々と健全な葡萄が収穫されてきた。思わず顔の表情もゆるんできた。 今朝のランシエ村の畑は、今年のデコンブ・ヌーヴォー用の葡萄だ。毎年、デコンブのヌーヴォーはどこよりも力強さがある。デコンブのこのスタイルを待つお客さんの為にも忍耐強く待った甲斐があった。偶然にデコンブのスタイルが出来上がっているわけではない。危険を承知の上でジット動かない忍耐が必要だった。 マルセル・ラピエールとは深い関係 マルセルとは深い関係を持っていたデコンブ。ヌヌーンは若いころ瓶詰機械をトラックに積んで各醸造元に行って瓶詰めを行う仕事に就いていた。 ある日、マルセル・ラピエールの醸造所から依頼があって瓶詰めをしていた。その時、マルセルのワインを飲んで体中に衝撃が走った。 『こんなワインを今まで飲んだことがない。こんなに体に自然に溶け込んでいくワインが存在するのか?本当に感動したんだ。』とデコンブ。 即、デコンブはマルセルに弟子入りをした。いずれ先祖が持っていた畑を引き継ぐつもりだった。数年後に醸造元ジョルジュ・デコンブを設立した。   自然派の次世代を着々と育成 今日は二男のケビン(20歳)とコンビの収穫だ。もう4年もお父さんについて一緒に自然派ワインを造っている。もう一人前と云って良い。 今年から、ケビンもお父さんから畑を分けてもらって独立する予定だ。 長男のダミアンは既に5年前に独立している。 着々と自然派の次世代を育てているデコンブだ。 自然派の基本・徹底したトリアージ(選果作業) 今日は収穫の初日だ。収穫人に収穫のやり方、特に葡萄の傷んだ部分を 切り落とすトリアージ作業の徹底を教え込んでいるケビン。 マルセルからデコンブそして次世代のケビンまで自然派ワイン醸造の根幹の部分、『健全な葡萄しか醗酵槽に入れない』は徹底して受け継がれている。手間暇がかかるけど絶対に必要な作業だ。   トラックまで運ばれてきた葡萄を更に入念にチェックし傷んだ葡萄や不健全な葡萄を取り除いている。雑菌は醗酵槽に入ってから繁殖すると ワインが台無しになってしまう。   最高のヌーヴォー用葡萄を天から贈られたデコンブ   3時間ほどでトラックが満載になった。期待したおりの葡萄を収穫できた。 今年のデコンブ・ヌーヴォーは期待できそうだ。他の醸造家より1週間遅くまで待っての収穫は正解だった。ここまで完璧に近い葡萄は、こと13年では少ないだろう。   2013年最高の葡萄を確保 デコンブ・ヌーヴォー用の葡萄は このメンバーで収穫しました。 4,5,6月の寒い春が続き、葡萄成長が3週間も遅れた。 1980年ぶりの遅れだった。 ベテランの域に入ったデコンブにとってもあまり経験のない事だった。 『素晴らしい素材を天から贈られました。これで日本の皆さんに喜んでもらえるようなヌーヴォーを造ります。』デコンブ  

24
Oct

2013年ヌーヴォー情報第三弾! -CYRILL ALONZO-

2013年もヌーヴォーはALONZO NOUVEAUにお任せください!  繊細でエレガントなスタイル 今年はレニエ村の美しい丘陸地帯にある畑を確保しました。9月28日、シリル・アロンゾが狙っている理想的なバランスのヌーヴォーを収穫しました。 つまりアルコール度数もタンニンもあまり濃縮しすぎない繊細でエレガントなヌーヴォーのスタイルです。   シリル・アロンゾのガメイ哲学 アロンゾのヌーヴォーは他では絶対に見られない特徴がある。シリルにとってガメイ品種はやや軽めのエレガントで繊細なところに最高のエキリーブル(調和)があること。濃縮し過ぎても、薄すぎてもダメなのである。 まるで上質なピノ・ノワールのようなバランス感覚がシリル・アロンゾの狙いであり、ガメイ哲学である。   上質なテロワールと栽培の達人が必要 その為に必要な上質なテロワールと自分の土壌を知り尽くしたビオ専門の栽培家、フレデリックと巡り合う。フレデリックの家系はこの地で1794年より葡萄栽培をやっている。9代目の当主だ。220年間もずっと自然栽培をやっている。このヌーヴォー用の畑の平均樹齢は60歳で中には100歳級の古木も含まれている。   ボジョレーの典型的な花崗岩土壌。古木の根っこはこの花崗岩の岩盤に深く入り込んでいてミネラリーな透明感ある果汁がとれる。 そして、この地は廻りの街を見下ろすほどの高台にある。標高350mほどある。ポリフェノールは熟してもアルコール度は低く、酸が残りやすい。狙いどおりのテロワールだ。   老いも若きも混じった元気でチームワークのよい収穫人達が集まった!   この活力が自生酵母をも元気にするだろう! この活力が自生酵母をも元気にするだろう! 収穫人は元気なのが良い。できれば健全な人達が良い。この元気さがワインの中にも入って行くからだ。 ここの収穫人は遠くからの若者と地元のベテランが入り混じって仲良くやっている。 中には77歳で30年以上も収穫をやっているおじさんもいる。   徹底したトリアージ選果作業 収穫された葡萄が次々と荷台に運び込まれる。運びこまれた葡萄を慎重にチェックして、傷んだ葡萄や不純物を取り除く選別作業を徹底して やっているアロンゾとアドリアン。 時々、収穫された葡萄を食べてチェックしてみることも大切だ。 皮のタンニンや種の熟度は自分の歯で噛みしめて見ないと分からない。 分析では分からない部分だ。   流石、自然栽培歴が長いベテランのフレデリックだ。この難しい2013年に完璧な葡萄を育て上げた。萄園を歩いて観察したが、腐っていたり傷んだ葡萄がほとんどない。 『見たかい!この完璧な葡萄。 これでエレガントで美味しいヌーヴォーを日本の皆さんに造ります』 シリル・アロンゾ   自信に満ちたシリル・アロンゾ やっと最良の栽培パートナーを見つけたシリル・アロンゾ。 今年ほど収穫された葡萄をみて喜んでいるシリルを見たことがない。 それにこの自信に満ちたシリルの顔をみてください。 今年のヌーヴォーはアロンゾ・ヌーヴォーに決まりでしょう! 特にコカ・ヌーヴォーをお見逃しなく!    

22
Oct

2013年ヌーヴォー情報第二弾! -LAPIERRE家のヴァンダンジュ-

自然派の元祖・ボジョレーのラピエール家が2013年の収穫を開始! 今年も世界中から若者が集まって来ました。9月26日に開始した収穫。ほぼ30度近い真夏日の快晴の天気だった。 約半分の収穫人は毎年参加のベテラン・メンバー。色々心配された13年もやっと収穫にたどり着きました。 このエネルギーの塊が自然派ワインの中心だ! このエネルギーがラピエール家のワインの中に伝わっていく。 毎年来ているベテラン組が新人を教育しながら収穫が進んでいく。今年も収穫は葡萄の品質を見極める選別眼が必要だ。体力的に厳しい労働を励ましあいながらパワフルに進めていく。 3女のアンヌを中心にベテラン・メンバーも気勢を上げた。 これから2週間から3週間の厳しい肉体労働をする合宿メンバー仲間だ。 お互いに励まし合いながら、元気に、楽しく、確実にやってほしい。 収穫の総指揮官・マリー・ラピエール 今年もラピエール家のブドウ園での収穫指揮はお母さんのマリーが担当。それを3女のアンヌが補助している。約60人の収穫人を4グループに分けて収穫をしている。葡萄園の炎天下では30度を超す暑さ、昼食後の収穫はこの二人が気合を入れる。 2013年 初ジュースを聞くマチュ・ラピエール 醗酵槽に葡萄丸ごとを入れて下からジュースを抜き取って試飲する醸造担当のマチュ。マルセル・ラピエール亡きあとを見事に引き継ぎマルセルより美味しいワインを造る、と世界中から認められているマチュ・ラピエールだ。   2013年は収穫が例年より2~3週間も遅れている。4.5,6月の寒くて雨が多く、曇りがちな長い春が原因だ。開花時期が既に3週間も遅れた。しかも同じ畑でも一挙に開花することなく3週間に渡って徐々に開花していった。 同じ葡萄木の房でも開花が長期間に渡って行われたので葡萄の熟度が平均していない。収穫の決断が難しい年だ。マチュ・ラピエールは同じブドウ園を2回に渡って収穫することを決意した。葡萄の状態を見て臨機応変に対応が必要だ。 一回目の収穫では、a-良く熟している葡萄、b-あと2週間も耐えられそうにない葡萄を収穫して、2週間後の良く熟した頃にもう一度2回目の収穫にやってくる。b-の葡萄はVDPワインに回す。収穫人の選別眼が重要になる。   13年もラピエール家では厳格なトリアージ(選別作業)を実施 ラピエール家のトリアージ作業は間違いなくNO1の厳しさ。トリアージとは腐った葡萄や傷んだ葡萄を取り除くこと。また葡萄の悪い部分を取り除く作業のこと。葡萄全体がダメな場合は切り落す。一部の場合はその悪い部分を取り除く作業。下部を切り落とす。 ラピエール家はトリアージ作業のチャンピオンだ。繊細で上品で透明感があるワインは偶然にはできない。葡萄の一粒一粒を丹念に検品しながら悪い部分を切り落とす。こんな時間がかかる作業を徹底しているのがラピエール家だ。途轍もない手間暇のかかる作業だ。 今年も膨大な時間をトリアージに割いている 50人の収穫人全員が葡萄の一粒一粒を検品、切り落とし作業(トリアージ)を行っている。ここまで徹底しているのは、フランス中で見たことがない。 ロマネ・コンティより厳格なトリアージだ。 マチュ・ラピエールはお父さんのマルセルの教え『健全な葡萄のみを収穫』を更に徹底しただけ。   13年は比較的このような健全な葡萄が多い。昨年は腐った葡萄が多かった。収穫人にとっても、こんな美しい葡萄にハサミを入れる時の快感は格別だ。今年の特徴は葡萄木の生育が2,3週間遅くなり収穫も遅れた。しかし、最終的に品質上は良年といえる。 今年もミルランダージが多い 13年の特徴はミルランダージ化した葡萄が多いこと。ミルランダージとは開花時の天候不良の為、1房の中でも開花が同時に行われなく、結果として大きい粒と小さな粒が混じった葡萄房が形成されること。果皮の面積に比較して果汁が少ないので濃縮したワインができる。結果的に品質的には良年となる。   収穫時の3人の大切な役割 1-運び屋 2-トリアージ専門屋 3-ムードメーカー屋 収穫時には、葡萄を採る人とポルトゥール(運び屋)がいる。ポルトゥールとは収穫人が採った葡萄を籠に入れる。その籠を葡萄園の端に準備してある箱まで運ぶ人のこと。運びながら葡萄の品質をチェックする。悪い葡萄が籠に入っている場合は収穫人に選別作業のやり方・基準を教え込む。大切な仕事だ。 だからベテランが担当する。かなりの重労働である。1日に運ぶ重量と歩く距離は半端ではない。屈強な体力も必要だ。   ポルトゥールが運んできた葡萄を更に再度、葡萄の品質を検品して悪い葡萄粒などを取り除く作業(トリヤージ)をする人がいる。この部分はベテランの人がやる大切な仕事。彼女はオランダ人でもう13年前から毎年収穫にやってくるベテランだ。 項目ラピエール家 3女のアンヌ 一日の終盤になると、体力的に疲れて精神的にも参ってくる。誰かが歌を歌ったり。ジョーダンを飛ばして、気分を抑揚させる必要がある。ムードメーカーが必要だ。ボーとしてくると注意力が緩慢になって悪い葡萄を収穫してしまう。夕方は要注意だ。たったチョットしたことで、一年の畑仕事が台無しになってしまうからだ。   2013年の状態をあらゆる角度からチェックするマチュ・ラピエール マルセル・ラピエールが残した大切な宝 マチュ・ラピエールにはお父さんのマルセルが30年間、書き残した収穫・醸造記録がある。突然に美味しい自然派ワインはできない。父から息子へ、代々の栽培・醸造記録が蔵の歴史である。その歴史があって今がある。 マチュは記録を調べていると。今年は2006年と2007年の中間的な葡萄の状態・品質に似ている。流石マルセルだ。かなり詳しく記録していました。マチュにとって、その年にマルセルがどんな醸造をやったか、大変なヒントになる。マチュは13年の醸造のシミュレーションを展開できる。 2013年は幾つかの難関を越えながらも結果としてかなり高品質になる可能性を秘めている。解禁日が決まっているヌーヴォーは早く収穫しなければならないので軽めのグイグイタイプ。通常ワインは収穫を遅らせて葡萄を十分に熟成させて収穫ができる。 その意味では今後、収穫中の天候状態が13年の品質に大きく左右することになる。   収穫も4日目、着々と葡萄が醸造所に運び込まれてくる。収穫を始めてから28度の夏日が続いている。葡萄の熟度が日に日に上がっている。このまま晴天が続けばかなり高い品質のワインとなる。この天候の中、ポリフェノールが順調に熟成している。 レセプション係の大切な役割だ 醸造所に運び込まれた葡萄を細かくチェックして糖度などを記録しておくレセプションの専門家をラピエール家では設置している。   次々と運び込まれる葡萄をチェックして、収穫された葡萄園区画と収穫責任者の名前を記録しておく。 どんな事が起きてもトレサビリテを 追及できるようになっている。   収穫した葡萄を一晩冷蔵庫で冷却 温度が涼しい午前中に収穫した葡萄は、ダイレクトに醗酵槽に入れても問題ない。気温が上がった午後に収穫した葡萄は雑菌が繁殖しやすいので。畑に設置してある冷蔵庫に一晩、入れて冷やす。酸化防止剤を混入しない自然派の造りには重要なことだ。この作業も今となってしまえば、単純なことだけど、一昔前は、まだ醸造中に雑菌が繁殖したり、お酢になってしまったタンクが多かった。特に酸化防止剤(SO2)などをあまり使用しない醸造の場合には多かった。この方法は自然派醸造を研究していたジュル・ショーヴェ博士が考案・実証してマルセル・ラピエールに伝えた作業だった。今は世界に伝わっている。 […]

18
Oct

2013年ヌーヴォー情報第一弾! -CHRISTOPH PACALET-

シャペル・ド・ゲインシャ村にある特別な畑。自然派ワイン醸造を科学の世界から立証した研究者ジュル・ショーヴェ博士が持っていた畑。ショヴェ家から自然派の若手7名に分配した特別な畑だ。13年は幾多の困難を乗り越えた。 CHRISTOPH PACALETクリストフ・パカレ 『2013年は本当に最後まで困難が続きました。でもこんなに素晴らしい葡萄を収穫することができました。すべてに感謝です。日本の皆さんの為に自然な美味しいヌーヴォーを、これで造ります。』   シャペル・ド・ゲインシャ村のクリストフが持っている畑区画は雹が降った区画のはずれに位置していたので被害が軽めで済んだ。葉っぱ達は傷ついていても必死に葡萄を育ててくれた。葡萄達も最後の力を振り絞って熟成に堪えていました。 収穫直前の8月にシャペル・ド・ゲインシャ村にある元ジュル・ショーヴェ博士の畑を雹が襲った。畑の場所によっては全滅状態だ。近所の家の屋根が崩壊する程凄まじいものだった。私が訪問した8月上旬には完ぺきな状態だった葉っぱに穴があいている。 クリストフは8月のバカンスを返上して畑の世話をした。普通、8月はもう畑を耕すことはしないのに、今年は草に栄養を取られないようにできうる限りを尽くした。クリストフが現場にいることで葡萄達も元気になるようだった。お陰でこんな葡萄が収穫できた。   CHRISTOPH PACALETクリストフ・パカレにとって13年は忍耐の年だった。本当にドキドキの連続だった。最後の収穫も特別に慎重に行った。傷んだ葡萄の個所を綺麗に取り除く作業をきっちりやらなければならなかったからだ。 傷んだ個所一粒一粒を取り除く作業をやっているクリストフ。手間暇かかるけど、自然派の造りは、酸化防止剤(SO2)などを添加しないので絶対にやらなければならない作業だ。でも、クリストフにとっては大満足で歓喜の収穫だった。   収穫人にも悪い部分を取り除く作業を徹底する為に、一人一人に張り付いて指導をしていた。ここまでやらないと自然で透明感のあるグイグイ飲める 美味しい自然派ワインはできないのだ。こんな小さい事の積み重ねが自然派ワインの真髄だ。 雹でやられて粒が幸いにも乾燥して腐りが発生していない。でもこの粒を一つずつ取り除く作業をやらなければならない。大変に時間と手間のかかる作業だ。こ れを見ただけで頭の下がる思いがする。一般の醸造家なら醗酵槽に酸化防止剤を入れて済ませるのに。    8月の雹が降った後、こんなに収穫できるなんて、想像だにしていなかったクリストフ。しかも、尊敬する元ジュル・ショーヴェ博士の畑を任されて初めての収穫の年だった。伯父にあたる故マルセル・ラピエールが天より応援してくれていたのかもしれない。   今年は強力な助っ人が収穫に参加してくれた。あのマルク・ペノさんのお兄さんがクリストフ・パカレの収穫に 駆けつけてくれたのだ。今はリヨンの街で画家として活躍している芸術家。ペノさんを自然派ワインの世界に引っ張りこんだ人だ。 クリストフにとって13年ほど嬉しい収穫はない。この笑顔は偶然にはできない。今年のクリストフ・ヌーヴォーは期待できる。11.50度ぐらいのスイスイ入ってしまう軽快なヌーヴォーになるだろう。一本はアッと云う間に飲みほしてしまうスタイルになるでしょう。     シャペル・ド・ゲインシャ村にある元ジュル・ショーヴェ博士の畑の収穫を無事終えた面々。時間はかかったけど、8月のあの悪魔の雹を乗り越えた収穫に満足の面々。ブラヴォー! 慎重に速やかに醸造所まで運ぶクリストフ。色んなことが頭に浮かぶ。4.5.6月の寒くて曇り空の悪天候からくる3週間の葡萄成長の遅れ、開花時の悪天候による結実不良、そして8月の雹、ここまで収穫できるなんて感動の瞬間だ。     醸造所まで無事到着したクリストフ。『ヤッタ!って感じかな。待ってくれている日本の皆さんの為に、とびっきり美味しいヌーヴォーを造ります。そして、このヌーヴォーの飛行機と一緒に私も日本へ行きます!皆さんと一緒にやりましょう!』 今年のクリストフ・ヌーヴォーは見逃せない!!  

22
Mai

シャトー・ジャンフォー訪問リポート!

3月のとある日、私にとっては第二の故郷であるボルドーにやって来た。24から30歳までの6年間を過ごした街だ。最近、来る機会がめっきり減ってしまった。でもボルドーにも美味しい自然なワインがある! 私が滞在した頃と比べものにならないほど綺麗に整備された街並みが大変美しい。数年前に世界遺産に認定された街だ。ガロンヌ川沿いの夜景が素晴らしい。 安生さんは2度目の訪問だ。確かBMOの弾丸ツアーの時に参加して訪問している。ワインについては大変なパッションを持っている人だ。自分が経験したことをスタッフにも経験してもらいたいのでしょう。今回はスタッフと共だ。 東京のポン・デュ・ガールの安生さんがスタッフのメンバーを引き連れてボルドーにやって来ました。ボルドーで数少ない自然な栽培を実践し自生酵母でワイン造りをしているCH-JEAN FAUXジャンフォーにやって来ました! シャトージャンフォーのオーナーのパスカルは動きながら常に頭が回転している男だ。同じ場所にジッとしていることがない。かつて樽製造会社の経営者の一人だった。今は、自分の故郷であるボルドーワインの復権に全精力を傾けている。 何をやっても凝り性な性格。畑の整備、醸造設備、醸造所の改良など徹底的にやらないと気が済まない性格。 ワインだけに限らない。生ハムも豚を丸ごと買って育てて自分でハムを造ってしまう。これが実に美味しく、ジャンフォーワインにピッタリだ。 ジャンフォーではすべての葡萄を除梗機で除梗する。除梗機に入れる時も葡萄をチェックしながら選別する。破砕はしない。葡萄の粒のみを発酵槽に入れる。 除梗機から出てきた粒をさらに選別して完璧な健全な粒のみを発酵槽の中に入れる。 除梗機から発酵槽まで6人で選別作業に使っている。しかもポンプは一切使用しない。すべてベルトコンベアーで発酵槽の上まで移動させながら優しく重力で上から落とし込む。 発酵槽に入る葡萄粒はまるでキャビアのように美しい。 茎が無いマセラッション・カルボニック醸造のように発酵がおこなわれる。まるでブルゴーニュの醸造元のような細かな作業を行っている。 CH-JEAN FAUXジャンフォーは1312年には既に葡萄栽培されていた。17世紀にはボルドーワインの中で重要なポジションにいた。古文献に確りと記されている。パスカルは買い取る時、シャトーが所有していた斜面など優良畑のみを買取ることに成功した。 ジャンフォーの土壌はサンテミリオンのコトーに限りなく近い。僅かな石灰粘土質の下は古い石灰岩盤になっている。メルローには最適の土壌である。根っ子はこの岩盤に入り込んでミネラルを吸収している。ボルドー右岸の元祖土壌のザ・メルローだ。 ボルドーを愛し、ボルドーテロワールを研究して、ブルゴ-ニュの地質学者クロード・ブルギニョンに土壌調査を依頼、実施。ブルゴーニュ方式の厳密な区画別醸造にこだわり、ボルドー右岸の本物テロワールとメルローを追求するジャンフォー。 収穫も勿論手摘み、収穫された葡萄は傷まないようにカジェットといわれる小箱で醸造所まで運ばれる。 >醸造所まで運ばれた葡萄をパスカル自ら厳しくチェックする。      さあ、パスカルの完璧主義による醸造で造られたジャンフォーのワインを試飲だ。まず、パスカルがグラスを一つ一つワインで洗う作業、アヴィナージュをしてくれた。グラスに付いている香りなどをワインで消す作業を丹念にやるパスカル。   ポン・デュ・ガールの面々も普段店で飲んでいるボルドーワインを造り手の話を聞きながら飲むのは格別なひと時だ。造り手にとっても自分のワインを日本の消費者に語ってくれる人達と過ごす超貴重なひと時である。           JEAN FAUX ROSE ジャンフォー・ロゼ11 品種:メルロー80%、カベルネ・フラン20% 、ジャンフォー・ルージュ用の発酵槽に葡萄をいれてから約一日後に発酵槽の下部に溜まったジュースを抜 き取りソーリー社の2年、3年使用した樽に詰めて発酵させた セニエ方式のロゼワイン。 勿論、自生酵母による発酵。  熟成:そして、そのままシュール・リにて樽熟成。 必要に応じてバトナージュをして、オリの旨みをワイ ンに溶け込ませる。石灰岩盤からくるミネラル感と昆布ダシ系の旨みがたっぷりのロゼ。和食にピッタリのワイン。 LA DAME DE CH-JEAN FAUXラ・ダム・ド・シャトー・ジャンフォー ジャンフォーのセカンド的存在。   品種:メルロー80%、カベルネ・フラン20%、除梗して、コンクリート槽とステンレス槽に分けて区画別に醸造。自然酵母のみ。25日の醸し期間。  熟成:100%樽熟、20%新樽、40%1年樽、40%2年樽にて14か月のシュール・リで樽熟 、タンクで6か月 メルローの果実味と旨みが乗って爽やかさのあるボルドーワイン。     CH-JEAN FAUX BORDEAUX SUP […]

2
Mai

ガメイの最高峰を目指す新人ラファエル・シャンピエ RAPHAEL・CHAMPIER!

リスクを負って独自の蔵を立ち上げた 3世代も続くワイン醸造元に生まれた。それにもかかわらず独自に独立して自分の醸造所を立ち上げた。自分の思うように自由にワイン造りをやりたかったからだ。小さい頃からボジョレーの誰もが尊敬しているブルイイ山の麓に広がるブドウ畑の中で育った。十代後半の頃から近所の醸造家、ジャンクロード・ラパリュのところに顔を出すようになった。自然な栽培・醸造、ガメイ品種の可能性をとことん追及しているジャンクロードのワインに感銘をうけていたからだ。 ガメイなのに骨格もあって、それでいてスーっと体に浸透してしまうワインの美味しさに驚いた。自分もこんな高品質のワインを目指したかった。 ボジョレー最古の葡萄園で造る大チャンス! 11年にLACARELLEラカレルの最高の畑区画が貸しに出された。 このラカレル区画の畑はボジョレー地区でも最も古いとされている貴重な畑だった。ローマ時代から葡萄が栽培されていた畑だ。土壌もシスト、花崗岩、砂状、とボジョレーを代表する地質をこの狭い区画の中に備えている稀有な畑だった。 ボジョレーで最高品質のガメイを造ることに人生を賭けようとしていたラファエルにとってこれ以上の条件を備えた畑はなかった。即、フェルマージ契約(借り契約)を結んだ。本物の最高のワインを狙っているラファエルにとって、こんなに幸運な事はなかった。 静かに燃えるタイプのラファエル、狙ったものは絶対にはずさない!強い意志! 最高のミクロ・クリマ(微気候) 自分の造りたいワインはもう決まっている。 14人兄弟の11番っ子のラファエルは目立たない性格だが芯には強固な意志力がある。 子供の頃から遊び親しんだガメイの葡萄畑、ラファエルはガメイの偉大な可能性を信じている。ガメイはピノ・ノワールにも劣らない繊細さとエレガントさを備えた品種であることを確信している。この信念はジャンクロード・ラパリュより受け継いだ。30歳を超えた今、最良の畑を確保できた。あとは思いっきり挑戦するのみだ。ラカレル区画の畑は特別だ。多分ボジョレー地区で最高のミクロ・クリマを備えているだろう。ブルイイ山の南東に位置して、北からの寒い風をブルイイ山が遮断してくれる。 ボジョレー地区で最も早く葡萄が熟す立地だ。 ラファエルは人生を賭けた。 自然栽培・自生酵母によるワイン醸造 最高のワインを目指すラファエルにとって、ドーピング的な化学物質を用いることなど最初から考えられなかった。 手間暇が3倍はかかる自然な栽培を実施。2年の歳月が過ぎて色んな草花が 畑に生息するようになった。土壌が生きている証だ。フカフカな畑には多くの微生物が元気に生きている。当然、その一部が自生酵母であり多くの種類の自生酵母が元気に生息している。約30種類の自生酵母が醸すワイン独特のホワーとした優しさと複雑味を備えた果実味が表現されている。 手造りならではの繊細な旨み 収穫は勿論、手摘み、醸造用の発酵槽はコンクリート製、除梗なしの葡萄まるごと、スミ・マセラッション・カルボニック発酵。自生酵母のみで発酵させる為に、発酵時の酸化防止剤(SO2)の添加はしない。 熟成は古樽(4年樽)とタンクで9から14カ月熟成するものとがある。 瓶詰時に僅かにSO2を入れる。全く必要のないものは無添加で瓶詰するものもある。 オーダーメイドの手作りでなければできない暖かさ、優しさ、感情が伝わってくるようなワインだ。目指すスタイルはワインとしても骨格を備えながらもスーっと体に自然に入ってしまうエレガントワイン。 L’AMUSE BULL PETILLANT ラミューズ・ビュル’11 品種:ガメイ 葡萄木はすべてセレクション・マサル方式。60歳の古木 (マサル方式の葡萄木は超貴重、ほとんどはクローン方式)収量が40hl 土壌:花崗岩が風化した砂質層が深い区画、 アルコールが軽快で酸を含んでフレッシュなワインができる。 醸造:収穫後、すぐにプレス、自生酵母で低温アルコール発酵、(温度調整する) 残糖が15g位になった時に瓶詰、瓶詰の2日前にオリ引きをする。 そのまま瓶内発酵を続け、ほのかな泡が残る。瓶内熟成で残糖ゼロのセック。 イチゴのような果実味が心地よく、ほのかな微発泡が爽やかさを演出している。 ROSA NATURA ロザ・ナチュラ ’11 品種:ガメイ100% 葡萄木はすべてセレクション・マサル方式。60歳の古木 ラミューズ・ビュルと同じ畑区画。同じ葡萄をロゼに仕込んだワイン。 収量が40hl 土壌:花崗岩が風化した砂質層が深い区画、砂質層が深いと糖度が軽めで酸を含んでいるのでロゼワインを造るには最高の条件を備えた土壌。 醸造::手摘みで収穫後、すぐにプレス、自生酵母のみ、タンクにて低温アルコール発酵、残糖が終わった段階で、一度オリ引きを実行。その後、シュール・リ・フィンヌで、そのままタンクにて熟成。瓶詰は数回に分けて実施、最初は4か月目に瓶詰。 日本に入っているロットは最も長い14ヶ月熟成。瓶詰時にまでSO2の添加なし。 こんなにも優しくエレガントさを備えて、オリの旨みが溶け込んだロゼはない。 口に入れた途端に体内に溶けて吸い込まれていく。グイグイ飲めてしまう危険なロゼ。   DES LURONS デ・リュロン ’11 品種:ガメイ100% セレクション・マサル方式。ここで最も古い80歳の古木がある。 樹齢が古いこともあり収量は35hlと少ない。 土壌:この区画はローマ時代から存在していた畑の一部。 花崗岩が風化した砂質層が最も浅く、すぐロッシュ・メール岩盤(元海底だった)    その下にはシスト土壌も存在している。 […]

27
Mar

小松屋 訪問レポート第2弾! エステザルグ!!

自然派の激旨安ワインを量産するESTEZARGUEエステザルグ農協の原点は? 小松屋メンバーエステザルグ農協訪問 激旨安ワインの原点を知りたくて! エステザルグ農協はTAVEL地区とCH-NEUF DU PAPEに近い南ローヌに位置する。今、この南ローヌの農協は相次ぐ倒産で激変している地方だ。そんな世間の状況と逆行して優良経営を続けている数少ない農協だ。しかも自然な造りの量産に成功した優秀な技術力が持っている。 旨い!安い!自然!三拍子が揃っている 小松屋でもこのエステザルグ農協のワインは大切なヒット商品だ。比較的割高なワインが多い自然派ワインの中で安くて、美味くて、自然という3拍子揃ったワインを造る原点を見にやって来た。 雨あがり晴天に恵まれて気持ち良い朝の訪問だ。 空気も澄んでいる。 土壌・ミクロ・クリマはパップ級 CH-NEUF DU PAPEシャトー・ヌフ・ド・パップに近いエステザルグ村の土壌はガーレ・ルーレと呼ばれる 大きな丸石がごろごろ転がっている。正にパップと同じだ。名門パップ並みの素晴らしい土壌が備わっている。 葡萄木の樹齢も古く、根も深い! 特にグルナッシュ品種は樹齢も古いものが多く。 自然な栽培を昔から続けており根っ子が地中深く入り込んでいる。土壌も微生物などがイキイキしているのを感じる。元気な自生酵母が育っていることだろう。 こんな古木の葡萄木から搾った果汁は、力強く、果実味とミネラルを豊富に備えていることを予想できる。 名門のパップやタヴェルと比較しても決して劣ることはないミクロ・クリマを備えている。 今あるESTEZARGUEエステザルグ・ワインを造り上げた3人の男達 1-炎の探求心・ジャン・フランソワ・ニック エステザルグを現在ある自然派へ方向づけたのは、あのルシオン地方の自然派伝道師ジャン・フランソワ・ニック氏。 この写真は筆者が2001年に撮影したニック氏。エステザルグ農協で働いていた当時の貴重な写真だ。1989年にワイン学校を終えて当農協に就職。ここに来る前はマルセル・ラピエールがいた自然派の本拠地モルゴンにて醸造研修した。 マルセル達の自然派の造りに感動したジャン・フランソワ。 当然、研修した自然派の造りをエステザルグ醸造に取り入れた。 農協の醸造長といえども、雇われの身、栽培にも関わってくる自然醸造を実行するには組合員の同意が必要だった。組合員の農家達も最初は半信半疑だったけどジャン・フランソワの情熱に押し切られ少しずつ始まった。主要農家は10名という少数さが幸いした。普通この段階で農家の反対に合っていたら今のエステザルグは存在しなかった。ここからジャンフランソワの壮絶な試行錯誤が始まった。大量ワインの自然な造りは、まだ誰一人として挑戦してないからだ。研究・工夫・試作と安定するまで10年の歳月がかかった。 その後、ジャン・フランソワ・ニック氏は2002年よりスペイン国境ぞいのルシオン地方に畑を買い独立、今では南仏NO1の自然派と誰もが認めるFOULARDS ROUGEフラール・ルージュを立ち上げた。南仏自然派の発展に無くてはならない尊敬に価する人物だ。 途轍もなく美味しいワインを造れる人は、世の中にそう沢山いない。ジャン・フランソワのワインは繊細で細かくて上品なワインだ。そんなジャンフランソワを育てたのは間違いなくエステザルグの経験だろう。大量ワインを自然に造る至難な業を完成させる中で、多くの事を学んだ。 2-エドワード・ラフィット 現LE BOUT DE MONDEル・ブー・ド・モンド醸造の当主 エドワードはジャンフランソワと共にこのエステザルグ農協で自然な造りを実践してきた人物。ジャンフランソワ独立後は、このエドワードがこのエステザルグ農協の醸造長として4年間を務めた。   SO2の添加量もさらに減らし、栽培も農家と共になって自然栽培を増やし諸々の改良を続け、畑ごとの多くの新キューヴェを造りだした。2005年ジャンフランソワの後を追ってルシオン地方に畑を買ってLE BOUT DE MONDEル・ブー・ド・モンド醸造を 立ち上げた。素晴らしいワインをリリースしている。 3-ドニ・デシャン そして、今はドニ・デシャンがいる。やはり美味しいワインの裏には人物を通した物語が存在する。ドニもジャン・フランソワ・ニックとエドワードと共に長年一緒に探求してきた人物だ。優しい性格は栽培家からも絶対の信頼を勝ち得ている。業も一流だ。 エステザルグの主要な葡萄栽培農家達とさらに密なる関係を築いているドニ・デシャンDENIS DESCHAMPS。 自生酵母で発酵させる自然な造りには、健全な畑仕事が不可欠だ。ドニ・デシャンは二人の先輩のやって来た事をさらに深く栽培方面からも一層の完成度をあげて、激旨安ワインに磨きかけている。ドニの探求心と知識は一流だ。自然度をあげて揺るぎない自然派ワインを完成。 小松屋一行ESTEZARGUEエステザルグ醸造所内見学   小松屋の販売する自然派ワインの中でも 日常的に飲めるワインとして販売量も多く無くてはならない重要なアイテムがこのエステザルグには多い。 畑を見て歩き、エステザルグの歴史を聞き、醸造所をみてエステザルグの偉大さをさらに深く感じた。 価格が高くて美味しい自然派を造るより 価格が安く美味しい自然派を造る方がもっと難しい。 この巨大タンクのワイン醸造をSO2の添加なしで自生酵母で発酵させる“業”を持っているのは世界中でここエステザルグだけだ。 自然!旨い!安い!3拍子揃った貴重な ワインはここで醸造される。 この巨大タンクにバクテリアが発生したら。タンクごと捨てなければならない。 […]

25
Mar

大阪・小松屋スタッフが南仏ドメーヌ・スリエ訪問

小松屋と言えば大阪で自然派ワインに特化している業務用酒販。藤田社長のその熱心さには驚くばかりだ。スタッフを惜しみなくフランスまで研修の旅に送りだす。今回はパッション・エ・ナチュール店長の富岡さん、浜里さんなど3人がやって来た。そして、岩チャンが引率。 やはり現場を知っている人は強い。実際に店で販売しているワインの畑を自分の足で歩いて土壌に触れて、造っている人の顔、声、人柄に触れてその場でワインを試飲して初めて解ることが多い。理屈を超えたこの感覚的理解が最高の宝となる。五感を通じて自然派を掴む。皆、スリエのオーナーのレミーさんの話に耳を傾ける。熱心にメモをとる。 サンソーの畑に近づくと香草の香りが一面に広がっている。 地元ではガリグと呼んでいる香草が密集している野生低木草畑である。この香り成分が葡萄の皮に付着してワインの中に入っていく。地元のソムリエはその香りもガリグと呼ぶ。 今日は大阪小松屋と東京オザミワールド社の共同オリジナルワイン“Cuvee Bou キュヴェ・ブー”を造るスリエ醸造所を訪問。キュヴェ・ブーは30歳のサンソーで醸す。そのサンソー畑を五感で触れた。畑の廻りには野生タイム・野生ローズマリなど香草がいっぱい生息している。      小松屋スタッフの皆さんも実際に野生香草を採って触って、嗅いでみる。あの“キュヴェ・ブー”のワインの中にある香りと同じである事を確認。貴重な体験だ。土壌とはこれら畑の環境にある草花や生き物も含まれている。そんな事を五感を通して理解できる。 やや暖かくなる五月頃になると、野生ローズマリやタイムなどの香りが畑一面に漂っている。実に爽やかな香りだ。何時間でも畑に滞在したくなってしまうほど心地よい。こんな感覚も実際に来てみないと解らない。これもまさしくテロワールの一部。      やっぱりワイン造りに最も重要なのは“人”である。ドメーヌ・スリエのレミーさんは南仏らしく実に明るくて、心地よい人柄だ。いつも笑顔を絶やさない地中海人、ラテン系の人柄。そんな人柄がそのままワインの中に表現されている。明るくてダイレクトなワインだ。 明るいだけでは美味しいワインはできない。実に実直な面を備えている。畑仕事を着々とこなしていく。28ヘクタールをビオで栽培することは並大抵なことではできない。   南仏と言えば葡萄畑とオリーブ畑の風景が典型的だ。最近、このオリーヴ畑が減っている。スペインから安いオリーブオイルが入ってくるので太刀打ちできない。レミーは先祖代々のこの景色を変えまいとオリーブ畑も一生懸命栽培している。品質高いオリーブオイルだ 。    このオリーブ畑はサンソー品種の畑の横にある。ここサンシニアンは夏になると南仏の太陽でかなり暑い。畑仕事の合間の一休みはこのオリーブ畑にやってくる。オリーブの葉で日陰となっている草の上に寝転んでの昼寝は最高だ。風通しが良くこぼれ日も入って気持よい。 このスリエ家は1610年よりここサンシニアンの地で葡萄を栽培している。1960年代より多くの栽培家が除草剤や殺虫剤、化学肥料を使いだした。お父さんはそんなものに一切目をくれず自然な栽培を続けてきた。400年に渡って一度も化学物質が畑に入ったことはない。 陽気なお父さん。自然が大好きで、ビオ協会が存在する前からずっとビオを実践している本物。ビオの原点の人達だ。彼らのような農家がフランスには多く存在する。フランスの奥深い農業文化を感じる。 ワイン造りの為に完璧な条件を備えた醸造所・熟成庫 スリエの醸造スペースは実に清潔で整備されている。一部のキューヴェを除いて、アルコール発酵はステンレスタンク内で行われる。この巨大な醸造所はお父さんとレミーで何と10年の歳月をかけて自分達のみで造り上げた建物だ。 設計も自分でやり、葡萄の搬入も重力で発酵槽の中に落とし込むように設計されている。 樽熟成庫もアルコール発酵スペースと同階でありながら地下になっている設計。温度も湿気も理想的になっている。ワインを移動する時も簡単にできてワインにストレスがかからないように設計されている。南仏でこのような地下ワイン熟成庫を持っているところは数少ない。几帳面なスリエ親子が時間をかけながらコツコツと造りあげてきた醸造所だ。ストック場もたっぷりあり近所の醸造元仲間のワインもストックさせている人の良いレミーだ。 家族のみで10年かけて建設した醸造所・熟成庫 400年前よりずっとビオのスリエを利く 15品種を栽培するスリエ家では当然キューヴェの種類が多。その中の一部を紹介しよう。 1-MARSANNE 08 白 マルサンヌ品種 標高が高いので酸がキリっと光っている。黄金色の色合い、 野生香草のガリグな香り、蜂蜜のような良く熟した果実味。 石灰岩盤の旨味も爽やかで心地よい。 2-CUVEE MATHILDE 12キューヴェ・マチルド ST-CHINIAN BLANC 数少ないサンシニアンの白、グルナッシュ・グリ80% マルサンヌ20%の構成。 12年は収穫前の雨が功を奏して、実に爽やかに出来上がっ  た。ヴィーフの表現されるほどキリッとした酸が素晴らしい。 とても南仏の白とな思えないフレッシュな白ワイン。      3-ST CHINIAN ROSE 12サンシニアン・ロゼ スリエの12年のロゼは特別に爽やかで、透明感のあるクリアな果実味が心地よい。 シラー、グルナッシュ、ムールヴェードルの3品種はセニエ方式、 サンソーは直プレス方式でジュースを絞って発酵させたもの。     4-GRENACHE 12 グルナッシュ グルナッシュ100%、40歳のグルナッシュ。 12年はグルナッシュを完熟させるのに難しかった。 果実味に爽やかさを含んでいる。ミネラルの旨味も心地よい。 5-MERLOT […]

5
Mar

今、南仏は春を告げるアーモンドの花が満開

ルシオン地方の富士山”カニグ山”をバックに満開のアーモンド 今年の冬は南仏と云えども寒かった。雪も降った。 寒さの上に強風 タラモンターヌが吹くともう10倍の寒さになる。その体感で極寒の中、剪定作業はもう体の芯まで冷えてしまう。 誰もが待っていた春の訪れだ。 南仏では葡萄園の小道によくアーモンドの木が植えられている。広大なコルビーエルの葡萄園の中にポツリと咲く アーモンドの花は遠目には桜に似ている。 我々日本人には心に響くものがある。時間に追われている 醸造元訪問中でも一時を忘れ、車を止めてワビサビの世界に浸りたくなる。思わずシャッターをきる。 アーモンドの花と共に春を告げる明るい花 ミモザが咲きだした。

21
Fév

2013年ロワールにおける各種自然派ワイン見本市レーポート PART-1

RENAISSANCE DES APPELLATIONS ルネッサンス・デ・アペラッション ルネッサンス・デ・アペラッションの会場風景、超満員状態の盛況だった。 MYRENE BRUミレーヌ・ブリュさん、が入口の最初のブースで張り切っていました。何て明るくて元気な人なんだろう。 子供の頃からの夢“ワイン造り”を実現して今は楽しくて楽しくてどうしようもない、という感じの女性だ。 2008年が初リリースというのに途轍もなく美味しいピュアーなワインを造る。やはり、好きでパッションがあるから、並々ならぬ努力を惜しまない姿勢がこんなに美味しものを新人なのに造り上げてしまうのだろう。パリの自然派ビストロの老舗バラタンでも人気ものだ。 2月初旬は自然派ワインの見本市が多数開催された。アンジュの街でサロン・デ・ロワールのオフ見本市として、大小合わせると約10か所ほどで開催された。ルネッサンス・デ・アペラッション、そしてソミュールで開催されたディーヴ・ヴテイユ。この二つが巨大自然派見本市。そして、両グループに入れない新人醸造家などが小規模見本市を別々で開催していた。 ルネッサンス・デ・アペラッションでは120社を超える醸造元が出店してすべてのブースが人で満杯状態、なかなか飲みたい醸造元ブースに近づけないほどだった。 2013年の自然派ワインの勢いを感じる熱気に溢れていた。 出店者の中には、ディーヴ・ブテイユと両方に参加している醸造家が多くいた。印象に残った幾つかを紹介しよう。 南仏ラングドックのMYLENE ・BRUミレーヌ・ブリュ   LADY CHASSELAS レディー・シャスラ ミレーヌ・ブリュさんのワインは温かみがある。情熱が伝わってくるようだ。レディー・シャスラは70歳のシャスラ品種から造られている白ワイン。 石灰岩盤の土壌の中に根が深く入り込んでいる。だから石灰岩からくるミネラルが酸の代わりにフレッシュ感を演出している。 南仏の白ワイン醸造は、酸を残す為にSO2を添加してマロラクティック発酵を止めるところが多い。でもミレーヌさんはそんな妙なテクニックは使わない。自然にマロラクティック発酵を行っている。それでもミネラル感があるので爽やかで、かつマロのお陰で旨味がのった潮っぽい白ワインだ。ほのかな甘みがあり日本酒に近い感触で和食にピッタリだ。 葡萄園に比較的近い地中海に面した街BOUZIGUESブジーグ村ではカキの養殖場がある。 地元の新鮮なカキを食べながらレディー・シャスラを合わせると、涙がでるほど美味しい。地中海カキは塩分が高い。潮っぽいレディ・シャスラとはピッタリカンカンだ。 このシャスラ葡萄木はクローンではない。マサル方式の葡萄木だ。シャスラの原木だ。 しかも15HL/Hの収穫量。ボルドーやブルゴーニュのグランクリュより少ない収量だ。 旨味が乗っているのは当たり前だ。 年間たった1200本しか生産していない希少なワインだ。 収穫は勿論,手摘みで、圧搾は小型垂直式の古式プレス機でゆっくり重力圧をかけられるので葡萄の皮を傷つけることなく、皮から汗の如くやさしく流れ出た上品なジュースのみを絞ることができる。自然酵母で発酵。本当に小規模でないとできないとても贅沢な造りをしている。このワインの事を書いているだけで飲みたくなってきた。 RITA リタ ミレーヌさんのネーミングセンスの良さには感心する。リタは二人の女性をイメージしている。一人は聖女リタである。過酷で悲惨な人生、絶望的な状況にある人々を救いだす聖女リタにこのワインをなぞっている。 もう一人はハリウッド女優のリタ・ヘイワースにも由来している。ギルダという映画の中で、長手袋を脱ぎながら妖艶に踊るシーンがある。そのシーンで赤い手袋を脱ぐイメージをラベルで表現している。 私の大好きなカリニャン品種100%だ。造り方次第で南仏のピノノワールと云われる程、繊細なワインができる品種だ。粘土石灰質土壌に育つ50歳の樹齢。北向き斜面の涼しい畑。除梗なしのセミ・マセラッション・カルボ醸造からくる独特の爽やかでピュアーな果実味が心地よい。過酷な人生の局面で、厳しい状況にある時は是非このリタを飲んで癒されてほしい。そして女優のように優雅なひと時を過ごしてほしい。   2012年10月に東京の下町・根岸の酒販店ESPOAよろずやの御一行が訪問 日本ではESPOAグループが輸入している。 エスポア店はお客さんと一緒に廻るワインツアーを企画している。造る人と飲む人が面会してひと時を過ごすと云う感動とハプニングがある楽しいツアーをやっている。 このツアーの時に、ミレーヌさんは日本行きを決意した。 遠い日本から来てくれたお客さん達へのお礼とお返しに。 今年の4月に日本へ行く。ミレーヌさんには二つの夢があった。 ワイン造りと日本へ行くことだった、その二つとも実現してしまうという幸せな人だ。 4月5日から10日間ほど日本全国を廻ります。 自然派好きな皆さん! 是非ミレーヌさんと彼女のワインを飲みながら楽しいひと時を過ごしてください。元気でますよ! 問い合わせはESPOA本部 06-346-3806 中島さんまで。