1
Nov

2013年ヌーヴォー情報第七弾! -DAMIEN COQUELET-

ボジョレー自然派・新世代を担うダミアン・コクレ2013年収穫     新世代のトップグループを走るダミアン・コクレ ボジョレーの自然派・新世代ダミアン・コクレは、今や自然派の重鎮的存在になりつつあるジョルジュ・デコンブの長男である。 ワイン学校を出た後、ブルゴーニュの醸造元で研修、その後はずっとお父さんのヌヌーン(ジョルジュのあだ名)の下で自然派醸造の修行をし、2007年に独立して、DOMAINE DAMIEN COQUELETドメーヌ・ダミアン・コクレ醸造を立ち上げた。   元火山だったコート・ド・ピィの丘に畑を確保 いきなりモルゴンの醸造家の誰もが欲しがる区画“COTE DE PYコート・ド・ピィ”の丘に4ヘクタールもの畑を確保できた。しかも、ジャン・フォワラールやラピエール家の畑の隣に位置している好立地だ。 太古の昔火山だった山が、永い年月を経て風化してなだらかな丘になっている。小山のコート・ド・ピィ区画はボジョレーの中でも特殊な土壌、ミクロクリマを備えている。他の地区と同じように花崗岩が風化して砂状になった砂が基本土壌。その中に青シストが含まれている。このシストが他ではない独特のミネラル感をもたらしてくれる。   自分の理想のスタイルを追い求めるダミアン・コクレ     リスクを最大限にとる決意をしたダミアン   ダミアンのガメイのバランスの取り方はお父さんのデコンブのスタイルに似ている。しっかりした骨格と豊富な果実味、それと同時にシャープな酸を残す実にオウトツのある透明感抜群のスタイルである。 ここも4,5,6月の寒い春の影響で葡萄の育成が遅れていた。8月になってもヴェレーゾン(色づき)が遅れて進まなかった(Aの状態)。9月に入った段階で通常なら真っ黒(Dの状態)になるのが普通、ところが今年は9月中旬になってもまだ色が薄い(B、C)状態だった。   ダミアンは自分のスタイルであるしっかりした骨格のある果実味にできるだけ近づけたかった。例年のようにはいかないのは分かっていた。近所の醸造家たちはCとDの中間レベルの状態で皆収穫を始めていた。しかしダミアンは待った。お父さんのデコンブは10月3日に始めた。ダミアンはそれでも動かなかった。お父さんより2日遅い10月5日に収穫を開始した。もう多くの醸造家は収穫を終わっていた。   Vサインを出したダミアン 収穫開始よりずっと見守っていた。収穫されてくる葡萄の状態を自分なりに分析していた。2時間ほど経って収穫葡萄が良い状態であることを確信した。限りなく例年に近い状態で収穫できた。   ダミアンの収穫風景     二人の強力な助っ人 ダミアンの収穫は親友のリシャール(右)が毎年応援にやってくる。 幼馴染みであり、オートバイ仲間でもある。ダミアンの趣味はオートバイのツーリングとモトクロスである。いつもこのリッシャールと一緒だ。   そして、トルコ人のマリオ(あだ名)は自分のトルコ人仲間をグループで引き連れてこの収穫にやってくる。マリオ・グループは収穫だけでなく、剪定の時期や耕作の時期もダミアンを手伝っている。だから、ダミアンの畑を知り尽くしている。 このマリオは、お父さんのデコンブ醸造の仕事をもう20年前から手伝っている。だからダミアンがまだ子供の時から知っている。もう家族のような存在だ。ダミアンも安心して畑仕事を任される。畑仕事の超プロ職人だ。   愛犬のカボットもいつもダミアンについて畑にやってくる。 ダミアン 『2013年のヌーヴォーの為に最高のリスクをおいながらも、ほぼ狙ったとおりの葡萄を収穫できました。これで日本の皆さんにとびっきり美味しいヌーヴォーを造ります。』        

30
Oct

2013年ヌーヴォー情報第六弾! -NICOLAS TESTARD-

ピノを知り尽くしたNICOLAS TESTARDニコラ・テスタールがガメイを収穫   一時期のプリューレ・ロックを支えた実力派 ニコラはあのプリューレ・ロックで2005年まで醸造責任者としてアンリ・フレデリク・ロックのもとで5年間も活躍していた。あのフィリプ・パカレとも僅かな時間ながら共に働いていた。 2005年にロックを卒業後、ボジョレーにやって来た。 2008年に独自の醸造ドメーヌを立ち上げた。 ガメイ品種をまるでブルゴーニュ特急畑のピノのように育てあげ、ヴォーヌ・ロマネのように世話して造り上げたニコラ独特のガメイ・ボジョレーだ。どこかにピノを感じる。 ☟ ロック時代のニコラ2005   仲の良いおしどり夫婦     ニコラには強力な助っ人がいる。そう妻のカロルである。 カロルはパリの名門ワイン屋カーヴ・オジェで、店長のマークの片腕的存在で長年活躍していた。カーヴ・オジェ時代にプリューレ・ロックにテイスティングにやって来た時に、この二人の運命の出会いがあった。 カロルのワインと料理に関する知識と実力は凄いものがある。特に試飲能力は抜群の感覚を持っている。 彼女は、ボジョレーに引っ越してきた時、フルーリー村に自然派ワインビストロを開店した。料理シェフ兼経営者として勤め、それは大人気のビストロだった。子供ができ時間がなくなってレストランを、惜しまれて閉めた。   日本初登場!ニコラ・テスタール・ヌーヴォー 我々が気合を入れて収穫しました!     今年から自分の醸造蔵の名前のヌーヴォーを造ることを決意した。その為ブルイィ地区にあるサンテチェン・ウイヤード村に畑を準備しブルゴーニュ特級畑のごとく世話をしていた。 4.5.6月の不天候と寒さの影響で遅れていた成長。特にこの畑は予想以上に葡萄の生育が遅れていた。 8月中旬に私が訪問した時にはまだヴェレーゾン(色づき)が始まったばかりだった。ヌーヴォーに間に合うか、やや心配していた。 他の自然派仲間より1週間遅れて収穫を行った。結果的にはその後の好天に恵まれ、こんなによく熟して健全な葡萄が確保できた。   かなりレベルの高い品質のガメイを確保 ニコラにとって最高のバランスの葡萄が収穫できた。思わず笑みがでる。 初めての畑だったので、葡萄の熟すスピードを読み切れていなかった。8月の後半の晴天と猛暑が手伝ってグングン熟成が進んだ。熟成が進んだだけでは満足しないニコラ、色だけはコクなったけど酸が残り過ぎていたので、1週間遅らせたのが幸いした。ニコラが狙ったとおりのバランス、強すぎないアルコール、ミルランデール化した葡萄から果実味の濃縮感、心地よい酸、上質のピノ・ノワールを思わせるバランス感覚。まさにニコラの得意とする領域だ。  日本初上陸のテスタール・ヌーヴォーは2013年今までのヌーヴォーの概念を覆すだろう!   幾多の難関を乗り越えて10月2日、収穫開始     ニコラの収穫人は平均年齢が若い。収穫しながら冗談を飛ばし、大変賑やかで明るい収穫雰囲気だ。 醸造所で皆は、あのカロルの料理が食べられる。勿論、ニコラのワインとともに。収穫人にとって忘れられない一週間となるだろう。 ニコラにとって2013年は多くの出来事が起きた  今年はニコラにとってあまりにも多くのことが起きた。まず、ニコラのメインの畑が雹の被害に遭い、ほぼ壊滅状態となる。そんな中、醸造所と自宅を引っ越さなければならない状況に。しかし収穫直前の夏に、幸いにも醸造所付の新居を見つけることができた。そこは標高600mのHAUT BEAUJOLAISオー・ボジョレー地区、最高の畑も見つけた。収穫直前の夏に無事引っ越しを終了。しかし新醸造所の準備が間に合わず、今年までは以前のところを使用せざるをえなかった。   2013年は諸々の困難を乗り越えての収穫だった 収穫中も色んなことが連続で起きたが、すべて起きることをプラス発想で乗り越えて前に進むニコラ・テスタールを応援したい。   醸造所に到着   プリューレ・ロック時代と同じ方法 細心の注意意を払って葡萄を醸造所に運ぶ。 醗酵槽へ入れるのはベルトコンベアーで上まで上げて、重力で落とし込む。 ニコラは葡萄園の収穫から葡萄が醗酵槽に入るまですべての段階の現場に自分が立ち合わなければ気がすまない性格。 SO2(酸化防止剤)を入れない自然派醸造の基本 自然派醸造の基本中の基本は、健全な葡萄しか醗酵槽にいれない。プリューレ・ロック時代に徹底して教え込まれたことを忠実に実行している。 まさに、ブルゴーニュ・グランクリュのごとくに ガメイを醸すニコラ・テスタールがここにいる。   清潔な醸造所 […]

29
Oct

2013年ヌーヴォー情報第五弾! -JEAN-CLAUDE LAPALU-

ボジョレーの新リーダー J-C LAPALU ジャン・クロード・ラパリュ13年収穫 ワインは“人”が第一! 今、フランス醸造家で人物を一人挙げろと云えば即、この人ジャン・クロード・ラパリュを指名する。 *仕事に対する追及心 *トコトン実行する行動力 *人間としての信義を大切にしている *やることをやった後の人間的温かさ *許容力の広さと深さ 多くの若手醸造家がラパリュを慕って集まってくる。   ラパリュの2013年 毎年、自然派醸造元の中では最も早い収穫をするラパリュ。 今年は9月27日、ほぼ自然派の仲間と同時期に始めた。 ラパリュの畑はブルイィ山に守られて普通は早く熟す。今年は1980年以来の遅い収穫となった。やはり4,5,6月の寒い春が原因で3週間、葡萄の成長が遅れた。開花時の不天候で結実が不安定となって、ミルランデール化した葡萄が多い。そして、8月に畑の一部に雹が降った。しかしその後、乾燥が続いたことで幸い雹が当たった部分も乾燥して腐ることがなかった。 今年は結果として大変に健全な葡萄を収穫することができた。ミルランデール化した葡萄はラパリュにとっては大歓迎だ。ミルランデール葡萄は濃縮したジュースが搾れるからだ。 『今日収穫した葡萄はヌーヴォーにする予定です。アルコール度数は低めですが果実味は深みがあるタイプになるでしょう。何より傷んだ葡萄が少なく大変健全な葡萄が収穫できた。この葡萄で日本の皆さんを驚かせたい!グイグイいけるタイプでありながらラパリュ独特の深みを楽しめるヌヴォーを狙いたい。楽しみにしていてください。』ラパリュ   元気100倍のラパリュ大好き人間ばかりが集まった収穫チーム     乗りのよい知性派グループ ラパリュの収穫は若手が多い。 毎年、ワイン好きの大学生が来るのに 今年は収穫時期が遅れた為、大学の授業が始まってしまった為に参加できなくなったメンバーが多い。 ラパリュの収穫期間は1週間と短いので近所のリヨン大学の学生や醸造家の卵や、ラパリュのワインをこよなく愛している若者達が集まった。 ラパリュ大好き人間ばかりが集まった。 仲間同士という感じの温かい雰囲気が漂っている。       食用葡萄の収穫のようなカジェット(箱 収穫された葡萄は底の浅い籠、ロマネコンティより浅い箱で醸造所まで運ばれる。収穫してから醗酵槽に入るまで葡萄が重量で潰れるような危険はゼロ。ここまで気を配っている醸造家は見たことがない。こんな小さいことの積み重ねがラパリュ・ワイン独特のきめの細かい上品さをかたち造っている。             2013年 ラパリュ醸造の初収穫の葡萄が蔵に到着   ラパリュ醸造はブルイィ山の麓、AC BRUILLYの区域にある。北ボジョレーのクリュの中でも最も葡萄が熟すのが早い区域にある。すべては元火山だったブルイィ山のエネルギー・パワーのお陰だ。北からの寒い風を遮ってくれる。 13年、初葡萄到着に感動しているラパリュ 『2013年の初収穫葡萄がラパリュ醸造所に到着した。 何年もやっていることだが、この最初に収穫した葡萄が醸造所に着いた時は感動するものです。一年の農作業の過程が頭をよぎる。そして、最初の醗酵が始まるまでは ドキドキするものです。』   たかが葡萄の運搬、されど運搬! ラパリュの凄いところは、葡萄栽培から瓶詰めまでのすべての工程を細かく細分して、ここまでやるか?という手間暇をかけて細心の注意を払ってやってしまっていることだ。ロマネ・コンティでもここまではやっていない。   食用葡萄ケースに入った葡萄を丁寧に醸造所内に素早く入れる。早朝の温度が低い時に収穫した葡萄は直接、醗酵槽に入れる。午後の温度が上がった時の収穫葡萄は冷蔵庫にいれて一晩冷やす。ベルトコンベアーで醗酵槽の上から重力で落とし込む。   普通はポンプを使用して醗酵槽に荒らしくいれる。この時に折角の葡萄が傷ついてしまう。ポンプを使えば時間も人手も掛からない。しかし偶然に上品なワインはできない。 […]

28
Oct

2013年ヌーヴォー情報第四弾! -GEORGE DESCOMBES-

デコンブは最後まで収穫を待ってボジョレー中で最も遅く収穫   10月2日、デコンブのヌヌーンは重い腰をやっと上げた。 自然派の仲間達が次々と収穫を始めた先週もデコンブはジット動かなかった。自然派でない普通の醸造家はもう2週間前より収穫を始めている。彼らは熟度が足りなくともドサット砂糖を入れて補糖(シャプタリザッション)をするから危険を冒して待つ必要がない。自然派は最大限まで葡萄が熟すまで待つ。決して精神的に楽なことではない。 先週は晴天が続き待った甲斐があって葡萄の熟度が上がった。 しかし、今日を境に天気が崩れそうな雲行きになってきた。 もう待てない。デコンブは昨夜、収穫人に明日早朝に収穫開始の合図をだした。   まだ、太陽が昇らない7:10には葡萄園に到着。 深い霧がかかっていることも手伝ってうす暗い葡萄園だ。 霧の中で収穫のゴーサインが落とされた。まるで戦場のような朝靄だ。デコンブが見守る中、収穫人は一斉にハサミの音を鳴らし始めた。 多くを語らないデコンブは、自分のこの遅い決断が果たして正解だったのかまだ確信をしていない。じっと収穫されてくる葡萄を確かめている。何度も何度も食べて葡萄の熟度状態を確認しているデコンブのヌヌーン。 着々と葡萄が収穫されて集まってくる。   デコンブのワインは常に濃縮感を感じられる。だからデコンブは自分のこのスタイルを貫きたかった。この時期に一週間待つというのは一種の賭けのようなところがあった。待ったからと云って天候が良くなるという保証は全くない。この間に災害に遭うこともありうる。厳しい顔のヌヌーンの表情は理解できる。   望んでいた良質の葡萄を確認 自分が望んでいた葡萄の状態を確認できるのには少し時間がかかった。次々と健全な葡萄が収穫されてきた。思わず顔の表情もゆるんできた。 今朝のランシエ村の畑は、今年のデコンブ・ヌーヴォー用の葡萄だ。毎年、デコンブのヌーヴォーはどこよりも力強さがある。デコンブのこのスタイルを待つお客さんの為にも忍耐強く待った甲斐があった。偶然にデコンブのスタイルが出来上がっているわけではない。危険を承知の上でジット動かない忍耐が必要だった。 マルセル・ラピエールとは深い関係 マルセルとは深い関係を持っていたデコンブ。ヌヌーンは若いころ瓶詰機械をトラックに積んで各醸造元に行って瓶詰めを行う仕事に就いていた。 ある日、マルセル・ラピエールの醸造所から依頼があって瓶詰めをしていた。その時、マルセルのワインを飲んで体中に衝撃が走った。 『こんなワインを今まで飲んだことがない。こんなに体に自然に溶け込んでいくワインが存在するのか?本当に感動したんだ。』とデコンブ。 即、デコンブはマルセルに弟子入りをした。いずれ先祖が持っていた畑を引き継ぐつもりだった。数年後に醸造元ジョルジュ・デコンブを設立した。   自然派の次世代を着々と育成 今日は二男のケビン(20歳)とコンビの収穫だ。もう4年もお父さんについて一緒に自然派ワインを造っている。もう一人前と云って良い。 今年から、ケビンもお父さんから畑を分けてもらって独立する予定だ。 長男のダミアンは既に5年前に独立している。 着々と自然派の次世代を育てているデコンブだ。 自然派の基本・徹底したトリアージ(選果作業) 今日は収穫の初日だ。収穫人に収穫のやり方、特に葡萄の傷んだ部分を 切り落とすトリアージ作業の徹底を教え込んでいるケビン。 マルセルからデコンブそして次世代のケビンまで自然派ワイン醸造の根幹の部分、『健全な葡萄しか醗酵槽に入れない』は徹底して受け継がれている。手間暇がかかるけど絶対に必要な作業だ。   トラックまで運ばれてきた葡萄を更に入念にチェックし傷んだ葡萄や不健全な葡萄を取り除いている。雑菌は醗酵槽に入ってから繁殖すると ワインが台無しになってしまう。   最高のヌーヴォー用葡萄を天から贈られたデコンブ   3時間ほどでトラックが満載になった。期待したおりの葡萄を収穫できた。 今年のデコンブ・ヌーヴォーは期待できそうだ。他の醸造家より1週間遅くまで待っての収穫は正解だった。ここまで完璧に近い葡萄は、こと13年では少ないだろう。   2013年最高の葡萄を確保 デコンブ・ヌーヴォー用の葡萄は このメンバーで収穫しました。 4,5,6月の寒い春が続き、葡萄成長が3週間も遅れた。 1980年ぶりの遅れだった。 ベテランの域に入ったデコンブにとってもあまり経験のない事だった。 『素晴らしい素材を天から贈られました。これで日本の皆さんに喜んでもらえるようなヌーヴォーを造ります。』デコンブ  

24
Oct

2013年ヌーヴォー情報第三弾! -CYRILL ALONZO-

2013年もヌーヴォーはALONZO NOUVEAUにお任せください!  繊細でエレガントなスタイル 今年はレニエ村の美しい丘陸地帯にある畑を確保しました。9月28日、シリル・アロンゾが狙っている理想的なバランスのヌーヴォーを収穫しました。 つまりアルコール度数もタンニンもあまり濃縮しすぎない繊細でエレガントなヌーヴォーのスタイルです。   シリル・アロンゾのガメイ哲学 アロンゾのヌーヴォーは他では絶対に見られない特徴がある。シリルにとってガメイ品種はやや軽めのエレガントで繊細なところに最高のエキリーブル(調和)があること。濃縮し過ぎても、薄すぎてもダメなのである。 まるで上質なピノ・ノワールのようなバランス感覚がシリル・アロンゾの狙いであり、ガメイ哲学である。   上質なテロワールと栽培の達人が必要 その為に必要な上質なテロワールと自分の土壌を知り尽くしたビオ専門の栽培家、フレデリックと巡り合う。フレデリックの家系はこの地で1794年より葡萄栽培をやっている。9代目の当主だ。220年間もずっと自然栽培をやっている。このヌーヴォー用の畑の平均樹齢は60歳で中には100歳級の古木も含まれている。   ボジョレーの典型的な花崗岩土壌。古木の根っこはこの花崗岩の岩盤に深く入り込んでいてミネラリーな透明感ある果汁がとれる。 そして、この地は廻りの街を見下ろすほどの高台にある。標高350mほどある。ポリフェノールは熟してもアルコール度は低く、酸が残りやすい。狙いどおりのテロワールだ。   老いも若きも混じった元気でチームワークのよい収穫人達が集まった!   この活力が自生酵母をも元気にするだろう! この活力が自生酵母をも元気にするだろう! 収穫人は元気なのが良い。できれば健全な人達が良い。この元気さがワインの中にも入って行くからだ。 ここの収穫人は遠くからの若者と地元のベテランが入り混じって仲良くやっている。 中には77歳で30年以上も収穫をやっているおじさんもいる。   徹底したトリアージ選果作業 収穫された葡萄が次々と荷台に運び込まれる。運びこまれた葡萄を慎重にチェックして、傷んだ葡萄や不純物を取り除く選別作業を徹底して やっているアロンゾとアドリアン。 時々、収穫された葡萄を食べてチェックしてみることも大切だ。 皮のタンニンや種の熟度は自分の歯で噛みしめて見ないと分からない。 分析では分からない部分だ。   流石、自然栽培歴が長いベテランのフレデリックだ。この難しい2013年に完璧な葡萄を育て上げた。萄園を歩いて観察したが、腐っていたり傷んだ葡萄がほとんどない。 『見たかい!この完璧な葡萄。 これでエレガントで美味しいヌーヴォーを日本の皆さんに造ります』 シリル・アロンゾ   自信に満ちたシリル・アロンゾ やっと最良の栽培パートナーを見つけたシリル・アロンゾ。 今年ほど収穫された葡萄をみて喜んでいるシリルを見たことがない。 それにこの自信に満ちたシリルの顔をみてください。 今年のヌーヴォーはアロンゾ・ヌーヴォーに決まりでしょう! 特にコカ・ヌーヴォーをお見逃しなく!    

22
Oct

2013年ヌーヴォー情報第二弾! -LAPIERRE家のヴァンダンジュ-

自然派の元祖・ボジョレーのラピエール家が2013年の収穫を開始! 今年も世界中から若者が集まって来ました。9月26日に開始した収穫。ほぼ30度近い真夏日の快晴の天気だった。 約半分の収穫人は毎年参加のベテラン・メンバー。色々心配された13年もやっと収穫にたどり着きました。 このエネルギーの塊が自然派ワインの中心だ! このエネルギーがラピエール家のワインの中に伝わっていく。 毎年来ているベテラン組が新人を教育しながら収穫が進んでいく。今年も収穫は葡萄の品質を見極める選別眼が必要だ。体力的に厳しい労働を励ましあいながらパワフルに進めていく。 3女のアンヌを中心にベテラン・メンバーも気勢を上げた。 これから2週間から3週間の厳しい肉体労働をする合宿メンバー仲間だ。 お互いに励まし合いながら、元気に、楽しく、確実にやってほしい。 収穫の総指揮官・マリー・ラピエール 今年もラピエール家のブドウ園での収穫指揮はお母さんのマリーが担当。それを3女のアンヌが補助している。約60人の収穫人を4グループに分けて収穫をしている。葡萄園の炎天下では30度を超す暑さ、昼食後の収穫はこの二人が気合を入れる。 2013年 初ジュースを聞くマチュ・ラピエール 醗酵槽に葡萄丸ごとを入れて下からジュースを抜き取って試飲する醸造担当のマチュ。マルセル・ラピエール亡きあとを見事に引き継ぎマルセルより美味しいワインを造る、と世界中から認められているマチュ・ラピエールだ。   2013年は収穫が例年より2~3週間も遅れている。4.5,6月の寒くて雨が多く、曇りがちな長い春が原因だ。開花時期が既に3週間も遅れた。しかも同じ畑でも一挙に開花することなく3週間に渡って徐々に開花していった。 同じ葡萄木の房でも開花が長期間に渡って行われたので葡萄の熟度が平均していない。収穫の決断が難しい年だ。マチュ・ラピエールは同じブドウ園を2回に渡って収穫することを決意した。葡萄の状態を見て臨機応変に対応が必要だ。 一回目の収穫では、a-良く熟している葡萄、b-あと2週間も耐えられそうにない葡萄を収穫して、2週間後の良く熟した頃にもう一度2回目の収穫にやってくる。b-の葡萄はVDPワインに回す。収穫人の選別眼が重要になる。   13年もラピエール家では厳格なトリアージ(選別作業)を実施 ラピエール家のトリアージ作業は間違いなくNO1の厳しさ。トリアージとは腐った葡萄や傷んだ葡萄を取り除くこと。また葡萄の悪い部分を取り除く作業のこと。葡萄全体がダメな場合は切り落す。一部の場合はその悪い部分を取り除く作業。下部を切り落とす。 ラピエール家はトリアージ作業のチャンピオンだ。繊細で上品で透明感があるワインは偶然にはできない。葡萄の一粒一粒を丹念に検品しながら悪い部分を切り落とす。こんな時間がかかる作業を徹底しているのがラピエール家だ。途轍もない手間暇のかかる作業だ。 今年も膨大な時間をトリアージに割いている 50人の収穫人全員が葡萄の一粒一粒を検品、切り落とし作業(トリアージ)を行っている。ここまで徹底しているのは、フランス中で見たことがない。 ロマネ・コンティより厳格なトリアージだ。 マチュ・ラピエールはお父さんのマルセルの教え『健全な葡萄のみを収穫』を更に徹底しただけ。   13年は比較的このような健全な葡萄が多い。昨年は腐った葡萄が多かった。収穫人にとっても、こんな美しい葡萄にハサミを入れる時の快感は格別だ。今年の特徴は葡萄木の生育が2,3週間遅くなり収穫も遅れた。しかし、最終的に品質上は良年といえる。 今年もミルランダージが多い 13年の特徴はミルランダージ化した葡萄が多いこと。ミルランダージとは開花時の天候不良の為、1房の中でも開花が同時に行われなく、結果として大きい粒と小さな粒が混じった葡萄房が形成されること。果皮の面積に比較して果汁が少ないので濃縮したワインができる。結果的に品質的には良年となる。   収穫時の3人の大切な役割 1-運び屋 2-トリアージ専門屋 3-ムードメーカー屋 収穫時には、葡萄を採る人とポルトゥール(運び屋)がいる。ポルトゥールとは収穫人が採った葡萄を籠に入れる。その籠を葡萄園の端に準備してある箱まで運ぶ人のこと。運びながら葡萄の品質をチェックする。悪い葡萄が籠に入っている場合は収穫人に選別作業のやり方・基準を教え込む。大切な仕事だ。 だからベテランが担当する。かなりの重労働である。1日に運ぶ重量と歩く距離は半端ではない。屈強な体力も必要だ。   ポルトゥールが運んできた葡萄を更に再度、葡萄の品質を検品して悪い葡萄粒などを取り除く作業(トリヤージ)をする人がいる。この部分はベテランの人がやる大切な仕事。彼女はオランダ人でもう13年前から毎年収穫にやってくるベテランだ。 項目ラピエール家 3女のアンヌ 一日の終盤になると、体力的に疲れて精神的にも参ってくる。誰かが歌を歌ったり。ジョーダンを飛ばして、気分を抑揚させる必要がある。ムードメーカーが必要だ。ボーとしてくると注意力が緩慢になって悪い葡萄を収穫してしまう。夕方は要注意だ。たったチョットしたことで、一年の畑仕事が台無しになってしまうからだ。   2013年の状態をあらゆる角度からチェックするマチュ・ラピエール マルセル・ラピエールが残した大切な宝 マチュ・ラピエールにはお父さんのマルセルが30年間、書き残した収穫・醸造記録がある。突然に美味しい自然派ワインはできない。父から息子へ、代々の栽培・醸造記録が蔵の歴史である。その歴史があって今がある。 マチュは記録を調べていると。今年は2006年と2007年の中間的な葡萄の状態・品質に似ている。流石マルセルだ。かなり詳しく記録していました。マチュにとって、その年にマルセルがどんな醸造をやったか、大変なヒントになる。マチュは13年の醸造のシミュレーションを展開できる。 2013年は幾つかの難関を越えながらも結果としてかなり高品質になる可能性を秘めている。解禁日が決まっているヌーヴォーは早く収穫しなければならないので軽めのグイグイタイプ。通常ワインは収穫を遅らせて葡萄を十分に熟成させて収穫ができる。 その意味では今後、収穫中の天候状態が13年の品質に大きく左右することになる。   収穫も4日目、着々と葡萄が醸造所に運び込まれてくる。収穫を始めてから28度の夏日が続いている。葡萄の熟度が日に日に上がっている。このまま晴天が続けばかなり高い品質のワインとなる。この天候の中、ポリフェノールが順調に熟成している。 レセプション係の大切な役割だ 醸造所に運び込まれた葡萄を細かくチェックして糖度などを記録しておくレセプションの専門家をラピエール家では設置している。   次々と運び込まれる葡萄をチェックして、収穫された葡萄園区画と収穫責任者の名前を記録しておく。 どんな事が起きてもトレサビリテを 追及できるようになっている。   収穫した葡萄を一晩冷蔵庫で冷却 温度が涼しい午前中に収穫した葡萄は、ダイレクトに醗酵槽に入れても問題ない。気温が上がった午後に収穫した葡萄は雑菌が繁殖しやすいので。畑に設置してある冷蔵庫に一晩、入れて冷やす。酸化防止剤を混入しない自然派の造りには重要なことだ。この作業も今となってしまえば、単純なことだけど、一昔前は、まだ醸造中に雑菌が繁殖したり、お酢になってしまったタンクが多かった。特に酸化防止剤(SO2)などをあまり使用しない醸造の場合には多かった。この方法は自然派醸造を研究していたジュル・ショーヴェ博士が考案・実証してマルセル・ラピエールに伝えた作業だった。今は世界に伝わっている。 […]

18
Oct

2013年ヌーヴォー情報第一弾! -CHRISTOPH PACALET-

シャペル・ド・ゲインシャ村にある特別な畑。自然派ワイン醸造を科学の世界から立証した研究者ジュル・ショーヴェ博士が持っていた畑。ショヴェ家から自然派の若手7名に分配した特別な畑だ。13年は幾多の困難を乗り越えた。 CHRISTOPH PACALETクリストフ・パカレ 『2013年は本当に最後まで困難が続きました。でもこんなに素晴らしい葡萄を収穫することができました。すべてに感謝です。日本の皆さんの為に自然な美味しいヌーヴォーを、これで造ります。』   シャペル・ド・ゲインシャ村のクリストフが持っている畑区画は雹が降った区画のはずれに位置していたので被害が軽めで済んだ。葉っぱ達は傷ついていても必死に葡萄を育ててくれた。葡萄達も最後の力を振り絞って熟成に堪えていました。 収穫直前の8月にシャペル・ド・ゲインシャ村にある元ジュル・ショーヴェ博士の畑を雹が襲った。畑の場所によっては全滅状態だ。近所の家の屋根が崩壊する程凄まじいものだった。私が訪問した8月上旬には完ぺきな状態だった葉っぱに穴があいている。 クリストフは8月のバカンスを返上して畑の世話をした。普通、8月はもう畑を耕すことはしないのに、今年は草に栄養を取られないようにできうる限りを尽くした。クリストフが現場にいることで葡萄達も元気になるようだった。お陰でこんな葡萄が収穫できた。   CHRISTOPH PACALETクリストフ・パカレにとって13年は忍耐の年だった。本当にドキドキの連続だった。最後の収穫も特別に慎重に行った。傷んだ葡萄の個所を綺麗に取り除く作業をきっちりやらなければならなかったからだ。 傷んだ個所一粒一粒を取り除く作業をやっているクリストフ。手間暇かかるけど、自然派の造りは、酸化防止剤(SO2)などを添加しないので絶対にやらなければならない作業だ。でも、クリストフにとっては大満足で歓喜の収穫だった。   収穫人にも悪い部分を取り除く作業を徹底する為に、一人一人に張り付いて指導をしていた。ここまでやらないと自然で透明感のあるグイグイ飲める 美味しい自然派ワインはできないのだ。こんな小さい事の積み重ねが自然派ワインの真髄だ。 雹でやられて粒が幸いにも乾燥して腐りが発生していない。でもこの粒を一つずつ取り除く作業をやらなければならない。大変に時間と手間のかかる作業だ。こ れを見ただけで頭の下がる思いがする。一般の醸造家なら醗酵槽に酸化防止剤を入れて済ませるのに。    8月の雹が降った後、こんなに収穫できるなんて、想像だにしていなかったクリストフ。しかも、尊敬する元ジュル・ショーヴェ博士の畑を任されて初めての収穫の年だった。伯父にあたる故マルセル・ラピエールが天より応援してくれていたのかもしれない。   今年は強力な助っ人が収穫に参加してくれた。あのマルク・ペノさんのお兄さんがクリストフ・パカレの収穫に 駆けつけてくれたのだ。今はリヨンの街で画家として活躍している芸術家。ペノさんを自然派ワインの世界に引っ張りこんだ人だ。 クリストフにとって13年ほど嬉しい収穫はない。この笑顔は偶然にはできない。今年のクリストフ・ヌーヴォーは期待できる。11.50度ぐらいのスイスイ入ってしまう軽快なヌーヴォーになるだろう。一本はアッと云う間に飲みほしてしまうスタイルになるでしょう。     シャペル・ド・ゲインシャ村にある元ジュル・ショーヴェ博士の畑の収穫を無事終えた面々。時間はかかったけど、8月のあの悪魔の雹を乗り越えた収穫に満足の面々。ブラヴォー! 慎重に速やかに醸造所まで運ぶクリストフ。色んなことが頭に浮かぶ。4.5.6月の寒くて曇り空の悪天候からくる3週間の葡萄成長の遅れ、開花時の悪天候による結実不良、そして8月の雹、ここまで収穫できるなんて感動の瞬間だ。     醸造所まで無事到着したクリストフ。『ヤッタ!って感じかな。待ってくれている日本の皆さんの為に、とびっきり美味しいヌーヴォーを造ります。そして、このヌーヴォーの飛行機と一緒に私も日本へ行きます!皆さんと一緒にやりましょう!』 今年のクリストフ・ヌーヴォーは見逃せない!!  

22
Mai

シャトー・ジャンフォー訪問リポート!

3月のとある日、私にとっては第二の故郷であるボルドーにやって来た。24から30歳までの6年間を過ごした街だ。最近、来る機会がめっきり減ってしまった。でもボルドーにも美味しい自然なワインがある! 私が滞在した頃と比べものにならないほど綺麗に整備された街並みが大変美しい。数年前に世界遺産に認定された街だ。ガロンヌ川沿いの夜景が素晴らしい。 安生さんは2度目の訪問だ。確かBMOの弾丸ツアーの時に参加して訪問している。ワインについては大変なパッションを持っている人だ。自分が経験したことをスタッフにも経験してもらいたいのでしょう。今回はスタッフと共だ。 東京のポン・デュ・ガールの安生さんがスタッフのメンバーを引き連れてボルドーにやって来ました。ボルドーで数少ない自然な栽培を実践し自生酵母でワイン造りをしているCH-JEAN FAUXジャンフォーにやって来ました! シャトージャンフォーのオーナーのパスカルは動きながら常に頭が回転している男だ。同じ場所にジッとしていることがない。かつて樽製造会社の経営者の一人だった。今は、自分の故郷であるボルドーワインの復権に全精力を傾けている。 何をやっても凝り性な性格。畑の整備、醸造設備、醸造所の改良など徹底的にやらないと気が済まない性格。 ワインだけに限らない。生ハムも豚を丸ごと買って育てて自分でハムを造ってしまう。これが実に美味しく、ジャンフォーワインにピッタリだ。 ジャンフォーではすべての葡萄を除梗機で除梗する。除梗機に入れる時も葡萄をチェックしながら選別する。破砕はしない。葡萄の粒のみを発酵槽に入れる。 除梗機から出てきた粒をさらに選別して完璧な健全な粒のみを発酵槽の中に入れる。 除梗機から発酵槽まで6人で選別作業に使っている。しかもポンプは一切使用しない。すべてベルトコンベアーで発酵槽の上まで移動させながら優しく重力で上から落とし込む。 発酵槽に入る葡萄粒はまるでキャビアのように美しい。 茎が無いマセラッション・カルボニック醸造のように発酵がおこなわれる。まるでブルゴーニュの醸造元のような細かな作業を行っている。 CH-JEAN FAUXジャンフォーは1312年には既に葡萄栽培されていた。17世紀にはボルドーワインの中で重要なポジションにいた。古文献に確りと記されている。パスカルは買い取る時、シャトーが所有していた斜面など優良畑のみを買取ることに成功した。 ジャンフォーの土壌はサンテミリオンのコトーに限りなく近い。僅かな石灰粘土質の下は古い石灰岩盤になっている。メルローには最適の土壌である。根っ子はこの岩盤に入り込んでミネラルを吸収している。ボルドー右岸の元祖土壌のザ・メルローだ。 ボルドーを愛し、ボルドーテロワールを研究して、ブルゴ-ニュの地質学者クロード・ブルギニョンに土壌調査を依頼、実施。ブルゴーニュ方式の厳密な区画別醸造にこだわり、ボルドー右岸の本物テロワールとメルローを追求するジャンフォー。 収穫も勿論手摘み、収穫された葡萄は傷まないようにカジェットといわれる小箱で醸造所まで運ばれる。 >醸造所まで運ばれた葡萄をパスカル自ら厳しくチェックする。      さあ、パスカルの完璧主義による醸造で造られたジャンフォーのワインを試飲だ。まず、パスカルがグラスを一つ一つワインで洗う作業、アヴィナージュをしてくれた。グラスに付いている香りなどをワインで消す作業を丹念にやるパスカル。   ポン・デュ・ガールの面々も普段店で飲んでいるボルドーワインを造り手の話を聞きながら飲むのは格別なひと時だ。造り手にとっても自分のワインを日本の消費者に語ってくれる人達と過ごす超貴重なひと時である。           JEAN FAUX ROSE ジャンフォー・ロゼ11 品種:メルロー80%、カベルネ・フラン20% 、ジャンフォー・ルージュ用の発酵槽に葡萄をいれてから約一日後に発酵槽の下部に溜まったジュースを抜 き取りソーリー社の2年、3年使用した樽に詰めて発酵させた セニエ方式のロゼワイン。 勿論、自生酵母による発酵。  熟成:そして、そのままシュール・リにて樽熟成。 必要に応じてバトナージュをして、オリの旨みをワイ ンに溶け込ませる。石灰岩盤からくるミネラル感と昆布ダシ系の旨みがたっぷりのロゼ。和食にピッタリのワイン。 LA DAME DE CH-JEAN FAUXラ・ダム・ド・シャトー・ジャンフォー ジャンフォーのセカンド的存在。   品種:メルロー80%、カベルネ・フラン20%、除梗して、コンクリート槽とステンレス槽に分けて区画別に醸造。自然酵母のみ。25日の醸し期間。  熟成:100%樽熟、20%新樽、40%1年樽、40%2年樽にて14か月のシュール・リで樽熟 、タンクで6か月 メルローの果実味と旨みが乗って爽やかさのあるボルドーワイン。     CH-JEAN FAUX BORDEAUX SUP […]

2
Mai

ガメイの最高峰を目指す新人ラファエル・シャンピエ RAPHAEL・CHAMPIER!

リスクを負って独自の蔵を立ち上げた 3世代も続くワイン醸造元に生まれた。それにもかかわらず独自に独立して自分の醸造所を立ち上げた。自分の思うように自由にワイン造りをやりたかったからだ。小さい頃からボジョレーの誰もが尊敬しているブルイイ山の麓に広がるブドウ畑の中で育った。十代後半の頃から近所の醸造家、ジャンクロード・ラパリュのところに顔を出すようになった。自然な栽培・醸造、ガメイ品種の可能性をとことん追及しているジャンクロードのワインに感銘をうけていたからだ。 ガメイなのに骨格もあって、それでいてスーっと体に浸透してしまうワインの美味しさに驚いた。自分もこんな高品質のワインを目指したかった。 ボジョレー最古の葡萄園で造る大チャンス! 11年にLACARELLEラカレルの最高の畑区画が貸しに出された。 このラカレル区画の畑はボジョレー地区でも最も古いとされている貴重な畑だった。ローマ時代から葡萄が栽培されていた畑だ。土壌もシスト、花崗岩、砂状、とボジョレーを代表する地質をこの狭い区画の中に備えている稀有な畑だった。 ボジョレーで最高品質のガメイを造ることに人生を賭けようとしていたラファエルにとってこれ以上の条件を備えた畑はなかった。即、フェルマージ契約(借り契約)を結んだ。本物の最高のワインを狙っているラファエルにとって、こんなに幸運な事はなかった。 静かに燃えるタイプのラファエル、狙ったものは絶対にはずさない!強い意志! 最高のミクロ・クリマ(微気候) 自分の造りたいワインはもう決まっている。 14人兄弟の11番っ子のラファエルは目立たない性格だが芯には強固な意志力がある。 子供の頃から遊び親しんだガメイの葡萄畑、ラファエルはガメイの偉大な可能性を信じている。ガメイはピノ・ノワールにも劣らない繊細さとエレガントさを備えた品種であることを確信している。この信念はジャンクロード・ラパリュより受け継いだ。30歳を超えた今、最良の畑を確保できた。あとは思いっきり挑戦するのみだ。ラカレル区画の畑は特別だ。多分ボジョレー地区で最高のミクロ・クリマを備えているだろう。ブルイイ山の南東に位置して、北からの寒い風をブルイイ山が遮断してくれる。 ボジョレー地区で最も早く葡萄が熟す立地だ。 ラファエルは人生を賭けた。 自然栽培・自生酵母によるワイン醸造 最高のワインを目指すラファエルにとって、ドーピング的な化学物質を用いることなど最初から考えられなかった。 手間暇が3倍はかかる自然な栽培を実施。2年の歳月が過ぎて色んな草花が 畑に生息するようになった。土壌が生きている証だ。フカフカな畑には多くの微生物が元気に生きている。当然、その一部が自生酵母であり多くの種類の自生酵母が元気に生息している。約30種類の自生酵母が醸すワイン独特のホワーとした優しさと複雑味を備えた果実味が表現されている。 手造りならではの繊細な旨み 収穫は勿論、手摘み、醸造用の発酵槽はコンクリート製、除梗なしの葡萄まるごと、スミ・マセラッション・カルボニック発酵。自生酵母のみで発酵させる為に、発酵時の酸化防止剤(SO2)の添加はしない。 熟成は古樽(4年樽)とタンクで9から14カ月熟成するものとがある。 瓶詰時に僅かにSO2を入れる。全く必要のないものは無添加で瓶詰するものもある。 オーダーメイドの手作りでなければできない暖かさ、優しさ、感情が伝わってくるようなワインだ。目指すスタイルはワインとしても骨格を備えながらもスーっと体に自然に入ってしまうエレガントワイン。 L’AMUSE BULL PETILLANT ラミューズ・ビュル’11 品種:ガメイ 葡萄木はすべてセレクション・マサル方式。60歳の古木 (マサル方式の葡萄木は超貴重、ほとんどはクローン方式)収量が40hl 土壌:花崗岩が風化した砂質層が深い区画、 アルコールが軽快で酸を含んでフレッシュなワインができる。 醸造:収穫後、すぐにプレス、自生酵母で低温アルコール発酵、(温度調整する) 残糖が15g位になった時に瓶詰、瓶詰の2日前にオリ引きをする。 そのまま瓶内発酵を続け、ほのかな泡が残る。瓶内熟成で残糖ゼロのセック。 イチゴのような果実味が心地よく、ほのかな微発泡が爽やかさを演出している。 ROSA NATURA ロザ・ナチュラ ’11 品種:ガメイ100% 葡萄木はすべてセレクション・マサル方式。60歳の古木 ラミューズ・ビュルと同じ畑区画。同じ葡萄をロゼに仕込んだワイン。 収量が40hl 土壌:花崗岩が風化した砂質層が深い区画、砂質層が深いと糖度が軽めで酸を含んでいるのでロゼワインを造るには最高の条件を備えた土壌。 醸造::手摘みで収穫後、すぐにプレス、自生酵母のみ、タンクにて低温アルコール発酵、残糖が終わった段階で、一度オリ引きを実行。その後、シュール・リ・フィンヌで、そのままタンクにて熟成。瓶詰は数回に分けて実施、最初は4か月目に瓶詰。 日本に入っているロットは最も長い14ヶ月熟成。瓶詰時にまでSO2の添加なし。 こんなにも優しくエレガントさを備えて、オリの旨みが溶け込んだロゼはない。 口に入れた途端に体内に溶けて吸い込まれていく。グイグイ飲めてしまう危険なロゼ。   DES LURONS デ・リュロン ’11 品種:ガメイ100% セレクション・マサル方式。ここで最も古い80歳の古木がある。 樹齢が古いこともあり収量は35hlと少ない。 土壌:この区画はローマ時代から存在していた畑の一部。 花崗岩が風化した砂質層が最も浅く、すぐロッシュ・メール岩盤(元海底だった)    その下にはシスト土壌も存在している。 […]

27
Mar

小松屋 訪問レポート第2弾! エステザルグ!!

自然派の激旨安ワインを量産するESTEZARGUEエステザルグ農協の原点は? 小松屋メンバーエステザルグ農協訪問 激旨安ワインの原点を知りたくて! エステザルグ農協はTAVEL地区とCH-NEUF DU PAPEに近い南ローヌに位置する。今、この南ローヌの農協は相次ぐ倒産で激変している地方だ。そんな世間の状況と逆行して優良経営を続けている数少ない農協だ。しかも自然な造りの量産に成功した優秀な技術力が持っている。 旨い!安い!自然!三拍子が揃っている 小松屋でもこのエステザルグ農協のワインは大切なヒット商品だ。比較的割高なワインが多い自然派ワインの中で安くて、美味くて、自然という3拍子揃ったワインを造る原点を見にやって来た。 雨あがり晴天に恵まれて気持ち良い朝の訪問だ。 空気も澄んでいる。 土壌・ミクロ・クリマはパップ級 CH-NEUF DU PAPEシャトー・ヌフ・ド・パップに近いエステザルグ村の土壌はガーレ・ルーレと呼ばれる 大きな丸石がごろごろ転がっている。正にパップと同じだ。名門パップ並みの素晴らしい土壌が備わっている。 葡萄木の樹齢も古く、根も深い! 特にグルナッシュ品種は樹齢も古いものが多く。 自然な栽培を昔から続けており根っ子が地中深く入り込んでいる。土壌も微生物などがイキイキしているのを感じる。元気な自生酵母が育っていることだろう。 こんな古木の葡萄木から搾った果汁は、力強く、果実味とミネラルを豊富に備えていることを予想できる。 名門のパップやタヴェルと比較しても決して劣ることはないミクロ・クリマを備えている。 今あるESTEZARGUEエステザルグ・ワインを造り上げた3人の男達 1-炎の探求心・ジャン・フランソワ・ニック エステザルグを現在ある自然派へ方向づけたのは、あのルシオン地方の自然派伝道師ジャン・フランソワ・ニック氏。 この写真は筆者が2001年に撮影したニック氏。エステザルグ農協で働いていた当時の貴重な写真だ。1989年にワイン学校を終えて当農協に就職。ここに来る前はマルセル・ラピエールがいた自然派の本拠地モルゴンにて醸造研修した。 マルセル達の自然派の造りに感動したジャン・フランソワ。 当然、研修した自然派の造りをエステザルグ醸造に取り入れた。 農協の醸造長といえども、雇われの身、栽培にも関わってくる自然醸造を実行するには組合員の同意が必要だった。組合員の農家達も最初は半信半疑だったけどジャン・フランソワの情熱に押し切られ少しずつ始まった。主要農家は10名という少数さが幸いした。普通この段階で農家の反対に合っていたら今のエステザルグは存在しなかった。ここからジャンフランソワの壮絶な試行錯誤が始まった。大量ワインの自然な造りは、まだ誰一人として挑戦してないからだ。研究・工夫・試作と安定するまで10年の歳月がかかった。 その後、ジャン・フランソワ・ニック氏は2002年よりスペイン国境ぞいのルシオン地方に畑を買い独立、今では南仏NO1の自然派と誰もが認めるFOULARDS ROUGEフラール・ルージュを立ち上げた。南仏自然派の発展に無くてはならない尊敬に価する人物だ。 途轍もなく美味しいワインを造れる人は、世の中にそう沢山いない。ジャン・フランソワのワインは繊細で細かくて上品なワインだ。そんなジャンフランソワを育てたのは間違いなくエステザルグの経験だろう。大量ワインを自然に造る至難な業を完成させる中で、多くの事を学んだ。 2-エドワード・ラフィット 現LE BOUT DE MONDEル・ブー・ド・モンド醸造の当主 エドワードはジャンフランソワと共にこのエステザルグ農協で自然な造りを実践してきた人物。ジャンフランソワ独立後は、このエドワードがこのエステザルグ農協の醸造長として4年間を務めた。   SO2の添加量もさらに減らし、栽培も農家と共になって自然栽培を増やし諸々の改良を続け、畑ごとの多くの新キューヴェを造りだした。2005年ジャンフランソワの後を追ってルシオン地方に畑を買ってLE BOUT DE MONDEル・ブー・ド・モンド醸造を 立ち上げた。素晴らしいワインをリリースしている。 3-ドニ・デシャン そして、今はドニ・デシャンがいる。やはり美味しいワインの裏には人物を通した物語が存在する。ドニもジャン・フランソワ・ニックとエドワードと共に長年一緒に探求してきた人物だ。優しい性格は栽培家からも絶対の信頼を勝ち得ている。業も一流だ。 エステザルグの主要な葡萄栽培農家達とさらに密なる関係を築いているドニ・デシャンDENIS DESCHAMPS。 自生酵母で発酵させる自然な造りには、健全な畑仕事が不可欠だ。ドニ・デシャンは二人の先輩のやって来た事をさらに深く栽培方面からも一層の完成度をあげて、激旨安ワインに磨きかけている。ドニの探求心と知識は一流だ。自然度をあげて揺るぎない自然派ワインを完成。 小松屋一行ESTEZARGUEエステザルグ醸造所内見学   小松屋の販売する自然派ワインの中でも 日常的に飲めるワインとして販売量も多く無くてはならない重要なアイテムがこのエステザルグには多い。 畑を見て歩き、エステザルグの歴史を聞き、醸造所をみてエステザルグの偉大さをさらに深く感じた。 価格が高くて美味しい自然派を造るより 価格が安く美味しい自然派を造る方がもっと難しい。 この巨大タンクのワイン醸造をSO2の添加なしで自生酵母で発酵させる“業”を持っているのは世界中でここエステザルグだけだ。 自然!旨い!安い!3拍子揃った貴重な ワインはここで醸造される。 この巨大タンクにバクテリアが発生したら。タンクごと捨てなければならない。 […]

25
Mar

大阪・小松屋スタッフが南仏ドメーヌ・スリエ訪問

小松屋と言えば大阪で自然派ワインに特化している業務用酒販。藤田社長のその熱心さには驚くばかりだ。スタッフを惜しみなくフランスまで研修の旅に送りだす。今回はパッション・エ・ナチュール店長の富岡さん、浜里さんなど3人がやって来た。そして、岩チャンが引率。 やはり現場を知っている人は強い。実際に店で販売しているワインの畑を自分の足で歩いて土壌に触れて、造っている人の顔、声、人柄に触れてその場でワインを試飲して初めて解ることが多い。理屈を超えたこの感覚的理解が最高の宝となる。五感を通じて自然派を掴む。皆、スリエのオーナーのレミーさんの話に耳を傾ける。熱心にメモをとる。 サンソーの畑に近づくと香草の香りが一面に広がっている。 地元ではガリグと呼んでいる香草が密集している野生低木草畑である。この香り成分が葡萄の皮に付着してワインの中に入っていく。地元のソムリエはその香りもガリグと呼ぶ。 今日は大阪小松屋と東京オザミワールド社の共同オリジナルワイン“Cuvee Bou キュヴェ・ブー”を造るスリエ醸造所を訪問。キュヴェ・ブーは30歳のサンソーで醸す。そのサンソー畑を五感で触れた。畑の廻りには野生タイム・野生ローズマリなど香草がいっぱい生息している。      小松屋スタッフの皆さんも実際に野生香草を採って触って、嗅いでみる。あの“キュヴェ・ブー”のワインの中にある香りと同じである事を確認。貴重な体験だ。土壌とはこれら畑の環境にある草花や生き物も含まれている。そんな事を五感を通して理解できる。 やや暖かくなる五月頃になると、野生ローズマリやタイムなどの香りが畑一面に漂っている。実に爽やかな香りだ。何時間でも畑に滞在したくなってしまうほど心地よい。こんな感覚も実際に来てみないと解らない。これもまさしくテロワールの一部。      やっぱりワイン造りに最も重要なのは“人”である。ドメーヌ・スリエのレミーさんは南仏らしく実に明るくて、心地よい人柄だ。いつも笑顔を絶やさない地中海人、ラテン系の人柄。そんな人柄がそのままワインの中に表現されている。明るくてダイレクトなワインだ。 明るいだけでは美味しいワインはできない。実に実直な面を備えている。畑仕事を着々とこなしていく。28ヘクタールをビオで栽培することは並大抵なことではできない。   南仏と言えば葡萄畑とオリーブ畑の風景が典型的だ。最近、このオリーヴ畑が減っている。スペインから安いオリーブオイルが入ってくるので太刀打ちできない。レミーは先祖代々のこの景色を変えまいとオリーブ畑も一生懸命栽培している。品質高いオリーブオイルだ 。    このオリーブ畑はサンソー品種の畑の横にある。ここサンシニアンは夏になると南仏の太陽でかなり暑い。畑仕事の合間の一休みはこのオリーブ畑にやってくる。オリーブの葉で日陰となっている草の上に寝転んでの昼寝は最高だ。風通しが良くこぼれ日も入って気持よい。 このスリエ家は1610年よりここサンシニアンの地で葡萄を栽培している。1960年代より多くの栽培家が除草剤や殺虫剤、化学肥料を使いだした。お父さんはそんなものに一切目をくれず自然な栽培を続けてきた。400年に渡って一度も化学物質が畑に入ったことはない。 陽気なお父さん。自然が大好きで、ビオ協会が存在する前からずっとビオを実践している本物。ビオの原点の人達だ。彼らのような農家がフランスには多く存在する。フランスの奥深い農業文化を感じる。 ワイン造りの為に完璧な条件を備えた醸造所・熟成庫 スリエの醸造スペースは実に清潔で整備されている。一部のキューヴェを除いて、アルコール発酵はステンレスタンク内で行われる。この巨大な醸造所はお父さんとレミーで何と10年の歳月をかけて自分達のみで造り上げた建物だ。 設計も自分でやり、葡萄の搬入も重力で発酵槽の中に落とし込むように設計されている。 樽熟成庫もアルコール発酵スペースと同階でありながら地下になっている設計。温度も湿気も理想的になっている。ワインを移動する時も簡単にできてワインにストレスがかからないように設計されている。南仏でこのような地下ワイン熟成庫を持っているところは数少ない。几帳面なスリエ親子が時間をかけながらコツコツと造りあげてきた醸造所だ。ストック場もたっぷりあり近所の醸造元仲間のワインもストックさせている人の良いレミーだ。 家族のみで10年かけて建設した醸造所・熟成庫 400年前よりずっとビオのスリエを利く 15品種を栽培するスリエ家では当然キューヴェの種類が多。その中の一部を紹介しよう。 1-MARSANNE 08 白 マルサンヌ品種 標高が高いので酸がキリっと光っている。黄金色の色合い、 野生香草のガリグな香り、蜂蜜のような良く熟した果実味。 石灰岩盤の旨味も爽やかで心地よい。 2-CUVEE MATHILDE 12キューヴェ・マチルド ST-CHINIAN BLANC 数少ないサンシニアンの白、グルナッシュ・グリ80% マルサンヌ20%の構成。 12年は収穫前の雨が功を奏して、実に爽やかに出来上がっ  た。ヴィーフの表現されるほどキリッとした酸が素晴らしい。 とても南仏の白とな思えないフレッシュな白ワイン。      3-ST CHINIAN ROSE 12サンシニアン・ロゼ スリエの12年のロゼは特別に爽やかで、透明感のあるクリアな果実味が心地よい。 シラー、グルナッシュ、ムールヴェードルの3品種はセニエ方式、 サンソーは直プレス方式でジュースを絞って発酵させたもの。     4-GRENACHE 12 グルナッシュ グルナッシュ100%、40歳のグルナッシュ。 12年はグルナッシュを完熟させるのに難しかった。 果実味に爽やかさを含んでいる。ミネラルの旨味も心地よい。 5-MERLOT […]

5
Mar

今、南仏は春を告げるアーモンドの花が満開

ルシオン地方の富士山”カニグ山”をバックに満開のアーモンド 今年の冬は南仏と云えども寒かった。雪も降った。 寒さの上に強風 タラモンターヌが吹くともう10倍の寒さになる。その体感で極寒の中、剪定作業はもう体の芯まで冷えてしまう。 誰もが待っていた春の訪れだ。 南仏では葡萄園の小道によくアーモンドの木が植えられている。広大なコルビーエルの葡萄園の中にポツリと咲く アーモンドの花は遠目には桜に似ている。 我々日本人には心に響くものがある。時間に追われている 醸造元訪問中でも一時を忘れ、車を止めてワビサビの世界に浸りたくなる。思わずシャッターをきる。 アーモンドの花と共に春を告げる明るい花 ミモザが咲きだした。

21
Fév

2013年ロワールにおける各種自然派ワイン見本市レーポート PART-1

RENAISSANCE DES APPELLATIONS ルネッサンス・デ・アペラッション ルネッサンス・デ・アペラッションの会場風景、超満員状態の盛況だった。 MYRENE BRUミレーヌ・ブリュさん、が入口の最初のブースで張り切っていました。何て明るくて元気な人なんだろう。 子供の頃からの夢“ワイン造り”を実現して今は楽しくて楽しくてどうしようもない、という感じの女性だ。 2008年が初リリースというのに途轍もなく美味しいピュアーなワインを造る。やはり、好きでパッションがあるから、並々ならぬ努力を惜しまない姿勢がこんなに美味しものを新人なのに造り上げてしまうのだろう。パリの自然派ビストロの老舗バラタンでも人気ものだ。 2月初旬は自然派ワインの見本市が多数開催された。アンジュの街でサロン・デ・ロワールのオフ見本市として、大小合わせると約10か所ほどで開催された。ルネッサンス・デ・アペラッション、そしてソミュールで開催されたディーヴ・ヴテイユ。この二つが巨大自然派見本市。そして、両グループに入れない新人醸造家などが小規模見本市を別々で開催していた。 ルネッサンス・デ・アペラッションでは120社を超える醸造元が出店してすべてのブースが人で満杯状態、なかなか飲みたい醸造元ブースに近づけないほどだった。 2013年の自然派ワインの勢いを感じる熱気に溢れていた。 出店者の中には、ディーヴ・ブテイユと両方に参加している醸造家が多くいた。印象に残った幾つかを紹介しよう。 南仏ラングドックのMYLENE ・BRUミレーヌ・ブリュ   LADY CHASSELAS レディー・シャスラ ミレーヌ・ブリュさんのワインは温かみがある。情熱が伝わってくるようだ。レディー・シャスラは70歳のシャスラ品種から造られている白ワイン。 石灰岩盤の土壌の中に根が深く入り込んでいる。だから石灰岩からくるミネラルが酸の代わりにフレッシュ感を演出している。 南仏の白ワイン醸造は、酸を残す為にSO2を添加してマロラクティック発酵を止めるところが多い。でもミレーヌさんはそんな妙なテクニックは使わない。自然にマロラクティック発酵を行っている。それでもミネラル感があるので爽やかで、かつマロのお陰で旨味がのった潮っぽい白ワインだ。ほのかな甘みがあり日本酒に近い感触で和食にピッタリだ。 葡萄園に比較的近い地中海に面した街BOUZIGUESブジーグ村ではカキの養殖場がある。 地元の新鮮なカキを食べながらレディー・シャスラを合わせると、涙がでるほど美味しい。地中海カキは塩分が高い。潮っぽいレディ・シャスラとはピッタリカンカンだ。 このシャスラ葡萄木はクローンではない。マサル方式の葡萄木だ。シャスラの原木だ。 しかも15HL/Hの収穫量。ボルドーやブルゴーニュのグランクリュより少ない収量だ。 旨味が乗っているのは当たり前だ。 年間たった1200本しか生産していない希少なワインだ。 収穫は勿論,手摘みで、圧搾は小型垂直式の古式プレス機でゆっくり重力圧をかけられるので葡萄の皮を傷つけることなく、皮から汗の如くやさしく流れ出た上品なジュースのみを絞ることができる。自然酵母で発酵。本当に小規模でないとできないとても贅沢な造りをしている。このワインの事を書いているだけで飲みたくなってきた。 RITA リタ ミレーヌさんのネーミングセンスの良さには感心する。リタは二人の女性をイメージしている。一人は聖女リタである。過酷で悲惨な人生、絶望的な状況にある人々を救いだす聖女リタにこのワインをなぞっている。 もう一人はハリウッド女優のリタ・ヘイワースにも由来している。ギルダという映画の中で、長手袋を脱ぎながら妖艶に踊るシーンがある。そのシーンで赤い手袋を脱ぐイメージをラベルで表現している。 私の大好きなカリニャン品種100%だ。造り方次第で南仏のピノノワールと云われる程、繊細なワインができる品種だ。粘土石灰質土壌に育つ50歳の樹齢。北向き斜面の涼しい畑。除梗なしのセミ・マセラッション・カルボ醸造からくる独特の爽やかでピュアーな果実味が心地よい。過酷な人生の局面で、厳しい状況にある時は是非このリタを飲んで癒されてほしい。そして女優のように優雅なひと時を過ごしてほしい。   2012年10月に東京の下町・根岸の酒販店ESPOAよろずやの御一行が訪問 日本ではESPOAグループが輸入している。 エスポア店はお客さんと一緒に廻るワインツアーを企画している。造る人と飲む人が面会してひと時を過ごすと云う感動とハプニングがある楽しいツアーをやっている。 このツアーの時に、ミレーヌさんは日本行きを決意した。 遠い日本から来てくれたお客さん達へのお礼とお返しに。 今年の4月に日本へ行く。ミレーヌさんには二つの夢があった。 ワイン造りと日本へ行くことだった、その二つとも実現してしまうという幸せな人だ。 4月5日から10日間ほど日本全国を廻ります。 自然派好きな皆さん! 是非ミレーヌさんと彼女のワインを飲みながら楽しいひと時を過ごしてください。元気でますよ! 問い合わせはESPOA本部 06-346-3806 中島さんまで。

3
Fév

自然度200%・自然派の極を走るフィリップ・ジャンボン PHILIPPE JAMBON

今回は自然な造りのトップを走るジャンボン、昨年の収穫レポート中心にジャンボン像の一隅に光りを。 ブルゴーニュ・ボジョレ中で最も遅い収穫をするジャンボン 10月5日、ブルゴーニュ、ボジョレ中の誰もが収穫を終えてアルコール発酵も終わってプレスをかけている時期、流石、極を走るフィリップ・ジャンボン!やっと腰を上げてブルゴ-ニュ中で最も遅い収穫を開始した。ワイン造りのすべての点において、絶対に妥協をしないフィリップ。 畑仕事、収穫、醸造、熟成、それぞれの段階で極限まで理想を追求するフィリップは自然派の世界遺産と云っていいだろう。醸造元仲間の間でも『そこまでやるか?!』と云わせるほどの“極”を走る。極を走らないと分からないことが沢山ある。フィリップは開拓者だ!貴重な存在である。常人には極限までやる勇気はない。『醸造上そこまでやっても大丈夫なんだ!エッ?』という事を実践で証明している。アルコール発酵を5年間も続けたり、揮発酸が発生してもフィリップは動かない。 数年後にはちゃんと飲めるワインになってしまう。 夢追い人・フィリップ・ジャンボン 畑仕事も完璧にやりたいフィリップにとって4ヘクタールは多すぎる。完璧にやる為には、畑を減らさなければ、と考える。減らす為に、葡萄木を抜いてしまっている。当然減らせば収穫量も減る。勿論、収入も減る。でも、フィリップにとってはそんな事は重要なことではない。普通の人の経済的観念は持ち合わせていない。究極にピュアーなヴァン・ナチュールを造りたい!夢追い人のフィリップがいる。 朝日が昇るジャンボン畑、早朝の収穫・近隣の自然派が応援にやって来た 早朝の朝靄がかかった畑に朝日が昇った。なんて幻想的な空間なのだろう。 フィリップ・ジャンボンの畑はボジョレの最北端、プイィ ・フィッセに限りなく近いマコネとの境界線上にある。今日はジャンボンの畑の中では唯一平坦な畑だ。 他のすべての畑は丘の斜面に位置している。そちらの方の畑は、今年は寒波と雹にやられて50%の収穫減だ。2008,09,10と3年連続で雹にやられて30%ほどしか収穫がなかった。昨年、12年はやっと普通の収穫量30hl/hが収穫できた。また、今年は50%の収穫減だ。夢追い人も正念場に差し掛かっている。厳しい生活となりそうだ。やや心配になる。 近隣の自然派醸造元の仲間も心配になって応援に駆けつけてくる。フィリップのお陰で勇気づけられて自然な造りを始めた醸造家が多い。 また、熱狂的なフィリップ・ジャンボンワイン・ファンも応援に駆けつけていた。 何とか持ち堪えてほしい! Guichard Jérômジェローム・ギィシャール、Guy Blanchardギィ・ブランシャールの二人も応援にやってきた。この二人もフィリップ・ジャンボンから絶大な勇気をもらって自然なワインを造り始めたのだった。 日本からは、オザミ東京の田中さんも応援に駆け付けた。 5年前にフィリップが日本にやって来た時、連日連夜のようにオザミ店で飲み明かした。 高き理想・誇り! 武士は食わねど高楊枝! フィリップを支える人々! 佳き友と佳き妻(カトリーヌ)に囲まれて夢を追い続けるフィリップ・ジャンボン。 二人の間には息子2人と娘の3人の子供がいる。 カトリーヌは云う 『家には4人の子供がいるようなものよ!』 にっこり笑い飛ばす明るい カトリーヌ。彼女がいるから フィリップは夢を追い続けることができる。 カトリーヌ・ファンも多い。 朝、7時に始めた収穫、10時に一休みがはいる。 シャクトリー(ソーセージ、生ハム類)チーズ、パン、勿論ジャンボンのワイン、チョコレートなど甘いもの、等が提供される。 皆、友人ばかりなので暖かい空気が葡萄園にたちこめている。 昨夜、飲んだワインがまだ若干残っている。体を動かすことで 体内のアルコールが物凄いスピードで消えていくのを感じる。 2012年産のフィリップ・ジャンボン収穫完了 醸造家仲間や熱狂的なジャンボン・ファン達と愛情あふれる雰囲気の中で 通年の50%の収穫量とは云え、無事に収穫が完了した。 収穫中の葡萄園に流れるこの暖かい空気は、他の醸造元では絶対に存在しない“愛情”で詰まっている。葡萄果汁にも、自然酵母にもこの暖かさが伝わっているのだろ。ジャンボンのワインには他では絶対に味わえないホワッとした心が落ち着く暖かみがある。 オザミ東京の田中さんもこの暖かい空気の中にすっかり溶け込んでいた。 オザミのお客さんの中にも、このフィリップ・ジャンボン・ワインの熱狂的ファンがいるのを田中さんは知っている。この暖かさがワインの中にあって、 お客さんにも通じているのだろ。 この暖かさの原点を、田中さんはこの葡萄園で収穫しながら発見した。 ←収穫された葡萄はポンプを使わず、人力で発酵槽の中に入れられる。 発酵槽の上から落とし込むこの作業も実に大切なことである。 収穫を終わった後は、延々とアペリティフが続き多くのワインが開けられた。 それぞれの醸造家が自分のワインを持ち込んで皆で楽しんだ。 そして、最後はカトリーヌの手料理を皆で分かち合った。 何の世界でも、手作りしか出せない希少な価値が存在する。一点の濁りのないプュアーな ワインの中に、多くの愛情が詰まったワイン、 それがフィリップ・ジャンボンだ。

7
Jan

2013年は自然派ワインが次元の違う世界へ突入する

12年における自然派ワインの広がりは実に大きいものだった。もう自然派ワインという範疇を超えて一つのワインのスタイルとして認知されてきたと云った方がよい。 つい最近までは自然派ワイン専門ビストロやレストランなど狭い世界で限られた人達の中でしか飲まれなかった時代だった。 そして数年前からミッシェラン三ツ星レストランや3年連続世界第一位レストランになったデンマークのNOMAなど、テースティング能力があり視野の広いソムリエがいる一流店が自然派ワインを扱うようになっていた。 12年はその枠がさらに拡大して、“品質重視”をポリシーにおくビストロやレストランが率先して自然派を扱い出した。 それを期に、今まで無視し続けていたワイン雑誌が一斉に自然派ワインを取り上げて称賛しだした。ワイン評論家も自然派ワインを高得点で評価しだした。 自然派ワイン(VIN NATURE)と云う言葉を使わずテロワール・ワインとしての“造り”の違いを評価している。 自然派ワインがフランスから世界へ輸出が拡大 12年は蔵元から世界に向けての輸出も大きな広がりを見せた。北欧諸国・ノルウェー・スエーデン・フィンランド、そしてデンマーク、さらにドイツなどへの広がりが著しかった。そしてワインのうんちく文化の国・イギリスが自然派に動きだした。 12年5月にロンドンで盛大に自然派ワイン見本市が行われた。そして何と言ってもアメリカが自然派ワインに本格的に目覚めたという感じだ。 12年は多くの自然派醸造家がアメリカまで市場開拓に行っていた。 アジアの大国、中国へも自然派ワインの輸出が始まった。上海には自然派ワイン専門のフレンチ・レストランも既にあり結構繁盛している。 まだ僅かではあるが韓国、台湾、シンガポールにも自然派ワインが輸出されだした。 3年前までは、フランス国内のコアな自然派ファンと日本輸出が自然派醸造元を支えてきた、と云っても過言でない時代があった。 この自然派ワインの広がりを見るに、自然派ワインの発展に全精力を費やしてきた我々にとって心から嬉しさが沸いてくる思いである。 13年はさらに大きく伸びることが予想される。 自然派ワインの造り手が急増している 造り手の状況も、大きく様変わりしているのを感じる。 自然派が初期から数年前までは、特別な人達が個別に自然な造りを孤立して造っていた時代。マルセル・ラピエールを中心にグループが形成されてきた。 そしてワインライターのシルビー・オジュロやカトリーヌ・ブルトンがデーヴ・ブテイユという自然派ワイン見本市を開催して以来、孤立していた自然派ワイン醸造家同士の横の繋がりが一挙に増えた。 ディーヴ・ヴテイユに匹敵する大きな見本市、ル・ヴァン・デ・ザミ、ヴィニ・シールキュスなどが近年形成されていった。 その他にもディーヴ・ブテイユ系の横の繋がりからフランス全土の各地方の気の合った醸造元同士がグループを結成して、約30箇所でミニ・自然派見本市開催されるようになった。 例えば、シェ・アン・シェ・ロートル(シャブリにて開催)、ボージョレーヌ(ボジョレ)、ルミーズ(ローヌ)、フェスティヴァル・ドゥ・ヴァン・ナチュール(ラングドック)など他多数あり。 こんな具合に、ほぼ2週間ごとに、どこかで自然派ワイン見本市がフランス中で開かれている。こうした継続的な見本市で自然派ワインに目覚めるファンが着々と増えている。 この様な見本市で知合った醸造家同士の情報交流のお陰で自然派ワイン全体の品質もますます高上しているのも見逃せない。 こうした活発な自然派ワイン見本市に影響されて、自然派醸造家がフランス全土で増えている。 13年は新しい波 ヌーヴェル・バグがやってくる! 新しいスタイルの自然派が発生している。 今までのディーヴ・ブテイユ系から分派していった小さなグループではなく、彼らとは直接的に全く接点のない若手醸造家達が増えている。 あるいは反ディーブ・ブテイユ的な自然派醸造家も増えている。自然派ワインの元ファンだった人達が転職で醸造家になる人も多い。 また、今まで農協に属していた人達が、農協を辞めて独立する人達も急増している。 彼らの共通点は比較的年齢が若いこと、自然が好きで、地球を汚すような作業をしたくないと考えている若者達。彼は気張ることなく普通に栽培も醸造も自然にやることを最初から決めている。 今までの自然派グループとは全く縁がなく、ディーヴ・ブテイユ系は何となく自分達とは違うなと違和感を感じている人達。 デイーヴ・ヴテイュ系のいわゆる自然派グループもメンバーが増えすぎてこれ以上メンバーを増やせない状況になっている。 若手醸造家から見ると、『何かチョット閉鎖的で、有名自然派醸造家もいて、チョット近寄りがたく、堅苦しい。』と思っている若手も多い。 今までの自然派醸造家とは全く違ったアイデアでワイン造りに取り組んでいるグループが誕生している。 その中の一つを紹介すると、南フランスのニーム近辺で、小さな新人醸造家がグループを組んで素晴らしい自然派ワインを造り上げている。 素晴らしく美味しくて、価格も安く、アルコール度数も比較的低くスイスイ入ってしまうワインのスタイルを造り上げている。彼らは云う『昔、フランス人が1日2リッター程、飲んでいた頃のワインのスタイルを復活させたいんだ!』つまり、アルコール度数も低く、その割に果実味も乗っていて、さわやかさもあって、まさに水代わりにグイグイ飲めた時代のワインのスタイルを狙っている。しかも『価格は誰でも買えるように安くなくてはダメなんだ。』と言い切る。 美味くて、グイグイ飲めて、自然で、安い、と4拍子揃った自然派ワインを目指している。 このメンバーを引っ張る3人、トップはMONT DE MARIEモン・ドゥ・マリーのテェリーだ。元コンピュウーター技師だった。 安くする為に徹底した経費管理をしている。栽培を完璧にビオ、アルコール度を低くすること、心地よい果実味を残すこと、自然酵母でSO2を瓶詰時に少々、必要なしと判断した時は無添加。旨い! グイグイ!自然!安い!4拍子揃ったこの夢のようなワイン造りに賛同して一緒に行動するのは、MAS LAU・マス・ローのローラン、VALLAT D’EZORTヴァラ・デゾルのフレデリックだ。 この彼らのワインは間違いなく自然派の動きに一石を投じるヌーヴェル・バグになるだろう。応援したい。 13年も世界の困難な経済状況をモノともせず伸び続けるだろう! 世界的経済不安の中、12年も爆発的に市場を広げた自然派ワイン。 特に欧州の経済は困難を極めている。そんな状況下をモノともせずに、造る方も、売る側も伸びているのは、明らかに理由がある。 人々の価値観の変化が着実に進んでいるのを証明している。最近の若手醸造家の動機として、『地球を汚すような栽培はしたくない!』という言葉に象徴されていると思う。 20代、30代の人達にとって、地球の存続、生態系の存続への不安は意識下のところで深く刻み込まれている。昨年の年頭レポートで述べた、『カルチャー・クリエーティヴ層の人達が急増中』の実態がさらに進んでいると思う。人々がモノを消費したり、食べたりする為に購入する際の価値観が大きく変化している。ただ美味しいだけでは購入しない。 どんな栽培をして、どんな造りをしたのか、トレサビリテが益々重要性を帯びてきたと云う事だと思う。単に有名だったり、評価が高いだけでも購入しない。 地球にやさしい造りの本物度が要求されている。ワインの世界には、宣伝・広告費に莫大な費用を費やす企業化した超有名銘柄もあり、そんなワインは中国、ロシアに代表される国々で問題なく売れていくだろう。美味しいから売れているのでなく、超有名であることに価値がある世界の商財だ。自然派ワインはあくまで農産物である。 有名無名に関係なく畑で造られるものなのである。経費の殆どは畑に費やされる。どんなに贅沢に経費を使って、ブルゴーニュなどの高い土地代を考慮しても一本3万円を超えることはない。 […]

12
Déc

FESTIVIN 2012

昨年は第2回目の開催にして約1400名の来場者があったFESTIVAN! 今年もこの自然派ワインのお祭りはさらに盛り上がること間違いなし!との前評判を聞きつけて 参加してきました!12月9日。 初のレポートをアップします! 今回の会場は渋谷ヒカリエ。 今年できたばかりで、もうすでに渋谷のランドマーク的存在になりつつある今注目の商業施設です。 渋谷駅から直結していて交通の便もよく、今年はそこのワンフロア ヒカリエホールを貸し切っての開催ということだけあって 来場者の皆さんのテンションと期待もマックスに高まっている様子でした。 会場に入るとそこは「ワインのお祭り」らしく、ステージから流れてくる音楽と 出店されている飲食店やインポーターの皆さんの掛け声などで活気に溢れていました。 予想していた通り会場は外の寒さとは裏腹に熱気でカナリ暖かくなっていたので、やはり薄着で来たことは正解だったと頷きながら中へ進むと大きなホールのその奥にはステージが!そしてその裏にあたる場所にもブースが続いているではありませんか。 とにかく広い広い!そして、とても興味深い料理とワインの種類の多さにビックリでした。 今回のフェスティヴァンも一部と二部に入場がわかれており時間の制限はそれぞれ3時間半。 入場して間もなく、おそらく全ての人が自分の興味ある全てのブースを堪能するには時間が足りないということを悟ったと思います。 感想としては、このイベントを3日間くらいにわたってやってもらって余すことなく楽しんでみたい! 残念なのは、人間が3時間程度で一人当たり消費出来る飲食の量がだいたい決まっていること。 自然派のワインと関わりある興味深い飲食店の味を全て味わうことは出来ませんでした。 すごく残念!全部食べたいのに!!飲みたいのにー!!! 参加店舗リストの中には、東京じゃなかなか味わえない大阪うずら屋さんや、長崎のアンペキャブルの名前もありました。 そして真っ先に走って行った飯田橋の兄貴!自然派ワイン界の兄貴!宗像さんのお店メリメロ出店ブースには子豚ちゃんの丸焼が!! 奥のブースの入り口では商店街の魚やさん顔負けの掛け声で呼び込むオザミの丸山さんがローストビーフを元気にサービス! その隣には、若干丸山さんに圧倒されている様子の順子さん率いるヴィヴィエンヌチームが! これまたとびきり美味しいクスクスを提供していました。ホッと一息できる。さすが癒し系ヴィヴィエンヌ! パリの自然派ワインブームの火付け役となったビストロ、ヴェールヴォレを東京目黒で再現し今東京一熱い場所を提供するヴェールヴォレ・ア・トーキョー。 このブースでは苦手な人にも必ず美味しいと言わせる全く癖のない絶品ブータンノワールが! 造り手が来日するとこぞって立ち寄る下町の名店!山利喜のモツ煮込みも! どおする?どおする?なに食べる?なにから飲む?? なーんてやっているうちに3時間はあっという間に過ぎてゆきます。 インポーターブースも負けてはいません。 野村ユニソンブースでは、竹澤部長みずから立ち寄ったお客さまに本当に熱心に!ワインの説明をしていました。 ワインが大好きで、情熱をもって知ってもらおうと必死で話しているお姿は感動ものでした。 台湾から助っ人で来ていたレベッカさんとのコンビも最高!なぜか二人の会話は楽しいフランス語です。 そんな良い雰囲気のなか皆で記念撮影をしていると男性が一人乱入してきました。 そうです!今回も出品があるシリル・ル・モワン!! なんでこんなところにー!? 野村ユニソンブースはますます熱気を帯びていきます。 BMOブースでは、やっぱりこの方の笑顔に癒されます。聖子(まさこ)さん。 いつも美味しいワインを皆さんに惜しみなく提供してくれます。 この時、彼女がサービスしていたのはムーレシップ。 前回、アンドレティソ来日試飲セミナーの試飲会場で試飲をした時にも大好評を博していました。 わたしが住んでいた南フランスでも!ローヌでヴィニュロンを目指す友達の家でも!パリの自然派ワインカーヴでも! 誰かがこのワインを今いちおしのワインなんだといって出してくるそんなワインです。 あの!ラングロールが大人気になっていった行程と同じような勢いを今感じます。 BMOに置いてあるワインには共通してそんな魅力があります。 フランスでも自然派ワインが大好きな友達が知り合いのホームパーティーに持っていくような… 是非みなさんにも、そんな一本をトロワザムールでみつけてもらいたいものです。     今回、このフェスティヴァンで自然派ワインを普段あまり飲んだことがないという20代の女性と知り合いになりました。 彼女に聞きました。この会場で一番飲みやすくて美味しいと感じたワインは何でしたか? 彼女に連れていかれたのはイーストラインブースでした。 そこで、彼女が指をさしたワインはなんと!モーペルチュイのロゼ発泡ワインでした。 自然な甘みがスルッと喉を通過して心地よい後味。 酸味と果実味のバランスが抜群でとにかく美味しい!本当に美味しいネ!改めて声をあげ合いました。 フランスへ行って、食事の最初に飲む発泡だけが美味しいわけじゃない、最後に飲まれる発泡こそがとてつもなく美味しいってことに気づく。 […]

20
Nov

CPV8社 合同自然派ワイン試飲会開催 今、名古屋が熱い!!!

遅ればせながら10月に行われた名古屋試飲会レポートをアップします!   名古屋と言えば、味噌煮込みうどん、味噌カツ、手羽先などなどB級グルメの王道ながら、ワインの世界は、 正統派ボルドー、ブルゴーニュのグランヴァン、有名シャンパーニュなどの正統派王道を歩むマーケットだと感じていたが、ここ数年の名古屋での自然派ワインの広がりは凄い !!!  La cabotte, innoverなどがいち早く自然派を取扱いはじめ、レストランバーMORRIS、フレンチの老舗 レ・ミルポア、そしてホテルオークラの桃花林などでも自然派ワインが普通に飲める状況になってきた。  もともとワイン文化の高い名古屋、だからこそ、今更自然派ワインが入りにくい環境にあるかと思われたが、スーッと水がしみ込むように自然派ワインの取扱いの飲食店、酒販店が増えてきている。 今回、10月2日にアイリス愛知で開催したCPV合同試飲会には、野村ユニソン㈱、BMO㈱、イーストライン㈱、ウエストエンドジャパン㈱、㈱富士インダストリーズ、(有)クロスロード、日仏商事㈱、㈱サンフォニ―の8社が出展、12時の試飲会開始から17時の試飲会終了までずっとひっきりなしに来場者があり、熱気溢れる試飲会となった。また、試飲をした方々が素直に「美味しい」と評価してくれた。 名古屋、そしてその周辺地域の自然派ワインは爆発的に広がっていく予感が。。。 野村ユニソンブースでは、竹澤本部長自ら熱心にワインの説明。 ソミュール・シャンピニ―の新蔵元、ティエリー・ジェルマンや、2011のマルク・ペノ、アレクサンドル・バンの希少な赤、そして大御所、クロ・ルジャール、パカレ、ジャンボンなどを紹介。 来場者からは、安定した自然派ワインが多いとの高評価を受けていた。 クロスロードの有馬さんも絶好調! コート・ド・ブランのモング―村で造られるChampagne Jacques Lassaigne*ジャック・ラセーニュ、ボジョレーのラパリュの造るアンフォラワイン、ルーション地方のクロ・レオニーヌなどを紹介。 ワインもさることながら有馬さんのキャラクターも受けていた。 そして、今回、来場者を驚かせた超自然派ワインを揃えて参戦したのが日仏商事! あの自然派アルデッシュの自然派、ル・マゼル、ラングドックのマタン・カルム、ロワールのカトリーヌ&ピエールブルトンなどを紹介。 このブースも大人気! BMOの鎌田さんが一生懸命接客中。 本年来日もした、ジャンフランソワ・ニックのフーラル・ルージュ、その弟子ポトロン・ミネ。 ラングドックのムレシップ、ボジョレーのクリストフ・パカレ、マコンのヴァレットなど洗練された自然派ワインを紹介。オリヴィエ・クザンも登場! 一番活気のあったのがイーストラインブース。 出展ワインのボリュームも凄いが、門脇さん、佐藤さんの夫婦漫才コンビのトークも熱く、最初から最後まで人が溢れていた。 ワインは、ロワールの鬼才ジャンピエール・ロビノの ランジュ・ヴァンや、フランスでも珍しい南西部の ニコラ・カラマン、パトリック・ロルス、プラジョルなど個性豊かな数々のワインを紹介。 サンフォニーブースは大園氏が担当。 グリオットから独立したセバスチャンの新しいドメ―ヌ、ババス、トゥレ―ヌの新星女性自然派生産者、マリ―・ティボー、そしてビオディナミの大御所、 ミッシェル・オジェのメゾン・ブリュレなど好評。 試飲会初参加!富士インダストリーズ(FICワイン)の長瀬さん。 ラングドックの高品質リーズナブルワイン、グレ・サン・ポールが大好評! カリニャンの古木から造られる、日本初入荷蔵元、 カラボットの評判も良かった。 ウエストエンドジャパンブースでは、上柳さんが対応。 サン・シニアンの凝縮度がありながらタンニンの滑らかなボリ・ラ・ヴィタレルのワイン、ミネルヴォワで女性が造る、優しい味わいのクロ・ド・グラヴァィヤスが好評でした。 今回、名古屋試飲会にご来場の皆さま、本当にありがとうございました!

19
Nov

果汁を彫刻して緻密な粒子ワインを掘る芸術家ジャンポール・ドーマン CH-VIEILLE JULIENNNE シャトー・ヴィエイユ・ジュリアンヌ・CH-NEUF DU PAPE

CH-NEUF DU PAPEシャトー・ヌフ・ドュ・パップで自然派でありながら、パーカーが2年連続で100点を付けたことがあるCH-VIEILLE JULIENNEシャトー・ヴィエユ・ジュリアンヌ。ここまで繊細な粒子のタンニンが存在するのか?と驚くほどの液体を醸すジャンポール。 収穫直前の8月末から現在まで2カ月間はまともに寝たことがないというほどの気力と精神を集中させるジャンポール。醸造中はお父さんと云えども醸造所に入れない。小さな一つ一つの完璧な作業の積み重ねがここまでの緻密な液体を造り上げる。 ジャンポールのワインはまさに芸術の世界だ。まるで液体を素材に彫刻を掘っているよだ。醸造期間の2カ月間は電話もメールも一切見ない、当然、返事も書かない。極限まで全身全霊で集中して取り組んでいる。毎年、この醸造最終の時期になると顔もゲッソリと痩せこけてくる。   一つ一つの醸造作業には、それぞれのやるべき時期がある。それは昼夜を問わない。やるべき時は夜中でもやらなければならない。今はマセラッション“かもし”が終わって、マールをプレスかけている最後の最終作業の時期に入っている。チョット、ホットしているジャンポール。   小松市の森高さん(酒販店)がお客さん達とワイン芸術家ジャンポール・ドーマンのCH-VIELLE JULIENNEシャトー・ヴィエユ・ジュリアンヌを訪問。ジャンポールは数年前に小松市に訪問した。地元のテレビにも出演した。森高さんも勉強したフラ ンス語で熱く語る。   料理とワイン造りの違いは? 森高さんのお客さんから『ワイン造りにレシピはあるんですか?』ジャンポール『料理のシェフは素材を選ぶことができる。でも我々は天気は選べないので毎年 全く違う素材であることをまず受け入れないと始まらない。毎年初めての経験といって良い。発酵が始まるまでドキドキなんだ。』 一年に一回しかできないのがワイン造り ジャンポール『料理のシェフと違うのは、もし料理で失敗したら、市場にもう一度素材を買いに行き、すぐ調理を再開できる。でもワイン造りで失敗したら、一年待たないと再開できない。一年にたった一回しかできないからこそ、この2カ月間にすべてをかけて集中する価値があるんだ。』   失敗は成功のために存在する。 質問『今までに失敗した経験がありますか?』 ジャンポール『勿論、あります。自然が相手だからコントロールができない部分が沢山ある。それに自分自身も完璧ではないから失敗をする。失敗がないと進歩しない。完璧な人間がいないのと同じように、完璧なワインは存在しない。失敗は成功のためにあるんだ。』 100点満点の醸造家は、実に謙虚な努力家 『我々、人間ができることなんて限られている。自然をすべて受け入れるところからワイン造りが始まる。そこから自分の理想を追求することしかできない。完璧でなくても、その年の調和がとれたかが大切だと思う。』 一言一言をかみしめるように語る謙虚なジャンポール。   ヴィエユ・ジュリアンヌ醸造元の廻りには100年を超す葡萄木が沢山生息している。中にはフィロキセラ前の古木も混じっている。砂質土壌は古木の生息率が高い。当時の植え方は混植だ。グルナッシュ、マルサンヌ、カリニャン、クラレットと赤葡萄も白葡萄も混じっている。 ヴィエユ・ジュリアンヌ醸造の畑はシャトー・ヌフ・デュ・パップ地区の最北端に位置している。しかも北斜面にある。ここのワインがエレガントな理由はここにもある。そして、砂質石灰土壌であり、50歳から超100歳の古木が多数あるというのが大きい。   ジャンポール・ドーマンは3年前より、コート・ド・ローヌ、リラック、ジゴンダスのワインを造っている。元研修生だった若者の畑から収穫された葡萄をパップと同じジャンポール流にて醸造している。ジャンポールの繊細さとそれぞれのアペラッションの特徴が表現されている逸品。 世界で引っ張りダコのジャンポールが手掛けたリーズナブルな力強さと繊細さを兼ね備えたワイン。 ヴィエユ・ジュリアンヌのシャトー・ヌフ・ド・パップ09太陽が強かった、濃厚な色合い、酸は少ないがミネラル感でバランスがとれている逸品。リュー・ディ・クラヴァンは樹齢100歳の古木が多い。細かなタンニンが素晴らしい。芸術的粒子の細かさ。   ヴィエユ・ジュリアンヌの世界中から注目されている超希少ワイン、LA BOSSEラボス。1905年以前の葡萄木の葡萄を仕込んだもの。道路を隔てただけでパップを名乗らない。コート・ド・ローヌ。濃縮感たっぷりなのに繊細、芳醇、旨味、絹の舌触り。   並はずれた探求心と人情の深い人柄がワインの中に ジャンポールを見ているとワインはやっぱり人だと思う。何事にも謙虚な姿勢で探求心をもって磨き続けるジャンポールだからこそ可能なワインのスタイルだ。 東北沖地震の時は、自分達が災害にあった時の為に保管しておいたワインをすべて義捐ワインとして提供してくれた。義理人情の深い人。 小松の皆さんも大感激のテースティングでした。ジャンポールさんが来年N13年1月に来日決定。勿論、東京でも試飲会を開催します。是非、今、最も注目度の高いパップの逸品を試飲にお越しください。