19
Nov

果汁を彫刻して緻密な粒子ワインを掘る芸術家ジャンポール・ドーマン CH-VIEILLE JULIENNNE シャトー・ヴィエイユ・ジュリアンヌ・CH-NEUF DU PAPE

CH-NEUF DU PAPEシャトー・ヌフ・ドュ・パップで自然派でありながら、パーカーが2年連続で100点を付けたことがあるCH-VIEILLE JULIENNEシャトー・ヴィエユ・ジュリアンヌ。ここまで繊細な粒子のタンニンが存在するのか?と驚くほどの液体を醸すジャンポール。 収穫直前の8月末から現在まで2カ月間はまともに寝たことがないというほどの気力と精神を集中させるジャンポール。醸造中はお父さんと云えども醸造所に入れない。小さな一つ一つの完璧な作業の積み重ねがここまでの緻密な液体を造り上げる。 ジャンポールのワインはまさに芸術の世界だ。まるで液体を素材に彫刻を掘っているよだ。醸造期間の2カ月間は電話もメールも一切見ない、当然、返事も書かない。極限まで全身全霊で集中して取り組んでいる。毎年、この醸造最終の時期になると顔もゲッソリと痩せこけてくる。   一つ一つの醸造作業には、それぞれのやるべき時期がある。それは昼夜を問わない。やるべき時は夜中でもやらなければならない。今はマセラッション“かもし”が終わって、マールをプレスかけている最後の最終作業の時期に入っている。チョット、ホットしているジャンポール。   小松市の森高さん(酒販店)がお客さん達とワイン芸術家ジャンポール・ドーマンのCH-VIELLE JULIENNEシャトー・ヴィエユ・ジュリアンヌを訪問。ジャンポールは数年前に小松市に訪問した。地元のテレビにも出演した。森高さんも勉強したフラ ンス語で熱く語る。   料理とワイン造りの違いは? 森高さんのお客さんから『ワイン造りにレシピはあるんですか?』ジャンポール『料理のシェフは素材を選ぶことができる。でも我々は天気は選べないので毎年 全く違う素材であることをまず受け入れないと始まらない。毎年初めての経験といって良い。発酵が始まるまでドキドキなんだ。』 一年に一回しかできないのがワイン造り ジャンポール『料理のシェフと違うのは、もし料理で失敗したら、市場にもう一度素材を買いに行き、すぐ調理を再開できる。でもワイン造りで失敗したら、一年待たないと再開できない。一年にたった一回しかできないからこそ、この2カ月間にすべてをかけて集中する価値があるんだ。』   失敗は成功のために存在する。 質問『今までに失敗した経験がありますか?』 ジャンポール『勿論、あります。自然が相手だからコントロールができない部分が沢山ある。それに自分自身も完璧ではないから失敗をする。失敗がないと進歩しない。完璧な人間がいないのと同じように、完璧なワインは存在しない。失敗は成功のためにあるんだ。』 100点満点の醸造家は、実に謙虚な努力家 『我々、人間ができることなんて限られている。自然をすべて受け入れるところからワイン造りが始まる。そこから自分の理想を追求することしかできない。完璧でなくても、その年の調和がとれたかが大切だと思う。』 一言一言をかみしめるように語る謙虚なジャンポール。   ヴィエユ・ジュリアンヌ醸造元の廻りには100年を超す葡萄木が沢山生息している。中にはフィロキセラ前の古木も混じっている。砂質土壌は古木の生息率が高い。当時の植え方は混植だ。グルナッシュ、マルサンヌ、カリニャン、クラレットと赤葡萄も白葡萄も混じっている。 ヴィエユ・ジュリアンヌ醸造の畑はシャトー・ヌフ・デュ・パップ地区の最北端に位置している。しかも北斜面にある。ここのワインがエレガントな理由はここにもある。そして、砂質石灰土壌であり、50歳から超100歳の古木が多数あるというのが大きい。   ジャンポール・ドーマンは3年前より、コート・ド・ローヌ、リラック、ジゴンダスのワインを造っている。元研修生だった若者の畑から収穫された葡萄をパップと同じジャンポール流にて醸造している。ジャンポールの繊細さとそれぞれのアペラッションの特徴が表現されている逸品。 世界で引っ張りダコのジャンポールが手掛けたリーズナブルな力強さと繊細さを兼ね備えたワイン。 ヴィエユ・ジュリアンヌのシャトー・ヌフ・ド・パップ09太陽が強かった、濃厚な色合い、酸は少ないがミネラル感でバランスがとれている逸品。リュー・ディ・クラヴァンは樹齢100歳の古木が多い。細かなタンニンが素晴らしい。芸術的粒子の細かさ。   ヴィエユ・ジュリアンヌの世界中から注目されている超希少ワイン、LA BOSSEラボス。1905年以前の葡萄木の葡萄を仕込んだもの。道路を隔てただけでパップを名乗らない。コート・ド・ローヌ。濃縮感たっぷりなのに繊細、芳醇、旨味、絹の舌触り。   並はずれた探求心と人情の深い人柄がワインの中に ジャンポールを見ているとワインはやっぱり人だと思う。何事にも謙虚な姿勢で探求心をもって磨き続けるジャンポールだからこそ可能なワインのスタイルだ。 東北沖地震の時は、自分達が災害にあった時の為に保管しておいたワインをすべて義捐ワインとして提供してくれた。義理人情の深い人。 小松の皆さんも大感激のテースティングでした。ジャンポールさんが来年N13年1月に来日決定。勿論、東京でも試飲会を開催します。是非、今、最も注目度の高いパップの逸品を試飲にお越しください。  

3
Nov

ピノ・ノワールとブルゴーニュ・テロワールにすべてを賭けるPHILIPPE PACALETフィリップ・パカレ

ブルゴーニュ・テロワールの真髄への道 2012年はフィリップにとって22年目のブルゴーニュでの収穫となった。プリューレ・ロック時代は、現ロマネ・コンチのオーナーのアンリー・フレデリック・ロックに乞われて10年間、プリューレ・ロック醸造所のブルゴーニュきっての名醸畑を栽培・醸造を手掛けてきた。その姿は正にブルゴーニュ土壌に魅せられた研究者としてのフィリップ・パカレだった。 若き頃、物理学を勉強していたフィリップをジュル・ショヴェ博士に紹介したのはマルセル・ラピエールだった。以後3年間、『自生酵母とワインにおけるその影響について』を ショヴェ博士と共同研究する幸運に恵まれた。 アンリー・フレデリック・ロックはその研究生としてのフィリップをみいだして、プリューレ・ロック醸造蔵のオノローグ・醸造長としてフィイリップ・パカレを誘った。当時、アンリー・フレデリック・ロックはまだお兄さんが生存していてロマネ・コンチの後継者になることは考えられなかった。だから、自分独自の蔵を立ち上げる必要性があった。新蔵を立ち上げるに当たって、アンリ・フレデリックは本物のブルゴーニュ・ワインを造りたかった。当時すでにマルセル・ラピエールの自然派ワインが教養あるプロの間では話題になっていた。マルセル・ラピエールからフィリップを紹介された。91年から10年間プリューレ・ロック醸造元の基盤を造り上げた。その間に、アンリ・フレデリックはロマネ・コンチの後継者になるという変化が生じた。2001年、フィリップは独立を決意。 ピノ・ノワールとは?ブルゴーニュの土壌とは?大冒険が続く! フィリップは、ジュル・ショヴェ博士と共同研究した理論を、プリューレ・ロックでのブルゴーニュの有数の名醸畑で10年間に渡って栽培・醸造する実践・実験するという幸運に恵まれた。さらに、突き詰めて自由にピノ・ノワールとブルゴーニュ・テロワール(土壌)の関係を追及し究めたかった。 冷静にものごとを判断して実証していく研究者としてのフィリップの大冒険が待っていた。 フィリップは畑を持っていないことを喜んだ。一つのドメーヌが所有する畑では研究対象が限定されてしまう。未知のブルゴーニュの畑を自由にやってみたかった。 ワイン造りでフィリップが最も重要視しているのは、葡萄木の素性だ。“Bon plant”ボン・プランである事が必要条件だ。フィリップは云う『クローンのピノ・ノワールではどんな有名畑の土壌でもダメなんだ。』動物の血統証のような存在なのだろう。セレクション・マサル方式で植えかえられてきた本物のピノ・ノワール木が必要なのだ。フィリップはテロワール・ワインを次のよう公式化している。あくまで葡萄・品種は分母に位置している。              土壌 × 気候 × 人間  テロワール・ワイン = ――――――――――――――                          葡萄・品種 フィリップは、ブルゴーニュのまだ醸造したことがない畑、村、区画で、Bon Plantボン・プランのピノ品種と土壌の関係を試したかった。 Bon plantボン・プランとはセレクション・マサル方式で植えかえられてきた本物ピノ・ノワールのこと。マサル方式のピノ・ノワールは小粒の葡萄で生産量が少なく病気に対する抵抗性が強く、寿命が長い。 ブルゴーニュの多くの名醸畑は、残念ながらクローン方式のピノ・ノワールが多い。近年、経済的理由から用いられている。苗木クローンは葡萄が大粒で、生産量が多いからである。しかし病気への抵抗力が弱く、寿命が短い。最近では30年が寿命のビノ・ノワールが多い。 2012年は独立して12回目の収穫となる。 今日、9月28日はニュイ・サン・ジョルジュ畑の収穫だった。フィリップの大冒険を実現するには葡萄栽培家との円満で濃密な関係が必要だ。ブルゴーニュには葡萄栽培しかやらない栽培専門農家がいる。醸造は一切やらない。すべての労働時間を畑に費やすことができる。 普通、醸造元は自分の畑を所有して、栽培・収穫、醸造、熟成、瓶詰、を独自でやっている。しかも、販売管理も自分でやっているので、営業に使う時間も莫大だ。当然、畑に出る時間は少なくなる。 今年の様な、湿気が多く病気が大発生した難しい年は葡萄木の状態、土壌の湿気、天気予報を見ながらジャスト・ピン・ポイントで対応しなければならなかった。2012年は、やるべき畑仕事が1日遅れただけでベト病が大発生して大被害に繋がる年だった。畑を借りているフィリップは所有者(農業専門家)との契約で畑仕事を指定できるシステムになっている。やるべき日時にやるべき農作業ができたニュイ・サンジョルジュ畑は、難しかった12年も素晴らしい葡萄が収穫できた。 フランス社会の変化がブルゴーニュ・ワインへも影響を与えている。 フィリップの大冒険は続く。9月29日はポマール畑の収穫。ポマール畑の所有者は農家ではない。だから栽培も自分達で管理しなければならない。今、フランス社会は人件費と社会保障費の高騰、労働時間が週35時間となってから、職人業、飲食業、農業関連の企業が行き詰っている。 月曜日から金曜の午前中まで、つまりほぼ週3日制。しかもアルバイト雇用が許されていない。すべて正式な労働契約をしなければならない。(勿論、収穫期など農繁期は短期季節労働者の雇用を許されている。)零細農企業では、人は雇えないし、やるべき仕事ができない。 そこで、今ブルゴーニュでは新型の農作業専門会社が出現している。例えば、散布専門業者、耕作専門業者、など農作業の一部を請負う会社である。 中にはいい加減な会社も存在するが、農作業のプロ中のプロを集めた会社がある。フィリップも何社か試して、やっと良いプロ会社を見つけた。大きな利点は、耕作の日時、やり方をすべて指定できることだ。勿論、フィリップの右腕のジョワンが立ち会い一緒に農作業をする。 フィリップは、農作業員の雇用で近年悩んでいた。それほどフランス社会のシステムが、職人や芸術的要素がある業種を圧迫している。 佳きフランス文化を消滅しかねない問題までになっている。 ここポマールの畑は、今年からそのプロ集団に任せたお陰で、この難しい12年も小粒でフェノリック熟度の高いピノ・ノワールを収穫することができた。 ピノ、ブルゴーニュの真髄を究める大冒険は続く プリューレ・ロック時代は人の問題とか会社経営の問題などの心配する必要がなかった。ただ純粋に栽培・醸造のことに熱中していればよかった。 ブルゴーニュという土壌性を理解するには、ここに住み、生活する人達の文化そのものに触れずには不可能だ。特に、世界中から人とお金と名声が集中して人間のあらゆる感情が渦巻いている土壌だ。これらを抜きにしてブルゴーニュの真髄は理解できないだろ。 色んな問題を解決しながら人間的にも深みが出てきたフィリップ。人間が変わればワインも変わる。最近、ますます深みが出てきた。 フィリップにとって22回目のブルゴーニュの冒険 フィリップには心強い右腕のジャワンがいる。収穫時期の葡萄園における鬼軍曹。 収穫の仕事は体力的には非常にキツイ仕事だ。だから、疲れてくると注意力がなくなってくる瞬間がある。無意識に傷んだ葡萄を収穫してしまう。そんな時、この鬼軍曹がやって来て、一喝!気合を入れる。 収穫は9月24日から約1週間続いた。オー・コート・ニュイ地区にある民宿所を借り切って約30人が寝泊りの合宿生活をする。勿論、専門の料理シェフも雇っている。今年は、イタリア、コロンビア、スペイン、オランダ、アメリカなど国際色豊かな収穫メンバーだった。 晴天日の昼は葡萄園で昼食をとる事が多い。移動時間が短縮できる。 フィリップの冒険は家族ぐるみ フィリップのお母さんも昼食の手伝いにやって来ていた。 フィリップのお母さんはマルセル・ラピエールの妹さんだ。 フィリップは醸造元設立の初期の頃は醸造所、熟成庫もすべてヤドカリで行った。この状態で、繊細なピノ・ノワール醸造は難しかった。思い切って投資してボーヌ駅付近に元ネゴシアンの理想的な建物を購入。土日も顧みず、あまりにもの冒険・仕事への集中が過ぎて家族に迷惑をかけた時期があった。今は、家族と共に歩んでいる。長女も奥さんも収穫に参加して時を共有している。 フィリップにとって発酵槽はフラスコのようなもの、一年に一回しかできない醸造が開始 満足のいく健全な葡萄は偶然には得られない! 次々と各畑から収穫された葡萄が運びこまれてくる。フィリップは葡萄園と醸造所を行き来しながら陣頭指揮をとっている。フィリップは到着した葡萄をみて満足している。 『2012年は難しい年だが、良く観察してやることをキッチやれば問題ない年だった。冬にあまり雨が降らなかったので、土壌の地下水が乾燥していた。春、夏と天気は曇り空が多かったが、実際のところは、あまり雨は降っていなかった。空気中の湿気で病気が大発生した。雨が降る直前に畑への対処をきっちりやっておけば病気もそれ程広がらなかった。雨が降ると1週間も畑に入れなく、畑仕事がドンドン遅れて結果的に病気が大発生した。12年は天気予報を見ながらの指揮で予断を許さなかった。だから今年、夏バカンスはとれなかった。収穫量の少ないのは冬と春先の大寒波によるもの。受け入れるのみ。』 人間は横にいて、発酵しやすいように導き手助けするだけ。 勿論、発酵槽への葡萄の搬入はポンプを使わず人力で上から重力で落し入れる。この葡萄にはそれぞれの畑の自生酵母が付着している。今年の湿気、太陽熱など12年のインフォメーションを一杯満載している葡萄達だ。葡萄果汁、果肉にはポマールの元海底だったころの石灰質岩盤に含まれているミネラリーなインフォメーションもたっぷり含まれている。自然酵母が働き安い状況をつくりだす。『自然酵母が発酵する事で、畑独自の香りや味や感動の情報を活力増強してワインに現れる。』 それらの独自なインフォメーションをワインという液体の中にポマールのテロワールとして写しだす事が出来るのは、ポマールで育った自生酵母達なのだ。ジュルショーヴェ博士との共同研究で判明した約30種類の酵母が、今、グツグツと泡を出しながらトランスフォーメンションの仕事をしている。彼らのお陰で12年の宇宙からの光エネルギーやメッセージ、何億年前の土壌ミネラルからのメッセージをワインの中に写し出される。我々人間に喜びと勇気をもたらしてくれるために! 『畑独自の香りや味や感動の情報が現れる発酵は、エネルギーそのもの! これは、動きの情報である。ワインは、振動の液体である。多くのエネルギー情報を我々に与えてくれる。また、細胞(DNA)を変動、変換させる力をも持っている』フィリップ・パカレ

2
Nov

自然派の真髄継承を自認する クリストフ・パカレ

CHRISTOPH PACALETクリストフ・パカレの無事収穫を終えました。マルセル・ラピエールの甥にあたり、フィリップ・パカレの従兄という自然派ファミリーの中心的存在。マルセル亡き後の自然派精神の真髄継承と自認しているクリストフ。人当たりのソフトさが心地よい人物。 料理人よりの転身。若い頃は南半球のフランス領の島でレストランをやっていた。30代にフランスに戻ってマルセル・ラピエールの後押しもあって醸造所を立ち上げた。大きな視野をもったゆったり感がワインに表現されている。 クリストフが焦ったところを私は見たことがない。人生、何か悟ったところがある。若い頃、フランスを脱出して世界を見てきたことが、大きく彼の生き方に影響を与えているのだろう。 9月17日より収穫を開始して、一週間で終了した。12年はクリストフにとっても難しい年だった。クリストフはそれでも普段の態度と変わらず、やるべきこと、できることを最大限に実行した。収穫人も近所の良く知っているメンバーのみでやった。 晴天に恵まれて、ブルイ山の斜面での収穫。2012年の収穫量はここでも少なかった。でも葡萄自体の品質は良質だった。和気あいあいの雰囲気の中で収穫が進んでいた。やはり、健全な葡萄を選ぶ選別を注意深く指導していた。 クリストフの醸造所はモルゴン村からコート・ド・ピの丘の横を走る山道を通って10分ほど南に移動するとある。 醸造所から見る景色がこの写真だ。ボージョレ中にエネルギーを送っているコート・ド・ブルイ山だ。今日はこの中腹で収穫をやっている。 ブルイ山の斜面は結構な急斜面だ。収穫は常に下から登りながら行われる。上までたどり着くと、再び歩いて下がり、登りがら収穫を始める。この方が腰が疲れなく収穫しやすい。かなりの重労働だ。上までたどり着けばひと休憩が入るのでそれを目指して頑張っている。 収穫人は各自バケツをもって収穫する。そのバケツが葡萄で一杯になるとポルトゥールと呼ばれている運び人が一杯になったバケツを中腹に設置してあるカジェット(箱)まで運んでくる。このは運び人の仕事があ実に重労働なのだ。葡萄が一杯になった斜面を往復しなければならないからだ。 葡萄を醸造所まで運ぶこのカジェットは15Kg前後の葡萄が入る。下の葡萄が潰れない重量になっている。除梗しない葡萄房を丸ごと発酵槽に入れる自然派の造りには大切な入れ物だ。葡萄が潰れると雑菌が繁殖してしまう危険性が増えるからだ。 12年は開花時に雨が降った為、ミルランデールと呼ばれる小粒まじりの葡萄房が多い。収量は極端に減るけど濃縮感のある良質のワインができあがる。まさに2012年を象徴するような葡萄房だ。 葡萄園から醸造所まで運びこまれた葡萄。例年なら冷蔵庫に入れて一夜冷やすのが自然派の造り。葡萄自体の温度が高いまま発酵槽に入れると雑菌繁殖や酸化の危険性が増えるからだ。今年は朝の気温自体は8度と低い為、その必要はなかった。 葡萄選果を徹底したお陰で健全な葡萄が運びこまれた。クリストフもホットして喜んでいる。2012年はボジョレ中の醸造家が収穫を諦めなければならないか?と思うほどの状況だった。そんな中、収量は例年の50~60%の量になるだろうが、こんな美しい葡萄が最終的に収穫。 嬉しさのあまり、葡萄をくわえてバッカスの真似をするクリストフ。こんなお茶目なとこを持っているのもクリストフらしい表現だ。クリッストフ『この写真を日本の皆さんに送ってくれ!』よほど嬉しかったに違いない。 クリストフ・バッカス 今日は収穫の後、醸造所に皆、集まって一杯を交わした。厳しい斜面の収穫も終えてホットしたところ。このひと時がたまらなく楽しい。ここは近所の人達が集まった気心を知った人ばかりだ。クリストフらしいホワットした自然な雰囲気だ。 近所の醸造家、ニコラ・テスタが遊びにやって来た。ニコラはプリューレ・ロックでパカレの後、醸造長を3年務めあげた人物だ。近所なのでアペリティフの時間頃になると時々やって来る。ニコラのワインはピノッテして限りなくピノに近いガメを造る名人だ。 クリストフもトロンコニック型の木樽を発酵槽に使っている。自然派の造りには柔らかさが表現される。 プレス機は勿論100年以上も経った垂直式圧搾機。グラップ・アンティエール・MC発酵の圧搾にはも最も上品に絞れる必需品。どちらも独立する時にマルセル・ラピエールより寄付されたものだ。 クリストフが最も信頼している仲間です。結論として50~60%減の低収穫量ながら厳しい選果作業を徹底した醸造家のみが、品質の高いワインできる年。自然派の造りは、厳しい選果をやらざるをえない。ことしこそ自然派の品質の高さが分かる年になるだろう。 最後にクリストフの畑から見た美しいリヨン方面の全貌、リヨネ山が遠くに見える。こんな景色を見ながら育った葡萄が我々に感激を届けてくれる。

2
Nov

才気あふれるシリル・アロンゾCYRIL ALONZOの12年収穫

頭脳の回転が速いシリルは次々と手を打った。 ボジョレを基盤に活動するシリル・アロンゾにも2012年は他の醸造家と同様の厳しい天候状況を与えられた。春の寒波時点で、シリルは『今年は収穫量に問題をあり』を予測した。顔の広いシリルは寒波被害の少なかったランティエール村の栽培家と交渉し手を組んだ。 12年は自分独自の畑を持たないシリルには有利な年となった。シリルは栽培家と契約して葡萄を買って醸造をする、というネゴシアン醸造家であることが、功を奏して対応が早くできた。ランティエール村の花崗岩が風化した砂土壌の畑を確保できた。 特別なミクロ・クリマを備えた最良の畑を確保 ここの畑は元火山だった山が風化してなだらかな丘が連なっている丘陸地帯の斜面の畑だ。丘と丘の谷間には小川が流れ、風通し良く、森もあって昆虫、微生物の天国がある。豪雨が降っても谷間に向かって即流れてしまう水捌けが良い好立地。 ネゴシアン醸造家だから可能だった、素早い対応!こんな完璧な葡萄を確保 ボジョレには昔から葡萄を育てることを専門にしている葡萄栽培家がいる。彼らは醸造をやらないだけに、栽培に専念できる時間がある。12年のような難しい年は、やるべき畑仕事が一日遅れただけで大被害につながる年だった。シリルはそこに着眼して見事な葡萄を確保できた。 2012年にここまで完璧な葡萄を見たのは少なかった。やはり葡萄栽培に専念できた畑仕事のプロの成す技だ。ひょっとすると12年はシリル・アロンゾが最も輝く年になるかもしれない。この完璧な葡萄をどうやって料理するかシリルの才気の見せ所だ。 栽培は土壌を知り尽くした専門家と共に! 栽培専門だからできる畑仕事。北ローヌ、コート・ロティなどでやる仕立て、ゴブレ仕立ての上を縛って葡萄に太陽をあてる作業。一本一本の葡萄木の上部を縛るのは豊富な時間がないとできない。12年のような太陽の少ない年は必要な作業だった。 晴天の中、着々と収穫が行われた。約30名の収穫人がハサミの音をカチカチと鳴らして葡萄が摘み取られていく。シリルは単に収穫された葡萄を買い取るだけではない。栽培の仕方、収穫の時期、収穫のやり方を指定できる契約。葡萄の品質を自分の目で確認できる。 不良粒の摘出作業の徹底 2012年はどんなにきっちり農作業をやっても、傷んだ葡萄がやはり存在した。不良粒の摘出選別をやる必要があった。収穫された葡萄を発酵槽まで運ぶ前に徹底的に摘出選別した。アロンゾもSO2酸化防止剤を使用しないので、健全な葡萄のみを発酵槽に入れる必要があった。 葡萄葉の偉大なる力 葡萄の葉っぱ偉大だ。雨風や雹に打たれながらも宇宙の光を享けて、光合成をやりながら葡萄房や果肉、糖などを造りあげてしまう。光をプロテインに変えてしまう。収穫直前の今もセッセと糖を高めて今年最後の務めを果たしている。 マルセル・ラピエールの直弟子 アロンゾはマルセル・ラピエールの直弟子でもある。サヴォワ地方での醸造所を閉めてボジョレに帰ってきたアロンゾに独立を勧めて会社設立まで絶大な援助をマルセルから得た。ワイン造りはマルセル仕込みの自然派だ。その上にアロンゾ独特のアイデアを足して独自のスタイルを編み出した。 アロンゾの醸造は超自然派。収穫された葡萄を除梗せずに発酵槽に入れる。勿論、葡萄園で育った自生酵母のみでの発酵。 SO2酸化防止剤も使用しない。コンクリート槽を使用。アロンゾのワインは果実味主体のスーと入ってしまうタイプ。 葡萄を発酵槽に入れる時も葡萄房を傷めてしまうポンプは使用しない。発酵槽の上までベルトコンベアーで上げて重力で落とし込む。 今年のヌーヴォーは軽めで果実味が心地良いグイグイいける本来の典型的なボジョレ・ヌーヴォーのスタイルとなるでしょう。ガメラーの皆さん各種のアロンゾ・ヌーヴォーをお見逃しなく。

1
Nov

ガメイの究極への挑戦者 ジャン・クロード・ラパリュ

詳細な部分へも常に気を配りガメ品種の究極を追及するジャンクロード・ラパリュにとって2012年は心理的にも、収穫量にとっても厳しい年だった。量は50%を切っていた。冬の剪定時より極小の収穫を狙って短く剪定する為に、収穫減はより大きかったが品質は保たれた。 ラパリュ、収穫された葡萄を食べてみると、フェノリック熟度(タンニン・色素)はきれいに濃縮されている。十分な品質であることを確認するジャンクロード。ミルランデール化した小粒の葡萄房が多いから、かなり濃縮度のある果汁が絞れそうだ。 ラパリュでは12年は収穫量も少ないことから、収穫も少人精鋭の収穫を素早く行った。ラパリュはいつもどこよりも早く葡萄が熟すので、自然派醸造家の中では開始が最も早い。9月15日に開始して20日には既に終わっていた。 ラパリュでは通常の収穫が終わった後、約数週間後にキューヴェ・ランド・メルル用の葡萄を収穫する。11月5日、醸造元仲間が集まって醸造所の横にある畑を収穫。ジャンクロードは多くの若手醸造家に慕われている。ラパリュ一家のような仲間達が手伝いにくる。 Cuvee Le Rang du Merleキューヴェ・ラン・ド・メルル、ガメ品種の究極を追及するジャンクロード・ラパリュは超完熟した葡萄を毎年収穫して、時にはバニュルスのような風味になる年もある。ガメ品種の可能性を色んな方向から試しているラパリュ。 ラパリュの篤い人望! 多くの若手醸造家が集まってくる 最も近い醸造元、ラパンのニコラ・テスタ兄弟も収穫の手伝いにやって来ていた。日本からオザミ東京の田中さんがボジョレ登場。ジュラ地方、ブルゴーニュ、ボジョレと訪問中。田中さんはオザミ発祥当時からの最古参の一人。2年一回フランスを訪問して醸造元巡りをやる。オザミ・スタッフのワインに対する愛情は深いものがある。 ラパリュ収穫のポーズ・休憩は興味深い。若手醸造家が造ったワインを持ち寄って試飲会のようだ。それを皆でコメントしたり、醸造の話になる。皆にとって良い情報交換になる。 ラパリュの暖かい人柄を慕って多くの若者がやって来る。これからワイン造りを始めたい若者、初めて3年目の人などラパリュのワインに感動して仲間入りする人達が多い。 木製垂直式プレス機で絞り中 醸造所ではラパリュが2週間前に収穫して、除梗しないMC発酵をしていた葡萄をジャンクロード自慢の木製垂直式プレス機で圧搾している最中だ。2年前に、念願の100年前の圧搾機を手に入れた。ワインの品格・フィネスが一段と上がった。 絞った後の葡萄 この木製垂直式プレス機は重力で上から無理なくゆっくり圧力がかかる。だから、やさしく上品なジュースが絞れる。絞った後の葡萄の皮が破れていない。つまり皮から汗のごとく流れ出たジュースだからフィネスが備わっている。 2012年搾りたてのヌーヴォーを利く。 搾りたてのワインのことを“パラディ”という。まだ糖度を含んでいるのでやや甘さもあってフルーティーで実に心地よい。この時期になると、近所の人達もこのパラディを飲みたくて人が集まってくる。田中さんも12年のヌーヴォーを日本人で最も早くテースティング。 果汁の濃縮感がたっぷりでいて、フルーティさ抜群。まだ半分は葡萄ジュースなので当たり前。この今の時期しか飲めないパラディ!難し年だったけど、やっとここまで漕ぎ着けた、という感じでホットしているジャンクロード。 オザミの田中さんは、地震いらい2年間は無我夢中でオザミの仕事に集中して頑張ってきた。やっと落ち着いてきたところ。オザミにとってワインは生命線だ。オザミの原点を見つめ直したくての来仏だ。挑戦し続けるラパリュに感動の田中さん。 この二人は共通点がある。どちらも頑張り屋、人当たりが柔らかい、プロフェッショナリズムをもって仕事に打ち込んでいる。そして、多くのファンを持っている二人。本気で頑張っている人同士しか分からない接点がある。 醸造期間中のボジョレの風物詩、いやボジョレ文化! 醸造家をめざす若者、中堅的存在になってきたンニコラ・テスタなどジャンクロード・ラパリュを中心に集まった自然派コニュティー。ラパリュのワインを飲みながらのワイン談義。ジャンクロードも楽しそうだ。 ボジョレといえばシャクトリー(生ハム類)!ボジョレでは生ハムの事を“最良の野菜だ”と言い切る文化がある。何種類もの生ハムを薄切りするジャンクロード。 これで何時間でも飲み続けるのが、ボジョレの文化だ。時には朝まで延々と続く。 夜になると、どこからともなく人がジャンクロードの醸造所に集まってくる。深夜でもゆっくりプレスは続くのを皆知っている。、今年の“パラディ”を皆飲みたいのだろう。ジャンクロードも一人でプレス作業するより仲間がいた方が楽しい。 これもプレス時期のボジョレの風物誌といえる。 ジャンクロード・ラパリュのカメ醸造への挑戦 ガメ品種の可能性を極限まで追求するチャレンジャーのラパリュは数年前よりアランフォ・カメの中での発酵を挑戦している。発酵中から陶器の土をとうして酸素と交流している。カメ醸造ワインは明らかに違った顔を見せてくれる。6カメほど醸造している。 ピノ・ノワールのカメ醸造 2012年はジャンクロードは新たな挑戦を始めた。何とピノ・ノワールを2カメで除梗なしのMC発酵を始めた。ラパリュの造るピノ、さてどんなバランスになるのか本当に楽しみだ。 カメ内での醸造は陶器をとうして蒸発するワイン量が半端ではない。それだけで、このカメ醸造を諦めた醸造家もいるほどだ。カメ醸造のワインは大変魅力的だ。柔らかく、ソフトで芯がしっかりしている。すべてを包み込んでしまう暖かさを備えている。 ジャンクロードもほろ酔いの佳い気分! 夜も更けてきたて、酔いも回ってきたけどプレスはまだ続く。時々、人が交代で舞台のような古式圧搾機の上に乗って手動式のハンドルを回す。あまり強くやってはいけない。ゆっくり、ゆっくりだ。 収穫が始めっていらい連日の徹夜で疲れているジャンクロードは、酔いと疲れが合わさって、ほろ酔い気分! 1時を過ぎても、仲間達は帰ろうとしない。ジャンクロードも調子が出てきた。次々とワインボトルのコルクが開けられた。こうなると朝までの危険な予感。しかし、なんと居心地がよいのだろう。ジャンクロード・ラパリュのワインの心地良さに似ている。 奥さんが心配して迎えに来た。この二人の2人3客でここまでやってきた。奥さんも実際に畑に出て農作業をやっている。この難しかった2012年を乗り越えて頑張ってほしい。 この2人の仕事のお陰でどれだけの人が癒されているか、計り知れない。 この二人にエールを送りたい。

30
Oct

モルゴンのクマGEORGES DESCOMBES ジョルジュ・デコンブ

モルゴンの熊ことジョルジュ・デコンブが12年の収穫を無事終了。春先の寒波、、3回に渡る雹、色んなことがあった12年でしたが、最終的には、この笑顔を見てください。細かく葡萄を観察して徹底した農作業を実行したお陰で素晴らしい葡萄を収穫できた。 デコンブの収穫はボージョレ中の誰よりも遅い9月20日より開始し。デコンブの村名の畑はすべて標高が高い丘の上にある。12年の天候の特徴の一つとして比較的に標高の高い処が好条件だった。低地の平らな区画が最も被害が多かった。ここレニエの葡萄は驚くほどの完璧な葡萄が多かった。 開花時期は3週間ぐらいかかって長期間かかった。その間に雨も降ったりで結実不良もありミルランデール化した葡萄が多く収穫された。小粒が多い葡萄房だ。皮の面積と比較して果汁が少ないので濃縮されたワインが出来上がる。欠点は量が少なくなること。しかし品質は高い。 初日のミーティング 9月20日早朝6:30に30名が集合。収穫を始める前のミーティング。今年の葡萄の特殊性を強調、選果の注意点を細かに説明する。絶対に熟していない葡萄を収穫してはいけない事を強調。収穫人の半分は毎年来ているベテラン、それでも今年は特別な選果眼が必要である。その他、3週間ほどの共同生活などの注意点や、ルールなどを説明。 さあ!朝日の出る前から収穫開始! 7時には葡萄園に到着。まだ日の出前だ。レニエ地区から収穫開始。5度と涼しい。収穫には最適な気温だ。 済んだ日しか見えないスイス国境のアルプスの山々、真ん中の一番高い山がモンブラン山だ。何とすがすがしい朝だろう!まさに収穫日よりだ。この地方ではモンブランが見えると数日後に天候が崩れると云われている。 望遠でモンブラン山を撮る。奥のアルプスの手前にある山・台地がジュラの山々だ。フランス中央山脈とスイスアルプスの真ん中で両方から押されて隆起したジュラ地方も見える。何て美しいのだろ!感激の瞬間。 レニエの畑の登る朝日は美しい。 しばらくすると、朝日が葡萄園に登った。絶景だ。モルゴンの熊・ヌヌーンの愛称で呼ばれているジョルジュ、二男のケビンと朝日を背に打ち合わせ中。冷やっとしてどこまでも済んだ空気を暖めるように浮かんできた朝日。 収穫初日の緊張感、シーンとした葡萄園にカチッ、カチィと葡萄を切る鋏の音が響く。 朝日が出ると一挙に温度が2度ほどは上がったんではないか、と思うほど暖かい感触が体に伝わってきた。収穫初日の緊張感の中、静かに収穫が進んで行った。 それにしても美しい。葡萄園に浮かぶ日の出。すべてを包み込んで育んでくれる偉大な太陽。宇宙、太陽、葡萄、人が一体になる瞬間。 収穫初日の教育・指示が超重要! 初日の収穫は大変重要だ。収穫人への教育・指示の徹底が一年間の仕事を左右してしまうほどの重要度を含んでいる。収穫人が傷んだ葡萄や熟していない葡萄を収穫してしまえば、台無しになってしまう。ジョルジュ・デコンブは指示の為に葡萄園を歩き回っていた。 熟した葡萄のみを選別収穫 収穫人一人一人に摘み取るか否か?の判断基準を教育・指示するデコンブ。特に今年は開花がゆっくり3週間もかかったので初期に開花したものと3週間後に開花したものの葡萄の熟度が極端にちがう。濃縮度が高いデコンブのワインはここの指示を徹底しているからだ。 2重、3重の選別・検品作業で天と地ほどの差がでる! 収穫された葡萄を再度徹底チェックする息子のケビン。初日の収穫時の大切な仕事は、この段階で収穫人への徹底教育・指示だ。特に自然派は発酵槽に酸化防止剤を混入しないので傷んだ葡萄があると雑菌が繁殖してお酢になってしまうからだ。手間暇が3倍かかるけど、この方法をとる以外に自然派ワインは完成しない。 常に現場を把握しておくデコンブ 自分自身も実際に収穫してみるデコンブ。自分が指示したとうりに収穫を実際にやってみる。収穫のスピードや リズムがどの程度で進んでいくかを自分の体で体感してみる。デコンブは徹底した現場主義だ。だから濃縮・繊細なワインができる。 ホットするポーズ・休憩 早朝7時から始まった収穫、10時にポーズ休憩がはいる。3時間も中腰で収穫すると腰がたまらなく硬直してくる。特に初日はまだ体が慣れていないからだ。3日が過ぎると体が慣れてくる。体が慣れるまでの3日間は、もう逃げ出したくなるほキツイ。 朝からワインもでる。コーヒー、チーズ、パン、ソーセージなどが用意されている。朝からワインをグイグイ飲む人もいる。まだ、初日で収穫人同士がお互いを知らないので会話もまだ弾まない。 美しい景色の葡萄園でのこのポーズ休憩時のコミュニケーションも楽しい。自然の中でのカスクルット(軽食)が格別美味しい。腰が疲れてくると、このポーズを待ちこがれる。15分ぐらいの休みだけど、本当に癒される。また頑張ろう、という気持になる。 レニエ地区の最も早熟な60歳の区画は約3時間半で終わった。次の区画への移動だ。移動はトラックの荷台に椅子を積んで、まるで軍隊に移動のよだうだ。収穫時の農道はこんなトラックで結構込み合っている。この時期に風物詩といえる。 12年、デコンブを象徴するような葡萄。ミルランデール化した小粒の葡萄。当然、量は例年の50%ほどになってしまう。でも品質は適度の濃縮感もあって、果実味が素晴らしいグイグイワインになるだろう。しかし収穫量が半分という経営的には厳しい年になるだろう。 デコンブでも醸造所内に収穫人が寝泊まりできる施設を備えている。2週間の合宿生活が始まる。30人分の食事を造る奥さんのジスレンの仕事が超重要。 宿舎での雰囲気を明るく楽しく保つように心掛けるのもジスレンの仕事。 ジョルジュとジスレンの連携仕事が光る2週間。

29
Oct

ボジョレ・モルゴン村の新星 Damien COQUELET ダミアン・コクレ

自然派新世代が!時代は動く! ボジョレ・MORGONモルゴン村の新星・ダミアン・コクレ、甘いマスクで恐ろしく透明感のあるスカットしたガメ・ワインを醸す。ガメ大好き人間ガメラー待望の新人登場。自然派ワインのメッカ・モルゴンは新世代がうごめいている。時代は動く。 ダミアン・コクレは、モルゴンの最良の丘 »コート・ド・ピ »に3,5ヘクタールを栽培している。しかも畑がマルセル・ラピエール家とジャン・フォワラールの隣に位置している最適なミクロクリマを備えている。 ダミアン・コクレ、2012年の収穫が9月20日より5日間行われた。ダミアンにとっても12年は厳しい年だった。春の寒波、開花時の悪天候、その後の湿気、雹とボジョレ中が天から与えられた条件をダミアンも経験した。でもダミアンは闘った。 ライダー仲間が応援に! ダミアンの収穫には幼馴染の友人達が応援に駆けつけてくれる。男気があって親分肌のダミアンには多くの仲間がいる。ダミアンの趣味はオートバイだ。ライダー仲間の結束は強い。しかも、多彩な能力を持った友人が多い。ラベルのデザインも友人だ。営業も手伝ってくれる。 出来うる限りの仕事を実行、素晴らしい品質の葡萄を収穫! ダミアン・コクレは今年の2012年は実質上3年目になる。3年目にして試練を味わった。難しい年ながら出来うるすべてを尽くして闘った。お陰で健全な葡萄が収穫できた。品質はかなり高いワインになるだろう。しかし、収穫量は例年の50%と少ない。 ダミアンを応援したい!頑張れ! ダミアン・コクレのように始めたばかりの若者には2012年の収穫減は経営的には実に厳しい年となる。新人にはワイン・ストックもないし、金銭的蓄積もない。何とかダミアンのような自然派の次世代を担う若が育ってほしい。応援しなければならない。 収穫量は半分ながら品質を上げるべく、選果作業、不健全な粒を丹念に切り落としているダミアン・コクレ。手間暇は3倍かかるけどこの方法しか美味しい自然派を造る事ができない。 小粒の房でミルランデール化した典型的な2012年の葡萄房。素晴らしい濃縮感と 酸を含んだ果肉と果汁を持っている。ダミアン独特の透明感とスーっと入ってしまう心地良いワインが生まれそうだ。 自生酵母もダミアンを応援 ダミアン・コクレの自然栽培の畑。昆虫、微生物、野生酵母が生き生きしていそうな畑だ。この斜面、風向き、湿気、太陽光線の当たり具合など、この微気象に合った自生酵母が天文学的数値ほど生息している。その自生酵母がこの地独特の風味を造り上げてくれる。 自生酵母こそがテロワールをワインに投射してくれる! 自然栽培された畑の葡萄の皮に多くの健全な自生酵母が付いている。約30種類ほどの野生酵母だ。この微生物達がこの地独特のワインの風味を醸してくれる。低アルコールでしか働かない酵母達から発酵が始まって、バトンタッチ・リレーのようにして受け継がれてワインができる。特に初期に働く酵母が超重要。 本物の美味しさの為に、困難な道を この自生酵母がイキイキ生きているダミアンの畑を今収穫している。90%の普通の醸造家は、こ葡萄を発酵槽に入れる時、ここでドシャーとSO2酸化防止剤を大量に投入。元気な自生酵母は全滅する。何という抹殺行為。そのあと人工酵母を投入する。ダミアンは自生酵母のみで醸造。S02無添加はリスクを伴うけど、本物の美味しさを表現したい。ドーピングのような手段は使いたくない。 既にダミアンと自生酵母達は会話を開始している。ダミアンはこの酵母付き葡萄をどのように醸造所に運んで、どんな方法で発酵槽に入れるか、シュミレーションはできている。自然酵母を傷めないようにイキイキしたままで働いてもらう方法を考えている。 12年産はグイグイ典型ヌーヴォータイプ 日本のガメ好きの皆さん。ダミアン・コクレのワインを是非試してみてください。11月の第3木曜日のダミアン・ヌーヴォー12年もダミアンのようにイキイキしたワインに仕上がると思います。若手に頑張ってほしい!応援したい。

28
Sep

ボジョレーの収穫は今が真っ最中 Marcel LAPIERRE マルセル・ラピエール

2012年こそ自然派ワインの『違いが明確』になる年 100年に一度の収穫量が少ない年 2012年は100年に一度と云ってもよい難しい年になった。 89歳のお爺さんが云っていた。 『こんなに葡萄が少ない葡萄園を見るのは初めてだ!』 ビオ栽培、ノンビオ栽培関係なく厳しい栽培の年だった。 どこも収穫量が極端に少ない。例年の30%~50%の収穫量となった。 1-2月の寒波マイナス18度を記録した。 2-発芽後の春先にも-5度の寒波でやられた。(量が少ない最大の原因) 3-開花時の悪天候による結実不良、 4-その上に5月から8月までの雨曇りによる湿気からくる病気の大発生、 5-その間に、数度にわたる雷をともなった雹の被害。 6-8月後半の3日間の極度な猛暑による葡萄が焦げる被害。 12年は天がボジョレに与えたハードルは実に高いものだった。そんな受難な年だからこそ自然派醸造家達はエネルギーとパッションを集中して畑仕事に費やした労力は普段の年の10倍。 2012年こそ自然派ワインの『違いが明確』になる年はないだろう。彼らは決して諦めない。 MARCEL LAPIERREマルセル・ラピエール家のVENDANGE収穫 困難な年だからこそ、このエネルギー! ワインは、天、地、人のサンフォニーだ! 地は動かない46億年の地球の変遷を経て現在の畑の土壌がある。 モルゴンには元火山地帯だったころ生成された花崗岩が主体になっている。 花崗岩はワインにミネラルとエネルギーを与えてくれる。 天は毎年動く。今年は厳しい天候だった。葡萄栽培には、それぞれの葡萄成長の重要な時期がある。今年はすべての重要な時期に天は厳しい状況を与えてきた。 それでも、宇宙のエネルギーを受けて葡萄が今年も育った。でも少量の葡萄だった。 人は天が与える条件をすべて享けいれて栽培作業をするしかない。 時として不条理な、あまりにも厳しい状況もすべて、100%を享けいれる。 文句や愚痴を言っても何も解決しない。時として天は09年のように最高の条件を 与えてくれる。でも今年は、ボジョレ、特に北ボジョレの農民に何かを伝えようとしているかのように過酷な条件を与え続けた年だった。 人の笑顔にはエネルギーがある! 普通ならとても、笑っていられるような状況ではない。でもここラピエール家では 笑顔ですべてを吹き飛ばすエネルギーで溢れている。 ラピエール家の収穫には、毎年やって来る若者が60%ほどいる。 お互いが良く知っている。2~3週間は昼夜を共にする合宿生活を経験している。 まるで遠い家族のような存在の関係だ。 この中には、セミプロのような音楽家が何人かいる。体力的にはかなりハードな仕事を終えた夜は、夕食のあとの食堂が時にはフェスティバル会場に変身する。 収穫の畑でも常に笑顔が絶えない明るい雰囲気が漂っている。 冗談を言って笑わせる人、歌を唄って盛り上げてくれる人、芸人が多く実に明るい笑顔が溢れている。この笑顔にはエネルギーがある。このエネルギーがワインの中に入っていくは疑いのないことだ。実に大切なことだ。 12年は選別が超重要な年 ラピエール家の収穫は究極の厳しい選別収穫を実現 マチュは“選定粒摘み”を決意 12年は葡萄木に存在する葡萄の数が少ない上に、状態の悪いものも多く混じっている。美味しいワインを造るには健全な葡萄のみを発酵槽に入れることが条件。 当然、良い葡萄のみを選別すること。しかし、今年の場合は葡萄の数が僅かな事が問題である。マチュは“選定粒摘み”を決意した。 葡萄房の悪い部分の粒を切り落とす作業を収穫人に徹底させた。 普通の収穫の4倍のスピードが遅くなる作業を決意したのである。 採算より品質を重視! 品質の為に採算を顧みない決意だ。さすがマルセル・ラピエールの長男だ。 何と収穫人全員が一つ一つの葡萄を丁寧に傷んだ粒を切り落とす作業を実施。 気の遠くなる作業だ。その上、収穫人に白と黒の籠を準備して白に完ぺきな葡萄を入れて 黒にやや傷んだ葡萄でも悪い部分を切り落とした葡萄を入れることを指示。 マチュは醸造家として人智を尽くして対応 2012年、天からの厳しい条件を与えられたマチュは、 迷わず、自分の出来うる最高の手段を選んだ。 当然なことながら、2012年産のマルセル・ラピエール ワインは極小のビンテージとなる。世界中のファンから 取り合いになるだろう。 […]

24
Mai

大規模・自然派ワイン見本市VINI CIRCUS ヴィニ・サーカス

DIVE BOUTEILLE ディーヴ・ブテイユに匹敵する大規模さ! 主催者の代表アントニー・コワントル 夜は試飲会場が巨大レストランに大変身、500人の大宴会! 自然派の神髄は、よく働き、よく食べて、友と分かち合う事 3日間続くソワレは盛大だ。普段は黙々と自然と向き合って働くヴィニュロン(葡萄栽培・醸造家)。自然派は時には過酷であり容赦はしない。時にはマニフィックな条件を与えてくれる。自分でコントロールが利かない自然を相手に生活を賭けている。地球を汚さず、飲む人に喜びと健康をもたらす為に真剣に自然と向き合っている。 今夜は、自分達のワインを評価してくれているワイン屋、レストラン、消費者の人達との団欒の場だ。 醸造家同士の情報交換の絶交のチャンス さらに彼等にとって大切なのは、同じ方向に向かって日夜自然の中で働いている他の地方の醸造家達と親睦を深めたり、情報交換の場でもある。自然を相手に同じリスクを負いながら頑張る人達の悩みやトラブルには共通点が多い。違う自然状況の中で、お互いにやっていることを話し合うだけでも、時として大きな発見や改良点のヒントを見つけることができる。だからこんなソワレは彼等にとっては貴重な時間なのだ。自然派ワインの初期のころは、欠点が強いものが多かったが段々少なくなってきたのは、明らかにこのような情報交換が大いに役だっているからだ。先輩自然派ワインの造り手達が若手に色んなアドバイスをする場でもある。 左からソミュールの若大将セバスチャン・ボビネ 真ん中はパリの自然派ビストロ、ビストラルのオーナー、マチュ 右はアンジュの自然児、馬で耕し超自然な造りのブノワ・クロ ひょうきんなアイデアが次々と SYRIL・ARONNZO シリル・アロンゾ 会場に入ると、入り口に最も近いところにブースを構えていたのはこの人、アイデアが泉の如く湧いてくるシリル・アロンゾ。ボジョレ地区最大の街ヴィル・フランシュに本拠地を構えネゴス活動を続ける。当初はボジョレの醸造元に入り込んで自分のアイデアでワイン造をしていた。最近はボジョレだけにこだわらずローヌ地方まで活動範囲を広げた。 ラベル上の新アイデア。月に葡萄園がある景色、月から地球を眺めるラベル。大胆不敵にもラベルの裏に分析表を明記して貼ってある。 揮発酸、SO2総亜硫酸、アルコールの数値。 DU RIFIFI デュ・リフィフィ 爽やかなグイグイ飲めてしまう微発砲の白とロゼがある。仕事が終わった後、冷蔵庫から出してグイ、風呂、シャワーから出てグイ!とやるには絶好の軽さで心地よい。 スペインとの国境にある美しい葡萄園で元気溌剌な女性イザベルが頑張っている。地中海、灼熱の太陽、乾燥した風土、世界遺産級の古木、これがルシオンのイメージだ。 ルシオンには自然派の大物ジャン・フランソワ・ニックがいる。彼に教えをうけてイザベル流を確立。 MURMUREミュールミュール 赤 樹齢85年のカリニャンが90%、樹齢85年のグルナッシュ10%。2011年は60%を除梗して、40%をグラップ・アンティエール除梗なしで仕込んだ。まさに果実の爆発!!といったイメージ。イザベルの元気がそのままのワイン。旨い! LA PETITE BEIGNEUSEラプティット・ベニューズ アルザス人のフィリップ・ヴィエスは5年前に、ルシオンのモーリ村にやって来た。シスト土壌と世界遺産級の古木がある原生的な空間と野性味に魅せられてしまった。 JUSTE CIEL ジュスト・シエル 白 アルザス人がシスト土壌で樹齢82年のグルナッシュ・グリで醸す辛口白ワイン。酸を残しながら収穫。シスト土壌のミネラルがキチッリのって爽やかさを倍増。潮っぽさも旨い。 LES LOUSTIC レ・ルスティック MAURYモーリー村の“スティル・ワイン”に原産呼称が認められた。樹齢82年のグルナッシュ・ノワール95%, 樹齢40年のシラー5%、除梗なし・グラップ・アンティエールのセミ・マセラッション・カルボの果実味の心地さ、昆布ダシのような旨味、シストのフレッシュさ抜群。 CLOS LEONINEクロ・レオニン 元プロ・カメランでもあり、ミュージシャンだった。曾爺さんが持っていたルシオンの畑に惹かれて葡萄家になった。醸造の師匠は、あのジャン・フランソワ・ニックだ。芸術家としてのセンスの良さに、南のトップ自然派の教えを享けてオリジナルな境地を開く大男ステファン・モラン。 MALOPHETマロフェ 赤 何と樹齢107年のカリニャン品種が60%で構成でフレッシュさを保ち、樹齢25年のグルナッシュ品種で果実味でミネラルを包み込んでいる。マロ発酵をやっても爽やかな南仏赤ワイン。 CARBONE 14カルボン 14  赤 ピレネー山脈が隆起した時代の花崗岩にやや粘土質が混じった土壌。樹齢60年のグルナッシュ・ノワール60%、グルナッシュ・グリ20%、グルナッシュ・ブラン20%、マセラッション・セミ・カルボで醸したフレッシュで果実味とミネラルが調和。 MAUPERTUISモーペルチュイ フランス中央オヴェルニュ地方にあって自然派の元祖ジュル・ショーヴェの流れを継承するマルセル・ラピエール、ジャック・ネオポール、オヴェルノワなどの影響を直接うけた人物、ジャン・モーペルチュイが醸す超自然派の逸品。 LES PIERRE NOIRESレ・ピエール・ノワール ヴォルヴィック火山地帯の玄武岩土壌。やや黒く焼けた岩盤がある。標高400mという高さからくる爽やかな果実味が心地良くエレガントなワイン。樹齢77年の古木が生きている。 PINK BULLESピンク・ビュル […]

7
Mai

Beaujoloise – ボージョーロワーズ2012

CHRISTOPHE PACALETクリストフ・パカレ マルセル・ラピーエルの甥にあたるクリストフはマルセルのPASSIONは自分が継承する。と言い切る。今日はお父さんも手伝いに来てくれた。クリストフのお父さんとフィリップ・パカレのお父さんは兄弟。 BEAUJOLAIS BLANC 11 クリストフのワインは彼の優しい性格と同じで実にやさしいタッチに仕上り。酸のコクもアルコールもすべてが穏やかでスーと入ってしまう。 FLEURIE 11 イチゴのような果実味、旨味、酸とすべてが出過ぎることなく、実に心地よいバランスに仕上がっている。グイグイ入ってしまう。ガメ品種の良いところをすべて備えている。 ガメラーには堪らないワインだ。 CYRIL ALONZO シリル・アロンゾ シリル・アロンゾもお父さんのジェラールが応援に駆け付けた。ジェラールは元レストラン・ターブル・ド・シャントレの元オーナー、今はアヴィニョンでレストラン・アロンゾをやっている名シェフである。勿論ワインは自然派オンリー。シリルは溢れるアイデアの持ち主。ラベルのセンスが抜群だ。 TERRE JAUNE テール・ジョンヌ10 南ローヌ、70歳のグルナッシュを仕込んだ。シリルらしくそんなに濃いワインには仕上げない。コンクリート槽で除梗なしのセミ・マセラッション・カルボ醸造。あまり濃くしたくないシリルはピジャージはやらない。黄色の粘土質なのでしっかりした骨組みをもったワインに仕上がっている。 COTE DE PYコート・ド・ピ11 モルゴン村の銘醸ワインを生み出す丘の斜面。ジャン・フォワラールの横の畑。マグネシウムを含んだ岩盤土壌、40歳のガメ。シリルらしいミネラル感が中心の真っ直ぐな辛口タイプのガメ。サクランボの果実味、ややスパイシーなコショウぽい風味に潮っぽさを感じる。 QUARTZ ET SABLE クオーツ・エ・サーブル11 ランティニー村にある70~100歳を超える古木が存在する特別な畑のガメ品種。まさにシリルの真骨頂を表現したワインのスタイル。“ワインの価値は色の濃さではない” 軽めの色に、爽やかな果実味、石英石、水はけの良い土壌からくる軽やかさ、透明感があるザ・シリルのスタイルのグイグイはいる心地よいワイン。 CHAMONARD シャモナール マルセル・ラピエールの幼馴染“シャ”猫というあだ名で皆に親しまれている。マルセル在命中は夕方になるといつもマルセルのカーブにやって生きて一杯ひっかけていた。 マルセルに最も近いところに居た人物のひとり。 マルセルがシャト・カンボンを購入した時、シャモナールも出資した。 だから、共同出資者でもある。 シャモナールはいつも古いミレジムを持っている。 今日は2003年を持っていた。猛暑の年だ。 2003年のわりには酸がシッカリのっていた。タンニンは溶けて、ピノッテしている。まるでピノノワ-ルだ。 GEORGES DESCOMBES ジョルジュ・デコンブ 今日は二男のケビンと末っ子のマノンちゃんがブースに立っていた。つい最近まで小学生だったマノンちゃんが突然、思春期をむかえて化粧をするようになった。女の子が女性に突然変わった。 1)CUVEE Gigi キューヴェ・ジジ 11 イヤー!美味しい!まるで葡萄ジュースだ。搾りたての葡萄ジュースをそのまま飲んでいるという感じ。 たた5日のマセラッションで軽くてフレッシュで生果実の風味。ジジとは奥さんの名前からとった。ジスレンのジを繰り返してあだ名になっていて、明るく気さくな性格の奥さん“ジジ”はモルゴン村の人気ものだ。 ジジの性格そのもの、明るいワインだ。 2)MORGON モルゴン11 濃度はひかえめだ。スパイシーでミネラル感を含んだ果実味。フラッシュな酸はザ・デコンブだ。果実とのバランスが良い。 3)BROUILLYブルイ11 デコンブのブルイはブルイ山を見下ろす隣の山斜面にある。花崗岩の岩盤土壌に育つガメ.樹齢も最も若い木が30年。ミネラル中心の真っ直ぐな果実味がスカットする。 4)BROUILLY VIELLE VIGNE […]

18
Avr

BEAUJOLOISE自然派ワイン見本市ボージョロワーズ2012年

  今年もやってきましたボジョロワーズの季節 ボジョレの祭典 ボジョロワーズの祭典が始まったのは、5年程前にこの3人が発起人となって始めた。まだマルセル・ラピエールが生きていた当時だった。マルセルの長男、マチュは、このボジョレで皆が楽しく過ごせる一日のお祭りをやりたかった.造る人も、ワインを売る人も、愛好家も皆集まって、翌年のワインが出来上がるこの時期に、冬を越してほぼ熟成も完了したワインを発表しながら、楽しむ会をやりたかった。そして、この2人、クリストフ・パカレ、シリル・アロンゾが賛同してこのボジョロワーズが始まった。この3人の発想は違っていた。自然派醸造家だけで小さく固まるのは止めたかった。当時、自然派醸造家と一般醸造家の対立があった。この若者達にとっては、そんな対立に全く興味が無かった。皆仲良くやれば良いのにといつも思っていた。出店者への呼びかけは、一般の醸造家へも呼びかけた。最初は2組の一般醸造家の参加しかなかった。 “BBB”今年のロゴはトロワB 今年は違う。30社ほどの一般醸造家が参加している。今年はそのグループ名もできた。BEAUJOL’ART ボジョラアートと命名。ビオでも自然派でもなくワインを真剣に造っている人達もいる。そんな人達も立ち上がった。そして、もう一つのグループが結成された。正式なビオ栽培者達だけのグループも結成された。それがBiojolaise ビオジョレーズと命名された。だから今年は各グループ名の頭文字をとってBBBの3Bの会となった。発起人達の自然派醸造家Beaujoloise ボジョロワーズはそのまま継続。それぞれがお互いの存在理由を認めつつ集う新時代の幕開け。この3人の平和思想が形になった。ブラボー! 元祖自然派のラピエール家のブースは超人気でなかなか近づけない マルセルなきラピエール・ワイン大人気 長男マチュの決断が光った2011年産 ラピエールのブースにはいつも人だかりで近づけない超人気。2011年、長男マチュの決断が光った年となった。11年の評価はすこぶる高い。11年の収穫時、マチュは葡萄園を周って葡萄の熟度が同じ区画の畑でもあまりにもバラバラで差があり過ぎた。マチュは決断した。収獲人を集めて指示した。『よく観察してよく熟した葡萄だけを収穫すること、熟していない葡萄は10日後にもう一度収穫に来る。』手間暇が2倍いや3倍かかる作業を決断した。つまり同じ畑の区画を2度に分けて収穫をする事を実行した。しかも、収穫人に収穫籠を2つ持たせて完璧な葡萄のみを入れる籠、やや痛んだ部分もある葡萄の籠と分けて収穫。完璧な葡萄のみをMORGONモルゴンに仕込んだ。他の葡萄はVDPの“レザン・デ・ゴロワーズ”として仕込んだ。エレガント、繊細でフィネスを備えた2011年のラピエール・モルゴン。今年のラピエールは今までに無かった繊細さ、透明感がある。マチュの狙った新しいラピエール・モルゴンの誕生だ。シャトー・カンボンの方も今年は爽やかさのあるサクランボ風味がピノッテいる。果実味が心地よくグイグイ入る。レザン・デ・ゴロワーズはグイグイ入ってしまう危険なワインだ。

9
Jan

2012年厳しい社会情勢の中、自然派ワインはどうなる?

予想される激動の2012年が始まった朝、地中海に浮かぶ初日の出(撮影:伊藤) 自然派ワインを愛する皆さん、新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。 私は毎年、この初日の出を拝むために年末年始は地中海の街ラ・グランドモットに滞在する。2012年1月1日、ここ地中海は快晴に近い晴天だった。 気温は何と百数年ぶりの暖かい小春日和だった。テレビでは19度と公表、でも街のレストランのテラスでは25度にもなっていた。本当に気持ちの良い日だった。でも、地球は大丈夫かな?とやや心配になってしまう。 あらゆる分野で世界の激動が予想される2012年の門出には穏やかすぎる小春日和の元日だった。 しかし、ここヨーロッパは正月そうそうまさに激動の金融危機が動きだしている。この12年に入って1ヨーロが100円を切る安値を記録して、その後も更新が続いている。 ギリシャを筆頭にイタリアでも崩壊的な厳しい経済状況下にある。それを救おうとしているフランス、ドイツ大国も決して楽な状況ではない。金融市場のみならず資本主義社会システム自体が行き詰ってきているのを多くの人が感じている。 もう一つ、自分だけ、自社だけ、自国だけの儲けを第一に追及した人間社会の超エゴが造りだした地球環境の悪化。 2012年の元日に象徴されるような温暖化など地球環境の悪化による人間も含む生態系存続の危機を多くの人達が認識するようになった。 厳しい社会情勢の中、なぜか爆発的に人気が伸びている自然派ワイン そんな厳しい社会情勢の中、ヨーロッパにおける自然派ワイン市場をみるに、販売、伝搬が急激に伸びている現実がある。 まるで、この厳しい社会情勢が追い風になっているのではと思わざるをえない状況がある。フランスのワイン屋での自然派ワインの売上が急激に伸びている。 自然派ワイン専門ビストロは連日超満員の活況。自然派ワインは決して安くはない。グランクリュと比べれば安いけど、一般的には知名度の割には高い方である。 だから、安いから売れているのではなく、消費者が明らかに意志を持って選んでいるのである。昔あったスタイルのボルドーワインを中心にしたワインバー、ワインビストロは跡形もない。ミッシェランの三星レストランも自然派ワインを普通のワインの如くリストアップしているところが多くなった。2010年、2011年と二年連続レストラン世界1位に選ばれたNOMAのワインリストの中心は自然派ワインである。 だから、もう自然派ワインは品質的にも味覚上から見ても立派にワイン業界の中心に成りつつあるように思う。これは偶然ではない。 明らかに社会情勢や地球環境の変化が、人々の社会生活の価値観を変えているのに違いない。貧困層が増えている反面、ワインを飲める層の人達のライフスタイルが激変してるのを感じる。 カルチャー・クリエーティヴ層の人達(文化的創造性を持つ人々)が急増中。 社会的権威への不信感、危機感が人々の価値観、ライフスタイルを変えている 今までの社会的権威への不信感、そこから発生してくる危機感が人々のライフスタイルを明らかに変えている。今までの社会システムの最もお堅いはずだった銀行が、不健全な世界金融システムの中の泥沼に入りこんでいる。世界中の真面目に仕事をしている人々の生活をひっくり返してしまうような状況を造り上げてしまった。極度のエゴの塊のような人間達(今の自分だけ、今の自分の会社だけ、今の自分の国だけ儲かればいい)の組織が造り上げてしまった地球環境の悪化。世界的科学者、国も勧めていた原発も不安定きわまりない存在であった事実。 この不幸な事実が世界の人達に与えた影響は計り知れなく大きいことなのである。 ドイツでは原発全面廃止を決定した。あらゆる分野で普通の人が普通に生活することを不可能にしてしまう程の現実を見せつけられてしまった。 カルチャー・クリエーティヴと云われる層が急増中 今までの権威であった人達、国、社会システム、経済システムへの信用性の失墜、不信感がライフスタイルの変化を余儀なくした、と云った方が妥当かもしれない。 今までは革新的な人達が警告を発していたが、今度は普通の人達が実際に自分の生活スタイルの中に健全なものを取り入れて生活を開始したということだと思う。 この層の人達が今、急増してる。世界の有識者の組織、世界賢人クラブではこの層をカルチャー・クリエーティヴと呼んでいる。どんな人達かというと、今までの権威が発表したこと、認めたことを盲信しない人達。 自分で調べて納得いくまで本当のところを追及する。そして、極力、それが自分の為、他の人のため、国の為、世界の為、地球の為に良いかの判断基準を持っている良識人の層だとのことである。 彼らの特徴は、今までのような革新的な人達と違って、他人を自分と同じ考え方に転向させようとするようなことはめったにしない。 むしろ自分自身の個人的成長を心がけることを好む、と云うようなライフスタイルの人達のようです。だから目立たない存在ではあるが、ものごとの本質を見たり、洞察する人達が確実に増えているようです。 世界賢人クラブの調査では先進国では28%ほど割合に達するようです。私はもの凄い多い数値だと思う。 例えば消費に関しても、今までのように、外的な権威が認めていたものを盲信することなく、自分達の尺度がありものの本物度とか、消費する際の、自分や他の人や、他の生態や地球などへの影響なども考慮しながら生活するライフスタイルを自己実現的に実践している人達のようです。 ワインを消費できる層であるカルチャー・クリエーティヴの人達がワイン消費時の基準が変化しつつある。 このカルチャー・クリエーティヴの層がワインを買う時の事を想像してみよう。彼らは、単なる業界権威の決めた事など盲信するはずもない。 金メダル、グランクリュ格付け、業界雑誌すらも盲信することはないだろう。何故なら、今までの最高権威の人達の一部が現在の厳しい社会・地球環境を創りあげてしまったのだから。 今までのやり方を続ければ自分も含めて世界、地球をも継続できないことを彼らは感じているからだ。例えワインを買う際でも、自分自身の自己実現ライフスタイルとして、自分だけのメリットでなく、他への影響、地球や生態系の継続に繋がるもの求めていくだろう。ワインの本質を見ようとする人達が増えていくのは素晴らしいことだ、と思う。ヨーロッパにおける自然派ワインの急人気は当然に成るべくして成ったなと思う。この流れは止められないし、自然派ワインがワインの世界の中心になっていく区切りがこの2012年かなと位置づけられると思う。 自然派ワイン人気の急上昇の流れは、日本でも既に始まっている。 当然、日本でもこの流れは既に始まっている。昨年11月に東京のワインビストロ祥瑞経営者の勝山晋介さんが主宰した自然派ワインイベント“FESTIVIN”に何と1500人程の多く自然派ファンが集まった。今、ワインイベントでこんなに人を集められるのは自然派ワイン以外にないでしょう。私は素晴らしいことだと思う。世も捨てたものでもないな、と心から思う。 自然派ワインは人に天と地のエネルギーとゆとりをもたらし、地球にも優しく微生物にもやさしい本物だ 自然ワインの多くは本物だ。 人、地球の土壌、宇宙からの光、葡萄木などが一致協力して一本のワインが出来上がる。金儲けだけを考えてしまうと農作業経費を減らす為、除草剤や殺虫剤を撒いてしまう。地球が汚れて微生物も死んでしまう。 勿論、自然派は撒かない。化学肥料も撒かない。だから葡萄の数が少ないだけに旨味の濃縮した葡萄が収穫できる。根っ子は養分を求めて地中深く伸びてミネラル分を運んでくれる。 だから潮っぽい旨味やワインの背骨となるミネラル感をワインに与えてくれる。根っ子が地中深く入り込んでいくと葡萄木が健康でパワフルになって葉っぱに活力があり、宇宙の光(主に太陽)をしっかり受けてとめて光合成をやりながらプロテイン、宇宙のメッセージやエネルギーが一杯詰まった果肉や果皮を創ってくれる。美味しい果実味やタンニンをワインの中で表現してくれる。 自然派を造る人は、やはり農業だから素朴な人、質素な人、誠実な人、元気な人、繊細な人、明るい人、健全な人が多い。 今の自分だけの利益のみを追求する人は殆どいない。2012年は自然派ワインが自然な流れで、世界の多くの人達に幸をもたらす大飛躍の節目年となるだろう。 伊藤與志男 CLUB PASSION DU VIN PARIS PARISにて

30
Déc

2012年を待つ年末のシャンゼリーゼ通り

2012年を待つ年末のシャンゼリーゼ通り 波乱万丈の2011年が過ぎようとしてる。ナポレオンが造った凱旋門からコンコルド広場までの2km弱のシャンゼリーゼ通りが何故か私は大好きだ。 世界中の歴史に残る偉大なる人物が通ったこの道。さまざまな歴史を見てきた凱旋門だ。世の中が変わってもじっと動かず同じ面構えをしている凱旋門。ところが、シャンゼリーゼ通りは世相を反映して色々姿を変えている。今年は欧州経済不況・地球資源節約の世相を反映して照明が質素になった。フランス国旗の青、白、赤のリング照明を3本だけ並木に巻きつけただけのシンプルさ。 2012年は良い年であるように祈りたい。 昨年のシャンゼリーゼ風景

26
Déc

フィリップ・パカレ夫妻と恒例の年末ディナー

毎年、その年の経緯や今後のことを話すホット・ディナー。 2011年は本当に色んなことがあった年だった。 残念ながらル・コントワールでは今夜は席がとれなかった。隣のL’AVANT COMTOIREラヴァン・コントワールの立飲みビストロで待ち合わせてアペリティフ替わりに一杯ひっかけた。2店目はもう一杯アペロをやろうということになり、近所のワイン屋 兼エピセリー店LA CREMERIEラ・クレムリにてもう一杯アペロをやった。 このラ・クレムリ店も自然派ワインの品揃えはかなり充実している。勿論、フィリップ・パカレのワインも入っている。ジェラール・ウストリックのマゼルやドミニック・ドゥランなど自然派の大御所的存在からエロディーバルムのような比較的新しい自然派までバランスよく揃っている。今夜は色んな興味深い話がフィリップから聞けた。 フィリップのワイン造りにかける哲学があらわれた話だった。 フィリップ ワイン哲学を語る 『最近、何で自分はワイン造りをしてるんだろ、て思うことがあるんだ。答えが判ったよ。』 『自分自身を成長させてくれるからだよ。自分をより磨きをかける為なんだ。』 『ワイン造りは、人に愛、感情などを与えることだ。』 『発酵はムーブメントだ。動きはエネルギーを生成する。そして保存もきく。エネルギーを多くの人にも、もたらすことができるんだ。』 『ワインはエネルギーだ。ワインは造る人をも、反映している。人、土壌、その場のエネルギーを反映されているものが本物ワインだ』 竹チャンのお任せ料理 最初に、今日は美味しいウニが入ったというので、生うにを頂いた。モニカさんもフィリップもあまりにもの旨味に大喜びだ。 そして、生カキとカキフライをロワールのメゾン・ブリュレ醸造のミッシェル・オージェさんが醸す白ソアヴィニョンを合わせた。ロワールらしいキリっと締まったミネラルを伴った酸が魚介類にピッタリだった。 そして、お寿司にはパカレのシャブリ・1級ボーロワを合わせた。最高のマリアージだった。 強烈なミネラル感とイオデを思わせる潮っぽさが海の幸の風味に同化していく旨味が共通だった。 マーク・ペノのボエム 枝豆と一緒にアペリティフで飲みました。 抜群に美味しかった。 パリでこんなことができるなんて本当に幸せ! フィリップには 来年も美味しく 人々に愛情とエネルギーを与えられるワインを 造ってほしい。 伊藤 PARIS

23
Déc

人気自然派ワインバー・ル・ガールド・ローブにて小さな忘年会

昨夜はパリで小さな忘年会をやりました。パリのナンバー1のワイン専門店カーヴ・オージェで働いているガンちゃんこと岩田さん、シュン(三浦)と私の3人でASAMIちゃんが働いているワインバーLE GARDE ROBEガールド・ローブに行った。 超人気店のガールド・ローブは満員だった。立席が丁度空いたので陣取った。 『アサミ!お勧めの白ワインを頼みます!』アサミが黙って開けた一本がLOVE AND PIFラヴ・アンド・ピフだった。 プリューレ・ロックで働いている若手ヤン君が自分ワインを造った。その初リリースのブルゴーニュ白だった。ミネラリーでキリッと締まった酸がしびれるほど美味しかった。 ブルゴーニュの久々の新人・自然派ワイン醸造家 ヤン・ドリュ ブルゴーニュの偉大なテロワール開拓人 ヤン君はHAUT COTE DE NUITSの 村にお婆さんの持っていた畑と醸造所を 引き継いで、ここ数年、畑を自然栽培に改良してきた。ヤン君はオー・コート・ニュイ地区にも偉大なるブルゴーニュの土壌が未開発で眠っていると信じている。 今、ガンちゃんは超忙しい。パリナンバー1のワイン屋カーヴ・オジェはクリスマスのディナー用に飲むワインを買いに来るお客さんで溢れている。 大量に買ってくれるお客さんには配達もしなければならない。師走のパリ中を走り周っているようだった。ほんのり赤くなったガンちゃん、お疲れさん! ヨーロッパ経済が絶不調の中、自然派ワインは絶好調!急進撃を続けている。

27
Oct

葡萄の三ツ星料理人ジャン・フォー来日決定!

ご存知コロット氏は、樽メーカー、ソーリーの創設者。その当時、世界中を駆け巡り飛行場を往復する生活だったという。そんな生活にうんざりしてきた彼が、人間が関われる仕事として選んだのが、ワイン造りだった。それは、自然な流れだったのかもしれない。 「もうビジネスではない、好きな事を、人間的な事をやりたい」、ワインは飲むことしか知らなかったコロット氏だが、コート・ド・カスティヨンからドルドーニュ川を渡った対岸の丘陵地帯に中世1300年からのぶどう栽培の歴史がある、サンテリオンの石灰岩の岩盤土壌のぶどう畑を探しだし、ワイン造りを始めた。 あくまでも儲ける為ではなく、自分の思うままに最大限の努力をして最高のぶどうを育て、美味しいワインを造る!という強い意志を持つコロット氏のワイン造りの規模は、まるで家庭の台所がちょっと大きくなったようなものだ。「最高の素材を使って、美味しい料理を造るようなものだ」とコロット氏は言う。 美味しさの秘密 その1 区画ごとに最高の状態で収穫、醸造できるように、コンパクトながら最新設備を導入。 大きな鍋で造る料理ではなく、1人分ずつ丁寧に造る三ツ星料理のようなものだ。 美味しさの秘密 その2 めったに見られない、小さな垂直式プレス機。収穫したぶどうを痛めないよう、大事にゆっくりとぶどうをプレスする。 美味しさの秘密 その3 ワインをタンクから樽に動かす時に使う特注ポンプ。人口心臓など医療用のポンプの仕組みで、ワインを無理に傷めず、優しくゆっくり移し替えることができる。 美味しさの秘密 その4 樽を熟知したコロット氏ならでは、樽熟成。もちろん、ソーリーの樽を使用。新樽率も多いが、樽のニュアンスは、存在がありながら控えめ、ワインの中に綺麗に溶け込んでいる。 ジャン・フォー来日記念セミナー&試飲会開催 ■  開催日:2011年11月9日(水) ■   場所: ホテルモントレ銀座       東京都中央区銀座2丁目10番2号  TEL:03-3544-7111      ● 試飲会:2F「ル・ソール」 12:00~17:00 (受付11:45~)           フリーティスティング(無料)選び抜いた50アイテム      ●生産者セミナー:2F「ル・ソール」15:00~16:00 (受付14:45~) 定員50名 参加料1名1,000円 (セミナ―代金は当日お支払いください) セミナー講師:シャトー・ジャン・フォー  パスカル・コロット氏 参加申し込みは、CLUB PASSION DU VIN 竹下まで。 TEL:03-5565-5880  FAX:03-5565-5886   E-mail: cpvin@ceres.ocn.ne.jp

26
Oct

パカレ・ラピエール家の2011年ヌーヴォー・アッサンブラージュ

マルセルが生存中から続く ボジョレー・ヌーヴォーのアッサンブラージュ 兼 情報交換 フィリップ・パカレ、クリストフ・パカレ、マリー・ラピエール、マチュ・ラピエールその他多くの関係者が集まってヌーヴォーや今年のワインを持ち寄ってテースティング。2011年ヌーヴォーのアッサンブラージの比率を決定する大切な機会となる。 マルセルが居ない今、両家の男で年長さんはフィリップ・パカレとなった。 マルセルが生存中も一家が集まって一緒にアッサブラージをやりながら色んなことを話し合う日を設けたものだった。この時期に2回行われた。1回目はプレスが終わってアルコール発酵が終わった段階、2回目はすべての熟成も終わって瓶詰直前のアッサンブラージの時期だ。 2009年10月 パカレ、マルセル、マチュ 2011年ヌーヴォーを決定する最終段階のテースティング

25
Oct

黄金の丘:ロマネ・コンティ

一年の仕事が終わり静寂の冬眠に入る。その直前の眩しい輝き ロマネ・コンティの畑は今まさに黄金の丘だ。1週間前は26度ぐらいの暖かい日だったけど、今週から一挙に冷えて今朝は4度だった。一挙に葉が黄金色に輝きだした。これだけ気温が急激に下がると直ぐに葉が落ちてしまう。一瞬の楽しみだ。 ロマネ・コンティ 世界中のワイン好きが飲めないワイン。世界中のお金好きには愛されている。価格が異常に高いのは、畑に罪がない。取り巻く人間共どもの仕業。ヴォーヌ・ロマネのテロワールは特別だ。このミクロクリマ、土壌、ピノノワールが合わさるととてつもないワインになる。