31
Déc

ロワール地方、偉大なディディエ・ダグノー氏の跡継ぎは、息子のルイ・バンジャマンだ!

ロワール地方で醸造していたディディエ・ダグノー氏が事故で亡くなったという悲しいニュースから略2ヶ月。彼は自分の世界、自分の考え、ワインの造り方をマイペースで築き、その生き方は誰もが尊敬し、受け入れていました。 そんな凄い人に続きワインを造るのは難しいし、何よりもプレッシャーがハンパなく大きい。けれどもディディエの息子、ルイ・バンジャマンには期待できそうです!まだ26歳だけれども、ラングドックのオリヴィエ・ジュリアン、ロワール地方のフランソワ・シデーヌ、そしてアルザス地方のツィント・ウンブレヒトなど、偉大な醸造家の下で修行を重ねた後、ジュランソンやモンルイで研修も受けてきた彼。様々な経験と同時に、ルイ・バンジャマンはお父さんのワイン造りを手伝い、2004年から2007年のヴィンテージも一緒に醸造しました。2008年ヴィンテージはもうすでに5回目の醸造なのです! 彼は10代の頃から畑、そしてカーブでも働き、ディディエの後を引き継ぐ心構えをしてきました。ディディエが畑と醸造に関して行う実験に立ち合い、ビオディナミ栽培から亜硫酸を一切添加しない醸造方法など一通り全て試して来ました。その結果今では理想的なバランスを保ったワイン造りに至る事に成功しました! 栽培は土、テロワール、気候、そして自然環境を尊重し、化学物質や除草剤は一切使いません。耕作を行い、収穫は全て手摘み作業。もし雨が25ミリ以上降った場合はイラクサの煎じ薬で治療します。 『必要な時以外余計な物は撒かない事。そして何よりもテロワールを大事にし、自然を愛することが最も重要ではないのかな?』 と語るバンジャマン。 醸造所も全部新しく整えたのかと思うくらい綺麗で立派!収穫時期、素早く作業が進められるよう、大きな30hLのプレス機が2個もおいてあります。 『父も言っていたけれども、ブドウが潰れないよう、重力での作業は重要なんだ。そして2日間ステンレスタンクでブドウを寝かした後、木樽で10-12日間の間アルコール発酵をさせる。僕の醸造ではマロラクティック発酵は一切無し。そしてここでの特徴は、樽内の温度を調整する為、ステンレス棒を使用するんだ。最高22°Cまで温度を上げアルコール発酵を早める。しかし22°C以上暖めてしまうと、ブドウの香りが飛んでしまうので非常に気をつけていなければいけないんだ。』 アルコール発酵が早い分、ダグノーのワインは熟成期間が非常に長いのです。12ヶ月間シュール・リで熟成した後、また更に4〜8ヶ月間の間ステンレスタンクで熟成させます。 『樽は木の香りが付く為では無く、空気との接触を行いやすくする為なんだ。だから1年から3年の樽を使用して、なるべく新樽は使用したくない。』 未来はズル賢い人の手の中にある。 もし友を無くしたいのであれば、その人を助けなさい。 不可能な事を求め、現実主義者になりましょう。 など、壁には様々なメッセージが描かれています。けれども全て反対な意味を持つ、不思議なメッセージばかりです。。。 2008年の収穫は? 『雹が多く、ビュイソン・ルナール、シレックス、そしてバビロンの収穫量が70%も減ってしまった 。しかしその分濃厚で綺麗な酸味が出ているよ。2005年と2007年ヴィンテージに似ていて、アロマが豊富で味が真直ぐな年。綺麗なバランスが印象的な、爽やかなワインに仕上がると思うよ!』 と答えてくれたバンジャマン。 ロワール地方の気候は? 『今現在気候は変わりつつある。そしてその影響を受け、ロワール地方のワインのバランスも変わってきている。50年前は収穫は10月以降に行われ、綺麗な酸味も感じられ、含有糖分も9°ほどだったんだ。ところが今では収穫は9月中旬に行われ、含有糖分は13-14°まで上がっている。味がまっすぐで有名なロワールワインの特徴が無くなり、まろやかなワインへと変化していっている。 という事は、ブドウ品種を変えていかなければならないのでは・・・?』 今後の目標は? 『第一に、プチ・メリエという新しいブドウ品種を植える事かな。昔存在していた品種なんだが、今はソヴィニョンの方が知られているため、略使われていないんだ。この品種はワインに酸味と爽やかさを与え、甘口ワインには最も合っている品種だと思うんだ。後、プイィの区画を改良して、革新すること。そして最後に、ジュランソンで偉大な甘口ワインを造ること!これが僕の夢かな!』 『私はいつでも完璧さを求めているが、この世界で完璧な物など無い!20年間様々な研究をしてきたが、栽培、醸造、全てに関してまだ完璧っていうものを見つけられていない。しかし一つだけ確かなことが言える:ブドウ木の理想的なバランスは、本当に長年掛けて出来上がる事だ。』 しっかりと未来だけを見つめているルイ・バンジャマンは、いつかディディエ氏を抜く偉大な醸造家になるに間違いないでしょう。これからも応援しているので頑張って下さい!             キュベ・ブラン・フュメ・ドゥ・プイィ 07 *Cuvée Blanc Fumé de Pouilly 07 品種:ソビニョン 樹齢:ヴィエイユ・ヴィーニュ 土壌:シレックスが混ざった粘土・泥灰岩質 漂ってくるグレープフルーツや様々な柑橘類の香り、そこに白いお花のアロマがマッチして本当に素敵。フレッシュな酸味と滑らかな味、そして口に広がる美味しさは誰でも虜にしてしまいそうなくらい! ピュール・サン 07 *Pure Sang 07 品種:ソビニョン 樹齢:20年 土壌:小さなシレックスが混ざった粘土質 果実身が強く、真直ぐなワイン!繊細さと力強さのバランスがこれ以上完璧に保たれている飲み物はないだろうと思ってしまうほど。 ビュイソン・ルナール 07*Buisson Renard 07 品種:ソビニョン 樹齢:30年 土壌:シレックスが混ざった粘土質 後味が長〜く続く綺麗なワインです!とてもミネラルでまろやか。柑橘類の香りにコショウのニュアンス、そして上品な酸味がいい具合に絡み合った一品です!この区画はルイ・バンジャマンが一目惚れをしてしまったほどお気に入り! […]

29
Déc

酒本商店主催『地酒祭』開催〜札幌にて

11月6日、札幌にて酒本商店主催『第44回地酒祭』が開催された。150人もの愛好家の方々が参加され、何ともにぎやかな会でした!社長の酒本さんは、あの漫画「夏子の酒」の利き酒師のモデルにもなった程の利き酒能力を持った方。地酒に対する情熱には並々ならぬものがあります。1人でも多くの方に美味しいお酒の楽しみを知ってもらいたいという強い願いから、毎年2回このような会を開催するようになりました。そして、社長の奥様のぶ子さんがやはりワインをこよなく愛していることからいつしかワインも加わった「お酒の祭典」として、今回で44回も開催するようになったのです!その情熱には本当に敬服いたしました。 社長と奥様の情熱が伝わったのか、開場するなり来場者たちは熱気に包まれております。開会の挨拶が終わるや否や、試飲ブースに殺到!皆さん本当にお酒を愛しているのだなあと実感させられました。輸入ワインはCPVにお任せいただき約30種類ほど出品させていただきました。 人気は、ペティヤンの「グリオット/ムーサイヨン*Griottes / Moussaillon」 、白の「メゾンブリュレ/ヴォリュビリス*Maisons Brulées / Volubilis」 、赤では「チエリー・ギュイヨ/ロルム*Thierry Guillot /L’orme 」 や「マゼル/プラネット*Mazel / Planet」などなど。 皆様あれやこれや一通り試され、気に入ったワインには何度も試飲に訪れておりました。顔を見ればお気に入りは一目瞭然、皆様ご満足いただけたようです。 このような楽しい会を開催いただいた酒本ご夫妻に、改めて感謝した次第です。 右から工藤ソムリエ、酒本のぶ子さん、ワインバーオーナー松岡さん さて、『地酒祭』が終了した後は、スタッフ全員で打ち上げです! 会場は、いつも酒本商店さんのイベントに手弁当で応援に駆けつけている工藤ソムリエが店長を勤めているワインバー「ザ・ワインクラブ」です。ススキノ交差点のすぐ近くのビル9階にあり、眺め最高のロケーション、しかも100席もある大きなお店で、奥にはゆったりとしたバースペースもあり、いろいろな使い方が出来るいいお店です。工藤ソムリエは、酒本さんに知り合ったお陰で自然派ワインの大ファンになり、このお店のワインリストでも“自然派ワイン”をメインに取り扱っております!またカーブには”自然派ワイン”がズラリ! 美味しいワインと共に、ススキノの夜は更けていくのでした。 銘酒祭2008秋-左から酒本社長、筆者、工藤ソムリエ、酒本のぶ子さん 酒本商店に関する情報はこちらから! by Samba

25
Déc

疲れ知らずの芸術家ロビノ作品展示会 −自然派試飲会

〜ANGE VIN のロビノにとってワイン・絵・写真も同じアート〜 ロビノにとって絵も写真もワインも同じ芸術作品だ。何歳になってもクリエーティヴな意欲で溢れでている。 誰もが尊敬と友情の念をロビノに持っている。ロビノを嫌いな人間に会ったことがない。 ロビノファンに年齢と国境の壁がない。子供から青年、老人に至るまで、こんなに幅広いファンを持っている人物を見たことがない。 パリのシャンゼリーゼに近いサントノーレ通りにあるエスパス・ボージョンにて3日間行われた。絵、そしてワインの展示会だ。 〜自然派ビストロ・アンジュ・ヴァン時代からのファンが大集合〜 ロビノ氏は長年に渡って、パリの自然派ワインビストロの第一号アンジュ・ヴァンを経営してた。 今夜はその当時のロビノ・ファンが多く集まった。 映画監督、作家、政治家、役者、多くの文化人、そして普通のワイン愛好家など実に幅広いファン層を持っている偉大なアーティストだ。 皆、ロビノ氏と話したくて、ロビノに近づいてくる。 彼と話すだけでエネルギーが伝わってくる。 そのエネルギーの種類も強すぎず、ソフトで明るい大きさを備えたエネルギーだ。 まさに、ロビノ氏の造るワインと同じスタイルだ。 〜ロビノ自作の絵がワインのラベルになっている〜 絵にはそれぞれのエネルギーがある。 それぞれのワインにもエネルギーがある。 二つのエネルギーが調和して、さらに倍増して飲む人に元気を与えることができる。だから、ロビノのワインを飲むと元気が湧いてくる! 絵をラベルまでアレンジしてくれる人が必要だ。 下の写真の美人グラフィストの友人が手伝ってくれている。 ロビノのワインには多くの人の手と愛情が加わって一本のワインが完成している。ロビノワインは2つのアートが重なっているのだ! 〜ロビノ作品の一部〜

24
Déc

18世紀から存在するシャトー・プレザンス、南西フランスで醸造するペナヴェール一家

Vacquiers*ヴァキエールの小さな町で私達を出迎えてくれたのは、Château Plaisance*シャトー・プレザンスでワインを醸造をしている Marc Penavayre*マーク・ペナヴェールさん 。大きな体に優しい笑顔はまさにフランスで言う『人生の享楽主義者』! 左がお父さんのルイさん、右がマークさん ペナヴェール一家の歴史はとにかく古い!1732年にこの土地に住みつき、1870年からマークの曾祖父はブドウ栽培、フルーツ園、飼育など、様々な農業を始め今の醸造所を建て上げました。長年が経つにつれ、マークの父、ルイ・ペナベールさんは全ての土地をワイン栽培にささげるようになりました。この時期からルイさんはブドウ品種とアペラシオンが一致するよう、そしてブドウの品質を保つため様々な工夫をしてきました。家族揃ってワインに興味を持ち出し、マークさんも1985年にはアンジェで醸造の免許を資格、そしてエンジニアの資格を取りました。そして1991年、マークもシャトーの仕事を手伝い始めました。その時期からドメーヌには新しい風が吹いたかのように仕事が順調になり、栽培面積も7ha から 16haまで広がりました。今現在、シャトー・プレザンスは世界中で見当たるほど知られるようになりました! 『私の畑は全て自然栽培だよ。2000年からは、土壌により優しい栽培方法が気になり、肥料や除草剤は一切使用しなくなったんだ。畑の手当ては全て有機物質のみ。そして完熟した健全なブドウを収穫し、選別する。これは欠かせない作業だね。』 『自然とワインが出来上がるためには、畑での作業が最も重要だ。カーブでも、なるべくテロワールを表現させるため、自然酵母のみで醸造をしている。旨みや風味が落ちてしまわぬように、赤ワインはフィルトラシオンもコラージュも無し。私は品種ごとに醸造して、最後にアセンブラージュをするのが好きなんだ。』と長年の経験を思い浮かべるように話すマークさん。 ブドウ品種とテロワールの相性は? 『酸味が強い沖積土質の土壌と、ネグレットやシラー、ガメイなどの品種はとても相性が良いと思うよ。カベルネに関しても、とても美味しいワインが出来るのだが、石灰質の爽やかな土壌で出来るワインとはまた少し特徴が違うんだ。』 シャトー・プレザンスのワインの特徴は? 『私達のワインは、とても古くから伝わるネグレットの品種が多く使われているんだ。他の品種には真似出来ない独特の味わいが印象的。しかもこの品種はポテンシャルを失わないので、何年経っても魅力的で美味しく頂けるんだ。』と自信満々な笑顔でネグレットを語るマーク。確かに何とも言えないタンニンのまろやかさと爽やかさは他では味わえないですが、ワインの色の黒さにビックリです!これを飲んだ後には歯磨きは欠かせないです!! Thibaut de Plaisance 06*ティボー・ドゥ・プレザンス 06  品種:ネグレット80% - シラー20% 樹齢:45年 土壌:ケイ質土、又は水晶が混ざった砂利・石灰・砂泥土質 醸造:ステンレスタンクで5週間 熟成:18ヶ月間の樽熟成 名前:息子の名前です。 スパイス、黒フルーツ、レグリスそして花の香りが一気に漂ってきます! 息子に似ていてパワフル!ネグレット独特のとても綺麗で滑らかなタンニンが口に広がっていきます。骨格とバランスが完璧! マークさん曰く、5年から7年後に飲むとトロけるほど美味しくなっているそうです! Tot Co Que Cal 06*トット・ソ・ケ・キャル06 品種:ネグレット90% - シラー10% 樹齢:50年 土壌:ケイ質土、又は水晶が混ざった砂利・石灰・砂泥土質 醸造:ステンレスタンクで6-7週間 熟成:20ヶ月間の樽でのシュール・リ熟成 名前:オック語で『必要な物全て』と言う意味です。 ラズベリー、ブラックベリー、スミレの花、スパイス・・と、綺麗で豊富なアロマがフンワリ!骨格がしっかりとしていて、エレガント!タンニンが酸味を引き出し、口の中には爽やかさと優しい後味が残ります・・・! Rosé 08*ロゼ 08 品種:ネグレット80% - シラー20% 土壌:ケイ質土、又は水晶が混ざった砂利・石灰・砂泥土質 醸造:ステンレスタンク 熟成:樽でのシュール・リ熟成 キラキラとしているこのロゼはフルーツと花の香りでいっぱい!爽やかさにパワフルさと繊細さが混ざり、永遠と口の中に残りそうな味わいです。 Grain de Plaisir 07*グラン・ドゥ・プレジール 07 品種:セミヨン40% - ソヴィニョン60% […]

23
Déc

今、パリはクリスマス、最も夜景が美しい時だ!

久々にシャンゼリ−ゼ通りを散歩した。最も美しい季節だ! 私はパリに20年程住んでいるけどあまりパリを知らない。 月に一週間ぐらいしかパリに滞在しない。 残りの3週間は葡萄園めぐりで田舎まわりだ。 でもこの時期はパリにいることが多い。 夜が美しい!!食べ物が美味しい!! 〜凱旋門からコンコルド広場へ〜 チョット、寒いけど、ほろ酔い加減で、シャンゼリ−ゼを歩くのも良いものだ。 ↑→ 1900年に行われたパリ万博の会場となったグラン・パレ ←ナポレオンがエジプトから持ってきてしまったオベリスク ↓ホテル・クリヨン。パリの中心で交通の要のコンコルド広場   普段、生活してしまうとパリにいるんだ、という感覚が無くなってしまう。しかし、心地よく酔っ払って、フト周りを見た時こんな夜景が何気なく目に入った時、ア−!自分は今パリなんだ!と気づくことがある。 〜コンコルドからマドレ−ヌ寺院〜 ブランドの店が勢ぞろいのサントノ−レ通り。 私が最も弱く 、縁の薄い世界が有名ブランドの世界だ。 日本から来たお客さんに色々質問されてもお答えできない世界だ。 でも夜のウィンド−ショッピングは美しいものだ。 〜何といってもパリの夜はエッフェル塔だ!〜 何時から照明が青くなってしまったのか?と聞かれても応えられない私です。 〜もう一度、最後に世界中の重要人物が歩いた道シャンゼリ−ゼで締めたい〜

23
Déc

ワイン100本飲破の会 - 東京下町-立石に“ESPOAいせい”

〜生まれも育ちも葛飾で、ベランメ−口調の元気な有馬さんの店〜 テやんで-!ナにかい!コのやろ! 泣けてくるぜ! と元気でナイ−ブな有馬さんと美人奥さん 実は私とこの店との付き合いは、今は亡き先代のお父さんの時代からだ。サッパリした一本筋の通った人物だった。 現当主はまだ学生服を着た中学生で、一見ヤンチャ風だったけれど礼儀正しいナイ−ブな少年だった。美しくしっかりした奥さんを迎えて頑張っている姿を見るとジ−ンと来るものがある。 フランス醸造元も世代交代が進んでいる 今、フランスの醸造元でも世代交代の時期に来ているところが多い。ワイン造りもお酒屋さんも地場に密着した職業だ。先代のやってきた事をガラっとは変えられないのは葡萄栽培も同じだ。 世代が代わったからといって直ぐワインが美味しくはならない。葡萄には樹齢というものがあり、樹齢30年を超える頃からやっとワインに深味が出てくる。お爺さんやお父さんが植えた葡萄で、現世代がやっと今美味しいワインができるという長いスタンスが必要な職業だ。お酒屋さんも先代が築いた店の信用の上で今の商売が成り立っている、どちらも先祖を大変大切にしている。 〜一年間でワイン100本を飲もう!会〜 一年間で100本のワインを飲む企画、15名ほどが集まった。 毎月、一回集まってお店の中で10本のワインを飲もう!という会だ。 ただ、飲むのは面白くない。参加者各自がつまみや簡単な料理を作って持参する仕組みだ。それに店が提案するワインを毎回10本飲むというわけだ。でも毎回10本では終わらないようだ。3本ほどは飛び入りで追加しているようだ。当然、最初に簡単なワインセミナ−をやる。後半は酔ってくると、もうあまり聞いていない。飲み会風になってしまう。 今回は私も参加した。丁度、ボジョレヌ−ヴォ−の時期なのでヌーヴォ−とそれに引っ掛けて、ロワ−ル地方のガメイ品種と比較したり、3年前のヌ−ヴォ−を飲んだりと面白い趣向が組まれていた。 2次会は立石商店街にある一杯飲み屋に この企画はお客さんにとっては大変ありがたい企画だと思う。 100本自分で試すのは大変だ。ここで皆で話を聞きながら自分好みのワインを100本中から探すことができる。下町には下町の売り方があるものだ。ゴチャゴチャ説明するより実際に飲んでもらった方がはやい。でも結構ワイン通の人達がいた。ここでもワインコミニュティ−が確実に出来上がっている。素晴らしいことだ。やはり2次会に全員で近所の一杯飲み屋に繰り出した。イヤ−楽しいひと時だった。思わず終電に乗り遅れて立石から銀座までタクシ-となってしまった。           〜こんな時期だからこそ自分の目で畑を見てが大切!!フランスまでワイン買付にやってくる有馬氏〜[ 男、有馬ロマネ・コンティに立つ!何を考えているのか? 『やっぱり、実際に来ると気合が入る!これが大切なんだ!!』 『それに今自分が本当に自信をもってお客さんに勧められるものって少ないと思う。少なくてもワインだけは自分の目で畑、人、造りを確かめて、自信をもって売れるものだけにしたい。』 電話とファックスだけで注文すればワインは仕入れできる。 でもワインだけは違う、その畑の環境とか、そこに住む人達の息吹を、そして造る人の生活、志を知らないと結局ワインの薄っぺらな表面の部分しか分からない。 一杯のワインの味わいは氷山の一角にすぎない。 その味わいを造り上げた原点の部分は氷山の水面下にある80%の土台の部分を知らなければ意味がない。 果実味とか、ミネラルとか濃いとか薄いとかの表面の部分よりもっと大切な、ワインの深い核心の部分がある。 それを知らないと本当に自信をもって販売ができない。 だから有馬氏はフランスまでやって来るのだ。 今年も5月にフランスを一周した。勿論、今年のヌーヴォーの畑、造る人、その家族との触れ合い、食事も一緒した。繊細で感受性豊かな有馬氏はそこから多くのものを吸収した。 〜15年来の付き合いのドメーヌ・ラルジョルも世代交代の真っ最中〜 南フランスでカベルネ・ソーヴィニョンを造らせたら天下逸品のラルジョルだ。オーナーのテスラン一家も世代交代の真っ最中である。有馬氏の左に居るのが次世代を担うフランソワだ。 フランソワと有馬氏は同世代。二人とも、先代に感謝の気持ちは忘れない。しかし、先代と同じことをやっていては先が危ないのは感じている。 フランソワがドメーヌで働きだして5年がたつ。お父さんを尊重しつつ着実にドメーヌを健全に進化させている。勿論、多少の摩擦はあってもお互いに譲りあって進化している。ワインはますます繊細、フィネスの方向に向かっている。そんな醸造元の変化を訪問することで肌で感じ取ることができる。大切なことだ! 左下 フランソワ   右下 有馬氏   右上 テスラン氏 ブルゴーニュを代表する自然派醸造元が入れ浸りのレストラン・レガラードで本物の食文化を体感。 3キロ近いシャロレ牛を完食。 流石、生まれも、育ちも葛飾! ワインはパカレのポマールだった。 写真、シェフのマリアさんと共に、 La Régalade に関する記事はこちら! 〜有馬氏、大好きなマンスノーブルにて〜 ワイン名“ネ”鼻のラベル        ジャンセンジャール氏       有馬氏 ジャンセンジャール氏はベルギーのテースティング大会での優勝者。 特に抜群の嗅覚をもって、ベルギーでは有名なワイン愛好家だった。そんな彼がコルビエールで畑を買ってワインを造り出してもう15年がたつ。有馬氏は最初からの付き合いだ。フランスに来た時は必ずよることにしている。 お父さんが築いた地の理を大切に、夫婦仲良くワイン販売に頑張って欲しい。燃やせ!!PASSION!!燃えろ!!PASSION!!

22
Déc

アセンブラージュ・ワインのスペシャリスト:ドメーヌ・ドゥ・ラ・ロッシュ・ビュイシエール、アントワンヌ・ジョリ 南ローヌの次世代スター

皆さんMont Ventoux*モン・ヴァントゥをご存知ですか?自転車ロードレースの最高峰「ツール・ド・フランス」で、最高難度の山岳ステージの舞台として知られている有名な山です。こんな大自然のふもとで醸造しているのが Antoine Joly*アントワンヌ・ジョリさん、Domaine de la Roche Buissière*ドメーヌ・ドゥ・ラ・ロッシュ・ビュイシエールです。 1974年、アントワンヌのお父さん、ピエール・ジョリー氏は7haの農場を入手し、ブドウ畑、オリーヴ畑、そして様々なフルーツ栽培を始めました。ピエールさんは当時から「環境保全」を念頭に置いた農業を目指していました。そのお陰で1979年、有機農法の認証団体「ナチュール・エ・プログレ」に認められ、1992年にはエコセールに認定されました。 長年に亘り、徐々に様々な栽培の生産からブドウ栽培へ比重が移っていき、「ブドウ栽培家」に専科していったピエールさん。けれども当時、全ブドウは協同組合に送られていました。そして1999年、ピエールさんの息子、アントワンヌさんもドメーヌの手伝いに関わり、友人のワイナリーから設備を借りたりしながらアントワンヌさんの醸造が始まりました。

18
Déc

西南で見つけた期待の新星、ドメーヌ・ル・ボアロン、フィリップ・カブレル氏 − Domaine Le Boiron

杉の木を潜って辿り着いたのは、130ヘクタールものドメーヌで醸造をしているフィリップ・カブレルさんの醸造所。彼の兄はフランスの代表的な歌手でもありチョー大物!とても大人しく少し照れ屋な彼は、とてもオシャレでカッコイイ!けれども慣れてくるにしたがってジョークを飛ばしてくる面もあり、結構面白くて人思いの優しい人です! そんなフィリップは西南フランスの小さな町、アスタフォールで生まれ育ち、この場所の穏やかさと、1855年に建てられた立派な醸造所に一目惚れ!1996年に兄とドメーヌを購入し、1998年にあの有名なワイン醸造学者、Mathieu Cosse*マチュー・コスさんの手を借り、2ヘクタールの畑にカベルネやメルロ、そしてタナを植えブドウ収穫をスタート。しかし2000年から2002年の間、ブドウは全て協同組合に送られていました。けれども粘土石灰質のテロワールと、自然に育てられた彼のブドウは非常に美味しいと評価され、フィリップはワイン造りに興味を持ち始め、2003年には初ヴィンテージを紹介! 『私は生きている土壌でブドウを育てているんだ。収穫も手摘みでやっているし、選別もなるべく丁寧に行っている。この土地は、メルロやタナとの相性は抜群だがカベルネは手入れが通常以上に必要だ。畑での作業が慎重な分、余計な物を添加せずに自然酵母のみでの醸造ができるんだ。熟成中も、マロラクティック発酵後のスティラージュ以外は手を加えてない。15ヶ月間の間ワインを自然に任せながら寝かせているんだ。』 醸造所はまだ新しく建て直したばかりでとても綺麗 『2006年はとても綺麗なヴィンテージだったよ。9月下旬には雨が絶えなかったが、とても濃厚なメルロが収穫できた。しかしタナは雨を吸収してしまい、1ha分失ってしまった。それに比べ、2007年は雨と病気が多く、とても困難なヴィンテージとなった。一言で言ったら、こくより繊細さが特徴となった年かな。しかし良く熟したブドウしか収穫していないので、メルロは適度の果実味と綺麗な酸味を出し、タナはとてもフルーティーに仕上がっている。2007年は2004年に植えたコットの初収穫の年でもあるんだ。この品種はアセンブラージュ用に植えたんだ。 とてもフルーティーで野いちごの香りが強く、いい具合に熟成しているよ!』 と嬉しそうに話すフィリップ。 そして彼のワインの特徴は?と尋ねてみると: 『このテロワールのポテンシャルは、骨格がしっかりとしたミネラル感たっぷりなワインを生み出してくれること。これがボアロンのワインの特徴!ブドウ木もまだ若いので、パワフルさより繊細さと爽やかさの方が楽しめる。食事との相性も抜群!匂いがきついチーズ以外だったら、焼き魚や生魚でも、どんな料理にも合わせやすく、とても飲みやすいワインだよ!』 そんなワインを今から試飲です!! Domaine Le Boiron*ドメーヌ・ル・ボアロン 品種:メルロ 65%  − タナ 10% − カベルネ・ソビニョン 25%  樹齢: 9年 土壌:粘土石灰質 醸造:コンクリートタンクで21日間、18-26℃にて醸造 熟成:18ヶ月間の樽熟成 爽やかでバディーがしっかりとしているワインです。果実味が強く、上品なタンニン、そして何といっても酸味の繊細さ!ここでしか味わえない美味しさです。 ラベル:モダンなラベルは、他のドメーヌとの違いを表しつつも、古くから伝わる教えをとても大事にしているという意味を示してるそうです! Le Petit Boiron*ル・プチ・ボアロン 品種:メルロ 70%  − タナ 25% − カベルネ・ソビニョン 5%  樹齢: 4年 土壌:粘土石灰質 醸造:コンクリートタンクで18日間、18-26℃にて醸造 熟成:12ヶ月間、コンクリートタンクで熟成 パワフルでフルーティーなワイン!酸味、果実身、そしてミネラルと、全てが揃った完璧なバランス。フレッシュでまろやかなので、グイグイ飲めちゃうワインです! ラベル:フルーツの木はフルーツの果実味と軽快さ、そして田園そのものを表しているそうです! 『私はなるべく甘美で美味しいワインを造ろうと手掛けています。自然がワインにミステリアスな赤い果実の風味を与えてくれます。私達のワインは、ワイワイと賑やかな場で、何かを分かち合いながら飲んで貰えたら幸です。私のこれからの夢は、自分のパッションを生き甲斐にしながら皆さんを楽しませる事です。』 これからが勝負です!今後も繊細さナンバーワンのワインを造って下さい! オルヴォーの田中さんと DOMAINE LE BOIRON のワインについてのお問い合わせは: オルヴォー(株) TEL : 03-5261-0243 FAX : 03-5206-8557 MAIL : […]

17
Déc

ピエール&カトリーヌ・ブルトン:ロワール地方では欠かせない存在

ロワール地方でワインを造っている、あの自然派醸造家ブルトン夫婦が、 11月出版されたアメリカのニューヨーク・タイムズに取り上げられました! 『もし地球人が皆金髪で青い目をしていたらつまらないだろう?ワインも同じだ。』そう語るのは、ロワール地方で自然派ワインを醸造している、とても真面目で真剣なピエール・ブルトン氏。 『ワインは楽しむためにあるんだ。ワインは想像力を高めてくれる。ワインは会話を弾ませる。それなのに、何故私達はワインが全て同じアイデンティティーであることを求めるのか?』 ピエール氏は奥さん、カトリーヌさんと共に、このツールの近くにある レティニェという街でドメーヌを経営している。 今現在フランスでは『根源に戻ってのワイン造り』というムーブメントが巻き起こっている。それは、殺虫剤や化学肥料、人工酵母、そして亜硫酸などの大量な化学物質を使用していなかった時代と同じ栽培方法をしようという考えの変化だ。彼らはまさにこのような状況を把握しており、前衛的な存在でもある。生まれ持った才能と自然に育ったブドウでワイン造りを楽しんでいるブルトン氏のような醸造家達は、本物のワインを求めている人達の間ではもう十分話題になっている。 仕事の量も通常に比べ少なくは無いし、費用も掛かる。ブルトン氏は11ヘクタールの畑を所有しており、ブルグイユやシノン、ヴヴレーのワインを造っている。彼らのような自然派醸造家達は、今、一般的に行われているワイン造りは自然を汚染し、なおかつ一様なつまらないワインしか生み出さないと考えている。彼らはブドウがワインへと変化していく最中、なるべく手は加えない事がモットー。畑もブドウも全て有機栽培を施し、機械で地球を汚さない為収穫は全て手摘みでやる。 しかし通常のワイン造りとの大きな違いは、この後の醸造段階と熟成段階の時に、まさにワインの味と骨格が決まるのである。全ての要素−その年の夏の気候、果実味、テロワール、熟成樽の特徴など−が重合ってなり、ワインの表現力が決まる時期だ。 『通常のワインメーカーが使用している化学添加物や人工酵母は、確かにワインを様々な現象(酸化や還元など)から守るけど、ワインの風味は皆同じになってしまう。』と自然派ワインの造り手は主張している。『指揮者になったようだ』とブルトン氏は言う。彼のワインは自然酵母で醸造され、酸化防止と細菌防止としての亜硫酸はほんの少量しか添加していない。 『最初は皆同じ材料から始めるんだ。しかし指揮者のように、私達は同じ楽譜を見ながらそれぞれ違う音楽を奏でている。それこそが、自分のアイデンティティーを持ったワインなんだ。』 しかし、一般的なワインの世界では、『自然派醸造家は自分達のやり方だけが正解だと思いこんでいる』と批判して来る人もいる。ナチュラル・ワインより、腕が高い造り手に醸造されたハイテクなワインの方を好む人ももちろんいる。 少し前フランスの新聞、ル・モンドのワイン記者、ジャン・イーヴ・ノーさんは、下記のようなジョーク混じりの記事を書いていた:『ワインを保存する為、瓶詰めの時に添加される亜硫酸のことを、彼らは « 化学の形をした、悪魔の生まれ変わりだ»と思っている。』 本当にここ数年前から、健全なワイン造りは徐々に人を惹きつけている。パリのバスティーユ広場から近いLa Muse Vin*ラ・ミューズ・ヴァンや、ベルビル方面にあるLe Baratin*ル・バラタンなど、様々なレストランやバーもブルトンのような自然派ワインを勧めている。しかもこのような商品は12区に在るLe Vin se Livre*ル・ヴァン・ス・リーブルのような小さなワイン屋にも人気がある。 有機栽培に切り替えたり、化学物質を押さえてきた農業者にとってはとても喜ばしい状況になってきた。このような自然派の大多数は、ミスティックな言葉で自分の醸造段階を語る、代々受け継がれてきた小さなワイナリーやその中でも馬で畑を耕すなど、100年前と同じ栽培方法を行っているとても細やかなところにも気を配る人達もいる。しかも多くのナチュラル・ワイン生産者は、20世紀初期にオーストリアの哲学者、ルドルフ・ステイナー氏が極めたビオディナミ栽培を行っていることが多い。ビオディナミ栽培とは、月や惑星の動きを把握しながら、栽培や醸造の段階を進めていくやり方だ。 しかし自然派ワインは小さな規模のワイナリーのみではなく、ブルガンディー氏のロマネ・コンティやアンセルム・セロスさんのシャンパーンなど、他の地区の偉大なアペラシオンにも見当たる。パリの自然派ワイン屋、Cave Augé*カーブ・オジェのオーナー、マーク・シバール氏曰く『30年前はたった15人程度だったのが、今では200人以上いるに違いない。それでもまだ隠れ文化みたいなもんだ。』彼は25年前から自然派ワインの大ファンだ。『彼らは « 実行不可能なことを望む単なる夢追い人»と思われやすいし、大手卸業者はもっと一般的で«工場的»な、輸出しても還元しない強くてスーパー向きのワインを求めている。』 『自然派ワインの需要は徐々に広まってきている。私達は専門家だからね!パリに店があるってことは客の質も高い。そして皆1本6€だが人工的に造られたワインより1本20€だが自然に造られたワインのほうがより美味しいということは分かっている。』 自然派醸造家は仕事に対してとても熱心だし、その上ユーモアのセンスも兼ね備えている人達が多い。その証拠に、カーブ・オジェの床に転がっているワインボトルを見れば分かる。 ある醸造家は、オルソン・ウェレスの映画『タッチ・オフ・エヴィル』のフランス訳、『Soif du Mal*ソワフ・デュ・マル』というキュべを造り、もう一人はアジアのマーケットをターゲットにしたに違いないラベル、『ガマ・ストラ』をプロデュースしている。他にも、『ブドウは紐パンツを履いた人に収穫されています』など、ジョーク交じりのラベルが沢山ある。ブルトン氏も、『Nuits d’Ivresse*ニュイ・ディブレス』(酔った夜) 、または『La Dilettante*ラ・ディレタント』(愛好家)というワインを紹介している。 このような空想的なラベルは、世界中のマーケットで注目を浴び始めている。 『数年前、このようなラベルはナチュラル・ワインに対して、決して良い宣伝では無かった。』そう語るのは1980年代から自然派ワインをアメリカに仕入れているパイオニナ、ケルミット・リンチ氏。『しかし今このようなワインに興味を持っている人は確実に増えてきている。』彼はブルトンのワインも仕入れているし、彼自身も南フランスに在るジゴンダスという町に畑を持っている。リンチ氏の畑はビオでもビオディナミ栽培でもないが、自然醸造家達の考え−大半のワインは化学物質を使用しすぎている−という事実は彼も受け止めている。『ワイン醸造に関してどうするべきか、何を言うべきかなど私にはまだ分からないが、ある醸造家が一度こう言ってきた:ビオ栽培に進展してからより美味しい果汁ができるようになった。そしてより美味しいジュースはより美味しいワインに繋がるんだと』。 Le Baratin に関する記事はこちらから! La Muse Vin に関する記事はこちら! Le Vin se Livre に関する記事はこちら! La Cave Augé  に関する記事はこちら! Pierre&Catherine Bretonのワインについてのお問い合わせは: 株式会社 JALUX ワイン部  TEL:03−5460−7156 […]

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Le Vin se Livre

ワインショップ&ワイン本屋さん *お店情報 36/38 allee Vivaldi 75012 Paris TEL : 01.43.40.59.45 FAX : 01.43.40.59.45 MAIL : contact@levinselivre.com *営業時間 月曜   :16:00〜20:00 火曜〜金曜:11:00〜14:00  18:00〜20:00 土曜   :11:00〜20:00 日曜   :11:00〜15:00

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ニコラ・テスタールへ10個の質問!

« ワインの香りと味は、テロワールの特徴と自然から生まれるアロマを尊重していなければ! » *何故ワイン造りに興味を持たれたのですか? 私はブルゴーニュ出身なんだ。そこで小さい頃からいつもブドウ畑で遊んでいた。そうしたら自然とブドウやワインに興味を持ち始めたんだ。学校を卒業した後、即行ブルゴーニュのティエリ・ヴィオロ氏のもとで修行を始め、その後ジル・ジャイエとも働いたし、プリウレ・ロックのもとでも自然派ワインを学んだよ。 *最も気を付けている栽培でのポイントは? 自然にもブドウ木にも負担を掛けない、優しい栽培が私の目標だ。当たり前の事かも知れないが、例えば殺虫剤や除草剤、化学肥料は絶対使用しない事!後、美味しい自然派ワインに重要なのは、健全で熟成したブドウを収穫する事。ブドウを一房づつ確かめられるように収穫は絶対に手摘み、そして選別は欠かせない作業だね! フルーリーの畑にて *最も気を付けている醸造・熟成でのこだわりは?  う〜ん、皆と同じように、まず亜硫酸は一切添加しない事。そして醸造も自然酵母での醸造。そして木樽、あるいはステンレスタンクで熟成させ、軽く、もしくは一切フィルターには掛けない事かな。自分のこだわりと言ったら、通常は最高12ヶ月間熟成させるガメイを、私はフルーリに関しては18ヶ月間熟成させている。そうすると、10年後にはピノと勘違いするくらい飲みやすくて優しいワインが楽しめるはずだよ! *ブドウ品種とテロワールの相性は? 畑の土壌は砂・粘土質なんだ。このテロワールの柔らかさが、ガメイに上品さと滑らかさを与えているんだよ。ボジョレーの地区では、区画により畑の土壌質が全く違うから、どのように土壌を上手く生かせるかがポイント。特にガメイは酸味が強い品種。繊細でエレガントなワインを造る為には、ビオ栽培、そしてテロワールを引き立たせなければいけないんだ。 発砲ワインを開けた瞬間! *ボジョレーの気候は? ボジョレーは大陸性気候なので、夏はローヌに似たような天気、そして冬は湿気が多いんだ。けれどもガメイの品種にとっては抜群に良い気候なんだ。 *2008年の気候はどうでしたか? 今年はミルディウーや、8月に大量に降った雹のせいで大変な被害にあったよ・・・87%も収穫量が減ってしまった・・・けれどもその後、収穫時期までは一滴も雨は降らなかった。特に9月4日から25日の間はとても良い天気で、ブドウの熟成度が1℃も上がったんだ。しかもドメーヌは丘の上なので、風が多く乾燥しやすいから、ブドウも乾くのが速い! *ニコラのワインの特徴は? シャルドネはシュナンに似ていて、がメイはまるでピノのようなワイン!友人ともプロの人でも、どんな状況でも楽しめる、喜びや楽しさを分かち合うための飲み物だよ。 *どんなお料理とお勧めしますか? 魚料理やお肉料理、又はアペタイザーに、もしくは楽しいひと時に飲むのがお勧め! *ニコラの趣味や目標は? 自然体のワインをありのまま尊重する事。そして自分の子供や他の人たちにも実のワイン、本当のワインの味を楽しんでもらう事かな。 奥さんのキャロルさんと、6ヶ月のジュスティンヌちゃん *今後の目標は? ビオ栽培へとの転進を完璧に終了させ、綺麗なバランスを保てるよう古い区画の手入れをもっとしたい。他にも、もし出来れば各区画のテロワールの本質を引き出す為、木タンクでいくつかのキュべを造ってみたいな。 パリに在る自然派ワインのお店、カーブ・オジェ*Cave Augéで働いてたキャロルさん。 ワインを開ける瞬間もやはりプロのようです! 愛犬のピノちゃん そしてお父さんとお母さんの笑顔を受け継いだ、愛くるしいジュスティンヌちゃんの3ショット! NICOLAS TESTARDのワインについてのお問い合わせは: オルヴォー(株) TEL : 03-5261-0243 FAX : 03-5206-8557 MAIL : tanaka@orveaux.co.jp NICOLAS TESTARDに関する記事はこちらから!

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セバスチアン・リフォーがPARISに!

〜CPCオフィスにて2007試飲会〜 今日はロワールで醸造しているセバスチアン・リフォーさんが来てくれました! 『昨日ノルマンディーに行って来たから美味しいカキをお土産に持ってきたよ〜!』と嬉しそうに訪れたセバスチアン。彼は本当に優しくて、いつ会ってもニコニコな笑顔が印象的です! セバスチアンは5ヘクタールのブドウ園を栽培していましたが、今年からはお父さんの畑も任せられ、今では12へクタールに広がるブドウ畑を一人で栽培しています。ソヴィニョンの品種は11ヘクタールもの面積に植えてありますが、セバスチアンのピノは1ヘクタールしかないのでとても貴重!ブドウ、そして自然にも優しい環境を作りたいという思いでビオ栽培に切り替え、畑も彼の愛馬、オフェリーちゃんが一生懸命耕しています。 醸造中もなるべく手を加えないよう、自然にワインを造ることが目標。 『マロラクティック発酵は、アルコール発酵が終了した後、自然と起きる事なんだ。それを皆亜硫酸などを足して止めてしまう。私の白ワインは亜硫酸の添加は一切していないので、珍しいかも知れないがマロラクティック発酵をしている。そうするとドライだったワインにまろやか感と繊細さが生まれるんだ!酸味も丸くなり、通常の柑橘類の香りじゃなく、アブリコットのような複雑で果実のアロマになるんだ。そうすると変則的だけれども、ここでしか飲めない独特なサンセールが出来上がるんだよ。そして熟成は全てシュール・リ熟成。これはワインに存在感と旨みを出すんだよ。』 『2006年は気候が良かったので2007年に比べ熟成度が高いヴィンテージだと思われがちだが、実際の所、その逆なんだ。2007年は雨が多かったけれども、収穫時期にとても良い気候が続いたので、とても熟成したブドウが収穫できたんだ。』 *Sébastien Riffault のワインについてのお問い合わせは 豊通食料株式会社 TEL : 03-5288-3854  FAX : 03-5288-9248 http://www.vin-de-t.com    アクメニネ07*Akméniné 07 品種:ソヴィニョン 樹齢:30年 土壌:石灰質 醸造:4ヶ月間、ステンレルタンクでのマセラシオン 熟成:9ヶ月間の樽熟成 特徴:マロラクティック発酵 + シュール・リ熟成 意味:アクメニネとはリトアニア語で、『石製』という意味 ミネラル + フルーツ + 酸味=完璧にバランスがとれたワイン! まろやかなのにフレッシュ!味が深いワインです。 オクシニス07*Auksinis 07 品種:ソヴィニョン 樹齢:20年 土壌:石灰質 熟成:20ヶ月間の樽熟成 特徴:マロラクティック発酵 + シュール・リ熟成 意味:オクシニスとはリトアニア語で、『金色』という意味 濃厚で綺麗なバディに、ミネラル感が関わり、とても飲みやすいです。一杯だけでは止まらなくなってしまうワインです! ロドナス07*Raudonas 07 品種:ピノ 樹齢:40年 土壌:粘土石灰質 醸造:10日間、ステンレルタンクでのマセラシオン 熟成:18ヶ月間の樽熟成 特徴:マロラクティック発酵 + シュール・リ熟成 意味:スケヴェルドラとはリトアニア語で、『赤』という意味 スパイスと赤フルーツの香り、そして何といってもまろやかでやさしい味が印象的です!ミネラルで繊細なので、グイグイと飲めちゃうワインです! スケヴェルドラ07*Skeveldra 07 品種:ソヴィニョン […]

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国宝級江戸っ子度200%-よろずやワイン繁盛記

〜東を“シガシ”としか発音できず、曲がったことが“デー嫌い”な正真正銘の江戸っ子だ!〜 思ったことは絶対にやらずにはいられね−性格だ。 頑張っていたかな-と思うとホっと気が抜けるところも江戸っ子らしい。でもやっぱりやらずにはいられね−がんばり屋。 こんな性格をお客さんは百も承知で合わせてくれている。 自分の好きなワインしか売ることができない、不器用さ。当然、商売上手ではない。好きなワインをとことん仕入れてしまう。店に置く場所がなく困っていると、お客さんの方が心配して買いにきてくれる。お客さんとはツ−カ−だ! 長く付き合っているお客さんは、彼女の性格を分かっているので問題ないが、初めてのお客さんは最初戸惑ってしまうことがあると想像する。 でも、最終的には彼女の大ファンになってしまう人が多い。 私もその大ファンの一人だ。江戸のワイン販売を語るとき、彼女をはずしては語れない時代がきっと来るだろう。なくてはならない人物だ。 店の名前はよろずや、彼女の名前はゆきこ。 10年ほど前から毎年フランスまで買い付けに来る、10年来の付き合いだ。好きなワインしか絶対に買わない。彼女の買う買わないの尺度は、醸造元の“人間”だ。人間が好きになるとトコトン仕入れてしまう。ドメ−ヌ・セネシャリエ−ルのマ−ク・ペノのワインが大好きだ。 〜あのマ−ク・ペノのセナシャリエ−ル救済の起点となったゆき子さんの行動力!〜 彼女は、ワイン造りに没頭しワインのことしか考えない純粋一途なマ−ク・ペノが大好きだ。だから、マ−ク・ペノが昨年倒産した時、彼女は黙ってはいられなかった。お客さんと共同でドメ−ヌを買い取る算段を企てた。ゆき子さんからフランスまで電話が入った。 『数千万円までなら何とかします。マーク・ペノを救済してください!!』 何回も何回も執拗に電話がきた。お客さんを巻き込んでの救済だ! 私はこの電話で決意した。 マ−ク・ペノのワインの偉大さとゆき子さんの一途な行動力に驚いた。一杯のワインが遠い日本のお客さんをここまで動かすパワ−があることに驚愕した。知り合いの弁護士に連絡したら、数々の困難な壁があった。自分独りの力ではどうにもならなかった。 そこで野村ユニソン社に応援を依頼した。本格的に動き出すと、困難と思われたことが奇跡的にスム−ズに進んでいった。正直私は驚いた。なんらかの力が後ろから後押ししてくれたとしか思えなかった。でも、ふとゆき子さんの顔が浮かんだ。彼女のあのパワ−とペノさんの一途さがきっと動かしたのだ。 結果、マーク・ペノのドメ−ヌ救済は野村ユニソン社の協力のもとに成功した。あのゆき子さんからの電話がなかったら、なかったことだ。彼女には目に見えない力がある。 〜10年間毎年フランスまで買い付けに来る江戸っ子、ゆき子〜           大好きなドメ−ヌ・ドピアックのシルバン・ファダ夫妻とゆき子さん    『毎年来て醸造元の顔を見ないと力が入らないのよ!』と唸る。 醸造元の方もゆき子の顔を完璧に覚えていて、彼女がくると親戚が来たごとくに迎えてくれる。造る現場と売る現場の人間が信頼で結ばれるエネルギ−は図りしれないものがある。 ゆき子さんが『このワイン美味しいよ!』と言う言葉には醸造元のエネルギ−も乗っている。彼女はあまり細かい説明はしない、むしろ苦手な方だ。勢いで売るタイプだ。                          醸造元達は彼女の行動力に驚いている。何故なら、パリのワイン屋でもなかなか訪問する人は少ないのに、日本という地球の裏側から日本のワイン屋が来てしまうから驚くのは当たり前だ。   ドメ−ヌ.ヴィエユ・ジュリエンヌのドーマンさん        ラングドックのシャト−・ランガラン 〜もっと驚くのは、自分のお客さん10数名引き連れてフランスまで来てしまう〜 ド−ピアックのファダさんが命がけで開拓したコカリエ−ルの畑にて 『私は自分が感激したことと同じ感動をお客さんにも体験してほしかったのよ!』 彼女の言葉で実際にワイナリ−巡りツア−に来てしまうお客さんも凄いと思う。 ランガランの庭園にて このツア−はパリは通過するだけで見学はしない。 いきなりフランスの片田舎に連れて行かれる。 フランスが初めてきた人もいきなりラングドック地方、ロ-ヌ地方 と田舎だけ見て帰ってしまう。でも大喜びで帰っていく。 ゆき子さんのフランスの親戚に逢えたからだろう。 〜自然派ワインを最高の料理と飲めるレストラン『バラタン』にて〜 たまにはパリに寄ることもある。その時は迷わずバラタンだ! 奥さんのラケルともサ−ビスのピノッシュともすぐに打ち解けてしまうゆき子。江戸っ子パワ−は凄い!! 〜よろずや・ゆき子ののボジョレ・ヌ−ヴォ−2008年〜 ゆき子ファンはドンドン増えていく。 よろずやの店の一階は本当にただの普通の酒屋風だ! 期待して来店した人はそれだけ見て、なんだ、と帰ってしまう人も多い。 ワインは地下で販売している。この店に来たら是非、天然江戸っ子のゆき子と話してほしい。右腕のよし子も素晴らしい人だ! この地下では毎週、テ−スティン会やワイン教室のようなものが開催されている。 今夜はフランスツア−に参加した友達が大勢来ていた。懐かしい顔ぶれだ。 鶯谷の近所の人達ばかりと思いきや、横浜とか国分寺だとか結構遠くのお客さんも多かったのに驚いた。圧倒的に女性が多い楽しい雰囲気だ! 2004年産のヌ−ヴォ−と比較試飲                                  ヌ−ヴォ−は早く飲まなければならないとよく言われるけど、しっかり造られて活きているヌ-ヴォ-は全く問題ない。まるで熟成したピノ・ノワ−ルのようだった。今夜も佳き人達と佳きワインで楽しいひと時を過ごせました。 有難う!江戸っ子 ゆき子さん                                ゆき子さんも店とワインを中心にお客さんとの信頼関係のもとに、下町ワイン文化を築いている。 単なる小売店の範疇を越えた生き方をしている。大変だけど遣り甲斐のある佳い仕事をしているね! ここでも本物ワインで幸せを広げている。燃やせ!PASSION !燃えろ!PASSION !! […]

11
Déc

鶯谷萬屋

店名:鶯谷萬屋 住所:110-0003 東京都台東区根岸3-4-16 電話番号:03-3873-8146 ファックス番号:03-3873-8142 メール:yorozuya@sepia.ocn.ne.jp ホームページ: http://www.uguisudani-yorozuya.com 営業時間: 月〜土  8:00〜21:00 日・祝  10:00〜17:00

11
Déc

ユニオン・デ・ジャン・ド・メティエ試飲会開催 – UNION DES GENS DE METIER

〜ワイン職人集団がパリに集合〜 12月8日、ワイン・職人集団UNION DES GENS DE METIERの醸造家24者がパリに結集した。 普段は2年に一回のボルドー・ヴィネクスポの時に開催する。 今年は2008年の醸造が終わってホッとしたこの時期にパリに開催。 パリに住む我々には助かる企画だ。 このグループは今話題の自然派グループが発生する前から存在する老舗のグループだ。 メンバーのディディエ・ダグノ氏が先月不運の事故で世を去り、 息子のルイ・バンジャマンを仲間に紹介する意味も含まれた試飲会だった。 パリのプロフェッショナル向けの試飲会だった。 多くの若手醸造家も勉強の為に試飲しに参加していた。 これだけの本物中の本物がパリに集まることは少ない。 サント・オーギュスタン広場のナショナル会館で開催 JACQUES SELOSSE*ジャック・セロス      シャンパーニュの東洋思想家 シャンパーニュで本物の職人と云えばジャック・セロスだ 。 人気のあるブースでなかなか近付けない。 隙を見てなんとか試飲できた。 シャンパンと云うより発砲した白ワインというイメージだ。 舌にあたる感触が柔らかい。すべてが溶けている。 シャンパンとは言い難い飲み物だ。まさに白ワインだ。 ジャックは一時期、自然派グループの会長まで務めていた。 彼の話は、古典中国の老荘思想の哲学の影響をうけているのでは?と思うほどの理論を持っている。尊敬すべき人物の一人だ。 CLOS ROUGEARD*クロ・ルジャール  SAUMUR CHAMPIGNY    ロワールの帝王 クロ・ルジャールのナディ・フコーだ。 絶妙のカベルネ・フランを醸し出す国宝級の男だ。 ロワールでフコー・ファミリーといえば水戸黄門的存在だ。 ボルドーのグランクリュの醸造長達が勉強に訪問するほどだ。 彼とは20年来の付き合いだ。お互いにまだ髪の毛は真っ黒だった頃からだ。 今日はLE BOURG 2005年を試飲した。 素晴らしく溶けたタンニンと柔らかなミネラルが特徴だ。全くカベルネ・フランの固さがない。 PHILIPPE ALLIET*フィリップ・アリエ    CHINON    練った超職人技の持ち主   カベルネ・フランを造らせればフコー ・ファミリーと甲乙を競う間柄。 本当は大の仲良しだ。共同で樽を買ったり、ナディ・フコーとは良き相談相手だ。 私とこのアリエ夫妻との付き合いもほぼ20年来の付き合いだ。 アリエのカベルネ・フランはよりミネラル風味があり、果実味もより濃縮感がある。しかし、よく云われるフランのベジェタルは全くない。タンニンのキメ・粒子の細やかさ、天下逸品だ。 熟成するとグラン・ヴァンの風格を備えたワインになる。 来年、2009年1月に日本訪問決定! 東京・銀座パッション・ド・ヴァン事務にで試飲会開催予定! […]

11
Déc

加賀のテロワールは和酒 名門400年の歴史“菊姫”訪問

ボジョレ・ヌーヴォーを3時まで飲んだ朝、ホテルに森高さんから電話が入った。 『伊藤さん、寝てる場合じゃありませんよ!本物の日本酒、菊姫に行きましょう!』ということになり蔵元見学となった。 菊姫は心に響くさけだ! 実は、私は日本酒も大好きだ。特に菊姫は心に響く酒だ。20年程前に帰国していた時に東京神田のお酒屋“泉屋”の横田さんに飲ませてもらったのが最初だ。 そこを境に日本酒のイメージがガラッと変わってしまった。だからこの訪問は凄く楽しみだ! ずっしりと芯のある日本酒は初めてだった。ワインのテロワールのようなものを感じる酒だ。 15年ほど前に菊姫の杜氏さんの山下さんがパリに来られた時、一緒に食事をしたことがある。 突然の訪問となったが、 伊藤 『突然の訪問だけど、森高さんアポイントとっているの?』 森高 『この地方じゃ、そんなものいらないよ!いつも行きたい時に行っている。』 一抹の不安が残るがホテルを後にした。 昨夜雪が降ってあたり一面が雪化粧だ。遠くに見える山々が美しい。 日本酒の伝統を守る 菊姫、柳社長 今日は最近出版した本について、新聞記者のインタビューがあるということで同席させてもらうことになった。 湯が沸いている囲炉裏のある部屋にドカッと落語名人のように座っている。 滔々と日本酒酒造業界の歴史的話、なぜ今若者の日本酒離れがおきているか、一般に普及している日本酒が如何に手抜きした造りをしているか? 新聞記者さんがいたお陰で日本酒業界の全体像が見える話を聞けた。 柳さんの話を聞きながら、フランスワイン醸造業界と同じだな!と興味深く聞かせて頂いた。 フランスでも若者がワインを飲まなくなっている。手抜きしたワイン造りのワインが不味すぎるからだ。旨くないものは飲まないのが当たり前。すべて企業化されて利益追求第一になってしまったところからすべてが壊れてきた。全く同じだ!と思いながら納得。 400年の歴史を背負いながら、業界の全体像を眺め、先祖代々の伝統を守ることと、現世の会社としての存続を模索する柳社長の人物に共感を覚えた。今日本は誤魔化しの多い企業が多くなってしまった。 人間としての大切な部分を守りながら酒造り、企業存続をかける菊姫は素晴らしい。 ワインも酒も、人間生活に潤い、喜びや、勇気や、癒し、活力を与えることができる飲み物だ! だからこそ、造る人の志とか健全性は非常に大切なことなんだ。 酒の中に、その健全性が入っているからだ。飲む人も元気になったり、世を変えていくことができる。 柳社長、ありがとうございました。 お酒が試飲できなかったのが心のこりかな。 空港までの途中 、白山神社へ参拝 日本全国にある白山神社の大本 神社は何て落ち付くのだろう。耳がシーンとしてくる。何か冷厳さを感じる。何か不思議な力があるのだろ。 国宝の狛犬

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加賀百万石の北陸・小松市に エスポア・もりたか あり

先日、10数年来の付き合いの森高さんより電話が入った。 『伊藤さん、北陸はカニが解禁になったよ!遊びに来ない?』 私はカニに滅法弱い!カニと聞けば何処でも飛んで行ってしまうほどである。 それはボジョレ・ヌーヴォー解禁の前夜だった。つまり11月19日水曜日に小松に飛んだ。 森高さんは毎年フランスまでワインの買い付けツアーに来るほどの熱心なワイン屋さんだ。時々はお客さん15名ほどを連れてフランスまでワインツアーを組んで来てしまうほどである。外見は明るく砕けたしぐさをして人を楽しませてくれるけど内心は超真面目で頑固な性格だ。人を楽しませようと努力する仕草に人間としての優しさを感じる。どちらかと言えば堅物だ!決して商売も上手ではない。でも、そこがお客さんに信頼されている、というか愛されているところである。つまり妙な嘘が付けないところが良いのだろ。つまり佳い人だ! 十数年前に醸造元・訪問ツアーをしている時、ある夜、一緒に飲んだ。私はオードヴィを不覚にも意識が飛ぶほど飲んでしまった。 翌朝は当然二日酔い。その日は誰もが黙る超有名ワイナリーへの観光訪問だった。不覚にもそのワイナリーの庭の隅で吐いてしまった。そんなだらしない私を見て一挙に親近感を感じてくれたらしい。 それ以来、親戚のような付き合いをしてもらっている。ありがたい人である。 自然派ワインの品揃え中心にバランスのとれた構成になっている。 左はロワールのシモニッティ、 右はアルザスのブルノ・シュラーだ。 シュラーには2回ほど一緒に行った。 その時の写真をワインと一緒に陳列している。 ラングドックを代表する情熱醸造家シルバン・ファダ氏の醸造すろオーピアックのキューヴェ・コカリエールだ。 ファダ氏が多くのものを失いながら命がけで開拓した標高500メートルの山の上の畑で造られたものだ。 今、パリでもあまり手に入らないワインが沢山品揃えされている。ここ北陸の街では買えるんだ、素晴らしいことだ! 南ロ−ヌの代表的自然派の一人ジャン・ダヴィッドだ。 ケランヌのマルセル・リショの友人だ。 森高さんは10年前より“和飲学園”と称してワイン教室を やっている。既に卒業生が400人を超えている。 人口10万人の街でワイン伝道士として孤軍奮闘している。 まるで醸造家が自分の畑を耕して、土壌を活性化させるごとくに、自分の周りの普通の人達にワインの魅力をコツコツ説いて開拓している。時間がかかるけど確実な方法だ。 10年続けた今は小松市ではワインと言えば森高と言われるようになった。一朝一夕ではできない仕事だ!!頭がさがる! 和飲学園の授業風景 今夜は2008年度の最後の授業とのこと。つまり08年期生の卒業日だ。 今日のテ−マはワインと料理の相性についてだ。 普段、日本人が家庭で食べている料理を中心に話が進められてた。 じつに大切な事だと思う。前半は理論を学び、後半は実際に馴染みのある料理を食べながら実際に試してみる、と言う大変興味深い内容だった。 このようなコツコツした啓蒙活動をしている森高さんに醸造元に代わって感謝!感謝!である。 生徒さんは小松では有名な料亭のご主人、お医者さん、オペラ歌手、家庭の主婦、OL風の女性、圧倒的に女性が多い楽しいクラスだった。 生徒さんは毎回8本くらいのワインをテーマ別に実際に飲みながら自分の好みのワインを探すことができる。そして、毎回、授業の後半は食べながら、飲みながらのパタ−ンになるそうだ。 そして、2年に一回卒業量旅行として15名ぐらいでフランスまでワイナリ−巡りにきてしまう。 そのツア−で知り合った同士が結婚したとのことである。 店とワインを通じてコミュニティ−ができている。ここまでくると単なる小売店の範疇を越えてしまっている。いい仕事をしているね!森高さん!! 二次会は近所のレストランを貸切で、待ってました!カニの登場だ! お店のむかえにあるリョウコちゃんのレストランだ。 リョ−コちゃんも2回程フランスに来ているからもう友達だ。益々美人になっていた。 二次会には以前フランスまで来られた人達、いや友が集まってくれた。 フランスで一緒に飲み食いした友達ばかりだ。 森高さんが連れてくる人は皆気さくで佳いひとばかりだ。 小松の人はカニに詳しい。 呼び方も違うらしい。色々教えてくれたけど忘れた。カニを食べる時は耳がふさいでしまう。 何て美味しいんだろう! 素材そのものでこんなに旨みを備えた食べ物は他にはない。世界一だ! フランスにはこんなに美味しいものはない。 24時だ!ボジョレ・ヌ−ヴォ−の解禁だ! カニを夢中で食べていたらアっと云う間にヌ−ヴォ−のカントダウンが始まり、解禁の乾杯になった。 マーク・ラ・フォ−レのヌーヴォ−だ。 来日の数日前に出荷確認のために行ったばかりの醸造元だ。 あのコ−ト・ド・ブルイの見える丘の黄葉した畑が目に浮かぶ。 ラ・フォ−レ夫妻の顔が目に浮かぶ。 あのワインが今、この小松でこんな風に楽しく飲まれている!感無量だ!! 9月の初旬に行った時はまだこんな葡萄だった。それが……今こうして、不思議だ! 自然の力、宇宙の力、人間の力は偉大だ!! ワインの仕事をしていて本当に良かった。この葡萄が、このワインがこんな素晴らしい人達と巡り会わせてくれた。 […]