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2011年 RECREATION セミナー・レジュメ
1976年に渡仏して、34年間のフランスとの付き合い。ワインの仕事について28年の歳月が過ぎました。特に1998年にワイン商として現地法人をパリ設立して以来、12年間フランス中の葡萄園を飛び周るのが私の仕事です。この1990年からの20年間の変化はすさまじく大きかったと思います。過去から現在、そして未来へとワイン業界の流れを総括する時期に来ているのではと感じています。 フランスでは、10月11日に自然派ワインの父と云われたマルセル・ラピエールの死という大きな出来事がありました。師は醸造元として、一人間として、地球人として自然派ワインの尊さ、ワインのあるべき姿を多くの若き醸造家達に示してきた偉大なる人物でした。人間的にも偉大なる人物でした。 そのマルセルの死を契機にもう一度、マルセルの遺志を引き継いで自然派ワインの重要性を皆さんと共に再確認すると共に、我々ワインに携わる人間として、胡麻化しのない本物ワインとしての“自然派ワイン”の重要性を認識し合いたいと思います。 現場のフランスの状況、不況に悩む日本のレストラン業界、小売業界の状況を考慮しながら、どのように色んな問題を解決することが出来るかを、皆さんと共に考えていきたいと思います。 自然派ワインが誤解されている 1) ビオワインと自然派ワイン(VIN NATURE) について 1-1)多くの人がビオ・ワイン=自然派ワインと思っている間違い。 1-2)ビオ・ワインはすべて美味しいか?残念ながら90%は美味しくない。 普通の栽培ワインとほぼ同じ比率で美味しくない。 ビオ栽培はスポ-ツをやる為の基礎体力・筋肉を鍛えること、筋肉を付けて外見だけはイチロ選手と同じになること。でもイチローのような野球の技はできない。ビオ栽培は、スポーツをやる為の基礎体力を作ることに似ている。つまり美味しいワインを造る為の土台ができましたよ、というに過ぎない。 2) 美味しいワインを造る為の3つのポイント 2-1)収穫量を押さえること 2-2)発酵槽に入れる葡萄が健全なこと 2-3)収穫、醸造を慎重に細部まで気を配ること 清潔度、温度管理、ポンプなど荒々しいワイン器具を使用しない。(重力を使うワイン移動) その年の葡萄状態に合わせた醸造の選択 3) 自然派ワインについて 3-1)普通に自然なワインの第一号 フコー家のクロ・ルジャールのような 人びと、人間国宝級の人達 3-2)自然派ワイン(VIN NATURE)の発祥、マルセル・ラピールの登場、 どんな経緯で? ラピエール系自然派の3大特徴 1-土壌に微生物が生きていること 2-仕込み直後のSO2は無添加(酸化防止剤としての亜流酸) 3-自生酵母で発酵 *グラップ・アンティエール(除梗なし)のセミ・マセラッション・カ ル ボニック醸造 4)自然派ワインの伝播について (フランスの自然派ワインの伝播の歴史から学ぶこと) 開発者 ジュル・ショーヴェ 実践者 マルセル・ラピエール 販売者 ジャン・ピエール・ロビノ 以後多くの若手が誕生して、各地方に伝播、組織が出来ていった。 醸造家からワイン商 ― 輸入者 ― 小売店 ― レストランから消費者まで繋がる重要性 5) 宇宙的規模の本物志向の時流 この宇宙の中で、人間だけが独立して存在している訳ではない。すべての事象が関わりあって繋がって、物や生き物が存在しているという事実。ワインは多くの事を教えてくれる。何故なら宇宙とも地球とも人間とも関わって一本ワインが成り立っているからです。 6) CLUB PASSION DU VINの2011年の具体的活動について (販売者への全面的な援助運動の強化) 日本における多くのジャンピエ-ル・ロビノ的な販売者を強力に遠方援助を実施(チラシ作成など) フランス醸造元見学、 醸造家を日本に呼んでの交流(販売援助) などを強力に進めていく。 セミナーの核心の部分レポート記事を次ページより記載します。長い文になりますがお許しください。 BIOワインとVIN NATURE(自然派ワイン)について ビオワイン=自然派ワイン、これは大きな間違いで大きな誤解を招いてる元凶となっている。 今、日本でBIOワインとVIN NATURE(自然派ワイン)が同意語のように使われている。 どうも腑に落ちないところが多々あって困っている人達が多いと思う。 […]